plumeria

plumeria

小さい頃から私は類の後ばかりくっついていた。
お母様でもなく、お父様でもなく・・・2歳上のお兄様・・・私の大好きな類の後ばかり。

置いて行かれたら泣いて、側にいなかったら探して・・・病気の時には薬よりも類がいてくれた方が良かった。

「類様はつくし様のご病気が治ったら、また遊んでくださいますよ。ですからお利口にして下さいね。
お薬もきちんと飲んで下さい。そうしないと早く治らないのですよ?」

お世話係の加代さんはそう言って類に会わせてくれなかった。でも類はそんなときいつも窓から覗いてきた。
コンコンって窓ガラスを叩く音がして、フラフラしながら窓を開けて・・・そうしたら類が私を抱っこしてくれたっけ・・・
いつも優しい笑顔で大丈夫だよって言ってくれた。

その時の類がいつも小さな声で私のことを「大好き」って言ってくれるの。


私と全然見た目が違う類・・・とても柔らかい髪と薄茶の瞳は私の憧れだった。
回りのどんな男の子よりも素敵な類・・・だから余計に1人でどこかへ行かれるのが嫌だったの。
だって他の女の子がいつも類を見てるんだもの・・・類は私だけのお兄様なのに!

そんな類をお父様は小さい頃からパーティーに連れて行った。
何故か私はいつもお留守番・・・泣きたかったけどお父様の前では泣いてはいけないから我慢した。
後で加代さんに泣いて尋ねたら答えてくれた。


「類様はこの花沢家の跡取りでいらっしゃるから早くからあんな場所へお出かけになるのですよ。
つくし様のももう少し大きくなられたら同じようにお出かけになるのですから今はまだいいのです。
その時になって恥ずかしくないようにしっかりとお勉強しましょうね」

「お勉強頑張ったら、類と一緒にお出かけできるの?」

「類様とつくし様では少しお立場が違うのです。でもつくし様がいろんなことを頑張られたら類様も
喜んで下さいますよ。お二人はご兄妹ですから・・・類様は応援して下さいますよ」

そんな理由じゃないの・・・ただ心配だったのよ・・・。
あの煌びやかな世界で類が私外の女の子を見ることが・・・他の子が類を見つめることが・・・。


********


両親は私を英徳には入れなかった。小学校も中学校も私立の女子校に行くように言われたから
類とは別々の登校だった。
しかも、花沢物産の名前は一切出さないように言われていたから、普通の家庭の子のように通っていた。
むしろそれは私にとっては気楽で良かったけど・・・。

英徳に行かない理由も、家柄を隠す理由もよくわからないまま高校生になった。


そんな高校2年のお正月に両親から突然言われたのが英徳への編入と社交界デビューだった。
そのお披露目は類のバースディパーティーで・・・。
類のお誕生日に私のことなんて重ねなくてもいいのに!類の誕生日はそれだけで大切な日なのに・・・!

わかりましたって返事はしたけど、全然嬉しくなかった。
ただひとつだけ嬉しかったのは類が私をエスコートしてくれるってことだけ・・・


そして英徳に編入することを類はどう思っているんだろう。
類はもう大学生・・・高等部と大学は隣だから一緒に行けることは嬉しかったけど。

「ねぇ、類・・・お父様とお母様は何を考えてるのかしら。私は今までどおりでも良かったのにな。・・・どう思う?」

「さぁ・・・あの人達が決めたんだから仕方ないよ。俺は英徳なんて薦めないけど・・・つくしの良さが消えてしまいそうな
ところだよ。面白くもないし・・・」

類の部屋で、類のベッドに寝転んでそんな話をしていた。・・・類は反対なのかしら。

もしかしたら類は自分の友だちに私を見せたくないのかもしれない。
絶対に会わせてくれなかったもの・・・3人ほどいる類の小さい頃からのお友達。
花沢に来ても私はその時には加代さんに捕まってたし、他の子の家に行くときは内緒で行ってたもの。

こんな私がきっと類は恥ずかしいんだろうな・・・類とは似てないから。
ちょっとだけ拗ねてしまった・・・類はなにも言ってないけど私は自分の容姿に自信が無かったの・・・。


