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plumeria

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ステージでひと通り紹介されて、端に準備された椅子に座って待機・・・紹介されても覚えられない名前の爺さんが何かを話してるのを上の空で聞きながら、頭の中ではこれから話す内容を纏めていた。

まず始めに高取焼だろ?それが終わったら利休と古田織部の話・・・まぁ、問題ねぇか。


何の気なしに会場を見回したら、俺から見て左端に千香に似た女が見えた。
まさか聞きに来たのか・・・と、少し鬱陶しく思って視線を変えたら、右側にはこの場に似付かわしくない男が鋭い目をしてステージを見ている。

茶人の話なんて興味なさそうな男・・・それが気になってボーッと見ていたら、その男の横にある非常口の暗幕が動いた。
講演会が始まってるのにウロウロするヤツが居るとは失礼な・・・そう思ってガン見したら、その動いたのが女に見えた。
しかも黒っぽいスーツに纏めた髪・・・って、つくし?あの背格好、つくしに似てる?


・・・いや、そんな訳ねぇか。
たとえつくしがここに来たとしてもコソコソ非常口から入る訳がない。
受付に言えば俺の控え室に来るはずだし、あんな暗幕潜って会場に潜り込むなんて・・・・・・まさかな?

その女はコソコソ動くだけで席に座ろうとはしない。
自分の姿を隠してるのか・・・と、自分の名前がアナウンスされたのにそっちばかりが気になっていた。


「・・・二郎」
「・・・・・・・・・」

「これ、総二郎。呼ばれたぞい?」
「はっ?あぁ、申し訳ありません」

「大丈夫か、お前・・・」
「ご心配無用です」


コホンと咳払い1つ・・・壇上の演台の前に立ち、いつものように挨拶から始めた。
その時の笑顔もいつも通り、何1つ間違っちゃないし完璧に講演を開始・・・我ながら流石だと思った。


「・・・と言うことで日本でも色々な地域で特徴ある焼き物がございますが、本日は高取焼と言うものをご紹介しましょう。それではスクリーンに映せますか?」

そう言えば俺の後ろにある大型スクリーンにその焼き物が映し出され、同時に演台のモニターにも同じものが映される。だからわざわざ振り向かなくてもいいんだけど、ここでほんの少し声があがった。
それはなんて言ってるのか判らないほどで、千香に似た女の辺りと舞台袖から・・・ムカッとして横目で睨んだが、誰が何を騒いでるのか全然判んねぇ。

人が喋ってるのになんだ?ってだけで、表面上は何食わぬ顔して話を進めた。


「高取焼は福岡県直方市にある鷹取山の麓で生まれたもので、朝鮮出兵の際に黒田長政が陶工である八蔵重貞を連れ帰って焼かせたのが始まりと言われております。
私が特に気に入っておりますのが、この16代目の作品でして・・・」


ザワザワ・・・っとまた声が聞こえる。
気分が削がれるんだけど、と思いながら平然を装って話し続けたが、俺としては間違ってもないし進行に問題もない。一体何が不味くて騒ぐヤツが出てるんだ?

先代は耳が多少遠くなってるのか不思議そうな素振りも無いが、司会者は気が付いている。
さり気なく会場を見回した後、後ろに控えている京都支部の誰かとコソコソ話してやがった。


「・・・このように同じ釉薬でも火加減によって色や模様が色々変わるんです。陶芸というのも科学ですね。是非、お近くに行かれることがあったら窯元を見学されたら宜しいですよ」


・・・なんだかイマイチだったが第1部が終わった。


「それでは次に千利休と古田織部のお話に移りましょう。まずは関係図がございますのでモニターでご確認下さい」

そう言えばスクリーンには俺が作った資料が映し出された。
今度は舞台袖を走る奴が目の端に映った・・・なんなんだ!!この俺が講演してるってのに💢!




