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~10年後~

「えっ?!私が営業課に・・・ですか?!どうしてですか?!」

河野産業に入って10年・・・ずっと商品開発部にいたのに急に言われた一言。
目の前の部長は「牧野さんなら大丈夫だって!」って・・・なんて無責任な理由なの?!

その理由は数分後に判った。
営業課の女の子2人が結婚で退職するらしい。そして私は開発部で10年目・・・つまり私の出すアイディアに会社が飽きたって事だ。
そう思ったらガックリきて、半日デスクに突っ伏して顔があげられなかった。

部下達から「牧野さん、淋しいです~」と何故か明るく言われ、自分がここでも不要だと言われたような気がしてどんより・・・何もかもを卑屈に考えてしまって、結局夕方になってからデスクを片付けて営業課に顔を出した。


そこは元気な若者が多くて活気に満ち溢れてる・・・でも1つだけ問題があった。


「牧野先輩!いらっしゃい」

「・・・高橋君、お出迎えありがとう・・・」


高橋直樹・・・私の2つ下で大卒だから入社4年目のイケメン営業マン。この会社での「モテ男」だ。
そして何故かこのイケメン、私に1年前から言い寄ってる「変わり者」としても有名だった。

この男のせいでどれだけ年下の女子に嫌味を言われ、先輩からも苛められたか・・・そして何度断わっても諦めてくれないから、今でも事ある毎に私を誘ってくる。
流石に毎回断わるのもね~って思うから5回に1回ぐらいは食事に行くけど、絶対にその場で別れるようにしていた。

今では貯金も出来てオンボロアパートから小さなマンションに変わってるけど、その住所まで知られなくない。教えたら最後、毎朝入り口に立ってそうで怖いんだもの!


「牧野先輩!俺が暫く営業に同行する事になったんで宜しくお願いします~!」
「え?高橋君が?まさか立候補したとか言わないよね?」

「しましたよ。だって誰かが付かなきゃいけないし、それならやる気のある人間の方がいいでしょ?」
「やる気?!なんのやる気よ!!」

「仕事です。なんだと思ったんですか?」
「・・・いや、仕事です」


馬鹿、つくし・・・こんな年下相手になに考えてんのよ。



そして何故かデスクまで高橋君の隣で、既に周りの連中もコイツの気持ちを知ってるのか面白そうに笑ってた。

だから、ここ会社であって仕事する場だし。
営業なんてした事もない私の憂鬱なんて誰も考えてないでしょ?
それなのに「歓迎会」なんて楽しそうに計画立ててくれなくていいから・・・。



その次の日の朝、仮病使って休みたいぐらい会社に行きたくなかった。
でも勤続10年で1度も休んだことがない私はそんな勇気も出ない・・・ってか、本当に気分が悪いのに、今度から外出だからって念入りに化粧してマンションを出た。

そして初めての営業課の朝礼で挨拶し、課長からも「高橋が暫く補佐するから~」なんて軽いひと言。
まずは午前中にミーティング、午後は数社ほど高橋君の営業にくっついて行くことになった。


「いきなり出掛けるとは思わなかった・・・」
「牧野先輩は新卒じゃないんですから即戦力だと思われてるんですよ」

「そんな訳無いでしょう?10年間商品開発部で社内勤務なのよ?外回りの経験なんてないんだから!」
「でもうちの商品には詳しいでしょ?要領さえ掴めば営業マンとしてすぐに契約取れそうですけど」

「そんなに簡単じゃないのは高橋君が1番知ってるでしょうが・・・」
「あはは!まぁ、そうですけど。でもそんなに長く勤務しないでしょ?」

「・・・はい?どう言う意味・・・」


って横を見たら、高橋君の顔が凄く近くにあって驚いた!
それにヤケに嬉しそうに微笑んで・・・気持ち悪いんだけど。

彼は確かにイケメンだと思うけど、私には通用しない。だってあの4人を見て来たから。
どうしても基準があの4人だから、誰を見てもあの人達を超えたことがないのよね~・・・ホント、残念だけど。



そんな会話をしながら入っていくのは峰山商事と言う会社だった。
まぁまぁ大きな会社・・・ロビーにはちゃんと受付の女性がいて、高橋君が用件を言ったらそこに内線してから許可をもらい、その後エレベーターに向かった。

私が応対する訳じゃないけど、実際これが初めて他企業の人と会うわけだし、今更ながら自分自身を確認・・・ストッキングに伝線なんてないよね?とか髪が乱れてないよね?とか。
そして開いたエレベーターから数人の人が出てきて、全員が出たら私達が乗った。

でも・・・他に乗る人が居ない。
まさかエレベーターに高橋君と2人きり?
それ・・・なんか嫌なんだけど、ってここでも隣を見たらさっきよりも嬉しそうに微笑んでいた。


誰でもいいから乗ってきてーーーーっ!!


心の中で叫んだら、閉まりかけた扉を止めた人・・・その人が「悪い!」と言って乗り込んで・・・・・・・・・


「・・・・・・牧野?」

「・・・・・・西門さん?」


「「・・・・・・・・・・・・」」


うわああぁーーっ!!
どうしてこんな所で西門さんに会うのーーっ?!!



走って飛び込んで来たのは忘れもしない西門さん・・・彼がド真面目な顔して私の真正面に立っていた。

全然変わってない・・・と言うよりも昔よりも数段男っぽくなって色気も凄い・・・!
髪型も変えてないし、忘れられないこのフレグランスも・・・それに相変わらずの綺麗な指先で「閉」のボタンを押した。
そして私の左隣に立ち、10年ぶりの再会に私の思考は完全に止まった。ちょっとでも動けば当たりそうな位置・・・そこに西門さんが居ると思えば息も出来ない。

彼が今、どんな顔で乗ってるのか想像するのも怖かった。


「牧野先輩、どうしたんですか?お知り合い・・・ですか?」
「え?あぁ、えぇ・・・あの、高校の先輩で・・・」

「あぁ、英徳の?へぇ、先輩なんだ?」
「う、うん・・・」


西門さんは返事もしない。
まさかあのオープンキャンパスの事を根に持ってるとも思わなかったけど、どうして何も言わないのか・・・どんどんエレベーターは上がっていって、私達が降りる8階はもうすぐ・・・。
そして8階に着いたら扉がスーッと開き、私は知らん顔して降りようとした・・・その時!!


「きゃああっ!!」
「牧野先輩っ?!」

いきなり後ろから腕を引っ張られてエレベーターの中に引き戻され、その時にスーーーっと扉が閉まった!
ハッと真上を見ると西門さんの怒ったような顔・・・それに驚いて顔面蒼白。
でもすぐに正気に戻って掴まれていた腕を振り払った!そして鞄を胸に抱えて彼から1番遠い・・・ってエレベーターだから2メートルもないけど、そのぐらい離れて彼を見た。


「なっ、何すんのよっ!」
「今の男・・・誰だ?」

「へ?あぁ、今一緒だった人?同じ会社の高橋君。後輩だけど私の指導係よ」


だからなんで睨むのよーーーっ!!





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2020/02/18 (Tue) 11:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!いきなりそんな事しちゃダメでしょっ!!
それ、ただの変態だから。

どんだけ開放的な○半身ですかっ!(え?そこまで言ってないって?)


これさ~~、腕引っ張られて上手いことエレベーターに入ったからいいけど、扉に当たったら開くよね(笑)
そうなったら高橋も入って来て3人・・・・・・

だから!何考えてんのっ?!

2020/02/18 (Tue) 19:00 | EDIT | REPLY |   

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