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想像した通り・・・詩織を紹介すると言いながら、実は俺が連れて来る女を見たかったって訳だ。
だから詩織の事はあっという間に終わらせ、つくしの事をネチネチ言いだした。それに我慢出来なくて強気に言い返したら流石に黙った。

次期家元でなくなったとしても長男に続いて次男まで破門する訳にはいかない。
それに広告塔としては口下手の(イケメン度も劣る)考三郎より俺の方が役に立つからだ。


もう一つは茶道に関してだ。
孝三郎の出来が悪い訳じゃないが、こいつは人前で上手に立ち回れない。甘えん坊だったから我儘な部分がすぐに出てくるし、爺さん達相手に喧嘩腰で話す時もある。
勉強不足もあって時節の話や歴史の話も疎い。あれだけ大見得切って自分が次期家元になると言ったが、実のところ親父達はすげぇ不安だろう。

何かあった時の為のサポート役・・・故に俺は絶対的存在だ。
1度降りたのだから、もう俺には次期家元は巡って来ないが、居なくなっても困る・・・・・・はずだ。


「・・・まぁ、良かろう。しっかり教えて差し上げなさい」
「・・・そ、そうね。たまにはここに来て詩織さんとご一緒に過ごすと宜しいわ。何かとお勉強になるでしょうから。ねぇ、詩織さん」

「はい。いずれお義姉様となられるのですね?私の方こそ宜しくお願い申し上げます」

「は、はい!こ、こっちらこそ!仲良くして下さりませ!」
「・・・・・・(何処の言葉だよ、それ)」


その時、ガバッと頭を下げたつくしの事が可笑しくて俺は含み笑いをした。
同時にこの俺を射貫くような視線を感じ、正面を見ると・・・睨んでいたのは詩織だった。
今まで感情なんて見えなかったのに、俺が笑った途端に向けられた鋭い目・・・それに驚いたが、目が合うとフッと逸らされる。
今のを誰も見ていなかったのかと親父達を見たけど、この3人は小声で何かを話していて俺達の方なんて見ちゃいない。詩織の両親も同じく。
つくしもこの場に居辛いのか、俯いたまま困ってる・・・。

極僅かな時間、俺と詩織だけが目を合わせてた。


なんだ?今のは・・・



「失礼致します。お食事のご用意が出来ました」

志乃さんの声が聞こえて、ここで顔合わせは終了になった。
親父が立ち上がり部屋を出ると続くのはお袋。そしてこれまでだと俺が続いたが、今となっては孝三郎が先に出ていく。次いで詩織達が出ていき、最後に残ったのは俺とつくし。

真横で俺を見上げ「これでいいの?」なんて不安そうに見上げていた。


「問題ねぇって。この家での順番よりも大事なもんがあるからな」
「・・・あのさ、もしかして私のせい?次期家元降りたのって・・・」

「いや、お前のせいじゃない。俺が自分で決めたんだ・・・だから俺の為だ。もうその話はするな」


つくしの為・・・そう言えばこいつは自分に責任を感じるだろうから言葉にはしなかった。
俺自身の為、でもそいつも間違っちゃいない。


間違っちゃいない・・・自分で決めたことに後悔なんて・・・・・・・・・



**



一足遅れてダイニングに行けば、齋藤の両親は用があると言って本邸を出た後だった。詩織を含め4人は既に席につき、俺達を待ってる状態だった。
ここでも「遅くなりました」、と詫びを入れて座ると再び俺の真正面は詩織・・・一瞬だがさっきのように鋭い目を向けられた。


次男から三男に相手を変えられたことを拗ねてるのかもしれない。そうでなければ自分よりも別の女を選んだ事への恨み言か?
だがそんなのは知ったこっちゃない。
俺はそんな詩織の前で態とらしくつくしに優しくして、仲の良さを見せつけてやった。


