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顔合わせと称したつくしの試験は終わった。
その合否はって言うと・・・まぁ、限りなく不合格に近い補欠合格みたいなもんだろう。
「またお勉強にいらっしゃいな」と言うお袋の声でつくしも一安心したようだった。


「じゃ、部屋で着替えようぜ」
「え?私は着替えなんて持って来てないよ?」

「俺が準備してるから。そうじゃねぇとお前、もう倒れそうだろ?」
「判る?!もうお腹空いちゃって!」

「帰って作るのも大変だろうから食って帰ろうか?お前の好きな店で良いぞ」
「えっ、でも・・・ううん、作るの大変じゃないよ?」

「いいって。お前の飯はいつでも食えるんだから。何がいいんだ?」
「ホント?・・・じゃあ焼き鳥!」

「焼き鳥・・・」


何とか最後まで着崩れずに済んだ大振袖に、汗もかいたようだが持ち堪えた和装メイク。
でもそれには到底似合わない笑顔・・・こりゃまだ訪問着や付下げなんて似合わねぇな、と俺まで可笑しくなった。それも「ゆっくりでいいか・・・」なんて呟くと「なにが?」なんて顔を覗き込まれて・・・またここでも抱き締めたいぐらい笑ってやがった。


この後、長い廊下を歩き自分の部屋に向かって居ると、後ろから視線を感じた。つくしに気付かれないように横目で見ると、対屋の柱の陰に見えたのは詩織の着物?
隠れたにしては派手な大振袖が丸見え・・・俺にはそれが態と見せているように思えた。


「つくし、先に戻っててくれ。忘れ物した」
「ん?はーい。自宅が広いと忘れ物取りに行くのもひと苦労だね~」

「まぁな。部屋、判るな?」
「うん!ごゆっくり~」


自分の役目は終わったとばかりに足取りは軽い。
廊下の角を曲がり、つくしの姿が見えなくなったら向きを変え、俺は一人でまだそこに見えてる詩織のところに向かった。詩織はこうなることを見越していたのか驚きもせず立っている。
まるでここが自分の屋敷だと言わんばかりの堂々とした態度・・・プライドの高さはここでも充分に伝わった。


「何か用でも?随分大胆に視線を送って来ますね」
「・・・お気付きになるとは流石ですわ。噂は本当ですのね」

「噂・・・あぁ、俺の?」
「えぇ。女性に手が早く、同時に何人もお相手出来るとか・・・そんな方でしたら女性の視線には敏感なのでしょうね」

「それはまた大袈裟な噂ですね。同時に何人もねぇ・・・その噂でしたら相当昔のものですよ。京都に届くまでに時間が掛かったようですね。今の私には彼女しか目に入りませんから」


ピクッと瞬間眉根を顰めたがすぐに平静を装った。
わざわざこんな事を言うために姿を見せていたのか・・・暇なお嬢だな、とバレない程度の溜息が漏れた。

それにしても顔合わせからヤケに俺に喧嘩腰な女だ。
今まで会ったこともねぇのに何故そこまで睨みつけるのか・・・俺には何も思い当たることがないが、この「噂話」と何か関係があるんだろうか。
また機嫌が悪くなりそうだったが、どうせ俺はここに住まないんだからと、然りげ無くそいつを聞いてみた。


「失礼ですが何故そのような顔を私に向けるんです?何か悪い事しましたっけ?」
「・・・こちらがお聞きしたいですわ。何故あなた様は次期家元を弟君に譲られたのですか?」

「は?それはあなたには関係ないでしょう。私が継ぎたくなくなったから降りただけのこと、家元もご納得済みですよ」
「・・・この私を受け入れたくなからではありませんの?何処が不満で私との縁談をお断りになったのかしら」

「これはまた自信家でいらっしゃる。申し訳ないがあなたとの話が来る前から私と牧野は恋人なのです。
それにあなたの家も婚約者が孝三郎であることで納得されたのでしょ?つまり齋藤家は西門孝三郎よりも西門流次期家元をお選びになったと言う事・・・違いますか?」
「違いませんわね。確かにただの講師よりも次期家元という肩書きの方が素敵ですもの。失礼致しましたわ、お義兄様・・・つくし様とせいぜい仲良くなさいませ」

「・・・そりゃどうも」


詩織はそこまで言うとフイッと顔を逸らせて俺の横を通り過ぎて行った。

なんなんだ、この女!!可愛気のない喧嘩の売り方だな・・・!
売ってくるならつくしみたいにストレートに言えば良いものを・・・すげぇムカつく!!



