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急に固まった俺の事は放っておかれて、話は間島一族と高木の処分についてに移った。
それを下せるのは先代だけ・・・だから俺は黙っていたが、胸の中ではこれまでの「新しい家族への夢」が音を立てて崩れていくのを感じて放心状態だった。

つくしはそんな俺の横で「大丈夫ですか?」なんて聞いてるが、顔色も至って普通に戻りキョトンとしている。
今、この場で「こっちの真相」を聞きたかったが部屋の空気はそれどころじゃない。いつになく険しい顔の先代が背筋を伸ばし、並んでる人間に処分を言い渡すのを聞くしかなかった。


「間島さん、あんたには長いこと世話にもなったし親戚でもあるから多少の事は見逃しておったが、この度の事は許せるものじゃない、それは判るな?」

「・・・・・・・・・」

「宗家を大昔のように京都に戻そうと考えておるらしいが、本当にそれが西門流を考えてのことじゃったのか?私利私欲の為にそうしたかったのではないのか?!
残念だが、お前さんには支部長を外れてもらい、剛も千香も今後一切西門に関わる事を許さん!高木は本日をもって一乗寺を出ること、そしてお前も当家に関わる事を許さん。一乗寺が隠居の終の住処だからと言って舐めるではないぞ?暫くはお前達を監視させ、妙な行動を取れば容赦せん!!」


まぁ、それは至極当然。
項垂れた間島の爺さんと剛に、憮然とした高木。

薬を盛られた事が傷害事件にはなるが回復してるし、着物を隠されたことも細かく言えば窃盗罪かもしれないが保管されているから手元には戻る。
強いていえば着物を買わされたぐらいだが、そのぐらいの事で西門が騒ぐなんて出来ない。嘘の部屋を教えられたことなんて、それで西門に不利益が生じれば別だが、茶事も滞りなく終わったし罪の問いようが無い。

つくしを監禁したと言ってもその日のうちに帰されてるし本人も元気・・・・・・ここが1番の問題だけど。


此奴らに取って1番痛いのは西門と縁を切ること。
大した家業もしていないのに、此奴らが派手な暮らしをしていたのはおそらく京都支部の金だろうからな。


「もう一つ聞くが、東京での事もお前等か?」

俺が聞くとその質問には間島の爺さんと高木が「なんの事だ?」と呟き、剛だけが視線を逸らせた。
それを見て剛の前に立ち、見たくもねぇ面を睨んだ。


「何か知ってんな?もしかしてこれはお前単独の行動か?」

「・・・・・・・・・」

「言わねぇ気ならそれでもいいが、つくしを襲った事件は警察にも届けてある。お前の情報を教えて調べれば、証拠の1つぐらいすぐに出てくるかもしれねぇけど?」

「剛、なんの事や?」
「総二郎、つくしちゃんの事件ってなんじゃ?儂はそんな報告は受けておらんが?」


間島の爺さんは剛を見上げ、先代は俺とつくしを交互に見て首を傾げる。高木もこの話の時はなんの反応もない・・・ってか、無視して目を閉じてやがった。
剛だけが微かに口元を引き攣らせ、身体の横に落としてる手を拳にした。


「・・・東京でつくしが4回も狙われたんですよ」

「つくしちゃんが?総二郎じゃなくてつくしちゃんがか!?また、どうして・・・」

「狙った理由は犯人じゃないと判りませんが、1回目は収録スタジオで照明を落とされ、2回目はホテルの階段から突き落とされそうになりました。3回目が役員の屋敷前でバイクに轢かれそうになり、最後は刃物入りの郵便です。
おい、剛・・・お前じゃねぇならはっきりそう言えよ」

「・・・・・・・・・・・・」

「剛、まさかお前・・・最近東京に何度か行ったようだったが・・・」
「総二郎なら難しいがつくしちゃんなら狙えると思うたか!!女子おなごを狙うとは・・・なんと卑怯な男じゃ!」

「言わねぇなら仕方無い。せめて指紋の1つでも残してもらおうか、それと・・・」

「あぁ、そうだ!俺がやったんだよ!!人に頼んでこの女を・・・」
「・・・・・・!!」


急に大声で犯行を認めた剛。その太々しい態度に腹が立ち、最後の言葉が終わらねぇ内に、渾身の力を込めた拳を此奴の左頬に向けて放った!!
大柄な剛だか至近距離で俺の拳を受けたから吹っ飛んでいき、そこら辺のパイプ椅子を薙ぎ倒して床に転がった!


