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plumeria

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久しぶりに入る総二郎の部屋・・・そこに入ったら彼は着替えてくると言ってお洒落な洋間の奥にある和室に向かった。

目の前にあるのはローソファー・・・とても着物じゃ座れない。
椅子はないのかなって思ったけど見当たらない。仕方なくドーンと中央にあるキングサイズのベッドの端っこに座った。


そして何故か目がグルリと部屋を見渡す。
そんなつもりはないんだけど女性を匂わす物がないかと・・・でも、小難しい本やバイク関連の物はあるけど色っぽいものは見当たらない。
よくドラマにあるような女の忘れ物とか長い髪の毛とか・・・って、振り向いてベッドの枕元をジッと見てしまった。


「何してんだ?」
「はっ!」


枕に顔が付くぐらい倒れ込んで見ていたら背中から声が聞こえた!
慌てて起き上がると・・・着物に着替えた総二郎が立ってた。

それはいつものお稽古着じゃなくて所謂正装・・・濃紺だったけど紋付きの羽織袴だ。
あまりにもその姿が綺麗だったから見惚れて身体が固まった。でも彼の方は眉を顰めて私を睨んでる・・・どうしたのかと思ったら、思いっきり振袖を着崩していた!


「うわぁっ!ごめんっ!」
「そんなに身体を捻ると崩れるに決まってるだろう!何してたんだよ」

「別に、な・・・何もないよ」
「女の髪の毛なんてなかっただろ?」

「うん・・・えっ!どうして判ったの?あっ・・・」
「女がそんな事するのは浮気調査って決まってるからな」


そう言ってまだ倒れ込んでる私に手を差し伸べた。
確かに着物に帯締めてると何処に力入れて立てばいいのか判んない。総二郎の手を取って起き上がったら、さっそく着崩れた所を直された。
その時も別に怒ったりはしない・・・それが逆に気不味くて、何処を見ていいのか判らなくなった。


どうしてそんなに優しい顔してるんだろう・・・?
しゃがみ込んで手直ししてくれている総二郎を見下ろしてたら、その目が凄く落ち着いて見えた。いつもならこんな時、少し鋭い表情を見せる人だったのに。


「よし、こんなもんかな」
「ありがと・・・」

「いや、ヤキモチ焼いてくれるぐらいだから感謝しねぇとな」
「ヤキ・・・違うから!」

「じゃ何してた?まさか俺のベッドが恋しくなったとか?それならマンションの部屋、一緒にすればいいじゃん?」
「結構ですっ!自惚れ屋!!」



その時、廊下側から女の人の声が聞こえた。

「12時になりましたら客間へお越し下さい」

それで一気に緊張して、総二郎の着物をギュッと掴んだ。
これから向かう先には家元、家元夫人、何処かの令嬢が居る・・・この緊張感は道明寺の時に似てる。
いきなりドジって「あなたには無理ね」って言われたら・・・・・・


「どうした?」
「いや、やっぱりさ・・・私じゃダメなんじゃないの?ここの家族になるなんて考えられないけど?」

「空を飛ぼうとしたんだからなんでも出来る。あの時を思い出したら、こんなの大した事じゃねぇって」
「だからそれはさ、瞬間何もかも終わらせようとしたから出来たことであって、これからするのはここでのスタートラインって事でしょう?意味が違いすぎ!それに味方なんて居ないし」

「俺が居るだろ?どこが不足だ?」




************************




つくしが俺の枕を調べてたのを見た時、何故かすげぇ嬉しかった。
あれだけ拒否ってながら、こいつの中に少しは俺が残ってる・・・そう感じたから。

それよりも思いっきり身体を捻ってるから襟元も帯下も着崩れて、そっちの方が可笑しかった。やっぱりこいつには着物での生活は無理・・・俺は次期家元を降りて正解だったと思った。
つくしを雁字搦めにするところだった・・・着物を直しながら何度も「これで良かったんだ」と自分に言い聞かせた。


言い聞かせた?
・・・・・・チクリと胸が痛むのは何故だ?