「つくし、もう少し椅子を引け。座りにくいぞ」
「あっ、はい・・・ありがとう、総二郎・・・さん」

「慣れてねぇんだから仕方ないって。ほら、俺の手を持ってみ?」
「だ、大丈夫だから」

「そうか?」


触んないでよっ!って声が聞こえそうなつくしの表情・・・マジで笑える。
問題はこいつがマナー通りに食えるか・・・いや、期待はしていないが、想像を超えるドジをしないでくれよ?と思いながらチラッと横を見た。
緊張しすぎてるのか、目が泳いでる・・・そして小さく腹の虫が鳴いて、慌てて帯辺りを押さえ込んでやがった。

「・・・・・・!」
「大丈夫、聞こえてないから」


・・・この腹の虫を黙らせるほど食えるかどうか。


「それではお持ち致しますね」と、志乃さんのひと言で調理人たちが和会席を運んできた。

まず出てきたのは食前酒。今日は香りよい柚子酒だった。
それを親父の言葉で乾杯・・・のはずがビールと勘違いしたのか、すげぇ高く上げて乾杯しようとしたから慌てて足を蹴った!


「・・・・・・うっ!(痛っ!な、なに?)」
「つくし、このぐらいで・・・(乾杯の高さは目の少し上!知らねぇのか?!)」

「・・・そう、でした(あぁ、道明寺の時に言われたっけ・・・忘れてたわ)」


先付けには胡麻豆腐と叩きオクラ。
つくしの普段の飯を考えたら驚くほど大きな皿にチョコンと乗った食材は不思議かもしれない。派手な洋食に比べて和食の先付けの方が地味だから余計に淋しく感じる・・・のかもしれないが、出された皿をガン見していたから再び蹴りを入れた。

口を尖らせて俺を見るな!って思うのに少し足を摩りながら俺を睨んでいた。
当然、お袋はそれを見てる。


マナーを身体に叩き込んでないと箸の使い方はかなり窮屈・・・司の時には徹底的に洋食マナーだっただろうし、それも7~8年前だから完全に忘れてる。
目で『俺を真似ろ』って合図したら「判った」って言葉で返事したから焦った。

まず箸は右手で上から箸を持ち上げ、左手で下から支える。両手を箸から離すことなく、右手を滑らしながら下に移動し左手を離して、右手で持ち上げの完成。
判ったか?って横を見たら、箸を下に落として拾ってるつくしが居た。

いや、それもお前がやるなって!
・・・そう思った時には慌てた給仕が新しい箸を持ってきた。

今度は親父の目がテン。
まぁ、このぐらいなら・・・と笑うしかなかった。


二品目の吸い物 。
蓋付きのものは目上の人が蓋を取ってから取るのがマナー。
つくしは確かに客だが「西門家に嫁ぐ予定」の人間だからここでは当然家元、家元夫人を待たなくてはならないのに、パカッ!っと1番始めに開けやがった。

「つくし・・・」
「はっ!あ、ごめんなさい・・・」

その時に言葉を出したのは両親でも孝三郎でもなく、詩織だった。


「お腹が空いていらっしゃるのですね。うふふ、お家元達もお怒りにならないと思いますから、普段のようにお食べになったら?作法など気にしていたらお味も判らないのでしょう?」

「・・・え?あっ、いえ、そんな・・・」

「何方かお客様がいらっしゃれば別ですが、ここはご自宅で他に誰も居ないのですもの。総二郎様が恥ずかしい思いをされることはありませんわ。これから覚えていけば宜しいのですからご遠慮なく・・・そうですわよね?お義母様」

「え?えぇ、そう・・・そうね。牧野さん、窮屈でしたら本日はご自由にお食べなさい。総二郎さん、そこの部分もご指導お願いしましたよ」

「・・・あ、あの!」
「判った。でも身内だからこそそんな言い方をせずに教えてやってくれたら有り難いけどな」




********************




元々静かな食事タイムだったけど、私のせいで余計に気不味くなってしまった。
その時に総二郎が私を庇ってくれた言葉・・・「身内だからこそ」にキュン、となってしまった。

詩織さんが何故急に意地悪なことを言いだしたのかは判らないけど、私がもっと勉強していたらこんな事にはならなかったのに・・・と泣きそうになった。
誰の顔も見られなくて首をガックリ折り曲げていたら、彼の続きの言葉が・・・