「若宗匠、止めて!!」
「うるせぇ!お前がやられたんだ、それだけは絶対に許せねぇ!1つ間違えたら命だって危なかったんだ!」

「でも無事ですから!もう止めて・・・若宗匠の手が傷つきますから!!」
「俺の事はどうでもいい!離れとけ、つくし!」

「怪我も綺麗に治ったんだからいいんですって!若宗匠、落ち着いて!すぐに血が上るのは若宗匠の悪い癖ですよ!」
「馬鹿野郎、お前の為に・・・!」

「そう思うなら私が殴ります!それでいいでしょ?!」


「・・・は?」




************************




総二郎が私の為に怒ってくれた。
それはすごく嬉しかったけど、放っておいたら次に何するか判ったもんじゃない。
間島さんと高木さんしか居ないんだから本当は暴れたっていいんだけど、やっぱり先代に孫息子が人を殴るところを見せちゃいけない、そう思って必死に止めた。

それでも総二郎の気が収らないから出ちゃった言葉は「そう思うなら私が殴ります!それでいいでしょ!」・・・って、私が殴るんだ?って言ったあとで驚いた。


「・・・判った。じゃあお前の気が済むようにしろ!」
「はい・・・(ひえぇ~~~!本気で殴った事なんてないのに~!)」

クルリと総二郎に背中を向けて深呼吸・・・目の前には崩れ落ちたパイプ椅子に凭れ掛かった剛さんが唇を切って、そこから血を出してた。
でも私だって怪我したんだもん。それに見えない敵に怯えて怖かった。
だから目の前に行って膝をつき、剛さんの真正面で左手を上げた。


「剛さん、理由は後で聞きます。で、これはスタジオで怖かった分です」

パシッ!!

「これがホテルで危なかった時のです」

パシッ!!

「これは刃物入りの郵便でみんなに心配掛けた分です」

パシッ!!

「・・・そして1番怖かったバイクの怪我の分は若宗匠が殴ったのでチャラにします。痛かったでしょ?私はもっと怖くて痛かったです。2度とこんな卑怯な事をしないで下さい!」


総二郎が左頬を殴ってるから私は左手で剛さんの右頬を3回、力は込めたつもりでも総二郎の半分にも満たない。だから多少赤くなった程度・・・それを見て「甘いなぁ・・・」って声が聞こえた。
甘いかもだけどそれでもいい。これで事件が終わるんなら万々歳よ!

最後に総二郎が理由を聞いたら・・・


「理由なんて同じですよ。女秘書が狙われれば若宗匠の周辺を調べられてスキャンダル的なネタが挙がるだろうとね・・・。
それにこの秘書に何かあったら仕事を全部放置するだろうってぐらい逆上せ上がってることも調べたんだ。だからどっちにしても若宗匠が仕事出来なくなって関東西門が狂い始めたら京都が救えばいい・・・まずは評判を落としたかっただけですよ」

「成宮雪乃と清水真凜、此奴らに何か吹き込んだのか?」

「あぁ、あのお嬢さん達か・・・。
あの子達はやたら喚き散らして五月蠅いので作戦の邪魔になるかと思いましてね。そのうち秘書のスキャンダルで総二郎様が苦しむかもしれないからその時に力になってあげて下さいと頼んだんです。兎に角家元や家元夫人の心証を害さないように、総二郎様のお心に残るような言動をするように、とね」


それで態度を急変させたのか・・・それまでの事を棚に上げて?
阿呆くさっ!そんな事でこの俺の気持ちが揺らぐとでも思ったのか?逆に裏表を見たようで気持ち悪いけど?!


「それにしちゃ俺達のスケジュールをよく知ってたな。誰か本邸内にスパイでも居たのか?」
「・・・まぁ、そんなところですよ。お戻りになったら調べたらいかがです?」

「なんだと?言わねぇ気か?!」
「・・・・・・ふん!」


この後、剛さんは薄笑いを浮かべるだけで何も言わなかった。
でもこれで私に攻撃する人も居なくなるわけだし、西門の内部事情も何処にも漏れない。だから良しとしようと総二郎を宥めた。


「もう顔も見とうない!さっさと出ていけ!」

先代がそう言うと3人が立ち上がってショボショボとドアに向かい、そこを開けると泣き顔の千香さんが立っていた。
今の会話を聞いていたのかもしれない・・・真っ赤な目で総二郎を見ていたけど、総二郎は完全無視。寧ろ背中を向けて拒絶のサイン。
千香さんは間島さんに背中を支えられてドアから離れ、最後に高木さんが冷めた顔でドアを閉めた。


「・・・やれやれじゃのう、総二郎。儂ゃ疲れたわい」
「・・・ですね。私も疲れまし・・・・・・・・
いや、そうじゃなくて!・・・つくし、ちょっと来い!!」

「はっ?私が何かしました?!」



やっと静かになったのに急に大声出して私の腕を掴み、先代を警備室に残したまま控え室の方に引っ張って行かれた!

待って?!
私、何かやらかした?!


そ、それとも我慢出来ないとか言うんじゃないでしょうね?!






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Comments 2

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2020/01/26 (Sun) 21:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

ははは!目が覚めたのはいいけど、今度は寝せないという(笑)
困りましたね~、総ちゃんのスイッチがもうすぐ入りそうですね~!

そうして私が寝不足になるんですよね・・・・・・見直しで疲れそう💦やだ~~~~💦


パスしていいですかね?

2020/01/26 (Sun) 23:30 | EDIT | REPLY |   

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