「つくし。今度のパーティーは俺がエスコート役だから、絶対に離れないでよ?いつものようにすぐどこかへ
行くと変な男に捕まってしまうから・・・わかった?」

「変な男?なに、それ・・・そんな人が来るの?」

そんな事を確認しなくても類の側から離れるわけがないよ。
知らない人ばかりなのに・・・それに、どんな人が来たって類には敵わないもの。


誰にも言えないけど・・・絶対に言えないけど私はずっと類のことが好きだった。
兄としてじゃない・・・類を男の人として好きなんだと思う。

だけど、兄妹なんだもの・・・これは恋をしたと同時に失恋をしたということ・・・。


「類は・・・パーティーではいつも何をしてるの?誰か女の人をエスコートしたことあるの?」

「ないよ。今までは父さんの代役とか、会社の付き合いとか・・・そんな感じで出席してたから誰かを
エスコートするような事はなかったよ。実はつくしが初めて・・・になるのかな」

「えっ!そうなの?なんだか頼りないなぁ・・・大丈夫なの?私のデビューだよ?」

わざとそんな事をいいながら類の真横まで顔を近づけたら、類はびっくりしたのかすごい顔して飛び退いた。
うそ!・・・いままでそんな態度とられたことないのに・・・?
類はちょっと困ったような顔して私から眼を反らせた。

「急にそんなに近づいたら驚くだろ!・・・まったくいくつになったと思ってんの?」

「えっと・・・17歳になりました!・・・何よ!今までは怒らなかったじゃない。変な類!」


類の横顔は本当に綺麗だった。
男の人じゃないみたい・・・なんだか胸の一番奥が締め付けられるように痛かった。



私はこれからも他の人は見ないだろう・・・。

だってここに類がいるんだもの・・・私のたった1人の王子様がいるんだもの。
叶えられないってわかっていたけどこの恋はいつまでも私の中で熱く燃えているような気がする。

この想いがいつか冷めてしまうなんて考えられなかった。


私が類の妹じゃなかったら・・・そんな事ばかり考えてしまう。

14970952080.jpeg
関連記事

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/06/15 (Thu) 06:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます

えみりん様、おはようございます!

そうですね・・・総二郎が一番かな?あきらは・・・このお話にあんまり出ないかも~!
なんで毎回じれったい話しの設定にするんでしょうね・・・私は・・・!

実際にこんな兄妹いたら怖いですよ。
昨日思ったんですよ。「ひとつ屋根の下」ってドラマがありましたよね?
あれって・・・そうでしたよね?

ちょっと家の規模が違うけど。あのドラマの最後がわかんないけど・・・どうなったんでしたっけ?
いや、この話に変更も影響もは起きないけど(*^▽^*)気になりました。

後で調べよう・・・。

では、今日も頑張ります!・・・梅雨ですよね?
私の予定では「雨の降る日はそばにいて」は雨の日に終わりたいんだけど・・・。

2017/06/15 (Thu) 08:08 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/06/15 (Thu) 08:38 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/06/15 (Thu) 08:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、おはようございます🎵

ハピエンだったんですね?
それは良かった🎵
このお話はドロドロはしてないですから、安心しても大丈夫ですよ。ただもどかしいだけ。

事件も起きますけど、流血はないかな。

しばらくはおとなしく書きたいもんですから、安全路線でまいります。
ホントかどうかはわかんないけど。

意外と長くなりそうなんです。私は50話ぐらいがすきなんですけどね。長いの苦手…

まぁ、気長におつきあいくださいませ。

2017/06/15 (Thu) 09:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 再登場

えみりん様、ありがとうございます‼

チィ兄ちゃん、懐かしいっ‼
確かにあんちゃんはイメージ違いますね。
でも、チィ兄ちゃんは総二郎っぽくないですか?

関係ないけど、男4人いましたね。偶然かしら。
小雪ちゃん、白血病でしたよね?

だんだん思い出してきました!

私もハピエン、頑張ろう🎵全然方向は違うけど🎵

毎度、ありがとうございます❤

2017/06/15 (Thu) 11:51 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply