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西田屋さんから1人、タクシーで帰る心細さ・・・総二郎に置いてきぼりにされるなんて思いもしなかったから悲しくて悲しくて涙が溢れた。
ってか、悲しくてって言うより腹が立っての悔し涙だわ!

あれだけ私に甘い言葉を囁きながら無視するってどう言う事なの?
恋人が部屋に来なかったら普通は慌てて探しに来るんじゃないの?

東京ではあれだけ心配してくれたのに、京都なら野放しでもいいって思ったの?!それとも千香さんの色香にあっさり落ちちゃったの?!
私には無い女子力で一発陥落・・・そんなチョロい男だったの?!


このまま運転手さんに「東京まで!」って言いたいけどグッと堪えて一乗寺まで戻り、真夜中に大きな門前で1人ぼっち。ドンドンと木戸を叩いてここでも叫んだ「だーれーかー!!」に反応してくれたのは高木さんだった。


「あぁ、牧野さん!いないから驚きましたよ、どうしたんです?」
「・・・・・・若宗匠はお戻りですか?」

「は?若宗匠は早くに戻って来られて、かなり酔っておられるのでもうお休みですよ?」
「えっ?!酔っ払った?!」

「えぇ、酩酊状態でしたので私達でお部屋までお連れしました。明日の午前中に茶事があるのでおやすみいただかないと困るでしょう?驚きましたよ~」


総二郎が酔っ払った?
そんなの初めて聞くんだけど。


今までだってお酒を飲んだことはあっても、それで歩けないほど酔ったことはない・・・寧ろお酒には相当強いってイメージだったけど、その総二郎が酩酊状態って・・・どれだけ飲んだらそうなるの?
しかも私がいなかったらそんなに飲むの?!

今の言葉が信じられなくて急いで彼の部屋に行こうとしたら高木さんに止められた。


「牧野さんのお部屋は若宗匠とは別にご用意してます。おやすみなのを邪魔してはいけませんよ?」
「で、でも!実はお茶屋さんで・・・!」

「本邸の事は知りませんが、この屋敷ではこの時間になるとご隠居様もおやすみで殆どの人間が寝静まっています。騒がれるのは困りますから兎に角ご自分の部屋にお入りなさい」
「いや、だから若宗匠にひと言・・・!」

「判らない人だなぁ・・・もうおやすみだと申し上げたでしょう?さぁ、牧野さんの部屋はこっちですよ」
「あっ、ちょっと!!」

「静かに!騒ぐようならホテルにつれて行きますよ?」
「・・・・・・!!」

「くすっ、冗談です。でも本当に皆様おやすみですから静かにして下さいね?」

「・・・はい」


真っ暗で何処をどう歩いたのか判らない。
迷子になりそうだったから高木さんに置いて行かれないようについていったけど、総二郎の部屋の事が気になって仕方なかった。
高木さんは1度も振り向かない。昼間の印象とは随分違って少し怖かった。

そして案内されたのは総二郎の部屋とは全然違う、殺風景な部屋・・・客間とも思えない、以前住んでたアパートの部屋に似ていた。
そこの隅に置かれた布団だって西門とは思えない感じで、お風呂の案内もない。キッチリたたんで置いてある寝間着は素っ気なくて着る気にもならない。
別に文句なんて無いけど、最近総二郎の部屋の暖かいベッドに慣れていたから随分冷たく感じた。


「それではおやすみなさい。明日は忙しいのでゆっくり身体を休めて下さいね」
「は、はい。あの・・・」

「何でしょう?」
「若宗匠のお部屋はどの辺りですか?」

「聞いてどうします?こんな夜中に仕事は無いでしょう?」
「・・・失礼しました」


にっこり笑った高木さんが襖に手を掛けてゆっくり閉める・・・最後にパタンと乾いた音のあとはシーンとした部屋。初めての空気が異様に恐ろしかった。
見ればそこには私のスーツケースがある。いつの間に移動されたのか・・・と思ったけど、そこから持って来ていた部屋着を出して、それに着替えて布団を敷いた。
そして冷えきった身体を丸めて潜り込んだけど・・・いつもあるはずの温かい腕が無い。

だから全然寝付けない。


少し前まで彼氏無しの1人暮らしだったのに、随分情けなくなったもんだ・・・そう思うけど身体は正直。
布団に入ってるのにドンドン寒くなってきて、涙が溢れてきた。




**




「・・・・・・・・・・・・んっ、あっ・・・総二郎?」

いつの間にか寝てしまったみたいで、ハッと気が付いたのはまだ夜明け前・・・でも、起き上がって窓を開けたら空が白み始めててスマホを見たら午前6時45分だった。
午前中に茶事がある時は既に目を覚してる時間だ・・・そう思って急いで着替えて廊下に出た。

でも自分の居た部屋と、昨日総二郎が入った部屋の位置関係が判らない。
誰かに聞きたくても誰も歩いていない。

だからお庭を見ながら適当に歩いて彼の部屋を探した。


そうしたら何処かでカタンと物音が・・・その音がした方に足を向けると見覚えのある庭と廊下に出た。

「ここ、昨日歩いた廊下だ・・・って事はこの辺に総二郎の・・・・・・えっ?」


廊下の曲がり角まで来た時、少し離れた部屋の襖が開いて、出てきたのは・・・千香さん?

上品な寝間着姿で羽織り物を着て、襖を閉める時には凄く優しそうな笑顔を見せて、そして静かに廊下を歩いて何処かに消えて行った。

その部屋・・・総二郎は居るはずの部屋じゃないの?
確かに部屋を出てすぐに見えたのはこの庭の椿だった。特別な客間だと思われる欄干も確かにこんな模様だった。
その部屋からこんな時間に千香さんが?

バクンバクン鳴り始めた心臓・・・そこを押さえながら足音を立てないように部屋に近づき、襖に手を掛けた。
その手が震える・・・開けちゃダメだって言う心の声が聞こえる。


この部屋は違うのよ・・・開けても誰も居なくて、ここは千香さんが1人で寝た部屋なのよ。きっと・・・そうよ。


1度手を引っ込めて後ろに3歩下がって首を振った。


でも、それなら開けて確かめればいいじゃん。
そうしたら安心するんじゃないの?

総二郎の部屋じゃここじゃない・・・他の部屋なのよ。


勇気を振り絞ってもう1回襖に手を掛け深呼吸・・・そして、スッとその襖を横に動かした。



「・・・・・・・・・うそ・・・」


その部屋には暖房が効いてて、真ん中に敷かれた布団の上で総二郎が裸で寝ていた。
身体半分には布団が掛かってるから判らないけど上半身は何も着ていない。黒髪を乱して両手を広げて、疲れ切った感じでまだ寝息を立ててる。

私が襖を開けたから冷気が入ったのを感じたのか、少し身体の向きを変えた瞬間、私はスッと襖を閉めてその部屋からダッシュで逃げた!


信じられない・・・総二郎が千香さんと・・・?
あれだけ好きだって言ってくれたのに、たった数日でこの裏切り?!

お茶屋さんでなんの話があったのか知らないけど、本当に私は千香さんの財力に負けたの?!


何処をどう走ったか判らないけど戻って来た「自分の部屋」・・・そこでハァハァ言いながらさっき見た光景を思い出してた。


今日の茶事は11時から・・・でも、もうダメ。
私には総二郎のために何も出来ない。

ここから1人で帰ろう・・・こんな風に裏切られるなんて我慢出来ない。
ポタポタと流れる涙を拭いもせず、私は自分の荷物を纏め始めた。


総二郎・・・絶対許さないっ!💢





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Comments 4

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2020/01/11 (Sat) 13:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

総ちゃんまでやられちゃいましたね~💦
まぁまぁ、そう怒らずに(笑)

裸で寝てる総ちゃんを想像してムフフと笑ってて下さい。
このお話は深刻にはなりません♡安心していいですよ~!
(でも腹立つことはあるかも・・・💦)

2020/01/11 (Sat) 21:57 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/12 (Sun) 21:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そこねぇ(笑)
悩んだのよ・・・脱がすか脱がさないか・・・。
簡単に騙されて脱がされる総ちゃんでいいのか・・・?

結果、簡単に騙され脱がされる総ちゃんになりましたが(笑)


いやぁ、パール様なら反対側を脱がすよね(笑)
そして布団は全身掛けない!朝までガン見、それだけでおさまらず悪戯するよね?
寝てても反応するだろうなぁ、総ちゃん♡

ひゃあっ💦想像しちゃった!!

2020/01/13 (Mon) 21:53 | EDIT | REPLY |   

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