FC2ブログ

plumeria

plumeria

その日、私達は福田屋さんに泊まった。

類の話の後、少しずつ理解していこうという結論になって東京帰りを承諾した両親と福田さんとで話し合い、「今は暇な時だからいいよ」と快く受け入れてくれた。


「私もいい歳だからねぇ、実はそろそろ宿屋もお終いにしようと思ってたんだよ。でも鈴木さんが頑張ってるから言い出しにくくてねぇ・・・丁度いいから私も隠居するよ」

「女将さん、申し訳ありませんねぇ」
「長いことお世話になりました」

「いやいや、子供さんに会えて良かったよ良かった!楽しく暮らしなさいよ?」


「鈴木」という名前に苦笑いしながらお父さんは何度もお婆ちゃんに頭を下げ、お母さんは涙を溢した。
柊祐が言ってたみたいに暗示に掛かっていた期間の事は覚えてないらしい。
でもお父さんとお母さんはその期間が長かったからなのか、完全に忘れたわけじゃないみたい・・・ぼんやりとここでの生活は覚えているようだった。

そしてお夕飯はお母さんとお婆ちゃんがつくってくれたご馳走で、それを5人で囲んで食べた。
芋煮に鱈汁・・・私も初めてだけど類なんて箸を持ったまま固まってる。それが可笑しくて4人で笑った。


「ははは!花沢さんはいつも豪華なご飯だから庶民の食べ物は口に合わないかなぁ。美味いんだよ?」
「そうそう、大鉢だからって遠慮して箸を出さないと食べ損ねるってもんよ。さぁさぁ、どんどん食べて?」

「類さんと芋煮・・・プッ!似合わない~!俺、この前フランス料理奢ってもらったんだ!」
「それこそ似合わないわよ、進。、あんた、マナーも知らないでしょ?」

「くすっ、進は頑張って食ってたよ。じゃあ、いただきます」


類の箸の運びを4人が凝視・・・それに気が付いて彼がお芋を落としたらまた全員で笑った。
「酷いなぁ!」って拗ねる彼をお母さんが宥める。お父さんがコップ酒を勧める・・・進も調子に乗ってお酒を飲んで、私は胸が一杯で殆ど食べられなかった。
そんな私にお母さんが雑炊をつくってくれて、小さなお椀で出してくれた。


「美味しい・・・懐かしいなぁ、お母さんの味だ・・・」
「そう?ふふっ、お腹の子にご飯あげなきゃと思ってね」

「うん、ありがとう・・・」


もう出来ないと思っていた家族一緒の食事・・・夢みたいな夕飯が終わると、進が両親の部屋で寝ると言って嬉しそうに出ていった。
だからこの部屋には私と類だけ・・・誰も居なくなったら彼が私を抱き締めて「良かったね」って言ってくれた。



**



お布団も2つ並べてもらったけど1つに包まって寝た。
類は私のお腹に手を置いて、私はその手に重ねるようにして・・・何度も優しいキスをくれる。
そのキスが耳にも首にも・・・そして大きくなった胸にも。


「ちょっと!ダメだよ、類・・・近くにお父さん達が居るよ?」
「・・・だって我慢出来ない。ずっと緊張してたから・・・だから少しだけ甘えさせて?」

「もうっ・・・そんなにしたら・・・声が出ちゃうって・・・やんっ・・・」
「それは我慢しな?つくし、甘い匂いがする。それに凄いね、また大きくなったみたい・・・」

「んっ!やぁっ・・・」
「愛してるよ・・・つくし」


妊娠してるから前とは違う胸なのに、それを優しく口に含んで刺激をくれる。
でも、そんなことをしたら身体の奥が疼いてきて私も彼が欲しい・・・それを我慢するのが本当に辛いのと、実は胸への刺激は子宮の収縮に関係してくるらしいから「やっぱりダメ!」ってその手を退けた。


「・・・そうなの?」
「そうらしいの。だからね・・・えっとそれよりは・・・優しくしてくれるなら・・・来て?」

「・・・・・・いいの?」
「くすっ、大丈夫らしいよ。でも無茶しちゃだめだよ?」

「・・・ん、判った」


身体は横向きにして、類がちょっと怖がりながら挿れてくる・・・その快感はフランスのあの日以来。
無茶しちゃダメだって約束を守って、彼の動きはとても穏やか・・・でも、その分余計に感じてしまうのか、我慢しろって言われたのに声が漏れる。
だからやっぱり優しく唇を塞がれて、私は必死に彼の腕にしがみついた。


「・・・はぁっ、あぁ・・・気持ちいい、よ・・・類」
「ん、俺も・・・あんたの中、凄く熱い・・・溶けそう・・・」

「大好き・・・類、ずっと一緒に居てね」
「・・・馬鹿だな、離れられないって言ってるだろ?つくしは俺のもの・・・何処にも行かせない」

「うん、類・・・」


激しい快感は味わえないけど最高に幸せな時間・・・静かに、でも熱く彼を感じて、幸せに酔うってこういう事かと思った。
最後までゆっくりとした動きで、私の中から出ていく時の淋しさは半端なかった。

だからすぐに抱き締めてもらって彼の腕の中で眠る・・・類の「愛してる」って言葉が子守唄みたいで、そのまま幸せな眠りについた。





**********************




「鈴木さん、元気でねぇ。またいつか遊びにおいで」

鈴木と呼ばれるのもこれで最後・・・牧野の両親は何度も握手して抱き合って、ここのお婆さんとの別れを惜しんだ。

荷物はボストンバッグと紙袋が2つだけ。
そんな身軽な2人を乗せて、今度は助手席につくし、後ろに進と両親で車を出した。

何度も振り返っては遠離る民宿とその回りの景色を眺め、誰かとすれ違うとその人の顔を見たりしていた。



庄内空港から羽田に向かう飛行機の中でも落ち着かない2人に、ここで初めて東京に着いてからの希望を聞いた。

花沢にはまだ会いたくはない。
住むなら以前と同じ場所がいい・・・そして小さな会社でいいから働く場所があればいい、それだけだと言った。

新しい会社も要らない。
夫婦で安心して暮らせて、子供達が遊びに来てくれる家があればいい・・・穏やかな笑顔でそう言われた。


「今、失踪宣告によってお2人は法的に死亡となっています。弁護士に頼んでその取り消しを行います。そこだけはお任せいただけますか?」

「・・・あぁ、宜しく頼むよ」
「本当は類さんのご両親にもご挨拶しないといけないんだろうけど・・・もう少し待ってね」

「それは大丈夫です。この子が産まれる頃にはそれが実現出来たらいいと、そう願っています」

「確かに会ったら驚くとは思うけどね・・・」
「うんうん!類さんのご両親、すっごい美人とイケメンだもんね!俺、ド緊張したもん・・・結婚式の時!」

「えっ?そんなに美人かい?」
「お父さんっ!!」


人懐こい父親の笑顔、感情豊かな母親の表情、そして大笑いするつくしと進。
これから先はこの家族の笑顔が途絶えないようにする事・・・それが自分の役目だと感じながら4人を眺めていた。

そこに今度からは俺と天使も入って、進の家族も増えて賑やかになるんだろう・・・そんな将来を思い描いた。






にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2020/01/10 (Fri) 00:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

爆笑っ!!こういう時は早いなぁ💦
ね?あったでしょ?(笑)

めっちゃプチだけど!!

2020/01/10 (Fri) 01:08 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2020/01/10 (Fri) 06:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あははははは!ラスト前のサービスでございます♡
無茶をしない類君♡なかなか静かな感じでしたがニヤリとしていただけたら嬉しいです(笑)

類君はあまり書かないので緊張します💦

2020/01/10 (Fri) 21:44 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply