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想像したとおり・・・つくしの両親は自分の子供達に対面した途端、自ら柊祐の暗示を解いた。

彼に術をかけられてからの年月が長かったからなのか、親子の繋がりがそうさせたのかは判らないけど、覚醒手段であるミニッツリピーターの出番もなく俺の目の前で「家族」は抱き合っていた。

確かに人の良さそうな父親と母親・・・俺がこの家族を引き離す原因の1つであった事に凄く胸が痛んだ。


「お父さん、お母さんっ!!思い出したんだ・・・良かったぁ!」
「思い出したって言うか・・・いや、良く判らないんだけど・・・なぁ、母さん」

「本当に・・・どうしてこんな所にお父さんと居たのかしら。でも少しは覚えてるわよ?海にワカメ取りに行ったり畑で野菜を・・・で、ここにはお客さんが来るからそのお世話したような・・・」
「俺はもう22だぜ?母さん、何歳になったんだよ~!」

「・・・え?えーと・・・28?」
「またぁ!そう言うボケるところは変わってないのね?!」


泣きながら笑って、笑いながら抱き合って・・・俺はポツンと1人離れて「牧野家」の昔を想像していた。
こんな風にいつも大騒ぎだったんだろうな、と。


そのうち真っ赤な目を擦りながらつくしが俺の横に来て、両親に紹介すると言った。
両親もここに来て漸く俺の存在に気が付いたのか、驚いた顔で「この人、誰?」と・・・それが可笑しかったけど、これからが本題だ。改まって正座し、2人の前で頭を下げた。

それにつくしの妊婦姿・・・それだけで俺の立場は判るとは思ったけど問題は「花沢」だという事。


「お父さん、お母さん、こちらは私の旦那様なの。実はね、3月に子供が生まれるの・・・」

「つくし、結婚したのかい?いや、そうかぁ!太ったなぁとは思ったけど、赤ちゃんかい?!」
「やだわ、お父さんったら!妊娠は判ったけど、まぁ・・・こちらが旦那さん?素敵な人ねぇ~、つくし」

「・・・う、うん。そうなんだけど・・・」


チラッと俺を見てどう言えばいいのか迷ってる。
確かに話しにくいだろうけど嘘をつく訳にもいかない。だからここからは自分の口で、牧野の両親にこれまでの事を説明することにした。


「初めまして、と言っても幼い頃にはお義父様にお会いしてるようです」
「えっ?私に?えーと・・・いつだろう?」

「私は花沢類と申します。花沢物産代表取締役の息子・・・そう言えばお判りになりますか?」


「・・・・・・・・・花沢?」
「花沢って・・・あの花沢?」


「随分前、お義父様の会社が取引していた徳永商事の親会社である花沢です。
しかも現在、私が進君をその徳永商事に入社させています。その事についてこれからお話をしたいのですがお聞きいただけますか?」


「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・お父さん・・・ど、どうする?花沢ってあの時の・・・」

「いや・・・うん、聞きましょう。その前に子供達に聞きたいことがあるんですが」




*********************




類の言葉でそれまでの空気はガラッと変わった。
再会の喜びは一瞬消えて、今度は花沢の名前にビクッとした。

そして言われたのは私達に「聞きたいことがある」・・・それが何かと思えば、お父さんは私と進の目を見つめて、柄にもなく真剣な表情をした。


「つくし、進・・・よく判らないけど随分複雑な話のようだね。それは今から聞くとして・・・結論なんだが、お前達は今、幸せなのかい?」

「・・・えぇ、凄く幸せよ」
「俺もそうだよ。確かに自分の会社が昔の生き別れに絡んでたって知った時は驚いたけど」

「・・・そうか。じゃあこの人は・・・全部を知った後でもお前達には大事な人かい?」

「勿論。類が居なかったら私は笑ってないと思う・・・出会えて良かったって思ってるよ」
「父さん、母さん、類さんのことは信じてよ。この人は姉ちゃんには必要な人なんだから!」

「そうか・・・うん、それなら安心して聞けそうだ」


今度は両親が類の方に向き直った。
そして真一文字に唇を結び小さく頷くと、それを見た類が1度軽く頭を下げてから言葉を出した。


「まずはその事件の時に正しい判断が出来ないまま調査を終わらせ、そちらに多くの負債を発生させてしまったこと、経営者の1人として申し訳なく思います。
それに伴って花沢に復讐を考えてしまった有栖川家によって家族が引き離されてしまったことも、私達の知らないところで起きた事ではありますが原因の1つには間違いありません。重ねてお詫び申し上げます」

「・・・あなたは子供だったんだから」
「そうね・・・あなたのせいじゃないわ」


ここでお父さん達は有栖川家に連れて行かれてからの話をしてくれた。それは柊祐が類に説明したことと同じだった。
何度も一緒に復讐しようと計画を持ち出されたけど断り続けたって・・・そして柊祐に言われて屋敷を出て、気が付いたらこの民宿に辿り着いて働き始めた、それを思い出しながら説明してくれた。


「さっき子供達を見て我に返ったんだけどね、それまでは考えようとすると頭の中に靄が掛かったみたいになってぼんやりしてしまうし、思い出そうとしたら誰かが止めるんだ。
顔が見えないけど小さな子供の夢もよく見た・・・今思えばあれはつくしと進だったんだろうなぁ」

「私もそうなの・・・不思議だと思いながらここで暮らすうちに月日が経っちゃってね。自分達のそれまでが不透明でよく判らなくなって。気が付いたら考えるのを止めてるって感じだった・・・」


「これは信じられないかもしれませんが・・・」

今度は類が、両親が有栖川を出てから先の説明を始めた。
私達が叔父さんの家で苦労したこと、両親が投身したと連絡が入って新潟に来たこと、そこで有栖川のお爺様に嘘を言われて姉弟が引き裂かれたこと。
そして私も同じように花沢の復讐計画に加えるために育てられ、計画的に類と出会うチャンスを与えられたこと。

そして出会うだけでなく、私達は恋をして結婚した・・・そこまでの経緯を掻い摘まんで話したけど両親は全く理解が出来ないみたい。

それに類が柊祐の不思議な力のことを話すと、両親は「そんな馬鹿な!」と呆れたように言った。
でも自分達の行動や流れた月日の事を考えると、納得出来る部分もあるのか複雑な表情を浮かべてお互いに目を合わせていた。

私にもその感覚がある。だから両親の動揺はよく判る。
はっきりと覚えてない時間に自分が何をしていたのか、暗示だなんてそんな事が本当にあるのかと疑うのは当然。進も半信半疑な表情・・・暫くみんなが何も喋らずに時間だけが流れた。


「ご両親が納得出来ないのは判ります。実際に自分の目でそれを見た訳ではありませんから、信じていただけないのは無理ないと思っています。でも事実、花沢の運転手がその暗示に掛けられたために態と事故を起こされ、私達は一時期離れ離れでした。
それも柊祐の復讐計画の一部だったんですが、友人の助けもあって居場所を突き止め、こうして再会することが出来ました。その時に彼とは和解し、誤解していた部分も話し合って・・・そして別れました」

「・・・・・・・・・復讐はもうしないって?」

「はい。彼は判ってくれたと思います。確かに花沢に落ち度はありました。その謝罪を受け入れてくれたと思っています」

「柊祐君は元気なのかしら。あの子も可哀想な子だったのよ・・・笑うって事を知らない子だったわ」

「・・・元気ですよ。これからは前を向いて生きていくと思います」


私も柊祐とは会わずに別れたから、彼が今何処でどうしているのか気になっていた。

でも、この時の類は言葉が少なかった。
話すことが出来ない・・・そんな感じに見えた。


「悲しみの中で企てられた計画により出会った私とつくしさんですが、今では夫婦・・・離れて暮らしている時にお互いの必要性を強く感じたんです。新しい命ももうすぐ誕生します・・・今度は私達も親になります。家族が増えていくんです。
どうか私達の結婚を認めていただき、つくしさんの側に戻っていただけませんか?一緒に東京に戻っていただきたくてここまで来たんです」

「東京に?」
「私達が帰る場所なんて・・・」

「その為の準備を花沢にお任せいただけませんか?お2人の希望に添うような場所を見つけます」


私達の為に必死になってくれる彼・・・その姿にお父さんもお母さんも少しだけ笑顔を見せてくれた。
止まっていた時間がまたここでも新しく動き出す、そんな予感がした。





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2020/01/09 (Thu) 07:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あはは!ちょっと冷静すぎる気もしますが、ここで取り乱されても困るので無理矢理納得してもらいました(笑)
晴男君にしては出来すぎ?ふふふ、サラリと流してくださいね♡

残すところはつくしちゃんの出産のみ♡
最後まで頑張りまーす!!

2020/01/09 (Thu) 16:36 | EDIT | REPLY |   

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