「詩織さんが言ったことも間違いではないと思う。
でも俺が恥ずかしいってよりもつくしが嫌な思いをしないように教えていくから、今日は多めに見てやってくれ。毎日二人で気儘に飯食ってるから、ついいつものクセが出たんだと思う。な、つくし」

「えっ?あっ・・・はい。申し訳ありません。私の勉強不足です・・・」

「俺もつくしの飯が美味いから毎回作法なんて無視して食ってるからな。
孝三郎も楽しみだろ?詩織さんの愛情てんこ盛りの手料理食う時にはお前だってイチイチ気にしていられねぇと思うぞ?」

「・・・俺は総兄とは違うから」


家元夫人が少し赤くなって黙った。家元も知らんふり・・・詩織さんは何故か不機嫌そうに俯いた。
孝三郎君は困った顔して詩織さんを見てる。

総二郎だけが嬉しそうに私に顔を向けて笑ってた。


あんな庶民食・・・そう言えばこの人は残したことがない。
確かにいつも楽しそうに食べてるかも・・・。
愛情てんこ盛りかって言われるとまだよく判らないけど、私の頭は今日の晩ご飯の献立を考え始めていた。


総二郎の好きなもの、作ってあげよう・・・って。






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Comments 8

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2020/03/27 (Fri) 12:37 | EDIT | REPLY |   
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2020/03/27 (Fri) 14:05 | EDIT | REPLY |   
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2020/03/27 (Fri) 15:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。


うふふ~!今回の総ちゃんはつくしべったりなので良しとして・・・
確かに西門流はピンチかも?!(笑)
この家元夫婦はイマイチな設定だし、考ちゃんも生意気だし、お嬢は意地悪だし(笑)

でも、つくしワールドは変わらないと思いますよ♥
何度か聞かれていましたけど、シリアスではないです💦
どっちかと言うとコメディです。

今、こんな世の中だから、明るい話の方がいいですよね~!


娘は今でも仕事で関西をウロウロするので心配です。
早く落ち着かないかなぁ~。

2020/03/27 (Fri) 23:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

詩織さん💦困った人には間違いない!ですね~。
ふふふ、今回も色々助けてくれる人が来るかしら?(笑)
確かに味方は多いつくしちゃんですもんね!しかもただの味方じゃありません!

あの人に、あの人に、あの人に・・・ね♥

まぁ、総ちゃんとは仲良くじゃれ合うと思うので楽しんでいただけると嬉しいな♥

2020/03/27 (Fri) 23:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは!

爆笑っ!!!マジバカウケ!!
面白いから修正せずにそのまま残しとこう(笑)💦

猟師と漁師!!気が付かなかった(笑)
でもさ~~~~~~っ!70㎝だって!(爆)一瞬、そっちも驚いたわ!

そんな大物、捌けないってっ!(笑)

因みに先週はサメ釣ってたよ。ハンマーヘッドってヤツだっけ?変な形のサメ。
勿論持って帰っていません(笑)


「母さん、今日はサメやけぇ」
「そーなん?判った~、これは刺身かね?」

「うん、刺身で」

・・・・・・・・・食べたくないよね(笑)



って事でお話し。

そうねぇ・・・詩織さんは面倒臭そうな人よね。
そのうち正体現すと思います。

今回は家元夫妻に色んな期待をしちゃダメ(笑)
イマイチダメな西門家だから。

仕方ないよね~、総ちゃんが跡取りじゃなくなったから←誰のせい?


実はね(笑)
「総ちゃんが西門離れるのって初めてじゃん!」って思いながら書いてたら「10月の向日葵」、跡取りじゃなかったって事に気が付いて吃驚!
しかも途中で家庭教師させてるし、最後は北海道に住んでるし!(笑)
数年経つと忘れるのかしら・・・マジで忘れてた自分が情けなかった。

もう引退かな💦(笑)
(よく空さんと話してるひと言)

2020/03/27 (Fri) 23:33 | EDIT | REPLY |   
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2020/03/27 (Fri) 23:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様💦

それ、喜んでいいの?悪いの?(笑)💦

まぁ、もう少し頑張るわ(笑)

2020/03/28 (Sat) 00:01 | EDIT | REPLY |   

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