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お茶会は順調に進んでいった。

私も何度か運ぶと草履で歩くのも慣れてきて、総二郎が続けてお茶を点てるからそのお茶碗を出すタイミングも判ってきた。
半東さんの仕事は多いし、お客様達も心得てるみたいで私に話し掛ける人はそんなに居ない。動きを見られてる感はあるけど、今のところ粗相はしてないし何とか上手くやってる気分だった。

総二郎もたまに小さな声で「サンキュ!」なんて言うし、私はお客様に見えないように袖の下でピースサイン・・・少し余裕が出てきた頃だった。


周りを見たら流石家元のお茶席には落ち着いた感じのお客様が多く、家元夫人のお茶席には婦人会の方が多いみたい。
端っこでお茶を点ててる弟の孝三郎君のところには若いお嬢様達でなんだか華やか・・・って総二郎のお茶席には色気たっぷりのお嬢様でムンムンしていた。

やれやれ・・・なんて眉を顰めていたら、そこにあのお爺ちゃんがやってきた。

やっぱり後ろには成宮雪乃さんがいる。
もしかしたら雪乃さんのご家族かしら?お父様にしちゃ老けてるからお爺様とか?総二郎の後ろに控えていたら、彼もそのお爺ちゃんに一礼して、他の人は1番前の席を譲った。


あら、どうしてそんな特別待遇?それに色んな人が挨拶してる・・・もしかして凄く有名な人なのかしら?
それともお爺ちゃんだからかな?って視線を送ったら、お爺ちゃんが私に手を振った。だからつい手を振り返したら、振り向いた総二郎にすっごい目で睨まれた!

不味い・・・他の人にも見られてるんだったと手を下ろしたけど、雪乃さんだけは怖い表情。
一時期お上品にしていたのに、もう元に戻ってしまったみたい。
間島さんと連絡が付かなくなったからかもしれない。あのままお淑やかなお嬢様だったら良かったのに・・・と、水屋にお茶菓子を取りに行く時に溜息をついた。


この2人の登場で少し頭がこんがらがったけど、この後も総二郎のお点前は変わらず続いてて、私は点てたお茶を持ってお爺ちゃんのところに向かった。
その時の総二郎のひと言・・・「絶対に失敗すんなよ?」

「・・・えーと?」
「いいから!お待たせするな、丁寧にお渡ししろ」

「・・・はい」
「間違えるなよ」


そう言われたら意識して間違えちゃうそうだけど・・・って思っていたら、お爺ちゃんの前で急に雪乃さんが立ち上がったから驚いて少し後ろに身体を反らせた。
でも彼女が着物の袖を大きく振ったから手元に当たって、お茶がお爺ちゃんの着物に・・・!

その辺の人達が少し声をあげて、総二郎も驚いて椅子から立ち上がった!


「申し訳ありません!熱くなかったですか?大丈夫でしたか?」

「いや、少ししか掛かっておらんよ」
「嫌だわ、危ないじゃないの!堂本のお爺様、火傷などしていません?」


火傷するような熱湯じゃないでしょーがっ!!・・・とは言えないけど。


「本当に申し訳ございませんでした。お着物に染みが出来たらいけませんので奥のお部屋に・・・私がご一緒します」

「いやいや、そんな心配は・・・」
「まぁ!お爺様、手が少し赤くありません?これだからお作法もろくに知らない人って嫌なのよ。周りをよく見ずに動くからこんな事になるのよ?よくそれで総二郎様のお手伝いが出来るわよね、厚かましいったらないわ!」

「・・・も、申し訳ありません。私の・・・不注意でした」


だって、あんたが急に立ち上がったんじゃないのーーっ!!
それに態と袖をぶつけたくせにっ・・・って声はやっぱり出せなかった。


ここは総二郎のお茶席・・・私の不手際はそのまま彼の責任にされちゃうから。
だからグッと我慢して深く頭を下げた。


誰にも見られないように唇を噛み締めて・・・!💢




************************




偏屈ジジィの堂本会長が俺の茶席に来やがった。
しかも昔から孫のように可愛がってる雪乃を愛人みたいに侍らせて・・・なんて、思うが表情には勿論出さない。にこやかに迎えて、周りの連中も会長を知ってるから最前列の席を譲った。

