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花沢類から連絡が無いまま秋になって、私は1人でドライブにも行けるようになった。

1度は花沢邸にも行ってみた。
彼がそこに居るのかも確認せずに大きな門の外からお庭を覗き込んだ。
写メ送ったんだからこの車に気付いてくれないかな・・・なんて思ったけど、彼が出てくることはなかった。

その代わり、じゃないんだけど・・・


あれから池田君が何かと誘ってくれるようになった。
ドライブは勿論、同じ時間に仕事が終わったら食事にも誘われた。秋からは車通勤だから飲みには行かない・・・でも、何回か飲みにも誘われた。
その度に「未成年だから」って断わるんだけど「ノンアルコールもあるよ?」って・・・とうとう断わられなくなって、池田君の行きつけのお店に行く事になった。

彼は自分の車を会社に停めて、私の車を運転してくれた。
その姿を見てちょっとだけ違和感・・・そこに座るのは私以外だと「彼」だけだと・・・何となくそう思っていたから。


「俺は少し飲むから、ごめんね」
「いいけど帰りは?私が送って行けばいいですか?家って何処だっけ?」

「俺はS町。マジで?送ってくれるの?」
「道さえ教えてもらえれば。明日の朝は迎えにいけないけど」

「ははっ!朝はお袋にでも送ってもらうよ」
「・・・そうですか」


別に嫌いな人じゃ無いけど・・・格好いい人なんだけど、同僚以外の気持ちにはなれない。
でも告白された訳じゃないから、これは女友達として・・・だよね?と、自分に言い聞かせて付いていった。


そこは銀座のすぐ近くで、お洒落で高そうなお店だった。
如何にも彼奴らが来そうな店だな・・・ってその入り口に立ってたら、私達の来た方向とは反対側から聞き慣れた声が・・・


「この先に出来た店に行こうぜ」
「ホント~!総二郎君の奢り~?」

「勿論!」
「さっすがぁ!」


・・・マズい!西門さんだ!

声を聞いて顔を向けたらホントに西門さんが綺麗なお姉さん達に囲まれて歩いてた。でも西門さんは私の方を見てない・・・だから急いで池田君の陰に隠れたら、不思議そうな顔してドアを開けてくれた。
池田君との食事に戸惑っていたのにそれどころじゃなくなって、彼よりも先にお店に入ってしまった。

よく聞き取れなかったけど、西門さんが行くお店はここじゃ無いのよね?と、暫く入り口でドキドキしていたけど派手な御一行は入って来ない。それでホッとして、やっと池田君と目を合わせた。


「どうしたの?今の人達、知り合い?派手な人達だったね」
「えっ?!あぁ、あの・・・高校の先輩・・・です」

「あぁ、先輩ね。牧野さんのイメージじゃ無かったから安心した。男友達だったらどうしようかってね」
「・・・・・・はは、そんな事は・・・」


いや、結構仲良くしてたけど。
そんなに私と西門さんもイメージじゃないのね?まぁ・・・そうでしょうけど。


池田君は私に無理は言わない。

今時高校生だって飲めるんだからって、お酒を勧められたらどうしようかと思ったけどそんな人じゃない。会話は上品で楽しくて、言葉だって優しいし凄く気を遣ってくれる。
食べるものや室内の温度まで私に「大丈夫?」って確認・・・女性慣れしてるって感じでも無いけど、雰囲気を作りのがとても上手。


こんな所は花沢類と違う。

彼は気を遣ってくれるけど必要最低限しか言わなくて、ちゃんと私に伝わらないことがある。
優しいし穏やかだけど、不器用で雰囲気なんて無視してる。話してたらいつの間にか私だけが一方的に喋ってて、彼は寝てる・・・なんて事もあった。

でも、それでいて安心できる・・・黙って座ってるだけで私にはホッとする時間だった。


「・・・誰のこと考えてるの?」
「・・・え?」

「今、凄く可愛い顔してたから。好きな人の事?」
「そ、そそっ、そんな事ないです!好きなんて・・・・・・いや、誰のことも考えてませんよ。美味しいなぁって、それだけ」

「そうなの?じゃあさ、クリスマス・・・一緒に過ごしてくれない?」

「・・・クリスマス?」

「牧野さんのこと・・・好きになったみたい。誰とも付き合ってないなら俺と付き合わない?」


告白された・・・?
私の事が好きって言った?

もしかしたら池田君が私のサンタクロース・・・?


その時にあの公園のツリーの下で悲しそうに笑う花沢類を想像した。
どうしてそんな姿を想ったんだろう・・・こんなにドキドキする言葉を言われたのに、私の心が風邪を引いたみたいに寒くなった。




**********************




牧野が送ってくれた車の写真・・・それが届いたのは彼女が男と出かけた次の週だった。
もしかしたらあいつと選びに行ったのかもしれない、そう思ったら電話も返事も出来なかった。

本当は車を買ったら1番にドライブに誘って・・・俺だって滅茶苦茶上手いわけじゃないけど牧野に教えてやろうって思ってた。
「安全運転しろよ」「事故するなよ」「何かあったらすぐに電話して」・・・言いたい言葉は沢山あったのに何も伝えなかった。


新車祝いだって考えたんだ。
ドライブレコーダーだって買ってやりたいし、車に置きたい小物だって揃えてやりたかった。
それを買いに行くのは俺だって・・・そんな仲じゃないって判ってるけど、俺だって思ってた。

何も言わなくても牧野だって何となく・・・そう思ったのはただの思い上がり。あの時の知らない男に向けられた笑顔が頭から消えなかった。



そうやって過ぎていった夏・・・今はもうすっかり秋が深まって鮮やかだった庭の木も落ち着いた色に変わった頃だった。
急に掛かってきた総二郎の電話は午後8時半・・・どうしたのかと思ったら、聞きたくもない話だった。


『類、お前、牧野と会ってねぇの?』
「・・・どうして?」

『いや、さっきさ・・・銀座の近くで牧野と男が飲み屋に入っていくの、見たからさ。まさか牧野に男が居んのか?』
「・・・知らないよ、そんな事。連絡なんてないし」

『お前はしねぇのかよ。いいのか?あの2人、いい感じだったけど?』
「・・・牧野の自由じゃない。だからって俺が文句なんて言える立場じゃないし」

『立場なんてどうでも良くね?俺が言いたいのは・・・』
「関係ないよ、切るね」

『あっ!おい、類!!る・・・』


総二郎が何か怒鳴ったけど無視して通話を切り、ついでに電源まで落とした。


こんな時間に一緒に居る関係・・・しかも2人っきりで。
その後はどうするんだろう。

イラッとしてスマホを床に投げ付け、ベッドにダイブ・・・でも、牧野が楽しそうに笑ってる姿を想像して眠れない・・・。





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Comments 4

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2019/12/25 (Wed) 15:19 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/25 (Wed) 18:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

ぶははははは!そんな類君もたまにはいいでしょ?
可愛いじゃないですか♡

2019/12/25 (Wed) 20:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うふふ♡今回は類君がイジケ虫です♡
絶妙なタイミングの悪さはいつもの事ですが(笑)

ちょっと1歩踏み出せない類君・・・臆病すぎる設定ですがお許しを!
最後はきっと・・・♡

2019/12/25 (Wed) 20:54 | EDIT | REPLY |   

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