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毎年必ず来る2月14日・・・今年も漏れなくやってきた。


「総二郎様、今日も正門前が・・・」
「アホか!放っておけ!」

「って言うか、年齢層上がりましたねぇ?昔は学生さんが殆どで・・・・・・はっ!失礼しました!」
「・・・・・・・・・気にしちゃいねぇよ、事実だ」


そう言ったが少々ムカついた・・・確かに黄色い歓声というよりはおばちゃんの雄叫びに近い感じになってる。
ま、仕方ねぇよな、俺も来年は30だし。

だからここらで決めとかないと、俺の知らねぇうちに何処かのお嬢との婚姻届けが出されるかもしれないからな・・・。


「あれ?今日はお出掛けですか?14日は毎年大人しくされるのでは?」
「今年は別。多分他で泊まるから気にすんな」

「そうなんですかっ?!」
「来年から正門前も静かになるはずだから今年は我慢しろ」

「はい、畏まりました!頑張って下さいねっ!」
「・・・・・・・・・・・・」


情けない・・・この俺が心配されてるのか?


若弟子の言葉にショックを受けたが、気を取り直して車のキーを持ちガレージに向かった。
本当はバイクが好きだが今日はそういう訳にはいかない。あの馬鹿野郎を迎えに行かなきゃならねぇから。

その馬鹿野郎が居るのはTホテル・・・さて、どんな顔して出てくるやら、だな。



Tホテルに着いたら地下駐車場に車を停め、ロビーに居るのも目立つからエントランスに出た。その時、丁度タクシーから降りてきた2人・・・ニヤけたあの男の横に死にそうな顔の牧野だ。

それを見たら・・・ズキン、と胸が痛んだ。


まさか、本当にこのまま流されねぇよな?
お前、そんなに簡単な女じゃねぇよな?
何をどう言われてここまで来たのか知らねぇが、最後には自分の気持ちに正直になる・・・よな?


手紙コイツをもって俺のところに来たのなら、その気持ちのまま出てこい・・・俺はここで待ってるから。




**********************




後4時間・・・この歳でValentinedayの終わりなんて気にしないけど、その言葉に後押しされたみたいに部屋を飛び出した。

何故だか判らない。
でも10年前のようにもう1度この日に勇気を出してみようって思ったから。


「馬鹿じゃないの?何歳よ・・・そんなの学生の頃なら可愛いけどさ!」

独り言ではそんな言葉を出すけど、こんな時はエレベーターだって意地悪で各階に止まっちゃう。
それにイライラしながらロビーまで降りたら、今度は上品なそのフロアを全速力で走った。


今からタクシーに乗れば間に合う?
西門邸までどのくらい?着いたらどうしたらいい?今度は防犯カメラに怯えずに「会わせて!」って叫ぶ?
そんな事は着いてから考えたらいい・・・今は兎に角行かなきゃ!

途中でぶつかりそうになるのは何処かの御夫人で毛皮のコートなんて着てる。
次に横から体当たりされそうになったのは凄くキメてるおじさんで、その隣にはドレスのおばさん。そんな人達の中を走り抜けて、正面のドアを飛び出した。


「はぁはぁ・・・タクシー乗り場は何処?どっち・・・向こう?」

息を切らしながら、1度は止めた足をまた動かそうとした時・・・私の目の端に誰かが映った。


あれ?って振り向いたら・・・エントランスの柱に縋ってる人がいる。
黒いコートで見覚えのある顔の傾け方・・・気取ったように足なんて組んじゃって、両手はコートのポケットで、ホテルの派手な照明の逆光で顔が見えなかったけどニヤって笑ってる?

その笑い方・・・私の知ってる笑い方だった。
そして縋ってる壁を突き放して身体を起こした、その時の仕草も見た事がある。


やっぱりさっき見えたのこの人なの?
もう2時間も前だよ?どうして今でもここに居るの?



「・・・・・・西門さん?」




*********************




2月のクソ寒い夜にこんな所で女を待つなんて俺らしくねぇ・・・そんな事は判ってるけど、身体が動かなかった。

あの時間に来たのならディナーなんだろう。
それなら車で待てばどうだ?なんて俺自身が聞いてるけど心の方が無視してる。
理由は簡単で、あいつがどのタイミングで出てくるかなんて判んねぇから。俺が動いたらあいつは何処に行くか判らない・・・だから片手に手紙コイツを握り締めて待ってた。

気易く声を掛けてくる女も居るけど返事もしなけりゃ怒って何処かに消えて行く。
もうそんな声は頭に入らない・・・俺が聞きたいのはそんな声じゃない。


そんな事をずっと思ってた時・・・ロビーからすげぇ勢いで出てきた女がいた。


小っさくてこんなホテルなんか似合わねぇ服装で、ヒールだってドレス用じゃなくて仕事用だろってぐらいのもの。
何にもアレンジしてない髪を振り乱して何を探してるやら。そいつは俺の視界のド真ん中でウロウロした後、反対側に走っていこうとして・・・止まった。

そしてゆっくり俺の方に向き直った。


なんだ、その顔・・・アホ面晒して口なんて開けてんじゃねぇって。
いい歳して息まで切らして走るから、髪だって乱れて見られたもんじゃねぇ。

なのに俺の体温は急上昇して身体中に「GOサイン」が出る・・・だから縋ってた柱から身体を離し、そいつの所に向かって歩いて行った。



「・・・・・・西門さん?」
「他の誰に見えんだ?」

「いや、西門さんにしか見えないけど」
「だろ?お前の落とし物、届けに来てやった」

「は?落とし物?」
「あぁ。でも拾ったからもう俺のものだけどな。来い、牧野。お前の行き先はこっちだ」






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Comments 4

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2020/02/27 (Thu) 13:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!このぐらいで?!💦
ヤバいわ~!この後を期待されたらもっとヤバいわ~!

ついでに言うと、明日はありません(キリッ!)
焦らします・・・ふふふ。


で・・・そうねっ!よく考えたら2時間どころじゃないわ(笑)

この人、もう10年待ってるんだった!!
そんな西門総二郎なんて存在するんだろうか?違う意味でまた歴史を作った?!(笑)

2020/02/28 (Fri) 00:02 | EDIT | REPLY |   
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2020/02/28 (Fri) 10:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

もう次話が出てるから行き先はご存じですね💦
あはは!そこに軟禁するのかもしれませんね~!

それはそれで楽しそうですが(笑)

まぁ、ビシッと決めるかどうかは判りませんが、ソノ気は満々のようなので・・・また私のストレスでございます💦


あきら君のお誕生日!!おでんじゃなくて申し訳ないっ(笑)

2020/02/28 (Fri) 20:09 | EDIT | REPLY |   

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