FC2ブログ

plumeria

plumeria

大学4年の12月・・・もう卒業までに大学に行く事もなく、家でいつものように寝転んでいた。


2年前から1度も牧野と連絡を取ってない。
あれからどうしたのかも聞かない。電話もしないし、掛かっても来ない・・・正確に言えばあの日の夜に掛かってきたけど、それに出ることが出来なかった。
総二郎もあきらも聞いてくるけど「知らない」としか言えなくて、彼奴らも不思議がってた。

総二郎は本格的に西門の仕事をし、あきらは1年間日本で営業実務をしたらイギリスへ行くらしい。司は1年以上前から企業家として世界中を飛び回り、日本に帰ってくることもなかった。
俺は・・・先日父さんから言われてフランス行きが決定した。

だから卒業式を待たずに新年が来たら渡仏、向こうで少しずつ仕事を始めることになった。



そんなある日、父さんが取引先との会食で居なかったから母さんと2人での夕食の時間・・・またいつものように余計な話が始まった。


「ディオール社のお嬢様はとても美しいし日本がお好きらしいわ。オクレール社のお嬢様は頭脳明晰ですって。向こうに行ったら早速色んなパーティーに招待されると思うから早めにお名前と顔を覚えなさいな」

「・・・そんな必要ないでしょ。考えたこともないよ」

「今はそうでも後々は考えてもらわないと困るわ。花沢にはあなたしか居ないんだもの、これまでに彼女の話を1度も聞かないから心配なのよ?」

「・・・それ、家のため?俺のため?」


チラッと横を見たら大きな溜息をついた母さん・・・片手で額を押さえ態とらしく首を横に振って、まるで何かの芝居みたい。
また視線を外して知らん顔したら、今度はワインを1度口に運んだ後で呆れたように言葉を出してきた。


「バカねぇ!あなたの為に決まってるじゃないの!好きな人と一緒にいるのが1番幸せなのよ?だけどそれを探そうとしないから言ってるだけよ。
あなたはそんな人が出来ても待ってるだけで追い掛けそうにないから忠告だけしてあげるわ。恋はなにかに遠慮しながらするものじゃないの・・・そして確かめずに終わったら後悔するのよ?」

「・・・・・・判ってるよ、そのぐらい」

「そうなの?じゃあいいけど!」


誰かに遠慮した覚えもない。
ただ自分の目で見てしまっただけ・・・それで充分だったんだ。
たとえ隣が俺じゃなくても牧野が笑ってるならそれでいい・・・本当に今はそう・・・思ってるんだから。


「あぁ、それと今年のクリスマスだけど」
「・・・またパーティー?勘弁して欲しいんだけど」

「ダメよ!来年はこっちに居ないんだからちゃんと出席して!ただね、場所が変わったの」
「何処に?」

「それがね~」


少し不満げに告げられた場所・・・今年のクリスマスパーティーはあの公園の真横にあるホテルだと聞いて驚いた。
いつものホテルが大掛りな改装工事に入って今年はパーティー会場が使えないらしい。それも仕方ないかと、溜息を返事代わりにしてダイニングを出た。




**



クリスマスイブ・・・俺の気分なんて無視してその日はやってきた。

何となく落ち着かないホテルでクリスマスパーティーは始まり、俺はいつものように作り笑顔で招待客に挨拶するだけ。

「もうご卒業ですか」
「フランスに行かれるとか?」
「決まった方はもういらっしゃいますの?」・・・何処に行っても繰り返される同じ質問にウンザリして1度会場を出てしまった。


何処に向かうつもりもないけど自然とロビーに降りて、そこから公園のクリスマスツリーを見ていた。
ここからだと判らないけど今年も見物客が多いんだろうか・・・そのぐらいの気分で窓に縋って外を眺めていた時、真後ろで聞こえた会話が・・・


「牧野さん、大丈夫かなぁ?」
「少し飲んだだけでしょ?タクシーで帰るって言ったじゃん」

「でも、今日は牧野さんの送別会なのに私達だけって可笑しいよね~。もう少し強引に誘えば良かったね~」
「忙しいのよ。引っ越しもあるし」


牧野・・・?今、牧野って聞こえた。
人違い?でも、そこまで多い名字でもない。

俺は急いでその会話をしていた女性達に近づいて、今の話を詳しく聞いた。


「失礼!今、牧野って言ったけど、それって女性?フルネームは?」
「は?あぁ、牧野つくしさん?」

「・・・やっぱり牧野のこと?送別会って?引っ越しってなに?」
「はぁ?えっと・・・」

「ごめん、知り合いなんだけど最近連絡取ってなくて知らなかっただけ。教えてくれない?」


いきなりグラックタキシードの男がこんな事聞いたら怪しまれて当然。
だけどあのクリスマスツリーを見ていた時に名前を聞くなんて、偶然だろうけど俺には運命のように感じた。


『恋はなにかに遠慮してするものじゃないの・・・そして確かめずに終わったら後悔するのよ?』


母さんの言葉じゃないけど、後悔したくない・・・この時、どうしても俺は確かめたかった。
そうしたらこの中の1人が「もしかして・・・彼女のサンタさん?」って俺に言った。