********************




会場には正面入り口と左右に非常口があるみたい。
会場案内図を見ながらその位置を確認し、さっきの男性が座ってる右側の非常口に向かった。

そこには係の人が居て「ここからは入れませんよ?」と言われたけど、「西門の者で、すぐ近くに座ってるお客様に伝言があります」、そう言うと渋々入れてくれた。


「入ったら暗幕があります。それを余りバタバタさせないで下さいね?もう講演は始まってますから」
「はい、判りました」

「まぁ、黒のスーツだから目立たないだろうけど・・・ホントに困るんですからね?」
「ごめんなさい。若宗匠に言われたものですから」

「音を立てないようにお願いしますよ?」
「判ってます、では、失礼!」

非常口を少し開けて中に入ると、本当に暗幕があって外の光りが入らないようになっていた。
それでも会場は照明があるから明るい・・・こんな場所から姿を現すと本当に目立ちそうだったから、壁にへばりついて男性の少し後ろまで向かった。


その人の表情は見えないけど足なんて組んで態度悪い・・・他のお客さんに比べて品がないのがすぐに判った。
それに片手を服の中に突っ込んでモゾモゾしてる。真後ろの人だと椅子の背もたれで気が付かないだろうけど、私は壁際にしゃがんでいたからその様子が少しだけ見えた。

何もしないならいいんだけど・・・そう思っていたら司会者が総二郎の名前を呼んで・・・・・・あれ?出てこない?


と、一瞬驚いたけど、少し間をあけて総二郎が席を立った。
なんなの?今の変な間は・・・。


『皆様、こんにちは。只今ご紹介いただきました西門総二郎でございます。本日はようこそおいで下さいました、お会い出来て嬉しく思います』


流石総二郎・・・いい声してるわぁ・・・

なんて言ってる場合じゃないって!
久しぶりに見る恋人の勇姿はこの際置いといて、私の仕事はその恋人の仕事をキチンと終わらせること・・・そう思って、耳は総二郎の声を聞くけど、目では男性の動きを見つめていた。
少しでも変な行動をしたらここから阻止しなきゃ・・・!


『本日は高取焼と言うものをご紹介しましょう。それではスクリーンに映せますか?』

総二郎の言葉にドキッとして、少し身を乗り出してスクリーンを見た!
でも映ったのは高取焼・・・やっぱりCD-Rはあれで良かったんだと一安心。はぁ、とついた溜息に少し後ろの席の女性が変な顔したから慌てて壁に同化した。

でも何処かからザワザワした声も聞こえる。
それは私の居る場所の反対側のような気がしたから、騒ぎだす予定の女性が狼狽えてるのかもしれない。それはここからじゃ判らない。

でも、明らかに男性の方もソワソワし始めた。
女性が騒いだ後でこっちが暴れる計画だったもの・・・だからこのまま大人しくしてくれればいいけど、と手に汗握ってしゃがみ込んでいた。

その時・・・


『それでは次に千利休と古田織部のお話に移りましょう。まずは関係図がございますのでモニターでご確認下さい』

総二郎の声が聞こえた瞬間、男性が呟いた!


「くそっ!話が違うじゃねぇかよ!!」

その台詞を言い終わったと同時に席を立ち上がり、ずっと服の中に突っ込んでいた手を出したら、そこには光るものが・・・!
まさか刃物?!と驚いたけど、男性が飛び出したと同時に近くでは「きゃああぁーっ!」と悲鳴があがり、男性はそのままステージに向かう階段を駆け上がろうとした!

驚いた総二郎もこっちに顔を向け、司会者も唖然!
私はへばりついていた壁を突き放すようにして飛び出し、男性の後を追った!


「この野郎!くたばりやがれ!!」

男性の声が会場内に響いた!


「総二郎ーっ!!
逃げてーーーっ!!」







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Comments 4

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2020/01/22 (Wed) 16:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。


「了解しました!
射程距離確認、準備完了、標的照準合わせました!」

「よし、(撃)てーーーーーっ!!」

ギュ!ギュギュ!!


「あれ?○○から○○が出ません、隊長!!」
「もう少し強く握れ!」

「了解っ!!」

ギューーーっ!!!!!!


・・・・・・・・・・・・ポタっ・・・

「隊長!先ほど出し尽くしたようです!!」
「くっそーーーーー!!」



なんの話よ・・・・・・・・・。

2020/01/22 (Wed) 21:56 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/23 (Thu) 00:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!ごめん💦悪ノリした💦

笑ってもらえて嬉しいわ~♡
うんうん、半分こしようか?(笑)

ぽたっ・・・の半分♡
10歳若返ります、みたいな(笑)

2020/01/23 (Thu) 21:51 | EDIT | REPLY |   

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