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部屋に戻ったら総二郎が東京から持って来たノートパソコンで何かをしていた。
それをひょいっと覗いたら、今度の講演会の資料のようなもの?今まで話した事がある内容を探してるみたいだった。


「・・・・・・凄い、綺麗な茶碗だね」
「これか?高取焼(たかとりやき)って言う福岡で継承されている陶器で歴史あるものだ。
伝統的な高取焼は茶色っぽいんだけど、16代目の作品はブルーが入って綺麗だろ?焼く前に土に鉄分を混ぜておくとこんな色になる・・・同じ釉薬でも火加減によって色や模様が色々変わるんだ」

「へぇ~、宗家にもあるの?」
「まぁな。蔵で寝てると思う」

「・・・たまには起こしてあげなよ。美作茶道部で使ってみるとかさ」
「いいけど数百万だからな」

「うん、寝かせとこう!」
「くくっ、そうなるだろ?」


総二郎は話す機会が多い千利休と古田織部、小堀遠州の紹介と、それに因んだ話をするらしい。突然言われたからそのぐらいじゃないと間に合わないって事で、その資料をCD-Rに編集して会場でスクリーンに映し出すらしい。
私に頼もうかと思ったけど、そこまでの知識がまだないから今回は総二郎が纏めるそうだ。


「いつもこんな事してるの?」
「いや、モニターが無くて喋るだけの時もあるし、今回みたいに用意しろって言われることもある」

「用意してくれって言われたの?」
「あぁ。さっき高木が来てCD-R渡された。それに資料を入れてくれってさ。面倒な事を言うよな、打ち合わせも殆どしねぇのに出来るのかよって言えば『大丈夫です』なんて澄ました顔で言いやがって」

「ふぅ~ん」
「・・・よし、こんなもんでいいだろう。つくし、こいつを高木の所に持って行ってくれるか?どうせ全部で1時間ぐらいの講演会だからこの程度でいいだろ。後は俺が喋ればいいし」

「はい、判りました」


総二郎がノートパソコンから出して私にくれたCD-R。
それを不織布ケースに入れて、ゴロンと横になった総二郎を部屋に残し、また事務所に向かった。

さっき見掛けた辺りにまだ高木さんが居るかも・・・と、思ったけどもう姿は無い。
だから大森さんに聞こうと思って事務所前に行くと、そこでいきなり開いたドアから人が出てきてぶつかってしまった!


「きゃっ・・・!」
「あっ、申し訳ありません!大丈夫ですか?えっと、宗家の方ですよね?」

「はぁ、驚いた・・・あはは!大丈夫ですよ、何ともありません」
「ホントにごめんなさい。では、失礼します」


出てきたのは若いお手伝いさんで、何度も頭を下げて何処かに行ってしまった。

そんな姿は本邸でドジする私みたい。
クスッと笑いが出て、手に持ったCD-Rを見たら・・・不織布ケースに赤いものが着いていた。
何だろうと思って触ったら私の口紅・・・。今、驚いて顔にくっつけちゃったからその時に着いたみたい。

慌てて指で拭き取ったけど少しだけ赤い色が残ってしまった・・・でもケースだし。

「CD-Rは大丈夫だよね?」

中身を取り出して確認しようとしたら今度は手が滑って廊下にCD-Rを落とした!
慌てて拾ったけどディスク面に傷は無い・・・表側に少しだけ傷が入って手に付いてた口紅が移ったけど、それも擦ったら何とか消えた。

「うわっ、出さなきゃよかった!でも・・・このぐらいなら言わなくても気付かないよね?」

1度きりの講演会で使うもので、そこまで気にしないだろうと思って然程気に留めず、それを持って事務所に入った。
そこには丁度高木さんが居て、私を見ると迎えに来てくれた時と同じ笑顔を見せてくれた。


「あぁ、牧野さん。どうしました?」
「これ、若宗匠から高木さんにお渡しするようにと。講演会の資料画像だそうです」

「もう出来たんですか?流石だなぁ、総二郎様。ありがとうございます。お預かりしますね」
「はい、宜しくお願いします」


高木さんはそのCD-Rを大きな茶封筒にポスッと入れた。
その茶封筒の表書きは「○日・京都支部講演会資料」と書かれてる・・・それをチラッと確認だけして事務所を出た。口紅で少し色が付いてたの、やっぱり気付かなかったのかしら?




**




夕方になったら先代が言っていた花街・・・祇園に出掛けるために支度をした。
支度と言っても総二郎は何もせず、私も化粧直しをするぐらい。
お手伝いさんが「車の用意が出来ましたので」と呼びに来てくれたから、その声で総二郎と一緒に部屋を出た。


「お酒、飲まなきゃいけないかな・・・」
「くくっ、そりゃお前にとっちゃ命取りだな」

「もうっ!真剣に悩んでるのに・・・」
「俺がいるから大丈夫、と言いたいが先代や他の人間が居るからな。つくしの様子を見て俺が止めるから初めだけは付き合ってやれ。もしも無理を言い始めたら絶対に俺が止めてやる。心配すんな」

