plumeria

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牧野が最後に残した言葉・・・もう一度よく考えたい・・・ってなんだ?
これ以上考える事って・・・よく考えた結果がもし俺たちの関係を白紙に戻すって事だったら?

今までのことをなかったことにするのか?
これまでのキスも沢山交わした言葉も、何もかもなかったことにするのか?

いや、多分そうじゃない。牧野はとことんまで落ちても同じ場所に戻ってくる女だ。
もの凄く弱そうに見えて、最後にはとんでもない強さを出すヤツだから心配はいらない。

いつか必ず、もう一度俺の腕の中に戻ってくる・・・俺はそう信じるしかなかった。



明日からのことを考えてベッドに寝転んで天井を睨んでいたら、突然あきらが入ってきた。
牧野を連れて帰ったと思っていた俺はびっくりして身体を起こした。
あきらは俺の部屋の中を見渡している。その慌て方が普通じゃなかった。

「総二郎・・・牧野は?牧野、ここにはいないのか?」

「いや・・・もう、随分前に出て行ったけど・・・お前の所に行かなかったのか?」

「車には来ていないんだ。時間がかかりすぎていると思って来たんだけど、お前んとこのお弟子さんが
牧野が帰って行くのを見たって言うから気になったんだ。・・・やっぱり1人でどこかに行ったって事か?
まさか、また何か言って牧野を傷つけたんじゃないだろうな!総二郎・・・!」

なんであきらがそんな心配すんだよ・・・お前こそ牧野に自分の気持ちをぶつけたんじゃねぇだろうな!
・・・そんな言葉が頭の中に浮かんだけど、それを口に出すことは出来なかった。
俺はしばらくここからいなくなる・・・全部知っているあきらにしか頼めるヤツはいないから。

「そんな事あるわけないだろ!真実ってのを話しただけだ・・・確かに泣かせたけどな」


もしかしたら裏口から出て行ったんだろうか・・・何もかも知っているあきらに会いたくなかったのかもしれない。
あきらに何かを言われたら1人で考えられなくなるからか・・・?

「早く見つけないともうすぐ雨が降りそうだ・・・アパートにでも行ってみるよ」


雨・・・?もうすぐ雨が降るのか?

その時、何故かある場所が頭に浮かんだ。・・・今の牧野ならあそこに向かうかもしれない。
もう一度考えたいなら・・・初めからやり直したいならあそこだろう?

「あきら・・・悪いけどアパートじゃなくて迎えに行って欲しい場所があるんだ。多分・・・牧野はそこにいるから」


俺はあきらにその場所を教えた。


*******

<sideあきら>

牧野が戻ってこなくて焦った俺は、慌てて総二郎の部屋に行った。
意外にも総二郎は俺の話を聞いても落ち着いていた。
恋人である総二郎が目の前にいるのに、こんなにも慌てて怒鳴っているのが俺だなんて・・・
そんな俺を総二郎は冷ややかに見ていた。

俺の本心を見抜かれた・・・多分総二郎は気付いた。そんな眼をしているって事はそうだろう?


そして雨が降りそうだといったらすぐにある場所に迎えに行ってくれと頼まれた。
この迷いのない選択は何なんだ?・・・なぜ牧野が向かう場所がお前にはわかるんだ?


「総二郎・・・話し合いは上手くいったのか?・・・牧野の反応はどうだった?」

「さぁ・・・どうだろうな。俺は全部伝えたけど、あいつはまだ考えたいらしい。一度に全部聞いたから混乱してるんだってさ。
無理ないよな・・・当たり前の反応だと思うよ」


「それで、牧野はそれでもお前を選ぶって言ったのか?」

「何だよ・・・あきらがあいつに手を出そうってのか?やめとけよ・・・俺はやっぱりお前とはダチ、やめたくねぇからな」

総二郎はそう言うと窓の外を見た。
雨が降り始めて、空はどんよりとした雲で覆われている・・・今から雨は本降りになりそうだった。


「あきら・・・早く行ってやってくれよ。あいつ、この前も雨に濡れて風邪引いて、熱出したばっかりだからさ・・・」

「わかった・・・お前が言う場所に行ってみるよ。いなかったらアパートに行ってみる」


「頼んだぞ・・・あきら。俺がいない間のあいつの事も、全部お前に頼むからな!」

総二郎は俺にその顔を向けなかった。その理由が十分すぎるほどわかるから何も言わずに部屋を出た。
この俺に恋人を頼むなんて・・・面と向かってなんて言えないだろうな。
さりげなく俺に釘でも刺しておこうっていう気か・・・?わかりやすいな、総二郎。


