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堂本会長がつくしだけと言うので仕方なく大寄せの場に戻った。
そうしたら親父とお袋がすげぇ心配そうに俺を見るから目だけで『心配するな』と合図したが、2人とも眉を顰めたまま茶を点ててる。
こんな桜の茶会は初めてだったが、俺も井上と交代して自分の茶席に戻った。

目の前にはカラフルなお嬢達が溢れてて、つくしが居なくなったからなのか皆上機嫌・・・それを見ると俺も眉を顰めたくなった。


再び元気を取り戻した雪乃に、負けじと横に並ぶ真凜。
それ以外にも何処かの令嬢が今にも食い付きそうな目で俺の目の前に・・・マジで気分が悪くなりそうだ。

でも兎に角点てていくしかない・・・ってんで、前を見ずに無心で茶を点て、上田に配らせていった。


暫く続けていたが、つくしたちが帰って来ない。
1対1で薄茶だけならもう終わっても良さそうな時間・・・でも屋敷から人が出てくる気配がなかった。だから再びここで井上に交代し、俺は茶室を見に行った。


つくしだけと言われたのだから廊下から行く事は出来ない。

それなら・・・と、庭から室内の様子を窺ってやろうと植木の間をしゃがみ込んで歩き、そこに近付いた。そうしたら楽しそうな声が聞こえてきて、それがつくしのものだと判った。
あぁ、盛り上がってんだな?とは思ったが、薄茶点前の最中にあれだけ笑うか?

不思議に思って、その庭の桜の木の横、キンメツゲの葉に隠れて中を覗くと・・・


「若宗匠の慌てるところも見てみたいものです。あの方は普段はなかなか本性を現しませんのでな」
「うふふ!意外とドジな部分もあるんですよ?」

「ほぉ!ドジな部分?あの方が失敗することもあるんですかな?」
「失敗っていうよりも思い込みが激しいって感じですかね?全然完璧じゃないんですが、そこがね~!」


待て・・・!!

何故薄茶点前をしてるはずが縁側で茶飲み友達風になってんだ?
つくしの手に今日の茶菓子が素手で握られてるのは見間違いじゃねぇよな?既に後援会長の茶碗も湯呑みになってるように俺には見えるんだが、高取焼の茶碗は何処行った?

黙って様子だけ見ようと思ったのに、あまりの光景に驚いて身体を起こしてしまった。
そうしたらつくしも会長も俺に気がついて会話が止まり、2人共が口に和菓子を突っ込んだ状態でこっちを見た。


「なにしてんだ?」

「ゴホッ!わ、若宗匠、戻って来たんですか?!」
「おぉ、もうそんなに時間が経ったかの?」

「・・・時間云々以前に、薄茶点前は・・・」

「あっ!えーと・・・それは」
「あぁ、ちゃんといただきましたぞ?それが終わってからのティータイムでしてな」

「ティータイム・・・?2人で?」

「あの、えっと・・・あはは、そうかも・・・」
「儂がお誘いしたのです。そんなに怖い顔をするものではございませんよ?若宗匠」


怖い顔をするつもりはねぇが、誰だって驚くだろうっ!
偏屈ジジィとド天然が一緒に縁側で茶菓子食ってたらっ!・・・と、言えずに仕方なく俺もそこに近付くと、つくしが「ここに座って~」と自分の隣を指さして暢気に笑いやがった。
そして手の平に乗っけた茶菓子を「食べる?」・・・首を横に振ったら自分で食ってやがった。

俺の記憶の中で後援会長と茶飲み友達したヤツはこいつが初めて・・・マジで頭が痛かった。


「あぁ、若宗匠」
「はい、なんでしょう。もう何も驚きませんよ」

「儂はそんなに意地悪で皮肉れ者でしたかな?若宗匠は儂に会うのがウンザリだとか・・・いや、そうだとしたら申し訳なかったですねぇ」
「・・・・・・・・・は?」

「いやいや、そんなに意地悪した覚えはないのですよ?若宗匠は儂にとっても孫みたいなもんで、楽しんでいただけなのですがねぇ?」
「・・・・・・・・・・・・いえ、私はそのようには・・・」

「牧野さんにも大人しくしとけと言われているそうですなぁ・・・気苦労お掛けして申し訳ございませんでしたねぇ。病院で牧野さんがそのように言われましたのでな、いつかお詫びしようと思っておりましたわい」

「・・・・・・・・・」


何を喋ったんだっ💢!!