瞬間感じた違和感をつくしに悟らせないように感情を押し殺した。
何も言わずに淡々と手直しをすると、こいつも俺の様子がいつもと違う事を感じ取ってる気がする・・・それでも無視した。

俺は自分から次期家元を手放したんだ・・・後悔はしていない。



12時前になり、少し緊張したつくしを宥めて部屋を出ようとした。

その時に「味方なんて居ないし」と言ったつくしに「俺が居るだろ?」・・・そう言うと再び顔が真っ赤。茹で蛸みたいになって、これが和装メイクじゃなかったら速効唇塞ぐのに、なんて思った時には指の方が勝手に動いてた。

潤んだ目が煽ってるって分かんねぇのかな。
困った顔はもっと煽るって知らねぇのか?
それもこれも全部引っくるめて、お前は俺を焦らせるって・・・顎に掛けた指がつくしと俺の距離を縮めた。


メイクのせいで深くは出来ないキス・・・でもスルリとこいつの唇を割って舌を滑り込ませたら、つくしは拒まずに応えてくれた。



「・・・落ち着いた?」
「・・・ん」

「言っただろ?俺はここの跡取りじゃない。お前がそこまで緊張しなくてもいいから」
「・・・う、うん」

「じゃ、行くぞ」




************************




「じゃ行くぞ」なんて言われたけど、ハッと総二郎を見れば・・・


「ちょ、ちょっと!付いてるわよ・・・!」
「は?何が?」

「く、口紅!和装用だから真っ赤っかなのが・・・」
「あぁ、忘れてた」


慌ててティッシュを手渡したら口元を拭いて、鏡で自分が確認すればいいのに私に向かって「取れた?」って笑う・・・その顔、反則だから!って背中を叩いたら「痛ぇ!」って声を出した。
でもやっぱりクスクス笑う・・・もう、どれが総二郎の本当の顔か判んなくなる。


長い廊下を再び総二郎と並んで歩き、途中ですれ違う使用人さんやお弟子さん達はスッと脇に避けて頭を下げる。私はその都度軽く会釈して通り過ぎるけど、総二郎は無視・・・こういう部分はホントはあまり好きじゃないけど、このお屋敷で育ったんだから仕方ない。

せめて私だけでも、と思いながら愛想笑いを作って内股で歩き続けた。
いやいや、偽物の婚約者ですけどねーってのは自分の胸のうちでだけ・・・でも、何故かソワソワしてる。



暫く進むと志乃さんがとある部屋の前で待っていた。

あそこが恐怖の客間・・・確かに欄干や障子が他の部屋より豪華で、その廊下から見える石庭は実に見事なもの。宗家でも特別な時に使う部屋なんだろうって想像出来た。
そして私達が部屋の前まで来ると「お見えになりました」、と志乃さんが声を掛け、中から低い男性の声が聞こえた。

「お入り」

心臓がドキーーーン!!と鳴った!
これが家元の声?総二郎のお父さん・・・そう思っただけで心臓が矢で射貫かれたみたいに痛かった。


「家元、失礼致します」

今度はバクン!!と自分の何処かが爆発した!
総二郎のド真面目な声、ヤバすぎる・・・!



誰か・・・誰か、助けてーーーっ!!





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2020/03/25 (Wed) 18:06 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは~!
お久しぶりです~♥

コメントありがとうございます。
拍手コメにもいつもありがとうね~♥


何とか忙しいのが終わったんで(笑)
もう毎日ドタバタしてて、とてもお返事出来そうになかったから閉じていました💦ごめんね~!
娘に仕送りしなきゃいけないほど仕事がなくなってるのに、私の方も色々仕事が止まってね・・急遽バイトみたいな事をしてるんですよ(笑)

ちょっと慣れてきたから総ちゃんだけコメント戻してみました♥



うふふ♥
仲が良いんだか悪いんだかさっぱりな2人ですが、ニヤニヤしていただけたら嬉しいです♥
どっちかって言うと総ちゃんがベタ惚れみたいな感じでしょ?

なんかさ、世間がこんなに暗いのに、類があんな話だから申し訳なくて(笑)
コロナより類の話の方が先なんだけど、マジで時期が悪いわ~💦
暫くは楽しい話中心にしないと読者さんも嫌だよね💦

何とか止めずに頑張りたいと思う今日この頃・・・少ない体力と闘っております!!




2020/03/25 (Wed) 20:06 | EDIT | REPLY |   

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