普通ならそんな事はしないが、ここは長年後援会長をしてるから堂本会長も遠慮なんてしない。当たり前のように1番前に座って、俺から丸見え状態だった。


って事は次の茶は会長のもの・・・だからって緊張はしねぇけど、持って行くつくしの方がキョトンとしていた。さっきも会長の所に行ってたけど、まだ紹介してねぇから知ってる訳はねぇよな?
先代とも仲良くなってたが・・・まさか年上好きって事はねぇだろうし。いや、離れ過ぎてるだろ。

でもこの人相手に絶対にミスは許されない。
堂本会長が俺の茶席に来たのは俺の茶よりもつくしを見るためだ。雪乃と比べてやろうと態と連れて来やがったな?


「絶対に失敗すんなよ?」

「・・・えーと?」
「いいから!お待たせするな、丁寧にお渡ししろ」

「・・・はい」
「間違えるなよ」


って言った直後、雪乃が行動に出やがった!
今のはどう見ても雪乃が態とつくしにぶつかったんだ。それは周りも判ってるが、相手が相手だけに誰も何も言わない。会長ですら「今のは雪乃のせいだ」なんて言葉は出さねぇから、急いでつくしの所に向かった。


「堂本会長、大丈夫でしたか?大変失礼致しました」
「・・・会長?」

「おぉ、若宗匠。いやいや、儂は別になんともないよ?着物が少しな・・・このぐらいどうって事はないからご心配なく」

「いえ、そういう訳には参りません。牧野がご案内致しますから、どうぞ奥の部屋でお着替えを」
「良いと言うのに。それよりもお茶をいただきたいがのぉ?もう1度点ててくださらんか、若宗匠」

「はぁ・・・ですが」


その時、横を見たら牧野が大口開けて立っていた。
それに驚いて「口閉じろ!」って言うと、また両手で口を押さえたが、そうじゃねぇっての!!
でも前を見たら会長は牧野を見てニコニコしてるし・・・なんだ?実は顔見知りか?

次に横を見たら俺達に無視されている成宮雪乃がすげぇ恐ろしい顔して牧野を睨んでいた。


「お爺様!どうして怒らないんですか?この人、私にぶつかった挙句、お爺様にお茶を溢したのですよ?こんな無作法な人、早く西門から出るように仰って下さい!」

「雪乃様、お声が大きいようです。皆が見ていますのでお静かに・・・桜の花も驚きますから」

「総二郎様!総二郎様も少し優しすぎるのではありませんか?こんな人がお側に居たらあなた様の評判が悪くなりましてよ?どうやら秘書は辞めたようだけど、今度は弟子気分?そんなに簡単な世界じゃありませんわよ?!」

「雪乃さん、弟子云々は宗家の問題です。あなたに言われることではありませんし、選んだのは私です。故に評判と言われるのでしたら全部私が受け止める覚悟ですが?」

「総二郎様!!」


次に喚いたら流石の俺も堪忍袋の緒が切れる・・・そのぐらいムカついていたら、堂本会長の大声が響いた。


「雪乃!いい加減にせんか!お前が態とこの人にぶつかったことぐらい判っておる!
若宗匠が自分を選ばなかったからと言ってみっともない真似をするでない!お前こそ下がりなさい!・・・うっ、ゴホッゴホッ!」

「大福餅のお爺ちゃんっ!大丈夫?!」



うわぁーーー!!
大福餅の爺ちゃん、言うなーーっ!!






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Comments 4

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2020/02/16 (Sun) 13:20 | EDIT | REPLY |   
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2020/02/16 (Sun) 18:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!また出た、清四郎💦マジで印象深かったのね(笑)
おかしいなぁ・・・ドマジで書いた話なのに・・・。

ここで雪乃ちゃん、オールアップでございます♥憎まれ役、ありがとう~!
そしてつくしちゃん(笑)大口開けてる場合ちゃいますって?!

総ちゃんの長ーい1日はまだ終わりません(笑)

2020/02/16 (Sun) 22:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

えっ!!この人を高木に?
実は高木のことが好きでしたね?(笑)
私は・・・ゴシゴシは遠慮致します(笑)

頑張って磨いて京都に届けてあげて下さい♥

2020/02/16 (Sun) 22:27 | EDIT | REPLY |   

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