**




桜の大寄せが終わったのは午後2時で、その後は役員達が大広間に集められた。
つくしは会合始めには同席せず母屋で待機、役員に説明が終わったら改めて紹介という形で控えていた。

でもあの騒動で印象はマチマチ・・・しかもやっぱり出てくるのはつくしの出自だった。


「普通のご家庭のお嬢さんが悪いとかって意味ではございませんが、やはりそれなりの教育を受けた方の方が・・・」
「今はそのような発言は時代に合わぬのでは?」

「西門に相応しいかと言えば微妙ではございませんか?」
「今は良くても将来のお仕事は中々大変ですからねぇ・・・先ほどの方に務まりますかどうか」

「お嬢様方の反感もあるようですし」
「いや、それを言えばどなたが選ばれても同じでしょう?」


予想はしていたがそんな声が聞こえてきて親父もお袋も困惑気味。
俺は平然と役員達を見ていたが、堂本後援会長と目が合うと・・・目を逸らすしかなかった。
そうしたら役員の1人が「成宮雪乃様が第1候補だったのでは?」と・・・それを聞いて全員が堂本会長に目を向けた。この爺さんがイチ押しだったんだから無理はない。

どう答えるんだろうかと、俺も逸らせていた目を会長に向けた。


「・・・確かに成宮家のお嬢様は儂も贔屓にしておったから西門に嫁いでくれるものだと思っておりましたがな」

「おお~、そうですよね?」
「やはりここは格式的にも成宮家で宜しいのでは?」
「美しい方ですし気品も備えておられるし」


気品があるヤツが大寄せで人に体当たりするか?しかもド派手な着物で桜に勝とうとするか?
茶席の意味よりも自分が目立つことを考えてるヤツに家元夫人が務まると本気で思ってんのか?

その前に雪乃に俺の子供は出来ねぇと思うけど。
多分・・・・・・多分反応しないと思うし(言い切ることが出来ねぇのは悲しいが)


「しかしながら成宮家のお嬢様では若宗匠のお茶がねぇ・・・ここまで美味くなったかどうかが問題ですわ」

「「「・・・・・・・・・」」」


「・・・お言葉ですが堂本会長、これまでそんなに私の茶は不味かったですか?」

「不味くはないですが、やはり刺々しい空気がね・・・息苦しさが伝わる茶席でしたからの。何処か自分本位というか、客との間に壁を作るというか、茶道が天職だとお思いなんでしょうかが反抗心もあるような雰囲気でした。
それが最近はなくなりましたから、それは牧野さんのお力なのでしょう・・・違いますか?若宗匠」


そう言って、まるで悪戯坊主のようにニヤリと笑いやがった。

・・・反抗心か。
まぁ、それに関しては反論出来ねぇな。嫌々やってた茶席もあるし、確かに自分本位だったかもしれない。
刺々しいは言い過ぎだろうが、自分の点前を見せつけてやろうという奢った気持ちがあったことも認める・・・世の中を面白いと思わなかったから、仕方なく茶碗を持ってた時もある。

だけど、今は違う・・・あいつと居るようになってから、確かに俺の中に変化がある。


「会長のお言葉通り、確かにそのような振る舞いをしていたように思います。
そしてそんな私の心を穏やかにさせてくれたのが彼女、牧野つくしなのです。彼女に出会いましてから何事にも本気でぶつかること、厳しさの中にも楽しさを見つけること、人との関わり方の大切さを学んだ気が致します。
ですからこの先も彼女に私を支えて欲しい、そう思っております。以前はそれが許されないと思っておりましたが、今では恥じることではなく、自分の成長のために必要だと感じております。

是非、牧野をお認めいただき、今後私同様にご指導いただけたらと思います」


親父、お袋共に俺と一緒に頭を下げてくれた。
役員達からの言葉はない・・・でも、会長が楽しそうに答えてくれた。


「では牧野さんをお呼びなさい。皆に改めてご紹介なさるがいい」





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2020/02/21 (Fri) 22:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

いつの間にかお茶碗も湯呑みに変わってるしね(笑)
でも縁側に座って茶菓子食べながらの方が美味しそうに思うけどね~💦

1回ちゃんとした茶会に行ったけど、お茶の味なんて覚えてないもん。
飲み方に緊張して余計に苦かったし(笑)

西門流じゃなかったからかなぁ?点ててくれたのもハゲた爺ちゃんでした。

2020/02/22 (Sat) 00:46 | EDIT | REPLY |   

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