Sister Complex (13)

「そんな事言ったの?教室のみんなの前で?・・・大丈夫なの?」

つくしを教室まで迎えに行って、そのまま大学のカフェに向かう途中さっきあった出来事を話してくれた。
すごく頭にきたのか、慣れないアプローチにうんざりしたのかつくしは大興奮だった。

「平気よ!もうしつこいったらなかったのよ?それに事実だわ!類以上の人なんていないんだから無駄なのよ!
この条件ならクリアする人はいないわ!どんな勝負でも類が負けるはずがないもの!」

相変わらず元気がいいよね、初めての登校なのに。・・・そしてすごく嬉しいことをいってくれるよね。
まぁ、この学校でこれから過ごすんなら初めに予防線張るのもいいと思うんだけど。

確かに・・・高校生に勝負挑まれても「戦利品」がつくしなら負けるわけにはいかないよ・・・。


大学の校内に入ると今度はここの学生がつくしを見る。
俺が連れているからなのか、それともつくしが気になるのか・・・特に男子学生の視線がつくしを捕らえた。
それはそれで気に入らない・・・俺はつくしの腕を掴んだまま足早にカフェに向かった。

「ちょっと・・・類っ!痛いんだけど・・・引っ張らないでよ!」
「あ、ごめん・・・強かったね」

カフェではその一番端に座って出来るだけ目立たないようにした。
つくしはそんな俺の気持ちを知らないまま山のようにランチを注文してすごい勢いで食べてる。
見てるだけでお腹いっぱいになるんだけど・・・そのぐらいつくしは頭にきてるんだね。

「ねぇ、類ってこの学校でどんな生活してきたの?もうクラスメイトは凄いのよ?類を狙って私にその間に入れって
煩いんだから!今まではこんな事なかったの?」

「さぁ・・・あったかもしれないけど興味ないから・・・招待状もらっても開けたことはないよ。そんなもの普通だったら
自宅に届くでしょ?こんな所でもらっても信用できないからさ」

俺の反応の薄さが気に入らないのか、つくしは大きなため息をついてフォークを振り回した。

「私よりも類の方が心配じゃない!受け取っちゃあダメでしょ!相手が本気になったらどうすんの!」
「ちょっと・・・フォークを振り回すの止めなよ!家でやったら加代が泣くよ?」


俺の心配よりどう考えてもつくしの心配だろ?
俺はこう見えても慣れてるし、幼稚舎から英徳なんだから同級生もみんな理解してるし・・・。

何にも知らないつくしの方がこれから色んな攻撃にあうんだって・・・。



カフェの向こうから学生達の悲鳴が上がった・・・面倒くさいヤツらが来たんだ・・・。
このカフェのすぐ近くには俺たち専用のラウンジがあった。いつもは俺もそこに行くんだけどつくしがいるから
今日はここですませていたのに・・・案の定、声がかかった。

「よっ!つくしちゃん、とうとうここに来たんだね!なんでカフェで食ってんの?向こうに行こうぜ!」
「類もどうしてそんな席に座ってんだ?つくしちゃんならラウンジに来たっていいだろ?」

総二郎とあきらがわざわざ大勢の学生の前でつくしに声をかけてる・・・余計な一言だっていうのに!
こいつらの知り合いは気さくに話しかける学生もいるから、その中の1人が俺に声をかけてきた。

「花沢君・・・その子、高校生でしょ?なんでここに連れてきてるの?知り合い・・・まさか彼女?」
「初めてじゃない?カフェでランチなんて・・・この子がいるからなの?」

馴れ馴れしく話しかけてくるその子達の事なんてまるで無視していた。
つくしは真っ赤になってるけど俺とその子達を交互に見て困っているようだった。


「この子は類の妹のつくしちゃん!この春から英徳に来てんの。類があんまり大事にしてるから妹に見えないだろ?
俺たちも会わせてもらえなかったぐらい、こいつ妹が好きなんだよ!」

総二郎が笑いながらつくしの事を説明した直後、その辺の学生達はざわつき始めた。

「うそっ!・・・本当だったの?花沢君に妹がいたんだって最近聞いたのよ!」
「今まで一度も表に出なかったっていう妹さん?この前の花沢君のパーティーでお披露目したんでしょ?
随分綺麗な子だって噂で聞いたけど・・・思ったより子供っぽいのね!」

「ねぇ・・・でもこのお二人ってあんまり・・・」

この後の言葉を聞きたくなくて、俺は大きく机を叩いて席を立った!
この大きな音にお喋りをしていた子達はビクッとして話すのをやめた。

つくしもびっくりしたのか食べかけのサラダを持ったまま固まった。総二郎とあきらもその場で止まったまま・・・

「余計な詮索はしないでもらえる?つくしの事はうちで考えがあって今まで公表しなかっただけだよ!
その理由なんてお前達に説明なんて必要ないよね?なんの関係もないんだから・・・!煩いんだよ!」

いつも大きな声なんて出さないし、滅多にこんな言葉も使わないからみんな驚いて視線が俺に集中している。
勝手に驚いてたらいい!・・・そうじゃないとこの先つくしに変な話しをされても困るから。


「まぁ・・・類もそんなふうに怒るなよ!お前があんまり話さないからみんなが余計に聞きたがるんだって!
もうそこら辺でいいだろ?・・・つくしちゃんを連れて向こうへ行こうぜ?」

その変な空気を断ち切ろうとしたのか、あきらがつくしと俺をラウンジへ行くように薦めてきた。
こうなったら仕方がない・・・つくしを連れて4人で俺たちの指定席へ向かった。



そのラウンジにはやっぱり司がいた。
今までのカフェでの騒ぎを知ってか知らずか、何も言わずにソファーに座っている。
つくしはあの日を思い出したのか嫌な顔をして俺の後ろに隠れた。

それを見たあきらがすぐにまた声をかけて司と俺の間に入る。

「ほら・・・あんまり気にすんなって!もう過ぎたことだろ?つくしちゃんは類の横がいいよな。そっちに座って?」

司から離れた席につくしを座らせて、その横に俺は座った。
でも感じる・・・司はさっきからずっとつくしを見ている。つくしも時々司を見ている・・・。

なんだろう・・・この不安は。今まで一度もつくしからこんな不安を感じたことはないのに。


「類!そんなに怖い顔すんなって!マジでお前、妹にくっつきすぎだぜ?」

「別にそんなつもりはないよ。ただ慣れるまでは側についておくように言われてるだけ・・・それだけだよ。
それにつくしに寄ってくる男には注意するようにって親父が煩いからね」

総二郎がそんなもんかって笑うけど、その寄ってくる男・・・それが目の前にいるような気がする。
何も言わないけどその眼がつくしを捕らえている。

あきらと総二郎が気にせず世間話を始めて、つくしもその会話に加わった。
その様子を見てもわかる。つくしはこの二人には特別距離をとろうとはしない。むしろ近づこうとする。
そこに特別な感情がないから出来ることだ・・・。


でも司には・・・?


俺はつくしを見ている司を睨んでいた。
もしかしたら・・・そんな予感がしてならなかった。

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花より男子

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