「・・・ん、判った!」
「それより俺以外の男に油断するな。そっちの方が重要だ」

「・・・はーい」


彼は独占欲と嫉妬心の塊。
でも、これを守らなきゃ後で怖いことが起きるとアメリカで学習した。だからここでは気をつけようって思ったけど、何処にそんな人が居るんだろう・・・お爺ちゃんだらけなのに?
総二郎のヤキモチの範囲が判らない。首を傾げなから玄関まで行くと、遠くにある門の前にはもう車が待機していた。


「先代は先に乗っておられますよ。ささ、どうぞ」

大森さんがそう言って大きなリムジンのドアを開けてくれたら、中では先代がニコニコして座ってて、総二郎が乗ろうとしたら「女子が先だろう!」と怒鳴られた。
それにムッとした総二郎が譲る事なく先に乗り込み、先代と向かい合わせに座ったもんだからお互いに睨み合い。私はそんな2人を横目で見ながら総二郎の隣に座り、やれやれと溜息・・・。


でも、確かに先代は睨んでるけど嫌ってはいない。
総二郎も負けずに睨み返してるけど、そこに悪い感情は無いように見えた。

要するに似たもの同士・・・放っておいても大丈夫だろうと心の中で笑ってた。



祇園は京都東山区にある京都を代表する歓楽街で、地名の由来は八坂神社が「祇園社」と呼ばれていたことにあると総二郎が教えてくれた。
江戸時代初期には祇園社に参拝する人が沢山居て、その参拝客を狙ってお茶屋が多くなったとか。その競争に勝つために美人のお姉さんを働かせるようになったらしい。
うん、総二郎のためにあるような街・・・そう言ったら睨まれた。

今から行く「西田屋」はその祇園の中でも江戸時代から続く日本の伝統家屋のお茶屋で、かかる費用も一級品らしい。
そこに着いたら上品な格子戸で、古式ゆかしい風雅と格調の高さを・・・感じたというより、私には残念ながら古いお家にしか見えなかった。


「おこしやす、西門様。お連れさんはもう来てはりますえ」


如何にも京都の言葉・・・それに感動してお茶屋さんの前でドキドキしていたら、その店の中から顔を出したのが・・・


「・・・あぁ、いらっしゃいましたか。先代に若宗匠」

「おぉ、剛君か。お待たせしたかのぅ?」
「お久しぶりです、間島さん」

「・・・こんばんは、間島様」


あーーーっ!!この人、さっき高木さんと物陰で話してた人!
何処かで見たことがあると思ったら、間島剛さん・・・西村事務長と堤さんに要注意と言われた人だっ!

思い出したのはいいけど言葉にも顔にも出せない・・・喉まで出てきた言葉をグッ!と呑み込んで総二郎の少し後ろに控えていた。間島さんはそんな私をチラッと見て、すぐに視線を逸らした。


感じ悪い人・・・あの時もそうだったけど、何を考えてるのか判らない。

先代に続いて総二郎もお店の中に入って、少し遅れて私・・・その不思議な空間にやっぱりドキドキしながら足を踏み入れた。





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Posted by

Comments 8

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2020/01/08 (Wed) 18:30 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/08 (Wed) 23:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます&明けましておめでとうございます。

ははは💦止めてくださいっ!!(笑)
マジで苦しかったんですから💦

もうねぇ・・・どうしてあんな事になったのやらですよ💦

期待しないでください・・・本当に苦手なんです(笑)
R書きではありませんので、お粗末なものしか書けません・・・反省します(笑)

2020/01/08 (Wed) 23:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ふじ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
そしてご指摘もありがとうございます(笑)

多分、最近「勘当」を使ったんだと思います(笑)
それで1番に変換されて、そのまま読み直したときに気付かなかったんだと・・・。

本当にポンコツで申し訳ありません💦
教えていただいて助かりました。(これからも宜しく・・・)


あはは、事件は・・・起きますよね(笑)
これから事件のてんこ盛りです!キリッ!!

2020/01/08 (Wed) 23:44 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/11 (Sat) 12:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

亀井様、こんばんは。

ご訪問&コメントありがとうございます。

まずは無断でお話の中でお名前を使用しましたこと、申し訳ございませんでした。
素人の小説ブログですので校正なども入らず、使用していいのかどうかなど詳しく知らないのが現状です。
記載した内容はネットで調べたものであり、もしも不都合ございましたら削除しますのでご連絡下さいませ。

私は現在隣県に住んでおりますが、若いときにそちら様の近くに住んだことがございます。
それもありますし、色々と調べたときにそちら様の焼き物がとても綺麗だと印象に残りまして、それでこの度使わせていただきました。

まさかお目に触れることになるとも思わずに、大変失礼致しました。
それに無断使用したにも関わらず、応援下さいましてありがとうございます。


いつか実物を見たいなぁ、なんて思います♡
私の方こそ応援しています。これからも良い作品が生まれますように♡


2020/01/11 (Sat) 21:53 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/12 (Sun) 20:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは!

コメントありがとうございます。

ちょっとーーーっ!!
思い出させないでよーーっ!(笑)

もう忘れようと思っていたのに💦

えーっとね・・・まぁ、色々あったの(笑)ははは!気にしないで下さい💦

2020/01/13 (Mon) 01:24 | EDIT | REPLY |   

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