気分の悪いまま自室に戻ると、そこではつくしが完全にダウンしていた。
着替えると言ったからなのかローソファーなのに足を投げ出して座り、帯は完全に背もたれで潰れてる。その上天井見上げて目が半開きで実に面白い格好だった。
1500万円を身に付けてるのに、って言ったら飛び起きるんだろうな・・・。


「先に俺が着替えてくる。もう少し待ってろ」
「はーい・・・総二郎、急いでね~、もう疲れたぁ!」

「あぁ、すぐだから」




***********************




少しでも早く楽になりたくて、総二郎が着替えてくるのが待ち遠しかった。
うん、そう・・・着替えたいから待ち遠しいんだって自分に言い聞かせること数分・・・奥の部屋のドアが開いて、総二郎が洋服に着替えてきた。

流石お洒落・・・来た時とは違う服。
珍しくアイボリーのサマーセーターにビンテージジーンズ。シルバーのネックレスに同じデザインの指輪が右手にある・・・そして時計もブライトリングのクロノマット。昔自慢してたヤツだ。
さっきまでの着物からガラッとイメージが変わったからドキッとした。


「よし、まずは立たなきゃな。自分じゃ無理だろ?そこ、低いから」
「ん、ごめん・・・ホントに草臥れちゃって」

「そうだろうな。ほら、掴まれ」
「うん!」


差し出してくれた手を掴んで立ち上がったけど、総二郎の勢いが強すぎで思わず胸に体当たり!慌てて離れようとしたら、逆にガシッと抱き締められた?!
吃驚して心臓が止まった・・・と思ったら背中に回った手が何かしてる?

シュルシュルと音がするから何かと思えば・・・この体勢で帯を解かれていた!


「ちょ、ちょっと!何してんのよ!」
「は?着物脱がせてやってるんだろうが。まずは帯からに決まってんだろ?」

「そうじゃなくて!どうして正面から抱きついて解くのよ!背中に回ってからにしなさいよ!」
「別に向きなんてどうでもいいだろ。どうせ脱ぐんだから」

「止めて、その言い方!脱いだ後はすぐに着るんだから!」
「大声出すなって。母屋中に聞こえるぞ?」

「・・・はっ!」


そうだった!と慌てて口を塞いだけど、その間も総二郎の手は休むことなく動いてて、あっという間に私の足元に帯が落ちた。それから今度は着物の伊達締めに腰紐・・・だんだん心許なくなる自分の格好が恥ずかしくなってきた!
でも総二郎の顔が目の前で、しかもド真剣に私の身体を触りまくり・・・紐を解く時の指の動きが超ヤバいんだけど!

あれよあれよという間に長襦袢になって、流石にここまで来ると全身真っ赤!
ここで漸く総二郎と至近距離で目が合った。


「あ、あの・・・もう大丈夫だから服、持って来て?」
「あぁ、そうだったな。脱がすのに必死で忘れてたわ」

「・・・・・・(いつも脱がすことを考えてるのね、この男はっ!💢)」
「ほら、こいつで良いだろ」

「あっ!可愛い~・・・って凄いミニじゃない!」
「夏だからな」


総二郎が持って来てくれたのは彼の服と同じブランドのミニワンピだった。
それを手渡してくれて、私が着替えてる間に手際よく着物や帯を片付けてくれた。最後に和装メイクからいつもの簡単メイクに戻して支度は完了。
その時には小物まで全部綺麗に仕舞われていて、総二郎の部屋は元通りになった。


「よし!私の知ってる美味しい焼き鳥屋さんに行こう!」
「あ、待て、つくし」

「ん?どうしたの?」
「忘れ物」

「は、またぁ?」


これでやっとご飯が食べられるって、喜んで部屋を出ようとしたのに呼び止められて、私が振り向いた瞬間・・・


フワッと総二郎が抱き締めてキスしてきた。
それは激しいヤツじゃなくて・・・この人にしては優しいキスだった。


「・・・・・・なっ、なにっ?!」
「このぐらいエッチの中に入らねぇだろ?」

「はぁ?!バ、バカーーっ!!」
「よし、行こうぜ、焼き鳥屋!」





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Comments 4

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2020/03/29 (Sun) 12:43 | EDIT | REPLY |   
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2020/03/29 (Sun) 14:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あらら!きょうもムカついてますね?(笑)
いやいや、シリアスな話じゃありませんから💦

ヘタレ総ちゃん(笑)
そうなのよね~💦総ちゃんって意外とヘタレな話が多いんですよね!
でも今回は・・・どうだろ?(笑)

男っぽいのか?実はやっぱりヘタレなのか・・・?

2020/03/29 (Sun) 21:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

会えて良かったですね~♥(笑)
って!260?!!なんじゃ、そりゃ!!

無理無理!もう200とか無理だからっ!(笑)
あれ以上ややこしいの、もう考えられないからっ!

そう言いながら実は考える私・・・(笑)でも、本当にもう書き尽くした感があるんですよ~。
司君が書けるなら幅も広がるんだろうけど、そこが書けないからね~。


あはは!イボ(笑)
申し訳ない💦あそこは類誕なので類にイボはダメだと思ってさ(笑)
で、そんなもの書かないって言ってるのにっ!!


で、漁師の話←またか!

漁師はまな板にも拘りがあるのよ(笑)

いつだったかしら・・・職業訓練学校の何かのイベントで、まな板製作&販売ってのがあって、そこのまな板が最高らしいのね。
でも一人1個しか買えないって言われて、私まで買いに行かされたのよ!
それで買ったまな板がデカいのなんのって!
抱えるのも重たくて大変だったわ~!

腕が腱鞘炎になるかと思って、私はそれを貰ったけど使っていません(笑)
マジ、使いにくいんだもん。

漁師、次は何を釣るんでしょうか。
自分が魚の餌にならなければいいけどね♥(妹の台詞か?)



2020/03/29 (Sun) 21:34 | EDIT | REPLY |   

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