Sister Complex (6)

3月30日・・・俺の誕生日になった。

昼過ぎてから家の中では誰よりも早くつくしの支度が始められた。

ただ、その支度の前に加代から伝えられたこと・・・父さんからの命令のような言葉があった。

その内容は例え兄妹でも二人きりで1つの部屋にいてはいけない、それを許さないというものだった。
今まではそんな素振りは何も示さなかったのに・・・。
それはあえて両親が俺とつくしを離そうとしているのだと、警戒しているのだと・・・そう感じた。


「どうしてダメなの?なんで類と一緒にいたらいけないの?その理由って何?」

納得のいかないつくしは俺の部屋に来て加代に詰め寄ってるけど、本当の理由なんて言えるわけがない。
加代は困っていたけどつくしを落ち着かせて説明をしていた。

「お年頃のお嬢様には当たり前のことなのですよ。例えお兄様でも男性と二人にはなってはいけないのです。
将来を誓い合った方とだけ許されるのですよ?つくし様にはまだお早いかもしれませんけど、ご両親様が
お決めになったのですから守りましょうね」

子供に言い聞かせるように話す加代・・・そんな話なんて聞いたこともない。
俺たちの家が特殊な部類に入るとしても、兄妹でそんな壁なんて普通は作らないんだから。
あの人達は自分たちでつくしが血の繋がりがない子だと言ってるみたいなもんだ。


「類!・・・類からも何か言ってよ!私はこれからも類と一緒にいたいんだからっ!」

必死にそんな嬉しいことを言ってくれるんだね。そんなに泣きそうな顔しなくても俺は何処にも行かないのに。
小さい頃の追いかけてくるつくしの顔と同じ・・・やっぱり可愛くてつい笑ってしまうよ・・・。

「つくし・・・別に離ればなれになるわけじゃないんだから・・・例えばさ、加代がいたら俺と二人でいてもいいわけだし」
「類様っ!・・・」

何か言いたそうな加代を手で制した。


「俺はずっとつくしの側にいてあげるから心配しなくてもいいよ。これからは学校でも俺が守ってあげるから。
それなら安心だろ?今日は俺の誕生日なんだからそんな泣きそうな顔しないでよ」

泣き出しそうなつくしをそっと抱き寄せた。側で加代はオロオロしてるけど、肩を抱くくらいいいだろ?
わかってるって・・・そんなに心配しなくても自分から告げたりはしないから・・・。

「絶対に私の側にいてね・・・。約束だからね?類・・・」

「俺がつくしとの約束を破った事なんてないだろ。ほら・・・着替えておいで・・・これ以上時間をかけたら
また母さんに怒られるよ。支度が出来たら一番に見せに来てよ。楽しみにしてるから!」

「うん・・・後でね。・・・約束したからね!」


つくしはドレスに着替えるために自分の部屋に戻る。
後ろを振り向いた加代が真っ赤な目をしているから、少し無理して笑って返した。


だんだん隠し通す自信がなくなっていくのが自分でもわかるんだ。
自分の気持ちがいつかつくしに伝わってしまうかもしれない・・・そうなったらつくしはどうするだろう。
そんな事を考えながら、俺も今日の支度を始めた。

自分の誕生日なんてどうでもいい・・・今日は一人の男としてつくしをエスコートする。
誰にも言えないけど、そんな気分でタキシードを手に取った。


*******


リビングではドレスに着替えたつくしが鏡の前で落ち着かない。
さっきから横を向いたり後ろを向いたり・・・どの角度から見たら気が済むんだろうっていうぐらい見ている。


「類・・・どうかな?似合ってる?おかしくない?」

「くすっ・・・すごく可愛いよ。つくし・・・よく似合ってるよ。ほら、俺のチーフとお揃いだね」

結局つくしが着たのは母さんが揃えた中では一番子供っぽいものだったけど一番俺が気に入っていたもの。
幼い顔立ちのつくしには似合っていた桜色のドレス・・・
少しずつ染めの違うシフォンを幾重にも重ねたようなデザインのまるで花びらのようなドレスだった。

