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無言の圧力の中、4時限目まで何とか講義を受けたつくしは荷物を纏めて教室を後にした。
行くのは類に言われたいつもの場所・・・殆ど誰も来ない校舎の屋上だ。

目だけで辺りの様子を窺い、自分を付けてくる人が居ないことを確認・・・ホッと肩を撫で下ろしてその校舎に向かっていたら、前から来る男性に気が付いて足が止まった。
あの歩き方には見覚えがある・・・あのスーツにも、あの髪型にも・・・ドクン!と心臓が鳴った。


つくしの正面から来るのは仙道・・・その目は昨日の夜と同じで鋭くつくしを射貫いた。


仙道はこの大学が営業先だから居てもおかしくはない。
だがこんな場所を歩くとは思えない・・・まさか何処かで自分を見つけて待ち構えていたのかと立ち竦むつくしとは反対に、真っ直ぐ向かって来る仙道の歩調は変わらない。
寧ろ自分に向かってきているような気さえして数歩後ろに下がったほどだ。

早く行かなくてはお昼休みはそんなに長くない・・・頭ではそう思うのに足が動かない。

やがて真正面まで来た仙道の方がつくしを見下ろす感じで足を止めた。
その顔には薄く痣がある・・・類に殴られたところだ。


「・・・・・・へぇ、そんな服も着るんだ?」
「・・・あっちゃん・・・」

「まだその名前で呼ぶのか?・・・巫山戯るなよ?」
「せ、仙道さん・・・昨日はごめんなさい。じゃあ私は急ぐので・・・」

「ごめんってなんだ?そんな言葉で許されると思うのかよ。あの後どれだけ両親に馬鹿にされたか・・・全部お前のせいだ!」
「・・・えっ?きゃああぁっ!!」


仙道はつくしの腕を掴み、それまでとは違う動きですぐ横の校舎に入った!

そこも特別室ばかりで普段は学生が少ない校舎だから、つくしですらそこになんの部屋があるのか知らない場所だった。その少し奥に引っ張って行かれ、抵抗する間もなく小さな部屋に放り込まれた。
肩に掛けていた鞄が床に落ち、埃の匂いがする壁に押し当てられせっかくの服が擦れて白っぽくなる。ゴホッ!と咳き込んだけど仙道の手はつくしの両肩を押さえつけ、手を使うことも出来ない!

目の前に仙道が居ると思えばギュッと目を閉じて俯くしかなかった。
肩に食い込む仙道の指が痛い・・・そこに憎しみすら感じてつくしは恐怖に怯えた。


「あの後あいつとヤッたのか?」
「関係ないでしょ・・・あ、あなたとはもう終わりました!」

「・・・それでこんな格好までさせられたのか・・・これがあいつの趣味?」
「・・・・・・そんな言い方しないで!」

「全然似合わねぇよ・・・お前みたいな女には安物のトレーナーとジーンズで充分だろ。ムカつくんだよ!」
「いやあぁっ!!」





その頃類は屋上中央のいつもの場所でつくしを待っていた。
時計に目をやれば昼休みに入ってから15分・・・今日の様子からこの時間は随分長く感じた。

つくしが重い空気の中で過ごしていることは想像出来る。それならもう少し早く来そうなのに、と少し眉間に皺が寄った。


まさか・・・何かがあったのか?


類は屋上端のフェンスまで近寄り、そこから下を覗き込んだ。
その時にチラッと見えた紺色のスカート・・・それが自分が居る校舎とは別の場所に不自然な動きで入って行くのを見てしまった。
途端に踵を返して屋上の通用口から出て、まるで飛び降りるかのような勢いで下まで駆け下りた。

その時間は1分にもならない程で、通路に出たら紺色のスカートが消えて行った校舎に向かって走った。


学生なら手出ししなかったかもしれないが、1番危ないヤツを警戒しなかった。
瞬間自分の甘さに舌を打ち鳴らしたがそれどころじゃない!どっちの方向に行ったか判らなかったから入り口で1度立ち止まったが、左側奥の部屋からガタン!と音がして、そこのドアを力任せに開けた!


「花沢類・・・!」
「・・・・・・・・・!!」


類の目に映ったのは壁に押し当てられその服の胸元を掴まれ泣いているつくし・・・カッと頭に血が上り、類は言葉も出さずに駆け寄り、グッと握り締めた拳を仙道に向かって振り下ろした!

