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就職はあっさり決まった。
花沢も美作も高卒なんて採らないから逆に安心だったのに、何故かあの人達の本社ビルが並んでるオフィス街の中にある会社に決まった。

そして1月になったら殆どの授業が終わり、2月になったら学校も行かない・・・後は卒業式に行くだけになった。



そんな2月のある日。
出勤の為には少しぐらい新しい服がいるって事で、貯めていたバイト代を持って買い物に出掛けた。

バス通勤だからジーンズって訳にはいかない。
それなりにって考えていたら溜息の出る金額の服ばかり・・・仕方ないから少しだけ買って、後は給料をもらうようになったら増やしていくか!なんて独り言を呟きながら歩いていた。

この時期だから街中に見えるのは赤やピンクのハートマーク・・・あぁ、バレンタインかぁって今更気が付いたりして。
去年は一応道明寺っていう恋人が居たから頑張って作ったっけ・・・何度もやり直して完成したチョコケーキ。我ながら上手く出来たって大喜びしたのよね。

でもあいつはひと口食べて「甘っ!」って言って、私が残りを食べたのよ。

くすっ・・・それでも嬉しかった。
ちゃんと「ありがとう」ってあいつが照れながら言ってくれたっけ・・・


そんな事を思いながら、気が付いたら手作りチョコのコーナーで可愛いトッピング材料を見ていた。

「・・・・・・・・・へぇ、チョコレートバー?簡単そう・・・」

いやいや、簡単とかじゃなくて食べてもらえるかどうかでしょ?
甘いものが嫌いみたいだし、抹茶味は絶対に怒るし、でもこれなら食べられるのかしら・・・。

「ライスパフにトッピングシュガー、こっちはコーンフレークとアーモンドスライス・・・ふぅん、グラノーラでも出来るんだ?」

って、誰のことを考えてんのよ!
首をブンブンふって頭に浮かんだ顔を消し、手に持った材料を全部棚に戻した!こんなの買う予算があったらもう1枚スカート買えるし!


「えーっ!由佳ちゃん、やっぱり高瀬君にあげるんだ?」
「うん、もう最後だしね。上手く言えそうに無いから古臭いけど手紙、書こうかなって・・・」

「うんうん!いいんじゃない?スマホでメッセージでなんてつまんないよ、手紙、嬉しいと思うよ?」
「そうかなぁ・・・でもいいんだ!ダメ元だし!」

「そんな事ないって!よし、美味しいの作らなきゃだね!」
「んっ、頑張るー!」


もう最後・・・その言葉は私の胸にもズキンと響いた。
就職したら社会人と大学生・・・もう会うことはない。それに3年後に彼が大学を卒業しても仕事先は自宅・・・それこそ私の勤め先とはなんの関係もない。


今だってもう半年も会ってないのよ?
今、言わなくて・・・いつ言うの?
その答えなんて期待しなきゃいいのよ。言うだけ自由よ・・・・・・もう最後よ?


気が狂ったとしか思えない。
私は棚に戻した材料をもう1回手に持って、そこにあっためっちゃ可愛いレターセットまで買った。
あの人には全然似合わないピンクのハートマーク入り・・・これに自分が文字を書くの?って思ったけど、お呪いのように呟く「もうこれが最後」、それに流された。



自宅に帰って何度書き直したか・・・ホントにここでも「最後の1枚」。
その便箋に勇気を振り絞って書いた。


『西門さんの事が好きです』


「うわああぁっ!こんなにストレートに書く?!いや、待って?これ最後の1枚だったよね?どーしよーー!!」

もっと違う表現は出来なかったのか・・・小学生の方が素敵な文章書くんじゃないの?って思いながら、取り敢えずそれを封筒に入れた。
渡すか渡さないかはその時に決めればいいのよ・・・なんて。



13日、慎重に丁寧に真心込めてプレゼントするチョコを作った。

うん、我ながら良い出来だと思う・・・進に味見させたら合格だった(この子は何でも合格だけど)。
それを綺麗に並べてラッピングにも時間を掛けた。ちょっとでも歪んだらケチつけそうだから何度やり直したか判らない。これもリボンがヨレヨレ寸前までやり直して何とか仕上がった。

「後は可愛い袋に入れて・・・・・・と。あれ?でもどうやって渡すの?もう学校に行かないのに?」


答えは簡単・・・家に行くしかない。



道明寺、花沢類、美作さん・・・その3大豪邸とは違う意味の大邸宅・西門邸。
延々と続く白壁、綺麗に剪定してある植木、外からは見えないけど博物館かと思うような日本庭園。極めつけは怖いほど大きな正門・・・そこに行くと凄い数の女の子が大騒ぎだった。

みんな手には大きなプレゼント持って、可愛い服着てお洒落して、西門さんに会うために必死・・・それを見たらクルッと向きを変えた。


私のこんな贈り物なんてあの人達の持ってるものに比べたら小さくて気付いてももらえない。
こんな安っぽい紙袋で、ヨレヨレのリボンで、こんなの・・・あの人には似合わない。どうしてそれに気付かなかったんだろうって、足早にお屋敷から遠離ろうとした・・・その時!


「やっぱり来てんな?正門に向かわなくて正解だ、あきら」
「ま、そう言う日だもんな。面倒くせ・・・俺んとこも来てんのかな」


西門さんと美作さんの声・・・それに驚いて慌てて近くの家の門柱に隠れた!
心臓が爆発しそう・・・紙袋が音を立てないように両手で抱えて2人が通り過ぎるのを待った。その足が向かうのは裏門・・・裏から入って彼女たちには会わないようにしてるんだ?


「・・・あんなもので俺達の何が欲しいってんだ?」
「さぁ?1回でいいから付き合えってか?ははっ、怖いな」

「・・・人の事を何も知らねぇで勝手に送りつけて迷惑なんだよ。手紙なんて付いてたら最悪・・・読まずに捨てるけど気になるじゃん?」
「嘘つけ、平気で捨ててるくせに!」

「全部読めねぇだろ。だから1通も読まねぇだけだ」
「中にはイイ女がいるかもだぞ?」

「興味ねぇし」
「お前、マジで裏の顔あるよな~!」



・・・良かった。
手紙、渡さなくて。


やっぱり大っ嫌いだ・・・・・・西門総二郎





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2020/02/14 (Fri) 16:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うふふ!そんなにストレートに書いたの貰った方が照れるよね(笑)

実際、ラブレターってもらった事ないような気がする・・・。
そして書いた事も無い気がする(笑)

友達から「あんたの事が好きらしいよ」とかはあったけど、手紙の記憶は・・・ないなぁ(笑)

覚えてるのはね、中学生の時に放課後、理科実験室に呼び出しされた事がある♥
そこで告白されたの~♥
そして・・・1年後のValentineで別れました。←これ、マジ。

今日はね、旦那にアーモンドチョコレート3箱、渡しました(笑)
「あれが1番好きやけ高いのいらん」って前もって言われたので。


安上がりな人だ(笑)

2020/02/14 (Fri) 22:56 | EDIT | REPLY |   

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