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plumeria

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類達が調査を進めている頃、思いがけない人物が仙道に接触をした。


横浜の水族館に勤務する真田瑞希。彼女が都内に遊びに来ていた。
遊びと言っても都内の水族館の視察・・・自分の所とどんな違いがあるのかを見るのも仕事の1つだった。

瑞希は主にイルカの担当だったが、それ以外の魚の世話もしている。水槽内のレイアウトや環境設備では今日来ている水族館の方が最新式で、つい他の客が見ないような場所まで見てしまう。
参考になるところは記憶し、ほぼ1日をそこで使ってしまうほど彼女も海洋生物が好きだった。


そして視察も終わり、せっかくここまで来たのだからとぶらぶらと気儘に買い物中・・・ふと前方に目をやると、その顔がニコッと笑った。


「類君!久しぶりだね~!今日はこんな所に来てたの?」

「・・・・・・あ?」

「やだっ、忘れたの?私よ、横浜の水族館の瑞希・・・・・・って、あれ?類君じゃないの・・・かな?」


瑞希が類だと思って声を掛けたのは誠二郎だった。
その隣には仙道・・・次に何処で騒ぎを起こすのかを話してる最中で、急に呼ばれたその名前に2人同時に目を光らせた。

それを見て瑞希は人違いだと悟り、「ごめんなさい!」と謝って立ち去ろうとしたが、それを引き止めたのは仙道だった。
初対面の相手に対して気の利いた会話が出来るようなスキルなど誠二郎にはない。呼び止めた仙道とは別の方向に顔を向け、瑞希の事など無視していた。


「今言ったのって花沢類君のこと?君、彼を知ってるの?」
「あ・・・えぇ、知ってるって言うか・・・お客さんだから」

「お客さん?何処で働いてるの?」
「・・・・・・どうして聞くんですか?あの、人違いしたことは謝りますから・・・」


類がたまに水族館に来ても自分の事など殆ど話さないし、その雰囲気から「何も聞くな」という無言のメッセージを聞くような気がしていたから正直言えば何も知らない。
花沢という名字でさえ出会ってから相当後で知ったぐらいだ。

ただイルカが好きなだけ・・・自分と同じでその世界が癒やしであるという事ぐらいしか知らない。
そして類はいつも誰にも言わずにこっそり来ているような気がしていた。

瑞希が知る限り、誰かと来たのはあの日のつくしが初めてなのだから。


「あぁ、俺と類君には共通の女友達がいてね、それで何度か会ってるんだ」

「あら!もしかして牧野さんのこと?」
「・・・つくしの事を知ってるの?」

「えぇ、彼女もこの前類君と水族館に来たんです。まるで恋人みたいですっごく仲良かったですよ?本当は付き合ってるんじゃないのかしら?」

「・・・・・・それ、いつ頃かな・・・最近?」

「いいえ、5月の連休あけの日曜日・・・だったかな?」


仙道の顔色が変わった。

それは思い出すのも忌々しいあの日・・・両親につくしを会わせた日の事だ。
だから急に現れたのだ・・・あれは偶然じゃなくて自分の事を見張っていたのだと。隙を見てつくしを奪う気で待ち伏せていたのだと思うと更に憎しみが湧いた。


「どうか・・・しました?」
「いや、何でもない。その2人、それ以来行ってないの?」

「えぇ、来てないですよ?だからイルカのルイが・・・あぁ、同じ名前なんですけどね、その子が寂しがっちゃって。今度会ったら遊びに来るように伝えてください。それでは!」

「あぁ、どうも・・・」


無邪気な笑顔で帰って行く瑞希だったが、その後ろ姿を見送る仙道の手は拳に変わっていた。





その頃つくしは鼻歌交じりで洗濯物を取り込んでいた。
時々泊まる類のものもある・・・それはまるで新婚のようで照れ臭く、類の服を腕の中に抱えた時は今でもドキドキする。それをたたむ時も幸せで、キッチリ綺麗に重ねていった。

心の中ではいつかこの洗濯物の中に小さなものが・・・なんて思うが、それは今の自分達の状況では想像してはいけないような気がして首を振る。
それでも気が付けば自分の足元と類の腕の中には「宝物」が笑ってる・・・その光景を思い描いて手が止まる。


「ううん、今はそれよりも早く類の事を終わらせないと・・・」

そしてまた手が止まる。


類の調査が終わった時、どう言う結果になっているのだろう・・・それを考えるとつくしの表情は暗くなる。
少しずつ出てきた過去の事を繋ぎ合わせた時、類が安心する答えが出るのだろうか。もしかしたら全部類の想像で終わって、彼が本当に亜弓の子供だとすれば花沢に縛られる事になる。

そうなると自分は・・・・・・


つくしはこの続きを考えたくなくて、さっさと洗濯物をタンスにしまった。


それが済んだらパソコンで自分の服を見ていた。
類が連れて行ってくれると言った南の島への旅行、それに着ていく服だ。

マンションには自分の服を持って来ているからわざわざ買わなくてもいいのだが、せっかくの旅行だから可愛いものを着たい。いつか海に行った時も散々悩んだが、やっぱりこういう時は嬉しい悩みだ。
本当はネットではなく自分の目で見て買う主義だが今は仕方がない。自分とは全然スタイルが違うモデルが着ているせいで逆にピンと来ないのだが、それでも見ていて飽きなかった。


「このボーダーのワンピースも可愛いよね~、でも私にはこっちのデニムの短パンかな?それとも・・・うわぁ、大胆なデザイン!こりゃ無理だわ・・・・・・あっ、水着だ~!」

黒いビキニ・・・流石にそれは無理だと自虐的に笑ったが、その横にあったのは青いワンピースの水着。
ギャザーとフリルがふんだんに使われていて、露出が少なく洋服感覚で着られそうだ。肩紐だって太めのフリルで可愛らしい。これなら着られそうだと、財布の中身と相談して「購入」を押してしまった。


「類、驚くかなぁ?可愛いって言ってくれるかな・・・そうだと良いなぁ~!」


その後も1枚だけ大人っぽいリゾートワンピースを購入。
自分には似合わないような気もしたけれど、類に似合う女性になりたくて背伸びをした。

本当はTシャツにジーンズで自分らしくすればそれが1番だと思われるのは判っている。
着飾らなくてもこのままで充分受け入れてくれてるのは知ってるけれど、そこは女心・・・やはり旅行なら少しは類をドキドキさせたいと思うのだ。


「よし!使った分だけ稼がなきゃ!頑張ろ~~~っと!」

パソコンの電源を落としてからつくしは作業台に向かった。
色んな事を忘れて自分の夢の世界に入り込む・・・そうしないと胸の奥で渦巻く不安が溢れ出しそうになる。


黄色い向日葵のピアス・・・こういう時につくしが作るアクセサリーはいつも太陽の形をしていた。






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