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牧野に出会ったのは高等部の時だった。
全然色気もねぇし胸もねぇし、寸胴で貧乏・・・どっから見ても俺達には似合わねぇ女だった。

だから正直すげぇ意外だった。
司と牧野が恋に落ちたなんて。

あんなちんちくりんの何処がいいんだ?って理解出来ない。
あんな野獣の何処がいいんだって不思議で仕方がない。
嘘だろ、冗談だよな?って何度も揶揄ったけど、2人は真っ赤な顔して「何処が悪い!」と逆ギレしやがった。


でも、気が付いたら俺の方がキレてた。
だから牧野を睨むようになった・・・あいつが俺に怯えてるのも知ってたけど止められなかった。


「反対なんてしねぇけどよく考えるんだな・・・あいつの家がどんな家かって事。
英徳に入ったからには判ってんだろ?その中でもダントツだ。牧野がどれだけ頑張っても認めてもらえるかどうかは判んねぇぞ」

誰も居ないラウンジで2人きりになった時に言った言葉・・・それは完全にジェラシーだった。
牧野も判ってるはずなのに余計に恐怖を与えて司から離そうとした。自分の家も同じだって言うのに。

「道明寺は本気だって・・・」

あぁ、そんなのはお前に言われなくても知ってるさ。
俺の方がお前より司の事は判ってる・・・あいつはマジで牧野を欲しがってる。
それなのに追い打ちを掛けるように「世界の違い」なんて言葉を出した。自分がそれに縛られたくねぇって思ってるくせに、こういう時には都合よく利用する・・・・・・我ながら卑怯だと思ったけどな。


「西門さんの家だって同じじゃない!でもあんたも遊んでるでしょ?え、偉そうに言わないでよ!」
「俺は本気にならねぇから。そこんとこは司と違うかもな・・・女が本気になっても、俺の家も道明寺に負けないくらい面倒だから」

「・・・本気にはならないの?全部遊び?」
「そ!全部遊び。だからこういう事も出来るわけ」


真っ直ぐ見てくる牧野の目・・・俺に腹を立ててんのに怯えてる。
その瞳の中にこいつの迷いを見た、そう感じた時にはこいつを抱き締めてた。


・・・なんで司?
俺じゃダメだったのかよ!


その言葉がもう少しで口から飛び出そうになって、俺の方が慌てて牧野の唇を奪った。
驚きすぎたのか抵抗もしないから、少し強引に唇を割って舌を入れ込んだら・・・

「何するのよ!」

正気に戻った牧野が俺を突き飛ばした!
そんでもってそのまま逃走・・・その後に来たあきらと類にはすげぇ顔して睨まれた。
「何したの、総二郎」「お前、司を裏切るのか?」・・・そんな言葉は無視してさっさとラウンジを出た。


あいつの柔らかい唇の感触が残ってる。
馬鹿じぇねぇの?この俺が何でドキドキしてんだ?もう数え切れないぐらいやってるただのキスだろ?


司に訴えんのかな・・・その時は殴られるな、と覚悟したが何も起きなかった。
牧野は司に言わなかったんだ・・・それは少し意外だった。


何故言わない?
司が暴れるのが嫌だったとか?

それとも・・・・・・・・・いや、それはねぇか。




牧野の恋に終わりが来たのは半年後・・・道明寺家の大反対に抵抗虚しく2人は引き離された。
司の説得にも牧野が首を縦に振らなかった、いや、もう振れなかったんだとあきらが俺に説明するのを視線を外したまま聞いていた。
別れた理由も経緯も俺には関係ない。

あいつがフリーになったんだって事だけが頭に残ったけど、あの日以来牧野には避けられてるからどうでも良かった。




司は卒業を待たずに渡米して、俺達も卒業した。
類もフランスに行き、残った俺とあきらはそのまま英徳大学に進んだ。当然あいつも進学してくると思ってた。
そうじゃないって知ったのは牧野がオープンキャンパスに来た時だった。


いつものように寄って来た女達を侍らせて歩いてたら、真正面から真顔の牧野がズンズン歩いてくるのが見えた。

久しぶりに見る牧野は何1つ変わって無かった。
制服もヨレヨレで、安物の靴履いて・・・でも綺麗な黒髪はそのままで、陽の光に当たって輝いてた。
相変わらず化粧っ気もなくて無愛想で可愛気がない。そして誰とも一緒じゃないのを見て、俺達のせいだと思った。

そのまま無視した方が牧野に被害がなくて済むのに、何故か俺から声を掛けたんだ。そうしたらあっさり言われた「就職する」の言葉・・・瞬間、この先の3年間が面白くなくなった。


「・・・進学しねぇの?」
「しない・・・万が一してもここじゃないから」

「そっか・・・まぁ、そうだわな」
「うん、そう!じゃあね!」


「なに?!生意気~~!行こう、西門君!」
「馬鹿じゃないの?何様のつもりよ!」

「・・・・・・・・・・・・」
「西門君?どうかしたの?」


「いや、なんもねぇ」



そうか・・・就職すんのか。
胸の中にぽっかりと穴が空いた気分だった。



そうしてやって来たのは毎年鬱陶しい2月のアレ。

大学はこの時期春休みだから自宅からも逃げてあきらとぶらぶらしていた。
でも何処に行っても誰かが騒ぐから面白くなくて、とうとう俺の家に避難・・・当然表は喧しいから裏口に向かった。美作でも良かったけど、あそこは家の外も凄いが中も凄い。
夢子おばさんと双子の攻撃を受けて、甘ったるいケーキに囲まれることは目に見えてたから。


「あんなもので俺達の何が欲しいってんだ?」

遠くから聞こえる奇声にそんな言葉しか出ない。
あいつが居るなら顔を出してもいいけど、そんな訳ねぇから足は止まらずに裏口に向かった。


「さぁ?1回付き合えってか?ははっ、怖いな」
「・・・人の事を何も知らねぇで勝手に送りつけて迷惑なんだよ。手紙なんて付いてたら最悪・・・読まずに捨てるけど気になるじゃん?」

「嘘つけ!平気で捨ててるくせに!」
「・・・全部読めねぇだろ。だから1通も読まねぇだけだ」



俺が欲しいのはそんなものじゃねぇ。
本当に欲しいものは俺の事なんて見もしねぇしな・・・。



そして4月・・・新入生の中にあいつの姿を探したけど、やっぱり居なかった。


「・・・本当だったんだ」
「は?なにが?」

「いや、なんもねぇ」
「今日飲みに行くか?4年のミス英徳に誘われたんだけど」


「・・・よし、行くか!!」



俺は絶対に本気にならない。
多分、2度と自分から欲しがる女は現れない。

こうやって巫山戯て遊んで馬鹿やって、そこにどれだけいい女がいても本気には・・・なれない。





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Comments 4

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2020/02/16 (Sun) 13:49 | EDIT | REPLY |   
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2020/02/16 (Sun) 18:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!こっちの総ちゃんはまだお子ちゃまですよね(笑)
でも自分の気持ちはもう判ってるんですよ。でも素直になれないって感じでしょうか。

総ちゃんって本気の時はすんごいビビりなんだと思うのですよ。
これはね、総ちゃん書きさんとお話しても良く出る会話かな。
チャラくてプレイボーイなのはホントの自分を隠してるんですよね・・・要するにヘタレなのです(笑)

まぁ、SSですから急展開は付きものですが(笑)すぐに終わっちゃう話なのでサラリとお付き合い下さいね~!

2020/02/16 (Sun) 22:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

初めだけ焦れったいですが、お話しは一気に進みますよ(笑)

ええーーっ?!もう?って思わないように(笑)
Valentineの臨時便なので、事件もなく・・・はい!すぐに終わりますから♥

どうぞ宜しくお願い致します。

2020/02/16 (Sun) 22:38 | EDIT | REPLY |   

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