「え・・・サンタ?」

「えぇ。牧野さんが前に言ってたことがあるんです。
自分の大好きなクリスマスツリーの前に立てば、必ず背の高いサンタさんが来てくれて、淋しい自分に声を掛けてくれるんだって。そのサンタさんは綺麗な栗色の髪で茶色の瞳で、いつも無表情で無愛想なんだって。でも優しくて気が付いたら守られてる感じがして凄く好きだって・・・」


『でも、その気持ちに気がついた時は遅かったみたい。サンタさん、いつの間にか私のところには来なくなったんですよね~。
でもいつかまた現れて名前を呼んでくれたら、今度は素直に飛び込みたいなって・・・あはは!虫が良すぎですかね?』



「牧野さん、年が明けたら九州の別会社に派遣されて行くんですよ。だから今日はこの近くで送別会して、これからホテルのレストランで二次会なんです。
でも彼女、行きたい所があるし、それが済んだらタクシーで帰るからってさっき別れたんですよ」

「九州に・・・それで引っ越し?」

「えぇ、もう日にちがないから忙しいって笑ってましたけどね」

「どうもありがとう!あっ・・・もうひとつ!牧野に恋人は?」

「恋人?いないと思うけど」
「池田君が夢中だったけど2年前に振られたって言ってたよね?それからは彼女も仕事ばっかりだから・・・」



2年前・・・じゃあ俺が見たのは?
もしかして、そうじゃなかったってこと?俺・・・勘違いしてた?


いつもそうだ・・・牧野の背中しか見なくて、それで想像して逃げてた。
あの時も牧野の表情なんて見なかった。笑ってるんだと思った・・・決めつけて見守ってる気分になってただけだ。

くそっ・・・!!



九州になんて行かせない。
1人のクリスマスなんてもう終わり・・・絶対に牧野を掴まえる!


俺はその格好のままホテルを飛び出し、目の前の公園に向かって走った。
いつかの夜みたいに人混みを押し退けて、幸せそうな人達を間をすり抜けるように夢中であのツリーを目指して走った。

きっとそこに牧野がいる、それだけは確信できるから。



でも、この格好じゃ・・・そう思った時に目に入ったのは公園入り口にある母さんお気に入りのブランドショップだった。

どうせなら牧野のリクエストに応えようか・・・少し勇気が要るけど。
逸る気持ちを抑えながらそこに飛び込み、急いでタキシードを脱いだ。


「あら!類様、どうされましたの?」
「ごめん!急ぐんだ、すぐに・・・・・・って感じで頼む!」

「まぁ・・・くすっ、判りましたわ。すぐにご用意します」


動かないで、牧野・・・すぐに迎えに行くから。






にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
LastStoryは明日の15時です♡
関連記事
Posted by

Comments 8

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/27 (Fri) 00:49 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/27 (Fri) 00:59 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/27 (Fri) 01:28 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/27 (Fri) 06:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは。

楽しいクリスマスでしたねぇ♡仲がいいなぁ♡

私も成城石井ってたまにネットで見るんですけど、凄いですよね!
田舎者の私は行っても何も買えないと思いました💦

目の保養にはなるのかしら・・・?

うちは旦那が会社のくじ引きでハーゲンダッツのアイスを当ててきました♡
目録だったので、葉書出して送ってもらうんですけど・・・

「何個入ってんの?」
「さぁ?」

「・・・・・・・・・3個みたい」
「少なっ!!」

まぁ、いいか!!(笑)


お話は・・・ふふふ、こんな感じで可愛く終われそう?(笑)
ご心配かけましたが、類君何とか間に合いそうです。

15時、お待ちしてます~♡

2019/12/27 (Fri) 12:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは。

コメントありがとうございます。
ははは!怒ってましたね~(笑)💦

まぁまぁ、こんな類君ですが母親気分で見守って下され(笑)

出来の悪い類君も好きなのですよ、これがまた。

格好いい類君の書き方がわかんない類書きです(笑)
お許しくださいませ~♡

2019/12/27 (Fri) 12:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

そうそう、お話というのは妄想&偶然です。
奇跡だらけで嘘みたいなものです(笑)

てか、まだ書けないけど(笑)どんな格好させたいの?
そしてどんな格好で走らせたいの?💦

いや、まぁ・・・そうなんだけど、そこは類君だし💦


で、このお話にはRないから(笑)勘弁してっ!!

2019/12/27 (Fri) 13:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あはは💦ビオラ様も厳しいお言葉(笑)
そんなにヘタレでしたかねぇ~💦いや、そうだったけど!

イケイケな類君ってあんまり想像出来ないからこうなっちゃうんですよ。

まぁ、私の場合は総ちゃんの影響もありますけどね(笑)
向こうが激しいとこっちは控えめになるという現象がおきますから。

今年は無理だと思っていたクリスマスストーリーが終わって一安心です♡
(すぐにバレンタインが来るけど・・)

2019/12/27 (Fri) 13:04 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply