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京都支部会館・・・小生意気にもステージまである大ホールがあって、その舞台袖で支部の連中の説明を聞いていた。
まずは司会の挨拶に始まり最近の京都経済についての話をどこぞの企業家がするらしい。それも経済、環境、観光の3部門ほどあって、やっと俺の出番。

そこまでで30分ぐらい掛かると言われウンザリした。


「若宗匠から先日いただいたCD-Rを使って映像を出しますから宜しいですね?」
「あぁ、それでお願いします」

「もう準備は出来てますので、それが終わったら講話をお願いします。映像が焼き物中心でお話はそれと利休先生でしたよね?」
「・・・・・・・・・」

「若宗匠?」
「あ?あぁ、そうです」


ヤバい・・・少しは読んでおくべきだったか。
今になってな話す内容がなんだったか思い出せなくて考え込んでたら、隣に立ってた先代に再び溜息をつかれた。
横目でジロリと睨む目付きは昔を思い出す・・・この歳で何かを投げるようなガキみたいな事はしねぇけど、ガタガタ言われるのも気にくわない。
だから知らん顔して、スポットライトで照らされたステージを腕組みしたまま眺めていた。


「やれやれじゃのぅ、総二郎」
「・・・なにがです?精神統一してるので話し掛けないでいただきたい」

「そういう態度がつくしちゃんの立場を悪うするとは思わんのか?」
「牧野の?どういう意味です?」

「初めて秘書なんぞ付けたのに若宗匠の仕事ぶりが良くないと噂でもされたら、つくしちゃんの働きが悪いと思われて当然。そんな秘書なら要らないと言われたら今以上の立場にもなれまいて。
ちょっとつくしちゃんが同行出来なかったからと、そのように不貞腐れるとは・・・この場で恥などかいて戻ったらつくしちゃんが落ち込むんじゃないのかの?」

「・・・・・・お言葉ですが、誰も不貞腐れてなどおりません。ご心配なく・・・頭にインプットされているので失敗など致しませんよ」

「ふんっ・・・相変わらず可愛くないの~、お前は」
「お爺様に似ているのですよ」

「・・・・・・むぅ!」

「・・・くくっ、時間のようです」


先代の言う通りかもしれない。
こんなのさっさと終わらせて、今夜こそつくしと話し合わないとな。
先代にやる気スイッチを入れられるとは思わなかったが、それでも意識が講演会に向かった。1度資料を作ったんだから手順は覚えている。

・・・よし、大丈夫だ。



『それでは宗家よりお越しになりました西門総二郎様をご紹介致しましょう。若宗匠、ステージにお願い致します~』


司会者のアナウンスが響いて、俺は眩しい照明の中に出ていった。





***********************





『それでは宗家よりお越しになりました西門総二郎様をご紹介致しましょう。若宗匠、ステージにお願い致します~』

アナウンスの声が聞こえて、講演会が始まったことが判った。
でも始めは色んな人の話があるはず・・・でも時間はあんまりない。
急いで高木さんの荷物を探さないと・・・通路を小走りしながらドアに掛かってる控え室使用者の名前を見ていたら『一乗寺・西門様』と書いてある部屋があった。

ドアノブを回したら・・・開いた!
その中には着物姿のお弟子さんが1人、しゃがんで何か片付けていて私を見たらニコッと笑った。つまりこの人は一乗寺の人で、お屋敷で私を見たってこと・・・だから急いで高木さんの荷物を聞いてみた。


「ここは何方の控え室ですか?高木さんの荷物はあります?」
「え?ここは若宗匠の控え室ですよ?高木さんは隣の部屋です」

「そうですか・・・鍵、掛かってるのかしら?」
「私が鍵を持ってるんで開けましょうか?」

「はい!お願いします。探し物を頼まれたので」
「はいはい、ちょっと待ってて下さいね~」


いや、時間無いのよ!・・・とは言えずに、でも手を擦ったり足踏みしたりするもんだから、それを見たお弟子さんが「お急ぎなんですね?」と腰を上げてくれた。
部屋の中のモニターに会場が映し出されていたから近寄って見れば、豆みたいな大きさの総二郎が椅子に座ってる・・・私が選んだ紺色の着物を着て。
中央では誰か知らないけどおじさんが喋ってるみたい。


「若宗匠の出番っていつですかね?」
「さぁ~、でもいつもこの挨拶は30分ぐらいあるんでそのぐらい先やないですかね?」

「そうなんですね、緊張するなぁ!」
「心配せんでもええですよ。若宗匠の事はよう知らんのですが落ち着いてましたよ?ご隠居様がなにやらご機嫌斜めでしたが」

「あら、先代が?」
「ええ、落ち着きすぎるのが気に入らんのでしょう。ははは!」


私が居ないのに落ち着いてる・・・居なくて清々するって意味じゃないでしょうね?
いいわ・・・それも後でゆっくり聞いてやる!