鈍い音、でも激しい音が目の前で響き、悲鳴と共にその場に踞ったつくし!
仙道が油断したわけでもないが類の素早さの方が格段に上だったこともあり、類と大差ない身体が窓際までふっ飛ばされた!
ガクッと力が抜けたつくしだったが、恐怖で身体の震えが止まらない・・・でも半分は助けに来てくれた類の姿を見て安心したからでもある。

流れる涙で目の前が歪むが、それを拭う余裕すらなかった。


仙道は背中を打ち付け、すぐ側にあった机に倒れ込んだ。
類はつくしに目もくれず、真っ直ぐ仙道に向かって行きその胸ぐらを掴み上げた。
そして足が浮くほど持ち上げ首を絞める・・・漸く涙を拭ったつくしがその青く苦しそうな仙道の顔に驚き、「だめぇ!」と叫んだが類の手は緩まなかった。

このままだと怪我を負わせて困ることになる・・・つくしはさっきまで震えていた足に力を入れて立ち上がり、類の背中にしがみついた!


「類、だめだよ!私は大丈夫だからそれ以上類が手を出しちゃだめ!止めて・・・お願いっ!」
「・・・・・・いや、許さない。牧野に手を出したんだ、許せない・・・!」

「・・・・・・ぐぅ・・・!」

「そんなの気にしない!私は怪我もないし大丈夫だから!お願い、類・・・お願いだから手を離して!」
「牧野は黙ってな!」

「やだぁ!類が人を傷付けるのを見たくない!!」
「・・・・・・・・・!」


仙道の為じゃないと叫んだつくしの言葉に類の手が緩み、仙道はその場に踞った。
ゴホゴホと咳き込み額からは汗が流れている。それを見てもつくしも何も出来ない・・・類の背中にしがみついたままその姿を見つめ、類はスマホを取り出し、大学の事務長をここに呼びつけた。




「は、花沢君、これは一体・・・・・・は?印刷会社の仙道さんじゃないですか?何があったんです?!」

裏返ったような事務長の驚きの声、それに仙道がフイッと顔を逸らせた。
どう見ても殴られたのは仙道だと判る形相で、類の側にはつくしが居る・・・事務長は3人の顔を交互に見て、ポカンと口を開けたままだった。


「・・・こいつが彼女をここに連れ込んで乱暴しようとしたんだ。後の事は任せる・・・適当に処分しといて」
「は?せ、仙道さんがうちの学生に乱暴を・・・?!」

「そう、話はそれだけ。頼んだよ」
「・・・は、はいっ!!」


これで仙道は英徳に入ることは出来なくなる。
もしかしたら花沢を敵に回したと言うことで会社にも在籍出来ない状況になるかもしれない。容易に想像出来る仙道の処分につくしの胸が痛んだが、だからと言ってそれを許せとは言えない。


それほどまでに類の怒りは激しかった。

そして原因が自分にある・・・今、握られている手の強さにもそれを感じて、つくしは仙道を返り見ることなく部屋を出ていった。



「・・・もう、ホントに危なっかしいんだから」
「ごめん・・・でも急に現れたから・・・」

「お腹空いちゃったじゃん・・・」
「は?あぁ、そう言えばもうお昼も終わっちゃう・・・やだぁ!何にも食べてないのに!」

「・・・あんた、今朝も殆ど食べなかったからね。急いで何か食べようか?」
「・・・うん!」


朝ご飯のことを知ってる関係・・・つくしはさっきまで怖くて涙を浮かべていたのに、今度はまた顔が真っ赤。
少し優しくなった類の指を今度はつくしが握り返し、それを感じた類が嬉しそうに頬を緩めた。


でもこれで仙道が引き下がるだろうか・・・表情を緩めたはずの類だったが、まだ心の奥に不安を抱えていた。





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Comments 2

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2020/01/22 (Wed) 08:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは~💦居ましたねぇ、とんでもないヤツが。
こいつはややこしいんですよ・・・簡単には逃げてくれません。
プライドを粉砕されたのでヤケクソになっております・・・

いやぁね、未練タラタラの男って!

そんな感じです(笑)
私、意外と柊祐は好きだったけど、この仙道は嫌いです。
(え?個人的意見は要らない?)

2020/01/22 (Wed) 21:39 | EDIT | REPLY |   

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