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plumeria

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「じゃあ関係代名詞の勉強ね。例文は『The boy is my brother』と『He is playing soccer』、この2つの文を使って説明するわね。まずは2文目の代名詞Heを・・・」


国文科のつくしだったが、英語は道明寺と付き合っていた時に無理矢理勉強させられたおかげで、中学生に教えるぐらいの語学力はある。
だから週に数回、基礎的な英語の家庭教師もしていた。
その日も中間テスト前の女子学生の勉強を見ながら、頭の中では類が言っていた引っ越しが気になっていた。


「このHeを関係代名詞whoまたはthatに変えるんだけど」
「あっ!牧野先生、雨みたい」

「えっ?うそ・・・」
「ほら、窓に雨が」

生徒に指で指された窓を見ると、確かに雨が降っていた。
昼間は天気が良かったのに・・・と思ったが天気予報の確認もしていなかったから傘など持ってきていない。困ったな・・・と思ったのも束の間、今日はここに迎えが来るんだったと思い出して顔が熱くなった。


「どうしたの?先生、顔が赤いけど」
「えっ!何でもないよ、さぁ、勉強勉強!」

「変なの~!」
「変じゃない。みっちゃん、今度の試験頑張らないと高校受験まであっという間だよ?」

「は~~~い!」

そう言うつくしが何処まで話したか忘れて生徒に聞く始末。お互いにペロッと舌を出して笑いながらの勉強が続いた。




家庭教師が終わった午後7時半。

玄関前で傘の心配をされたが恥ずかしそうに「迎えが来ますから・・・」と言えば母親まで興味津々で玄関に立っている。そこに類の車が丁度到着して・・・当然悲鳴があがる。
何故なら類がわざわざ傘を差して車から降りたから。

その上つくしではなく類が親子に挨拶し、濡れないように肩を抱いて車まで連れて行くものだから恥ずかしさは倍増・・・と言うか、次にこの家に来た時の質問攻めが怖いと溜息が漏れた。


「もう・・・過保護だって!」
「何処が?濡れたら風邪引くかもしれないじゃん」

「たった数歩歩くだけならそんなに濡れないよ。この車が汚れる・・・かもだけど」
「車なんてどうでもいいけどあんたが濡れるのはイヤだ」

「はぁ・・・そうですか」
「うん」


人はこうも変わるものなのか・・・と、つくしは濡れもしなかった身体をシートに埋めたが、逆に類の右肩はずぶ濡れだった。
つくしを傘に入れたために自分の身体は雨に濡れてしまったのだ。慌ててハンカチを出したけど「そんなに濡れてない」のひと言で車を発進させ、アパートに向かった。


雨は随分酷くなった。
車の窓硝子を流れる水滴が真横に流れ、信号で止まった時にはお互いの声が聞き取りにくいほどの雨音が車内に響く。
傘を忘れた人が目の前の横断歩道を走っていくのを見ると、自分もああなるはずだったのだと天気予報を見なかったことを反省した。


そのうち狭い道に入り、つくしのアパートが見えてきた。
スピードもかなり落としてゆっくりと真下まで行き、階段の真横で停止。街灯で照らされる雨の糸がキラキラと光っていた。


「牧野、今から移動するから大至急必要なものを揃えてくれる?俺も上に行くから」
「え?本当に今から行くの?何処に?」

「それは後で説明する。心配しなくていいよ、吃驚するようなマンションじゃないから」
「アパートじゃなくてマンション?」

「ん、兎に角急ごう。そろそろ勉強も本腰入れないとヤバいんだろ?落ち着く場所に住まないとね」
「・・・・・・ははは、だよね~」


ここでも類が傘を差して助手席に回り、つくしが濡れないように車から降ろした。
狭い階段を2人で並んで駆け上がり、2階の通路に辿り着いてから漸く傘をたたんだ。

その時に類が見つけたもの・・・つくしの部屋の前まで続いている濡れた足跡だった。


「類、どうかしたの?」
「・・・今日宅配の予定か、誰か来る事になってた?」

「ううん、ここには誰も来ないわ。新聞だって取ってないし大体宅配なんて私が・・・・・・えっ?」


類の視線から、つくしも漸く自分の部屋の前にある足跡に気が付いた。
それは男性のものに見える・・・少なくともハイヒールの類いではない。底が平たいもの・・・そしてかなり大きい。
しかもまだ形がくっきり残るほどの足跡だから時間があまり経ってないと想像出来る。

慌てて類が階段下を覗き込んだけど人の気配はしない。物音も声も聞こえなかった。


「牧野、取り敢えず中に入ろう。合鍵、渡してないんだったよね?」
「う、うん・・・」

「まさかと思うけど貸したことは?」
「ううん、そんな事してない」

「・・・じゃあ大丈夫か。兎に角開けて?俺が先に入るから」
「判った・・・」


つくしが震える手でドアを開けると類がそのドアノブを回してガチャ、と開けた。
その時も当然片手はつくしの肩を抱き、部屋の中と外、両方に神経を集中させて耳を澄ませる。空気の流れを感じず、人が居ないと判断するとつくしを中に入れ鍵を掛けた。


つくしは恐る恐る部屋に入り電気をつけたが変わった様子はない。

でもそこは用心深い類の事、唇に指を当て「喋るな」の合図をした。
そしてスマホを取り出し、メモ欄を使って文章を打ち込みつくしに見せた。


『大丈夫だと思うけど盗聴器を仕込まれていたら困るから声を出さないで』

それを見て目を大きくしたつくしだが、すぐに首を縦に振った。

『また荷物は取りに来ることも出来るから必要最低限のものを揃えて』

つくしは再び大きく頷いてすぐに鞄を用意し、大学の教科書の類いやファイルを準備。
その後で着替えを数枚出して別の鞄に詰め、小さな引っ越し荷物は4個・・・それを類が手に持ち、つくしは鍵を掛けた後で傘をさして類の後を追った。


車に乗り込んだら2人共がハァハァいいながらつくしの部屋の窓を見上げ、その後は周囲を見回した。
時間はもう8時半だから真っ暗で何も見えない。しかも雨が降る続いてるから尚更だ。


「・・・もう喋ってもいいよ」
「・・・はぁ、驚いた・・・・・・でも、そうなのかしら」

「他に考えられる?この時間にだよ?」
「・・・でも電気がついてないのに」

「待ち伏せたのかもしれない・・・それは判らないよ。でも明らかにあんたの部屋に向かって立ってる足跡だった」
「怖い・・・」

「心配するな。でもこれで判っただろ?もうここには住めない」



そんなに酷い事をしたのだろうか・・・つくしは仙道の顔を思い出して身が竦んだ。
自分だけならいいけど、類にもしも何かされたらと思うと恐ろしくて唇が震える・・・その想いはすぐに類に伝わり、硬直した身体を抱き寄せられた。


「馬鹿だね・・・あんたは1人じゃないんだから」





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2020/01/30 (Thu) 07:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

ははは・・・ラブラブなのにお邪魔虫の気配がプンプンで💦
私、学生に時に殆どバイトした事がなくて、このバイト先に彼が迎えに来るってシチュエーション、好きなんですよ(笑)
1回やってみたかった💦

って、女子校だったし彼氏なんていませんでしたけど(笑)

妄想って良いですよね♥
自分が出来なかった事を二人にさせています・・・むふふ!

2020/01/30 (Thu) 16:09 | EDIT | REPLY |   

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