私の胸の内など何も知らないお弟子さんがすぐ右側の部屋を開けてくれて「終わったら声掛けしますね」、そう言えばまたニコニコと総二郎の控え室に戻って行った。



高木さんの荷物はテーブルの端に綺麗に置かれていて、少しでもずらしたら気付かれそう・・・鞄に何かの資料に椅子の背もたれにはコート。
パッと見た感じではCD-Rなんて見当たらない。それも当然だと思って気をつけながら鞄を開けてみると、そこには先日私が見た茶封筒があった。
表書きも「○日・京都支部講演会資料」・・・あの時に見たものだ。

「中身は・・・資料はないわね。じゃあCD-Rもここには・・・・・・あれ?」

茶封筒を開けると空のように感じたから何もないのかと持ち上げたら、何かが封筒の中で動いた。手を突っ込んでそれを取り出すと不織布のケースに入ったCD-R。
よく見るとあの時に付けた口紅の赤が薄らと・・・中のディスクを見たら、私が落とした時に付いた傷がある。って事はこれが総二郎の編集したCD-Rだ!

ここに高木さんは居ない・・・そして総二郎の講演はもうすぐ始まる。それなのにここにあるって事は別の物が係の人に渡されてるってこと?それを写したら何が起きるの?
兎に角このCD-Rに変えなくちゃ、と茶封筒だけ鞄に戻したら底にキラッと光ったもの・・・なんだろうと思ったら、総二郎のスマホ?!


「どうしてこんな所に総二郎のスマホが?・・・うわっ、何か粉がついてる・・・なに、これ?ううん、今はそれどころじゃないわ!」

ササッとその粉を拭いたスマホも手に持ち、急いでこの控え室を出て、さっきのお弟子さんに鍵を掛けるようにと伝えた。


どうして?何が起きてるの?
いつからこのスマホは高木さんが持ってるの?って言うかなんで高木さんに預けるの?!

いや・・・預ける訳がない。
高木さんが隠してた、それしかないじゃない!


「すみません!急いで資料の交換をしたいんですが、あのスクリーンに画像映す担当の方って何処に居ますか?」

さっき揉めた受け付けでそう言うと、映像担当者はステージから向かって右側の2階の小部屋だと言われ、今度は急いでそこに向かった。
ドアの前には「使用中・立ち入り禁止」の文字・・・そんなのに構っていられなくて小さくノックをしたら、怖い顔のおじさんが出てきた。


「なんや?もうすぐ始まるんやから入れへんよ?」
「ごめんなさい、西門の者ですが若宗匠の講演会のCD-Rってここに届いてますか?」

「はぁ?勿論今朝1番にもらってるよ。今から使うんやから」
「それ、1度は試してみました?実は間違ってるかもしれなくて!」

「なんやて?そう言えば朝確認した後で西門の若い男性が確認の為って持って行きはったけど・・・でも、すぐに戻してくれたんやけどなぁ?」
「見せて下さい。こっちが本物なんです!」

「はっ?!」


その男性が戻してくれた物には傷なんて無い。
やっぱり偽物を渡してたんだ・・・確認の為に1度はスクリーンに映すから、それが終わってから交換したんだわ!

偽物CD-Rと総二郎のスマホを抱えて、今度は会場に急いだ。
何が起きるのかは知らないけど、スクリーンに正しい物が映れば女性は騒がない・・・でも、あの男性はもしかしたら剛さんの言う通りに実行するかもしれない。


総二郎に向かって行く前に止めないと・・・!






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Comments 4

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2020/01/21 (Tue) 16:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

つくしちゃん、頑張ってるでしょ?(笑)
総ちゃんもそろそろ目が覚めてきたようなので、これで一気に・・・ですね!

でも京都は長いっ!まだまだ続きます💦

気長にお付き合いくださいませ~!

2020/01/21 (Tue) 21:35 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/22 (Wed) 01:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!確かに妄想タイムが終わったらね💦
お約束だから仕方ない・・・最近多いなぁ、と思うのは私だけ?

うふふ、そろそろ総ちゃんにも活躍してもらいますよ?!
いつまでも先代に睨まれてちゃヤバいしね♡

ってか、京都、ながーーーーーーーーーーーーいっ!!

2020/01/22 (Wed) 21:35 | EDIT | REPLY |   

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