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宗家では正月3日までは身内だけで過ごす。
使用人も殆ど帰省させ広い屋敷は一層淋しくなるが、元旦の夕方には数年前に家を出ていった祥一郎が嫁さんと子供を連れて来る。
オマケに今年大学を卒業する孝三郎が恋人を連れて来るというのでつくしはまたドタバタだった。

手伝いの志乃さんとおせちの詰め直しをして特注していた刺身の皿盛りを受け取り、追加の料理に鯛の澄まし汁、子供用のデザートまで・・・再び着物に襷掛けして厨房で動きまくっていた。


「つくし様、少しお休みになったら?朝からずっとでございましょう?」
「いえ、志乃さん、大丈夫です。それよりも茶碗蒸しはいつ頃からはじめます?」

「そうですわねぇ、祥一郎様がお見えになった頃でいいでしょう。暫くはご歓談がありますわ」
「そうね・・・あぁ!客間の支度をしないと!」

「では、私が・・・」
「いえ、私が行きます。志乃さん、ここを宜しく」


去年の正月まで自分の部屋でのんびりしていたのに・・・そう思うと申し訳なかった。
また小走りで廊下を走っていくつくしを追い掛け、祥一郎達の寝泊まりする部屋に向かった。

そこではつくしが布団の確認や小物の準備中。兄貴達が困らないようにとまるで旅館の仲居のようにブツブツ言いながら俺が入ったことにも気がついてない。
そっと後ろまで行って「つくし?」と声を掛けたら驚いて「うわぁっ!」ってな声を出して俺を笑わせた。


「はー、吃驚した!驚かせないでよ~」
「ははっ!お前、働き過ぎだって。祥一郎にしてみればここは実家だ。客と言っても家族なんだからそこまで気を遣うな」

「うん・・・でも、そんなに会わない人達だし、気になって・・・」
「そりゃ1度は勘当されたヤツだからな。でも、今ではこの家に入る事を許されてるんだ。普通にしていいんだって」

「・・・ん、判った」
「色々ありがとう、つくし」


後ろから抱き締めたらつくしが甘えて身体を預けてくる。
少し笑いながら俺の手を持ち「総二郎の手、温かいねぇ」なんて・・・水に触れてばかりのつくしの手は冷たくて、俺はそいつを両手で握ってやった。

愚痴の1つも言えばいいのに・・・そう言うと「そんなものないもん!」と笑う。
少しはサボれよ、って言うと「これが終わったら総二郎にマッサージして貰う」と戯ける。

「お前と結婚して良かった」・・・そう言ったら涙ぐんでた。




「あけましておめでとうございます、お義兄様」

「あぁ、つくしさん、あけましておめでとう。ほら陽斗、ご挨拶は?」
「・・・あけまちて、おめれと・・・」

「うふふ!可愛いわねぇ、陽斗君。何歳だっけ?」
「・・・みっつ・・・」

「ご無沙汰しています、つくしさん」
「お義姉様、お久しぶりです。孝三郎さんももう来てるんですよ~」


玄関先で祥一郎達を出迎えたのもつくしで、甥っ子の手を引いて部屋まで案内して来た。
ここで揃った家族・・・孝三郎が彼女を紹介して、元旦の食事会が始まった。

この時は流石につくしだけじゃ無理だから居残ってくれていた使用人が酒の準備や食事の支度をしてくれて、つくしは漸く俺達と並んで席についた。
そして陽斗を中心に親父もお袋も顔を綻ばせて笑い、つくしと考三郎の彼女は歳が近いから話が合うようだった。


「あら、お義母様、今年はお重ですの?」
「えぇ、つくしさんが腕によりを掛けて作ってくれましたの。とても美味しいのよ~」

「へぇ!これ全部手作り?凄いねぇ、つくしさん」
「祥一郎さん、来年は私も頑張るわ」

「時間掛かったでしょ?どうしよう・・・私には無理かも」
「恵利には出来ねぇよな~・・・ファーストフード好きだし」
「あっ!考ちゃん、バラしちゃダメだって!」

「あはは!私も好きだよ、ファーストフード!恵利ちゃん、今度一緒に食べに行こうか?総二郎は・・・食べないよね?」
「食えねぇことは無いが、俺はつくし(の飯)がいい」

「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」

「なんだよ、素直に言ったのに」
「・・・総二郎、恥ずかしい・・・ご飯のことでしょ?」



その後、祥一郎は親父と小難しい話をして、お袋は祥一郎の嫁さんと陽斗の話に夢中。孝三郎と恵利とつくしが最近の恋愛ドラマの話題で盛り上がって・・・俺は黙ってそんな家族を眺めていた。

聞けば祥一郎のところには夏に2人目が生まれるらしい。
孝三郎もその頃に式を挙げたいと相談していた。
来年はこれ以上賑やかか?と俺は気が重い・・・つくしは大家族の賑やかさに憧れていたから嬉しそうにみんなの話を聞いていた。


食事が終わってみんなそれぞれの部屋にいき、孝三郎は恵利を送って行くと言って出ていった。
つくしもこれで1日の仕事が終わり、後片付けだけは使用人に頼んで俺のところに戻ってきた。


「お疲れさん。風呂に入るか?」
「・・・ふぅ・・・・・・うん、入ろうかな?」

「風呂から上がったらマッサージだな!」
「うふふ!お手柔らかにね?総二郎のマッサージ、いつも少し痛いんだもん」



自分達の棟の風呂・・・天窓から夜空が見えるし、庭も眺められる半露天風呂。
そこにつくしと並んで入り、微かに見える星を眺めた。
今日一日の出来事を順に話しながら大笑いし、今年の夢を語った。

春になったら花見はあそこに行こうとか、夏には海に行きたいとか花火大会は絶対だとか・・・そのうちコトンと何かが俺の肩に当たったと思ったらつくしの頭。
さっきまで話していたのに、疲れてしまったのかこんな所で寝てしまった。

それでも絡めた手は離してない・・・今日やっと繋げた指なのにつくしは夢の中。



まぁ、いいか・・・と、湯気の中の愛妻を見下ろし、俺もその黒髪に顔を埋めた。





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Comments 4

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2020/01/02 (Thu) 12:58 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/02 (Thu) 16:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

ははは!久しぶりに真面目なお話でしょう?
お正月っぽい感じにしてみました。

本当にこんなお嫁さんが居たら感動だけど、実際はなかなかこうはいきませんよね~!
しかもうちは自分の実家にしか行きませんから、旦那側での集まりはありません。
娘には淋しい正月ですが、その分ずーーーっと女同士で会話してます(笑)

普段喋らないから顎が痛い💦
今日もこの時間まで恋愛トークでした(笑)

だからお返事遅くなってスミマセン💦

2020/01/03 (Fri) 01:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

おかん、元気でしたよ(笑)
それ以上に貴洋丸が元気で、ずーーーっと漁の話を聞かされました。

判らんっつーのに!!💢

しかも刺身を食べるためにイチイチ魚の説明するのにはウンザリ・・・。
暫く会いたくもありませんっ!!💢

2020/01/03 (Fri) 01:04 | EDIT | REPLY |   

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