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大学生の時、司と牧野が別れて・・・牧野はフリーになった。

あきらも総二郎も牧野の事は多少なりとも特別な存在で、女慣れしてる彼奴らの方が牧野に近づいてた。俺はそれが凄く不安で、だけど傷ついてる心の隙間に入るのは少し躊躇いがあった。
もう少し・・・もう少し牧野の気持ちが落ち着いたら話そう・・・そんな風に思ってた。

そんな時に牧野が同級生だと思われる子に問い詰められてる所に出くわした。
瞬間、止めようとしたけど・・・


『だから!花沢類は友達だよ、それ以外の何でもないって!』
『本当なの?いつもくっついてるじゃない!鬱陶しいのよ、貧乏人のくせに!』

『貧乏とか関係ない!でも・・・でもそう言うんじゃないから・・・』
『出しゃばるんじゃないわよ?ちょっと道明寺さんと付き合ったからって、あんたは所詮場違いなんだから!』

『あんたに言われなくても判ってるよ!』
『ふんっ!』



友達以外の何でもない…それを聞いて足が止まった。
そうなんだって・・・それ以上にはなれないんだって。


でも確かに俺達が次に牧野に告白して、もしも恋人になったら・・・司の時と同じ事が起きるのかもしれない。俺達の居ないところでこうやって罵られて辛い思いをするのかもしれない。
それなら友達のままの方がいいんだろうか・・・なんて考えた。

守ってほしいって言われたら何があっても守るけど、牧野はそんな事で甘えないって知ってる。
陰ながら守るのであれば今は「友達」で・・・そしていつか大学なんて関係なくなったらちゃんと話そう、そう思ってた。

だからその年のバレンタインで全然知らない子にいきなり目の前でチョコを差し出された時、それを受け取ることは出来なかった。


『でも特定の彼女居ないんでしょ?私じゃダメって事?』
『・・・あんたがダメって言うか、誰からももらわないってだけ』

『もしかして、あの牧野って子?あの子に本気なの?』
『・・・牧野は友達。で、特にそんなのもらう予定も無いし、出されてもあんたと同じで断わるけど』

『友達?恋愛感情が無いって事?』
『友達は友達。それ以上でも以下でもないよ』



本当は牧野からならって思うけど、あいつは渡そうなんて思ってないだろうし。
「友チョコ」だか「義理チョコ」だか知らないけど、そんなのなら欲しくない・・・はっきり言えばチョコなんてどうでもいいんだ。

俺が欲しいのは・・・牧野の心だから。


結局その年は牧野から何ももらわず、極普通に日々は過ぎていった。


いつになったら「友達」から先に進めるんだろう・・・そんな風に思って社会人になり、もう7年が過ぎた。
俺は今年で29・・・この間に恋なんてしてない。


いや、正確に言えば恋をしている。
あの時のまま・・・ずっと牧野に恋をしている。




**



牧野を偶然見たのは社会人になって4年も過ぎた時だった。
新しく取引を始めたっていう伊藤商事に出向く時、営業部長が急病でいけなくなり、まさかの俺が同行することになった。


「・・・ねぇ、そこって専務の俺が行くような所なの?」
「すみません!確かに花沢物産の専務がってなると先方がビビるとは思ったんですが、本当に他に何方も都合がつかなくて!」

「悪かったね・・・暇で」
「そ、そんな意味じゃありませんっ!専務、拗ねないでください~~!!」

「拗ねないよ、子供じゃあるまいし。隣に座ってりゃいいんでしょ?」
「はい!それで充分です!」


確かに25歳の男が専務だなんて言われてもそこまで激務になる程任されていないし、経営者サイドだけどそっちの任務なんてまだ僅か・・・つまり暇を作ろうと思えば作れる立場だった。
だからってこんな時に担ぎ出さなくてもって・・・・・・拗ねた。

その拗ねた顔のまま伊藤商事のドアを開けた時、いきなり突進して来た女子社員とぶつかったんだ。


「うわっ!!」
「きゃああぁーっ!ごめんなさいっ!でも急ぐので失礼します!待ってぇ~~!!大野くーーーんっ!!」

「・・・・・・・・・」
「大丈夫ですか?専務!ってか、何でしょうか、あれ・・・」


今、大声で叫んでいった女子社員・・・誰かに似てる。
そう思ったら、ゼイゼイいいながらその子が戻って来た。どうやら書類を忘れた男性社員を追い掛けてたみたい・・・ヒールなのによく走ったなってその子を見てたら、向こうも顔をあげて俺を見た。


「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・牧野?」
「・・・・・・・・・・・・花沢類?」


全然変わってなかった。
真っ黒い髪も、大きな目も、低い鼻も・・・何も変わって無かった。
相変わらずスッピンに近くて、ネイルもしてなくて、アクセサリーはピアスだけ・・・思わず確認したのは左手薬指だったけど、そこには何もなかった。

瞬間・・・ホッとした。


それから俺は伊藤商事に行く時は付いて行くようになった。
そう、特に用事なんてない・・・担当者が何か言ってるけど全然聞いてないし覚えてもない。そいつは全部メールと書類にしてもらって、俺の目も耳も牧野に向かってた。

「だから、ここは営業課じゃありません!お帰り下さい!」

何度言われたか判りゃしないけど、それでも時々会いに行く・・・・・・友達として。


今日もそうだった。
廊下で部下らしき女性と何かを見てるから近寄ったら・・・バレンタインプレゼント禁止の張り紙?
今時こんな事するんだ?って思ったけど、牧野はその前で仁王立ちしてた。

誰かに毎年あげてたとか?
いや、そうなら指輪ぐらいしてそうだよね?


「牧野先輩、どうします?守ります?」
「私は主任よ?規則が出来たのなら守るわよ」


「・・・ホントに?守るの?」
「守るわよ、疑うの?」

「疑わないけどさ・・・あんた、毎年誰かにあげてたの?」
「そりゃあげるわよ、当たり前じゃない(嘘だけど)」

「どんな人?俺の知ってる人?」
「どんな人って・・・男とは思えない顔で背が高くて、ちょっと欧米人入ってるような髪で目だって茶色で・・・はっ?!
は、花沢専務っ!いつからそこに居たんですか?!それにあなたの用は営業課でしょう?!こっちは企画課だって何回言ったら判るんですかっ!」

「くす、牧野主任、相変わらず鈍いよね。通りかかったらあんたの姿が見えたからちょっと寄ってみた」
「姿が見えたって・・・営業課は3階でここは4階です!階が違うのに通り掛からないでしょ!」

「うん、エレベーターに乗ったらつい4階押すんだよね」
「あなたの頭に3の文字が無いとか言わないで下さいね!はいっ、行った行った!!それとも営業課の友田さん、ここに呼びましょうか?!」

「・・・はいはい、行くよ。またね、牧野主任」



男とは思えない顔で背が高くて、ちょっと欧米人入ってるような髪で目だって茶色で・・・それ、誰のことさ。
くすっ・・・そろそろ、いいかな?


3階に降りようとした時に少し振り向いたら、牧野は部下の背中を押して室内に入るところだった。
それを見届けてから電話をかけた場所・・・まだ間に合うかな?


「あ、花沢だけど」
『あら、類様ですか?お久しぶりです。今日はどうなさいましたの?』

「急で悪いんだけど例のヤツ・・・すぐに出来る?裏に名前入れてもらいたいんだけど」
『まぁ!やっとですか?うふふ、14日ですわね?』

「・・・まぁね。名前は・・・」



14日まであと5日・・・くすっ、楽しみが出来た。





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Comments 4

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2020/02/13 (Thu) 11:34 | EDIT | REPLY |   
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2020/02/13 (Thu) 11:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!確かに司君には切なさは似合いませんねぇ💦
直球ですもんね!明るい感じが似合いそう♥

類君は・・・切ない系がお似合いですよね~。
多分、原作のそれで惹かれてるのでいいんだけど、どうしても明るめは想像出来ないですよね(笑)
と、言いながら結構巫山戯た類君を書いてますけど。

あっ!でも、このお話はコメディですから💦ごめんなさい、切なくないです(笑)

2020/02/13 (Thu) 22:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうなんです(笑)
実はつくしちゃんが先にやらかしてるんです♥

なかなか言い出せない2人ですが、どうやらアラサーの類君が仕掛けるようです(笑)
30までには結婚して欲しいですよね♥

連載が暗いのでこっちで笑ってやってください♥

2020/02/13 (Thu) 22:18 | EDIT | REPLY |   

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