Sister Complex (12)

「珍しいわね!花沢様が高等部にいらっしゃるなんて・・・隣は誰なの?彼女?」
「すごく素敵な方よね!憧れちゃうわ・・・お話ししてみたいわね」

廊下を歩いてたらいろんな人の声が聞こえてくる。
類はまったくその人達の方を見ずにその左手はずっと私の背中を支えてくれていた。

ここでも多分・・・言わなかったら私のことは妹だとはわかんないんだろうな。


教室の前まで行くとあっという間に私と類の周りにはギャラリーが出来た。
それでも類は何も気にせずに私の肩に手を置いて、顔を近づけて話すから女子達からはため息が漏れてる。
中には泣きそうな人までいるんだけど・・・私には類よりそっちの方が気になった。


「じゃあ、帰りも迎えに来るから教室で待っててよ。絶対に一人で帰ったらダメだからね?」

「うん。わかった。類・・・お昼は?一緒にいられる?」

「じゃあ大学の方にカフェがあるからそこまで・・・いや、いいよ。俺が迎えに来るからお昼もここで待ってて」

「ありがとう・・・じゃあね!」

類は心配そうに私を見ながら、教室をなかなか離れない。
そうしているうちに積極的なお嬢様が類に声を掛けてきた。

「あの・・・花沢さんですよね?類さんってお呼びしてもいいかしら?私は高本商事の娘で美奈子って言います。
お見知りおきを・・・今度私の家の・・・」
「聞きたくないな!誰でもいいんだけど、そんな話しはしないでもらえる?」

類に話しかけた美奈子さんっていう人は類の少しだけ怒ったような声にビクッとして話しを止めた。
私も類がこんなに冷たい声を出したのを聞いたことがなかった。

「悪いんだけど、そういうの嫌いだし。言っとくけどこの件でもし君がつくしに何かしたら許さないからね?
じゃあ、つくし・・・もう行くね。お昼に来るから」

「あ・・・うん!わかったよ」


類は片手をあげて向きを変えてやっと私の教室を後にした。
でも、何とも言えないこの空気・・・振り向いたら全員の視線が私に集まっているようなんだけど・・・!


「ちょっと・・・!あなたは花沢さんの何なの?どういう関係?!」
「どうして花沢さんがここまであなたを送ってくるの?さっきから見てたら肩を持ったり背中を触ったり・・・」


「どういう関係って・・・類は兄ですけど?」

私がそういうと一瞬教室がシーンとなった。
そしてすぐに大騒ぎになって私の周りにをお嬢様達が取り囲んだ!

「お兄様って・・・あなたもしかしたら最近話題になった花沢のお嬢様?」
「うちもお父様がお話ししてたわ。あの花沢家に実は女の子がいたって・・・あなたなの?!」

「はぁ・・・。まぁ、そうなんだけど。そんなに噂になってたの?」

「そりゃそうでしょう!あの花沢様の妹さんよ?どんな人か興味あるじゃない!」
「でも、随分仲がいいのね!とても兄妹には見えなかったわ。花沢様があんなふうに心配するなんて・・・
うちのお兄様なんて私とお話しすらしないわよ?」

クラスの女の子達は私が類の妹だと知ったらいきなりフレンドリーになった。
もしかしたら私と仲良くなって、そのついでに類に紹介でもしてもらおうって思ってんのかしら。

「花沢家は大企業な上に跡取りの類様はあの美貌ですもの。運良くお知り合いになれたら恋人になるチャンス
もあるじゃない?類様はあまりご自分からはお話しなさらないからきっかけが作れないのよ!」

「そうなのよね!だから、さっきみたいにあんなに近くでお顔を見ることなんて出来なかったわ・・・。
でも、やっぱり素敵よね~!あなたはいいわね!毎日あの方とご一緒で・・・でも兄妹じゃ関係ないか!」

その言葉は聞きたくなかった。
小さい頃からわかってるわよ!いくら素敵でも、兄妹じゃどうしようもないって事ぐらい。
でも、悪いけど・・・だからってクラスメイトを類に紹介しようなんて思わないわ!

類は兄だけど、私の一番大事な人だから!


周りの子が煩くしている中、一人で授業の準備をしていた。
これ以上類の話をされるのも嫌だし、同じ女子校でも前の学校の友だちとはやはり少し違うみたい。

私の周りが何となく暗くなった・・・顔を上げたら今度は周りに男子生徒の群れが出来てる?!

「君・・・花沢家のお嬢さんなんだって?初めまして!俺は本田って言うんだけど・・・君って彼氏とかいるの?」
「はい?・・・いいえ、そんな人いませんけど?」

「俺は川口っていうんだ。親父は代議士なんだけどさ。・・・ねぇ、もし良かったら今度うちに来ない?」
「は?あなたの家に?・・・いえ、結構です。ご遠慮します」

「僕は中村って言うんだけど、こんなヤツらよりも僕と付き合わない?僕の父は銀行の頭取で・・・」
「いえ!私は誰とも付き合いませんから!」


なんなの?この学校は・・・!毎日こうなの?よく見たら勉強の準備をする生徒は1人もいない。
まるで毎日がお見合いなの?派手な化粧に、学生なのにアクセサリー・・・男子もピアスまでつけて!


「そんな事言わなくてもいいじゃん!どうせここには将来の相手探しで来てるわけだし・・・」

どこかの誰かがそう言ったとき、とうとう頭にきて怒鳴ってしまった!

「私には類がいるのよっ!もし、私と付き合いたいって言うんなら類を超えた人じゃなきゃ絶対に嫌なのよ!
勇気があるなら類に勉強でもなんでも挑戦してみなさいよ!勝てるわけがないんだから!
そんな人今まで見たことないんだからね!」

・・・しまった!この前のパーティーと同じになったわ・・・!

クラス全体が静まりかえってる。
ちょうど担任の先生が入ってきて私を教壇の前に呼んだ。

「今日からこのクラスで一緒に授業をうける花沢つくしさんです。・・・くれぐれも花沢さんにはお怪我をさせたり
一人にさせるなどの状況を作らないように・・・皆さん仲良くしてくださいね」

先生でさえこうなのね?
私は自分が花沢の人間だなんて考えて生活していなかったからこんな特別扱いには慣れそうになかった。
類が言っていた「面白くない場所」・・・納得したわ。


私はこのあとの午前中の授業を誰とも口をきかずに受けた。
はやくお昼休みになって類が来てくれること・・・それだけを楽しみに待っている。

窓の外には大学の校舎が見える・・・あそこにはいま類がいる。
初めての授業も上の空で・・・今類が何をしているのかを考えていた。

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