だけどお前がそんなものを流すなんて・・・何年ぶりなんだろうな。

少なくとも俺はそんな総二郎を見たことはなかった。


*******


総二郎が俺に伝えた場所に車を止めて、少し強くなった雨の中を歩いて行った。

そこは牧野の会社の近くの公園・・・入り口でその奥に眼をやると見覚えのある服が見えた。
その薄いブルーのワンピースが薄暗い公園に紫陽花の花のように浮かび上がっている。

確かに牧野はその公園の隅に立っていた・・・総二郎が言った、まさにその場所に。


牧野は公園の中でただまっすぐに前を見ていた。
それは景色を見ていると言うより、時間を遡って思い出を見つめているようだった。
ゆっくりと牧野に近づきながらこの2人がどうやって再会したのかを考えていた。

総二郎はどんな顔をしたんだ?牧野は・・・再会を喜んだのか?
すぐにお前達は引き寄せられたのか?・・・ゆっくりと確かめ合ったのか・・・2人の時間を俺は何も知らない。
それでも牧野がここにいるっていうことは、その時の想いは強かったんだろうな。

俺が近づくのも気が付いてないのかもしれない。
すぐ後ろまで来たのに振り向いてもくれないんだな・・・。


「牧野・・・雨がひどくなってきたぞ?・・・風邪をひくから車に戻ろう?」

そう声をかけたらハッとして俺の方を見た。


「・・・美作さん、どうしてここがわかったの?」

「ここに牧野がいるって・・・総二郎が言ったからさ。ここってお前達が再会して、お互いの気持ちに気が付いた
場所なんだって?雨が降ってるって言ったら急に思いついたらしい。・・・牧野もそうなのか?」

「西門さんがそう言ったの?覚えてたの?この場所のこと・・・」

「牧野に風邪ひかすなって言われてんだ。・・・帰るぞ」


総二郎の思いが伝わったのか、牧野はまた泣いている。
そんな牧野の肩を抱くように抱えて車まで連れて行った・・・総二郎が見たら殴られそうだけど・・・。


やっぱりこの2人の間には誰も入ることは出来ない。
綾乃ももっと早くにこの2人の絆の強さに気が付けば自分を傷つけずにすんだのに。

お互いが引き寄せ合って離れられないんだ。

総二郎はわかっている・・・後は牧野がそれに気が付くだけだ。


ame38.jpg
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Comments 6

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2017/06/13 (Tue) 12:56 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/13 (Tue) 13:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

えみりん様、こんにちは✨

あら、そうですね!女子、いきましょう!
3つも書けちゃうぞ?

忘れてたわ‼強烈キャラたちを!
弟はね、お話作ってます。上手くいけば秋ぐらいかな?
やり直してるんですよ、また凄くシリアスになりそうだから!

このお話がもう少ししたら終わりますから、次は楽しいのをupしますね!

ネタをありがとうございました🎵

2017/06/13 (Tue) 15:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

あきらくん、似合うんですよ。優しいお兄さんが。
切なくさせてごめんなさいね。

あきらくんで書いてみたいと思うことはあるんですよ?
でも、あきらくん、耐えられそうなイメージがないんですよ。私の爆弾には…。
だから、ついこんな感じで頼ってしまう。

凄く冷たいあきらとかも考えたことありますけど。
ペンが止まるんですよ、何故か。

遠距離…総二郎には似合いませんね。ふふふ。

いつもありがとうございます🎵
あと少しですからね。

2017/06/13 (Tue) 16:06 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/13 (Tue) 23:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます🎵

レアでしょう?
あえて泣くとは書かなかったんですよ。
総二郎には泣くってあんまり似合わないような気がして。

でも泣かしてるけど。

そろそろ皆さん、つくしちゃんにじれったくなってくるんでしょうね。ふふふ。
終盤に向かって浮上してもらいましょう!

今日のあきらくんに怒らないでくださいませ!
では、また~❗

2017/06/14 (Wed) 06:58 | EDIT | REPLY |   

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