そして、まだダイヤモンドが似合う年じゃないからアクセサリーはパールに統一していた。
その黒い髪もいつもはストレートなのに、今日は軽く巻いてサイドアップにしている。
髪にも耳にもパールが揺れている。

どこから見ても愛らしいお姫様になったつくしは何度も鏡を見ては自分の姿を確認していた。

俺はシルバーグレイのタキシード。桜色のチーフをつくしとお揃いでつけている。


つくしのドレスは可愛らしいけどやはり夜のパーティーだから背中が広くあいてるし、胸元も少しだけ広めだった。
そんな姿を他のヤツらに見せたくなくて、会場に入るまで羽織っておくようにとストールを渡した。

「やだ!もしかしたらやっぱり見えすぎる?」

「フォーマルだから仕方ないよね。もっとすごいドレスもあるけど、つくしにはまだ早いよ」

そう言うと少しは女心が傷つくらしい。
恥ずかしいとか似合わないとかブツブツ言ってたくせに今度は怒り出すんだ。

「どうせ私は子供っぽいわよ!ちょっと自分が大人だからって、類ったら私をバカにして!」

「バカになんかしてないだろ?まったく・・・忙しい子だね。どうせ、そのうち着るようになるんだから
今は自分に似合ったものでいいって事だよ。少し緊張しすぎてるんだ・・・落ち着きなよ、俺がいるから」

まっすぐに俺を見つめて、反省したのか顔を赤くさせたつくし・・・少し涙目になってる。
側に行って・・・本当は抱き締めたいけどその肩に手を添えるにとどめた。


「ごめんなさい。・・・類が言うみたいに緊張してるの。初めての事だから・・・」

「誰かが襲ってくるわけじゃないんだから心配しすぎだよ。それよりさ・・・つくしはダンスなんて踊れるの?
見たことないけど・・・学校でも教えないもんね」

「ダンス?ワルツだけならお父様に少し習ったことはあるよ?でも・・・上手くないと思うけど。
まさか、今日ダンスもあるの?いきなり誰かと踊らないといけないのっ?!」

まぁ・・・形だけでも出来るなら、その時には俺がパートナーになるよ。
もちろん他の男となんて踊らせる気は一切ないけどね。
この手をとるのは俺だけ・・・この先もつくしの手をとる男は俺だけだと信じてるよ。


部屋がノックされて使用人の1人が何か加代に告げていた。
つくしがビクッとしてそっちを見る。会場入りの連絡だということはすぐにわかった。


「類様、つくし様・・・準備が出来たそうです。お客様もお揃いですから会場の方へお願いいたします」

やっぱり加代が声をかけてきた。

「わかった。すぐに行くから父さん達にそう伝えて・・・」


加代が頭を下げてリビングから出て行った。・・・部屋にいるのは2人だけ・・・

再び緊張し始めたつくしの側まで行って、今度はその細い身体を抱き締めてしまった。
つくしは驚いたかもしれないけど何も言わなかった・・・急にこんなことしたから言えなかったのかな。
俺にその手を回すことはなかったけどタキシードの袖を掴んで震えている。

「もう大丈夫だろ?・・・行こうか」
「うん・・・もう平気」


つくしをあいつらに会わせる時間が来てしまった。

rui9.jpg

花より男子

2 Comments

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2017/06/17 (Sat) 21:32 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

凪子さま~!こちらこそご無沙汰しております~!

ケガは何とかなりましたよ。ご心配かけました!

いや!・・・この話は絶対に初めはドン引きされると覚悟しておりますから!
いつ頃から類が救われるんだろう・・・随分先かも?

そうですね・・・良い例えを出して下さいましたね!
階段を上がっております。順調に・・・でも最後は駆け足で逃げてほしいものです!
つくしちゃんと二人でねっ!

とある方から意外な設定でお願いしますって言われたんですよ。
素直に聞いたらこんなになっちゃった!( ̄∇ ̄)

でも、最後は・・・必ず!
こう見えてplumeria、ハピエンと決めてますからねっ!
頑張っていきます!
この前、また凪子様の今までのお話、全読みしてきました!私からコメントできなくて
ごめんなさい!あれ以来怖くて・・・。

本当にいつもありがとうございます!

2017/06/17 (Sat) 22:52 | EDIT | REPLY |   

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