FC2ブログ

plumeria

plumeria

類が付けてくれた名前は千紘(ちひろ)。
「千」は多くを愛し、多くの幸せが訪れるように、「紘」は広い心を持った人になりますようにとの願いを込めた。

私の横でスヤスヤと眠る天使を一晩中寝ずに眺めて、何度も「ありがとう」ってキスしてくれた。


「この子が類と離れていた時に励ましてくれたんだね・・・こんなに小っさいのに・・・」
「うん・・・俺はこの子が宿った時を知らないからこれからは絶対に見逃さないんだ。千紘の成長を全部この目で見るつもり」

「くすっ、お仕事もしなきゃダメじゃない?」
「それも大丈夫。この子に情けない姿は見せられないからね」


千紘の手を握った私の手を類の大きな手が包んでくれる・・・凄く温かくて優しい手に何の不安も感じなかった。



次の日、牧野の両親と花沢の両親も20年ぶりに再会した。
始めはお互いに緊張していたけど、千紘を挟んで会話が始まるとそれも自然と無くなったように感じた。

もう許さなくてはいけないと私の両親は思ったんだろう・・・「申し訳なかった」と頭を下げたお義父様とお義母様に笑顔で答えていた。


「もう過ぎたことです。今は子供達にも会えたし、孫も見ることが出来ました。悔しいと思う事は確かにありますが、それを抱えていても楽しい事は何1つありません」
「そうですよ。元々脳天気な夫婦なんで、これもまた自分達の人生だと思うことにしました。これからまた面白い事もあるでしょうからね、落ち込む暇なんてありませんから!」

「これからは仲良く出来ますかしら・・・千紘の成長を一緒に見守っていただけますか?」
「お困りの事は何でも仰って下さい。無理に私達の世界に付き合えなんて言いませんが、これからは親戚として・・・」

「花沢さん、あなたの世界も私達の世界ってのも無いんですよ。みんなそれぞれ住み易い場所があるだけ・・・そこで楽しくやればいいんじゃないですか?」
「そうねぇ~、私達はこのままで充分だからつくしを可愛がっていただけたら嬉しいわ~。それだけですよ、花沢さん」


類はそんな両親達を微笑みながら眺めてる。
私は幸せそうに眠る千紘を抱いて、これまでの悲しみが溶け去って行くのを感じた。



産まれた2日後には西門さんが来て千紘に何度もキスしてた。
類はそれをみて大声出して怒って、泣きはじめた千尋を私に渡して大喧嘩。
1人はスーツ姿だし、1人は着物・・・仕事はどうした?!って怒鳴りたかったけど、私まで大声出したら千紘が可哀想だから2人には背中を向けていた。

そうしたら聞こえてくる馬鹿馬鹿しい会話。


「いいじゃねぇか、キスぐらい。何も千紘のハジメテをくれって言ってるわけじゃあるまいし」
「それ以上言うな!2度と千紘に会わせないから!」

「お前、よく言うよな~!どれだけ俺達に心配掛けたと思ってんだ?(バラすぞ、色々・・・)」
「うっ・・・でも、それと千紘は無関係だから!(バラしたらつくしにも会わせないからな!)」

「それよりいいのか?また病院に入り浸ってるってお袋さんに怒られるぞ?今以上信用無くしたらヤバくね?」
「総二郎こそ茶道教室サボってここにいるって家元夫人に電話するよ?そうたら向こう1ヶ月、休み無しだよね?」

「てめぇ・・・!」
「なんだよ・・・」

困ったパパたちだね~と、千紘のほっぺたを触りながらクスクス笑った。


道明寺からも美作さんからもお祝いの花やプレゼントが届いて、この病室にはもう置く場所もない。早くも花沢家からお手伝いさんがやってきて、それを回収していった。
それでも引っ切り無しに届くお祝いは世界中から・・・流石、花沢だとちょっとどんよりした。

「お祝いのお返しもひと苦労だね・・・」
「その時は加代に手伝ってもらおう?自分だけで背負わなくていいからね」

「うん、そうする・・・」

少しずつ少しずつ、私もこの家に染まっていこう。
その為にみんなの力を借りよう・・・そう類と話し合った。



進は毎日お見舞いに来てくれて「俺も早く欲しい~」って頬ずりして、真由美ちゃんは「その前に貯金しなきゃ!」って頼もしい発言を繰り返してた。

恥ずかしいから私には内緒にしてと頼んだらしいけど、実はこっそり類から聞いていた。
この子が婚約指輪を選ぶのにどうしていいのか判らないと相談したこと・・・でも類に頼んだら進の貯金じゃ買えないものしかないのにって、それも可笑しかった。


桜子は女のクセに赤ちゃんを抱けずに尻込みして、意外な弱点を見つけた。
滋さんは赤ちゃんを縫いぐるみと勘違いしてるのか、生まれたてなのに抱き締め方が乱暴だったからやっぱり類に叱られて千紘を取り上げられていた。


「類君のケチ~~!」
「ダメって言ったらダメ!うちの子になんて事するんだ!」

「あら、イヤだわ、花沢さんったら。そんなに溺愛してもそのうちパパ以外の男性を愛しますのよ?」
「さ、桜子!そんな言い方しちゃダメだって!」
「だって本当ですもの」

「💢💢・・・そんな事ない・・・千紘はずっと俺の側にいるから!」
「類もそんなに拗ねないで~!」

「じゃあもう1回お姉ちゃんと遊ぼっか!ちーちゃん♡」

「あっ、触るなって!」
「きゃああぁーっ!滋さん、千紘が窒息するっ!」



唯一優しかった優紀は保育士だけあって子供の扱いは上手で、私の先生になってくれそうで助かった。
「いつでも聞きなさい!」なんて言いながら、「私も欲しい~、でも相手がいない~」なんて言うから2人で大笑い。でも実は最近告白されて迷ってるって話になった。

久しぶりの女子トークは楽しくて、時間が経つのも忘れてた。




退院してマンションに戻って、すぐに来た類の誕生日。
今年は派手なパーティーはせずに3人だけでお祝いした。

自分で作りたかったけど「無理するな」と止められたバースデーケーキ・・・だからお義母様が特大のホールケーキを抱えて来てくれた。でも何故かプレゼントは千紘の物ばかりで、類はその方がいいって笑っていた。



桜の季節、まだお花見には行けないから花沢のお庭で日向ぼっこをしながら桜を見上げた。
新緑の頃は類の車で初めてのドライブに出掛けた。それでも心配だから3時間もしないうちに戻って、それだけで疲れてクタクタ・・・私も類もついでに千紘も爆睡した。

夏には花沢のプライベートビーチで海を見せた。
首が据わった千紘は抱っこするのが楽になったけど強い日差しには当てられない。だから海に沈む夕日を3人で眺めた。

勿論抱っこはいつも類・・・少し千紘にヤキモチを焼く私。


「・・・馬鹿だね、千紘とママは別だろ?」
「そうだけど。でもさ、最近はすぐに千紘、千紘って・・・私の名前なんて呼ぶことあんまりないもん。ママって私の名前じゃないし」

「・・・そっか。ごめん・・・つくし」
「いいけどさ」

「じゃあ・・・今夜は仲良くしようか?」
「・・・・・・ばかっ!」



秋になると、お座りが出来るようになった千紘を連れて公園に行った。
レジャーシートを敷いてそこに座り、黄色い銀杏の葉に両手を伸ばす千紘・・・その仕草が可愛いって類が抱き上げて、直接枝の葉に触らせて遊んでた。
やれやれ・・・やっぱり千紘が1番。

それでも凄く幸せ・・・この先もずっと千紘の側に居てやりたい。
幼い頃に親と離れた私はそればかりを願った。



冬が来て街にはクリスマスソングが流れるようになったらマンションにも大きなツリーがやってきた。
それを飾り付けながら千紘は横で悪戯ばかり。頭に星を乗っけた千尋を類と2人で大笑いした。


「あのさ、つくし」
「ん、なぁに?」

「今年のクリスマス、社のパーティーは25日だからイブには母さん達が千紘を見てくれるって」
「・・・・・・千紘だけ?」

「ん、そうだよ。その日だけ2人で・・・どう?」
「・・・・・・くすっ、類はいいの?」

「勿論。ディナー、予約するね」


久しぶりの2人っきり・・・ホテルのレストランで食事して、その日は朝まで類の腕の中にいた。
恋人の時のように何も考えずお互いだけを求めて、夢中になって類の熱を受け止めた。小さく呼び続ける名前、強くなってく指先・・・変わらない類の愛を感じて、昔以上の想いをぶつけ合った。

「つくし、愛してる・・・」そう言われる度に身体の真ん中が熱くなって、類の背中を引き寄せる。


何よりも嬉しいクリスマスプレゼントだった。




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2020/01/12 (Sun) 08:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは!

コメントありがとうございます。

あらっ!そうだったんですか?(笑)
偶然ですねぇ~!

毎回子供が産まれる度に悩むんですが、どっちかって言うと花沢に続く名前で悩みます(笑)
千紘は好きな名前だったので♡

何回か呼んでみて、どうしてもしっくりこなかったら止めるんですが、今回はいい感じに聞こえたので(笑)

うふふ、確かに増えそうですね~!

2020/01/12 (Sun) 21:50 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply