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類の車は真っ直ぐ英徳大学に向かい、正面から入って花沢専用の駐車場に向かった。
そこには類をひと目見ようと女子学生の姿があるのはいつもの事・・・つくしはそれを助手席の窓から見ながら背中に流れる汗を感じていた。

今、この車から自分が降りたらどうなるんだろう・・・それが不安だった。


道明寺の時にイヤという程味わった嫌がらせ、それがまた始まったらどうしようかと・・・でも運転席の類はそんな不安を感じていないのかクールな表情は変わらない。
車外と車内の温度差を感じないのか、それとも鈍感なのか・・・つくしは鞄の肩紐を握り締めながらゴクリと唾を飲み込んだ。


案の定、声こそ聞こえないが女子達の慌てまくった姿が遠目でも判る。このまま車内に閉じ籠もってしまおうか、と思うほどの恐怖だった。
つくしの心配を余所に車は駐車場の白線に収りエンジンは切られた。
まるで地獄についたかのような絶望感に満ちた目・・・類が漸くここでそれに気が付いた。


「牧野、着いたよ。間に合うとは思うけど降りないの?」
「・・・花沢類・・・」

「そこ、違う」
「・・・類、窓の外をよーく見て?あの渡り廊下辺り・・・あの中を通って行くのよ?」

「・・・・・・あぁ、そう言う事?じゃあ一緒だったらいいか」
「それ、逆効果じゃないの?」

「大丈夫だろ。行くよ」


車を降りたのは類の方が先で、助手席に回ってきてドアを開けてつくしに手を差し出した。
同時に聞こえる悲鳴・・・類はそっちに少しだけ視線を送ったけど、すぐにつくしに向き直って車から降ろした。そして肩を抱こうとしてつくしに「それはまだダメ!」と拒否られて口を尖らせた。

でも何処からともなく感じる殺気に満ちた視線とざわめく声・・・「鬱陶しいな」と類の口からも漏れ聞こえた。


それにつくしの格好がいつもと違う事に気付かない訳がない。
それが有名ブランドの服で類が与えた物だとすぐに気付かれ、「なに?似合わない~!」などと僻んだ会話まで聞こえてきた。

当然つくしの耳にも届き、せっかくのスカートを握り締めてしまう。それを見た類が足を止めた。


「牧野、顔を上げな」
「・・・へっ?」

「あんたが怖がるのは判るけど俺が守るから心配するなって意味。
それにその服は俺があんたに似合うと思って選んだものだから自信持てよ。服なんてブランドに関係なく、着てる人間の表情で印象が変わるだろ?俯いて歩くから似合わなくなるんだ」

「・・・・・・類」

「大丈夫、今日の牧野、凄く可愛いから」


まるで魔法のような言葉・・・スン!と鼻を啜って、つくしは顔を上げた。
そしてニコッと笑って類の横に立ち、それを見た類がさり気なくその肩に手を置いた。

途端に悲鳴が大きくなったが今度は真っ直ぐ前を見て歩き、微笑みを浮かべた類がそれを支えていた。



「おーっ!どうした?とうとうか?」
「なんだよ、牧野!可愛いの買ってもらったじゃん?」

その声は2人の右側から聞こえ、同時に顔を向けるとそこに居たのは総二郎とあきらだ。
ニヤニヤしてつくしに片手を振り、側まで来ると類の手を振り解いて2人がつくしの両肩に腕を掛けた。
悲鳴は倍増、鋭い視線もさっきの数倍、「離れなさいよ!」と大声を上げたが巫山戯てる総二郎とあきらはお構いなしにつくしを揶揄った。


「いいじゃん、今日の登校で充分反感買ったんだから」
「そうそう!類だけだと怖いかもしれないけど、俺達も加われば手出し出来ねぇと思うぞ?」

「ど、どう言う意味よっ!いいから手を離してっ!」

「守ってやる男は多い方がいいだろ?」
「あっ、牧野・・・類と同じ匂いがする・・・」

「えっ?!」

「あっはは!引っ掛かりやすいな~、お前!」


総二郎がつくしの髪に顔を埋めた瞬間、その背中をガッ!!と蹴り飛ばした長い脚。
総二郎は不様にも通路に蹴り飛ばされて、あきらはそれを見て大笑い。でも同じくつくしの肩に掛けている腕を掴み上げられ、総二郎の横に放り投げられた。
やったのは勿論類で、つくしが「なんて事するの!」と叫んでも冷たい視線を幼馴染みに向けていた。


「そんなに怒んなよ~!ちょっと触っただけじゃん?」
「いってぇ・・・お前、本気出しただろ!」

「・・・・・・牧野に触るからだよ。次にやったら容赦しないから」
「花沢類っ!!」


またフルネームで呼んだ・・・と小さく呟いたけどつくしは聞いちゃいない。
通路に座り込んでる2人の側に行って「ごめんねぇ~!」を繰り返していた。

つくしは2人が態と派手に見せつけたとは気が付いていない。
こうすることで、これまで同様つくしには手出しするなと言う意思表示・・・女子学生達は苦々しく思ったが、類の本気を見せられては黙るしかなかった。


「牧野、もうすぐ9時。早く行きな」
「うわっ!ヤバい、じゃあ・・・えっと・・・」

「昼はいつもの場所においで」
「うん、判った!じゃあね・・・類」

「・・・ん」


つくしが通路を走っていく・・・類はその背中を見ながら「失敗した!」と叫んだ。


「どうした?類」
「何が失敗?」

「いや・・・なんでもない。ほら、お前等も自分の学部に行けよ!」

「なんで怒ってんだよ・・・意味判んねぇ」
「あぁ、そう言う事?ははは!可愛いなぁ、類」

「あきら、見るな!」


あきらがつくしの後ろ姿を見てそう言うと、総二郎も振り向いた。
そこには紺色のミニフレアを翻してダッシュするつくし・・・その華奢な足が丸見えだった。


今度から買うならロングスカートかパンツスタイルだな・・・と、無防備なつくしの走り去る姿を溜息をつきながら見送った。



**



「聞いた?牧野つくし、今度は花沢さんと登校したらしいわ」
「見た見た!何あれ・・・厚かましいわよね」

「でもさ、あの子、男が居たじゃん?あの印刷会社のわりといい男、あいつで充分なんじゃないの?」
「まさかの二股?あの程度の顔でバッカじゃないの?」


そんな声がつくしの回りで聞こえる。
でも守ると言ってくれた言葉を信じて車に乗ったのは自分。つくしは胸に突き刺さる言葉を受け止めて、自分の中でそれを消し去るしかないと思った。

下を向くなと言った類の言葉を思い出し、誰も近寄らなくても真っ直ぐ前を向いた。



講義中も左手首にはお揃いのブレスレット・・・ペンを持った右手でそこを触り、昨日の事を思い出す。そうしたら途端に逆上せたように耳がジーンと熱くなる。
隣の人に気付かれないだろうかと耳を覆うと「牧野さん、聞いてるの?」と教授に指摘され、慌てて姿勢を正した。


「夢でも見てたんじゃないの?」
「やぁね、遊ばれてるって判んないのかしら・・・」
「花沢さん、趣味わる・・・」

誰の声か判らないが後ろから聞こえて来た声、そして蔑むような笑い声まで。


----大丈夫・・・・・うん、大丈夫。
このぐらいなんでもない。私はもう1人じゃない・・・類を信じるって決めたんだから----


つくしはその雑音を聞き流し、講義に集中した。







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Comments 4

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2020/01/21 (Tue) 00:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!懐かしすぎる!!
もう自分じゃ読めないのよね💦恥ずかし過ぎて!

そっかぁ・・・類君切なかったよね~・・・。

ってか、私はどっちかって言うと北海道のスーパーで類君がバイトするって話をしたのを思いだします(笑)
真面目な話なのにコメントでは馬鹿ばっかり言ったような💦


それとね・・・実はすごく気になってるんだけど44話って読んだ?
コメントくれとかって意味じゃないからね(笑)
前にも読み忘れた!って言ってたから・・・もしかして読んでなかったら怒られるかな、と思って。
読んでたら忘れてください(笑)

2020/01/21 (Tue) 00:49 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/21 (Tue) 07:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!確かにおもちゃですね💦
一緒に居るときはいいけど、離れたらかなりヤバいとは思いますが(笑)
敵は他にも居るかも・・・?

和やかでイチャイチャなシーンばかりだといいんですけどね~!

2020/01/21 (Tue) 21:24 | EDIT | REPLY |   

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