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いきなり連れ込まれた薄暗い部屋・・・そこで凄い美人の千香さんに押し倒されていた。
この人、着物着て上品そうなのに鋭い目つきで、私の腕を持ってる力も強い。思わず「痛いんだけど!」って普通に怒鳴ったら、取り敢えず力は緩めてくれた。

それにしても総二郎の事を私よりも前から知ってるって?
その「知ってる」の意味が判らない・・・と言うか判りたくない。


総二郎の○○○○を知ってるって意味?いや、話を聞く限りそういう人は多いとは思うけど、出来たら当事者とは出会いたくない・・・そう思っていたのに。
さも自分の方が勝者だと言わんばかりの余裕の笑みを浮かべて私の前に居る千香さん・・・一体私をどうしようと言うの?


「・・・えーと、どうでもいいんですけど私が行かないと若宗匠が心配すると思うんですが」
「いえ、そんなご心配は無用です。それよりも自分の立場を弁えたら如何かしら?」

「立場?」
「そうよ。あなたは秘書でしょう?こんなお座敷で総二郎様と並んで座るだなんて厚かましいと思いませんか?
秘書にはそれに似合う控え室ってものがあるの。何も会食の時まで一緒に居る必要はありません。それにあなたがいても何1つ気の利いた話は出来ないし、京都支部の事も何も知らないでしょう?はっきり言えば邪魔ですわ」


・・・邪魔?!

いやいや、私がコンビニのおにぎりでもいいって言ったのに無理矢理同席させようとしたのは総二郎だけど?!
お酒だって無理を言われたら総二郎が止めてくれるって言ったし、何より自分以外の男に油断するなってそっちを心配してくれた彼が私の事を邪魔に思う訳がないのに!

はっ・・・!男じゃなくて女に油断したって事?ううん、今はそんな事を考えてる場合じゃないって!


「お言葉ですが、若宗匠の指示でここに来てるんです。今後の勉強のための意味もあります。あなたにそんな事を言われる筋合いはありません!それに立場って仰いましたけど、あなたは?千香さんはどう言う立場の方ですか?」

「わたくし?わたくしは西門流次期家元の妻になる人間です」

「・・・・・・西門流の次期家元?それって・・・」


総二郎のことを「若宗匠」とは聞くけど「次期家元」とは普段から言わないからピンと来なかった。
でも後継者って事は現家元の次は彼・・・って事は次期家元って総二郎の事・・・だよね?


ええええーーっ?!
”総二郎さんのお祝い膳”って嘘じゃなかったの?!



いやいやいや、家元夫人は花沢さんまで使って煮え切らない総二郎のお尻を叩いたのよ・・・そんなはずないわ。
雪乃さんや真凜さんと同じよ。千香さんが私に意地悪してるだけ。きっとそうだ・・・そんなのに負けるものですか!

たとえ○○○○が私より早かったとしても、私だって負けてないと思う!(自信ないけど)


「そんなお話、聞いた事がありません。先日も家元達から若宗匠の将来についてのお話がありましたけど、決まった人はまだ居ないと言われてました」

「そうでしょうね。まだ正式に決まってはおりませんもの」

「は?それなのに妻だって言われるんですか?そんなの若宗匠が断わるに決まってるじゃありませんか!」

「総二郎様は断わりませんわ。西門流の存続が掛かってるのですもの」

「・・・存続?」


急に勝ち誇ったように細めた目・・・どことなく総二郎に似た表情にゾクッとした。
そして着物の袖で口元を隠し、上品に・・・でも意地悪く笑った。そしてスッと立ち上がると、部屋の真ん中で転げてる私を見下ろした。


「牧野さんはご存じないんでしょうけど、実は西門は経済的余裕がなく大変な状況なんです。このままだと総二郎様が家元になる頃には西門流は経営困難となって途絶えてしまうかもしれませんわ」

「・・・は?」

「秘書とは名ばかり・・・それか信用が無いために教えられてないのかもしれませんけど、これは本当ですわ。地方支部では既に経営難から閉鎖していこうという話が出ているところもあります。
その原因は宗家の無駄遣いと見栄のための巨額な投資、関東の後援会の不正・・・色々ありますけど総二郎様のお遊びもその1つですわ」


宗家の無駄遣い・・・確かに少し常識では考えられない金銭感覚だと思ったことはあるけど、あの家にそんなに困った様子も無かったわよ?
それに春には今までにない豪華な茶会があるって言ってたし・・・それに総二郎のお仕事だってびっしり詰まってるし、経営困難だとはこれっぽっちも思わなかったけど?

