Sister Complex (7)

今日はホテルなどを使わずに自宅の大広間で俺のバースディパーティーが行われる。
少しでもつくしが落ち着けるようにと両親が配慮したんだろう。


「旦那様・・・もうお客さはお揃いでございますのでそろそろ会場の方に・・・類様達もいらっしゃいましたから」

執事にそう言葉を掛けられて俺たちはその広間の方へ向かった。
つくしは初めてのことに緊張しすぎて俺の腕を握りしめてる・・・顔も真っ青で可哀想なくらいだった。

「そんなに緊張しなくても誰も襲ったりしないって言ったろ?もっと堂々としてないと返って甘く見られて変なヤツから
からかわれるから・・・ほら!いつもの笑顔になりなよ」

「うん・・・わかってるんだけど・・・」
「それよりさ・・・そんなに強く握ったら俺の服が皺になるんだけど・・・」

慌てて袖から手を離す・・・だから俺の方から軽く腰を抱いてやった。
青かった顔が赤くなる・・・ちょっと勘違いしてしまいそうなこの感じがなんだか嬉しかった。
女性のエスコートなんて初めてだけど、それがつくしで良かった。・・・結構ドキドキするものだね。


会場に家族で入っていくと大きな拍手と共にスポットライトが当てられた。
つくしは眩しかったのか顔を下に向けたから、そっと耳元で囁いた。

「下を向かないで、ちゃんと前を向きな・・・こういう場所ではどこで誰が見てるかわかんないから。
大丈夫だって!俺の横にいるんだからもう少しリラックスして。・・・支えておいてあげるから」

「ありがとう・・・類」


そんな俺たちの姿をさりげなく横目で見ている両親・・・どう映ったのかはわからないけど、にこやかに
笑って俺とつくしを会場中心に立たせた。
場が静まると父さんの挨拶が始まった。

「本日は当家長男、類のバースディパーティーにお越しいただき誠にありがとうございます。
本日で類も19歳になりまして、これからは少しずつ世界経済の勉強も兼ねまして海外でも活動させようかと
考えております。今はまだ学生ではありますが・・・」

社長である父さんの形式的な挨拶が進んでいく。
だけど俺には隣にいるつくしの方が気になって仕方なかった。今は俺の方にスポットライトが当てられているけど
この後にはこれがつくしにいくかと思うと・・・。


そして父さんの挨拶が一通り終わったところで、つくしの方に顔を向けた。

「また、本日はもう一人・・・当家の娘を皆様に紹介したいと思います。・・・つくし、こちらへ来なさい」


その声と同時に俺の陰にいたつくしは前に進み出た。

会場からは驚きの声が上がる・・・そうだろうね。今まで一度も表には出さなかったんだから。
ここにいる招待客は噂でしか聞いたことがないはず・・・この花沢にもう一人子供がいるなんて。
そして何故表舞台に出さないのかも密かに話題になっていたからね。

つくしの俺たち親子とは違う顔立ちに少しびっくりしたんだろうか、囁くような声はしばらく続いた。

つくしは俺と父さんの間に立って、丁寧に来客に向かってお辞儀をした。
さっきの俺の言葉を思い出してるのか、つくしはしっかりと前を向いて笑顔を作っている。
ちょっと張り詰めたようなぎこちない笑顔だけど・・・。


「今までは公の場には出さずにおりましたが、つくしもこの春で高校3年生になります。これを機会に
皆様とのお付き合いも始めさせようと考えておりますので、類と同様、よろしくお願いいたします」

父さんの挨拶がすべて終わると会場は歓談の場に変わった。
俺の周りにも、つくしに周りにも多くの招待客が集まってくる。
つくしの側についてはいたけど俺自身も招待客との会話が続いて、カバーしようにも出来ない状態だった。

つくしは左右からの質問攻めで、相手もわからずに動揺しまくっている。

「つくしさんはどのような趣味をお持ちですかな?うちの息子はテニスなど得意ですがスポーツはされますか?」
「お嬢様は学校ではそのようなお勉強を?英語などはお話しになれますか?」
「今までは表には出られませんでしたが今後の予定は?花沢のお仕事もされるのですか?」

「あっ・・・あの、ごめんなさい!まだよくわからなくて・・・」

つくしの周りには自分の息子を従えたどこかの経営者が群がっている。
側についている母さんは苦笑いしながらただその光景を見守るに過ぎなくてつくしが可哀想に見えた。


やっと母さんがつくしをその群衆から引き離した。

「つくしはずっと女子校に通わせておりましたから、あまり男性とはお話しする機会がありませんでしたのよ?
急にこんな席に出しましたのでびっくりしてるんですの。・・・この春からは英徳に通わせますけどね」

「それでは類君と同じですな。あそこは大学と併設されているし安心ですね。親御さんとしても・・・。
それにしても、こんなに美しいお嬢さんがいらっしゃるのに何故今まで公式の場にお連れにならなかったのですか?
いや・・・噂には聞いていましたけどね」

「理由なんて特にはございませんわ。つくしは大らかで活発な子でしたから少し落ち着くまでは出さなかった
だけですわ。類と違ってこの子は全然おとなしくなかったものですから・・・」

母さんはそんなふうに説明しているけど、本当はそんな理由じゃない。ただ迷っていただけだ。
娘として手元に置いておくだけにするか、この花沢のために外に出すか・・・。


「高校生にしてはまだまだ子供なんですの。これからは機会がありましたらこういう場所に連れて参りますわ。
その時には是非・・・よろしくお願いいたしますわね」

母さんはその一級品の営業スマイルを経営者とその息子達に向けている。
それに合わせてつくしも軽く頭を下げた。

会場の真ん中で桜色のドレスが翻る度に色んな男の眼がつくしに注がれている。



招待客との挨拶が落ち着いてしばらくした頃、やっぱり揃って俺の前に現われた。
会わせろと煩かった幼馴染み達・・・やっと俺の周りから会社関係の人間がいなくなったのを見てたんだろう。

「よっ!類。・・・お前んとこに妹、なかなかいい女じゃん!早く連れてきてくれよ」
「・・・総二郎。つくしには手を出さないでよ?ホントに男に免疫ないんだから!」

「お前とはあんまり似てないんだな・・・ちょっとイメージが違うけど可愛い妹だな」
「あきらもその話題はつくしの前では出すなよ。あいつ、自分の黒髪すごく嫌ってるから・・・」

最後に二人の後ろから現われた、最強の幼馴染み・・・


「この俺への紹介がこんなに遅いとはどういう事だ?類・・・まぁ、興味はねぇけどな」

「司・・・あんまり乱暴な言葉は出さないでよ。こんな場所、初めてで緊張してるから」


ニヤリと笑う司に何故か不安を感じずにはいられなかった。
そこにいるだけで何もかも引きつけてしまうほどのパワーを持つ司・・・だけど孤独な男だ。

つくしが惹かれるかもしれないという不安ではなく、司の方がつくしに惹かれるような気がしてならなかった。
俺たちのような環境にいる者にはつくしの明るさは眩しいから。


司が本気になったら・・・それが一番の不安だった。

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2 Comments

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2017/06/18 (Sun) 10:45 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは~!

そうですねぇ・・・意外と長くなりそうですけど私ってまだ長くて55話くらいなんです。
これ以上書くと頭がこんがらがっちゃうんですよ。
多分1日2話だからでしょうね。・・・無理があるかも。

このお話はね・・・うん!確かにこれからですね!
ややこしくなりますね。心理的に複雑で悲劇かも。
だから所々に楽しい会話を入れつつ、類君を追い詰めて参ります!
そう言えば今までの作品、全部最後は結婚してるかな?

気がつきませんでした!結婚してますね!

このお話はまだラストをお話しは出来ませんが
イライラしながらお付き合い下さいませ!

今日もありがとうございました!
あ、体調は大丈夫ですか?私も最近は不眠症で頭痛いです。
毎日3時間ぐらいしか寝てないんです・・・お話しのせいじゃないんですけど
寝付けないんです。こまったなぁ・・・

2017/06/18 (Sun) 16:28 | EDIT | REPLY |   

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