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就職してから4ヶ月・・・すっかり会社にも仕事にも慣れて毎日が楽しくなってきた頃、勇気を振り絞って軽自動車を買うことにした。

花沢類が心配してキーまで渡してくれたけど、これに甘える事は出来ない。
これはお守り・・・そう思っていつも鞄に入れている。
そして落ち着いたら買おうと思ってたのがこの真夏で、今から乗って慣れた頃には寒い冬・・・あったかく帰宅できるかも、なんてのが自分の中での計画だった。


その為にもらって来た車のパンフレットを会社の休憩室でガン見して、お弁当食べるのも忘れるぐらい。見た目とか色はどうでもいいけど、値段と燃費は重要・・・だからあれこれ見比べてもう3日目。
パートのおばちゃんにも「毎日見てるけど決められないの?」と笑われていた。

そんな時に声を掛けてきたのが営業の池田君と言う、私より4歳年上の彼。今年大卒で入社した人だった。
年上だけど一応「同期」って事で比較的気楽に話せる明るい人・・・みんなからも好かれていて、おばちゃん達のアイドルになっていた。


「牧野さん、車買うの?」
「え?うん・・・迷ってるの。とにかく燃費のいいヤツにしたくて」

「燃費も大事だけど安全性1番だよ?自動ブレーキ機能とか前方後方誤発進抑制機能・・・まぁ、牧野さんの歳で誤発進はないかなぁ?でも高速をよく利用するなら先行車追従式クルーズコントロールは便利かも」

「・・・全然わかんない」

「こっちは車周辺の死角を無くして安全を確認できるマルチアラウンドビューモニター搭載だね。しかも緊急通報システムまであるし」

「それって何なんですか?」

「こいつはエアバッグが開くような重大な事故が発生した場合に自動でオペレーターに通報して、必要なら救急車の手配を自動で行ってくれるヤツ。牧野さん、運転に自信は?」

「初めてだから判らないけど、結構追加講習受けましたよ?」
「・・・ははは、そーなんだ」


笑うと少しだけ花沢類に似てるかも・・・って、あんなイケメン滅多に居ないから並んだら随分違うんだろうけど。
私はあの人達と高校生活を過ごしてきたから、どうも感覚がおかしいらしい。みんなが「格好いい!」って言う人を見ても「そお?」としか答えない、実に残念な女になってしまった。

だって・・・あの4人だよ?
どんなアイドルグループ並べられたって敵わないもの。


「僕で良かったら車選びに付き合うけど?」
「え?本当ですか?でも・・・」

「あっ、警戒してる?そんなに下心ある男に見える?」
「いっ、いえ!そうじゃないんですけど、私・・・そんな経験ないんで・・・」

「・・・彼氏、居ないの?」
「あはは!彼氏がいたらここでパンフレットなんて広げませんよ~」


バカ、つくし・・・。
そんな言い方したらさっきの話、私が頼んでるみたいに聞こえない?
その予感は的中して池田君と今度の日曜日に車を見に行く事になった。

待ち合わせは私のアパートの下、彼が自分の車で迎えに来てくれるらしい。なんだかデートのプラン立ててるみたいで少しだけドキドキしていた。
道明寺とはこんな待ち合わせ・・・した事なかったから。




***********************




大学の夏休み・・・特にやる事もなくて毎日部屋でゴロゴロしていた。
考える事は牧野の事で、今頃仕事かな・・・とか、何時頃帰ってるんだろうとか、そんな事ばかりだった。


でもその日は日曜日で朝から太陽が眩しかった。

社会人1年目の牧野はきっと旅行なんかも行かずにこの夏を過ごしてるんだろうな・・・そう思ったら身体が動き、車を彼女のアパートに向けて走らせていた。
せめて1日ぐらいドライブにでも連れて行ってやろう・・・そのぐらいの気持ちだったから連絡もせず、車がアパートに近づいた時には何故か凄くワクワクしていた。


少しは大人っぽくなったんだろうか。
まさかあの牧野がメイクしてるの?なんて想像しただけで笑いが込み上げる。

久しぶりに会った時には「見違えたよ」って言ってやろう・・・その練習までしてしまうぐらい浮かれていた。



「・・・あれ?牧野?」

アパートが見えた時に階段を降りてくる女の子・・・と言うか、女性を見掛けた。
慌てて少しだけ離れたところに車を停めて、その女性に視線を向けた。
水色のワンピースに白いミニのカーディガンを羽織って、足元はやっぱり白いサンダル・・・可愛らしい格好で、そのスカートが階段を降りる時にはヒラヒラと舞った。


服装はそうだったけど真っ黒な髪・・・それに何よりあの歩き方は牧野だ。

階段を降りたら少し左右をキョロキョロして何かを探してるみたいだった。その仕草はそれまでのワクワク感を一気に下げて、逆にドキドキしてきた。
まさか待ち合わせ・・・?そう思った時に俺の車の横を青い普通車が通り過ぎ、そのアパートに向かった。


運転席なんて見えなかった。
でも、その車が近づいたら牧野が片手を上げて笑ったように見えた。

勿論声なんて聞こえない。牧野はその車の助手席に乗って、車は俺から遠離って行った。



なんだ・・・牧野、恋人出来てたんだ。
日曜日にはこうやって出掛けるヤツが居たんだね。

ハンドルから落ちた手が膝の上で拳を作る・・・・・・あんたが笑ってるならいいやって言葉がこの時には出なかった。




*******************




「・・・・・・・・・」
「こっちは?可愛い色だよ?それに安全性も高いし」

「・・・・・・・・・値段が・・・」
「くすっ、車はこんなものだよ。ローン組むんなら少し長めにすれば?当分会社は辞めないでしょ?」

「そうですけど・・・」


ローンなんて組んだ事がないからどうしても抵抗がある・・・でも、即金で買える程の余裕もない。

でもでも、花沢類と約束したから買いたい。
買ってそれを見せて安心して貰いたい・・・。


取り敢えず車種を決めた。その次は色・・・そうなったら頭に浮かぶのは「花沢類が好きそうな色」。

白だと無難かな?黒は私には似合わないって言いそう。
赤だとなんか自分が興奮しそう。じゃあブルーは?それとも水色・・・いや、クリーム色みたいな優しい色?
花沢類が乗っても可笑しくない色・・・やっぱり白、かな?


「・・・白にします」
「白なの?水垢気にならない?」

「うん、大丈夫。洗車頑張ります!」
「・・・赤が可愛いのに。ね、そうしない?」

「そうですか?でも・・・」
「絶対テンション上がるって!赤、赤にしよう?」

「・・・ごめんなさい、白にします」



その1週間後、私のところに真っ白な車がやってきた。
それを写真に撮って花沢類に送った。

『ちゃんと買ったよ!可愛いでしょ♡』


でも、変なの・・・いつもならすぐに来る返事が来なかった。





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2019/12/25 (Wed) 07:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

下心の無い男は居ない、と言うのが私の考えです(笑)
どれだけオクテな類君にも下心はあるのです。それを上手にコントロール出来るか出来ないか・・・の差ですね♡

私は今まで1度も赤い車に乗ったことがありません。
大抵黒ですね~。白い車も1度だけです。水垢が気になってね~。
黒も黄砂でとんでもないんですが💦

でも、そういうのを一緒に見に行く男って・・・完全に狙われてますよね(笑)

2019/12/25 (Wed) 21:02 | EDIT | REPLY |   

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