総二郎のお遊び・・・それなら少しは思う。
車だって580万円の修理を止めて5500万円の車に変わったし、それ以外にも車はあるしバイクも数台あるし、靴ですら数十万円で買うんだもの。

うんうんって、そこだけは頷いたら千香さんの話は続いてた。


「ですから総二郎様の妻となる女はその負債をカバーできる財力が必要なのです。牧野さん、あなたにはそれが出来まして?
愛だけでは宗家も西門流も救えませんの。愛と財力・・・つまり巨額の富を持つ者でないとその位置には立てないのです。
それをまだ宗家は甘く見ておいでなのですわ・・・いずれその時が来たら、あなたでは後悔するだけですのに」

「・・・愛プラスお金?」

「そうですわ。寧ろ愛よりもお金です。千年続いた西門流の最後の家元・・・総二郎様をそのように呼ばせたくないならさっさと身を引きなさい。
あなたでは何1つ役に立ちません。あなたが居なくてはお茶も点てられない、などと言われるのかも知れませんが、その前にお茶すら点てる場所を失いますよ?
今回京都にお呼びしたのも浮ついた総二郎様に現状を判っていただくため・・・そして間島家がそれを救えるのだと判っていただくためでもありますの」

「・・・・・・役に立たない?」

「作法も知らない、財力も無い、女性としての魅力も乏しいのですもの。そうでしょ?」

「・・・・・・・・・・・・」

「では私は総二郎様にお会いしてきます。
あなたはここで大人しくしておきなさい。お茶屋のお座敷にあがるだなんて身の程知らずと言うのもよ」


・・・・・・・・・私には何もない


そう言われて身体が動かなくなった。

確かにそうだけど・・・でも、総二郎はそれでいいって言ってくれたもの。
私はそれを信じるし、西門が財政難なら節約術を教えてあげるし・・・なんて色々考えてたけど、身体の中心に鉛が入ったかのように重くなって胸が苦しくなった。


どのぐらい経ったんだろう・・・漸く身体を動かして、四つん這いで扉まで行く事が出来て、それを開けようとした。


「・・・・・・あれ?開かない・・・まさか外から鍵を?」

ガタガタっと何度か動かしたけど少し隙間が空くだけで扉が動かない!
「誰か居ませんか?!」と、扉を叩いて叫んでみたけど誰も来てくれない。遠くで笑い声や三味線の音みたいなのが聞こえるんだけど人の足音がしない。
総二郎、まさか私が居ないのに暢気に会食してるの?!

心配してくれないの?!千香さんって人と一緒に並んでるとか言わないよね?


ううん・・・総二郎はきっと閉じ込められてる私を探しに来てくれる。
そして「アホか!そんなの信じたのか?」って笑い飛ばすに決まってる・・・。


そう思うのにいつまで経っても総二郎は来てくれなかった。
そのうち何処かでザワザワと声が聞こえてきて、人が歩く音や「またおこしやす~」なんて聞こえた。
誰かが帰ったんだ・・・とは思ったけど、それでもこの部屋のドアが開かない。



また暫く時間が過ぎて、今度はシーンと静まり返った。
今なら誰かが私の声に気が付いてくれるかもしれない・・・そう思って思いっきり叫んでみた。


「誰か・・・誰か居ませんか?!ここから出してください!誰かーーっ!!
だーれーかー!!


その直後、パタパタと足音が聞こえてガラッと扉が開いたら、そこにはお茶屋の女中さんがキョトンとした顔で立っていた。


「・・・なにしてはりますの?こんな所で・・・あなたは?」
「私は西門の者です!総・・・いえ、西門の皆さんは何処のお部屋ですか?案内してください!」

「はぁ?西門様なら先ほどみなさん、お帰りになりましたえ?」
「・・・はっ?そんな馬鹿な!私がここに居るのに?総・・・若宗匠は?!」

「さぁ?早うにご隠居さんがお帰りにならはって、先ほどお若い方が数人で帰られて・・・もう誰も居ませんよ?」

「・・・うそ・・・」

「嘘なんてついてどうしますのや。よう判らへんけどお帰りになるならタクシー呼びましょうか?」



総二郎が私を置いて帰った?
1度も探しに来てくれなかったの?

そんな馬鹿な・・・私の心配してくれなかったの?あれだけ・・・守ってくれてたのに・・・。



・・・総二郎のクソ馬鹿ーーーっ!!





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2020/01/12 (Sun) 21:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!随分怒ってらっしゃる💦
まぁ、恥ずかしいお灸ってのは判んないけど(笑)
後で懲らしめてやりましょうね!

お茶屋さんって謎ですよね~。
調べたけどイマイチ構造が判んない💦
普通の居酒屋さんしか行かないから・・・。

お料理は総て仕出しなんですって。だから台所ってないらしいです。
京都の話を書いてみたけど難しすぎていまだに手が出ず(笑)

2020/01/13 (Mon) 21:48 | EDIT | REPLY |   

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