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9月に入り、なんと同棲生活ももうすぐ2ヶ月・・・本当に清らかな?関係のまま過ぎていった。
なんかもう倦怠期の夫婦じゃないの?ってぐらい・・・それか仲良し兄妹みたいな日々で、物足りないような、これで良いような変な気分で総二郎の送り迎えをしていた。


たまに出しては窓辺で見てるダイヤの指輪・・・眩しすぎて何度落としそうになったことか。
でも、これを見ると竜司さんの事を少しは思い出す。今頃何処で何してるんだろうって・・・。

「見つけたらまずは280万円返してもらうんだから!それから一発殴らせてもらって、余裕が出来てたら3500万円も・・・」


・・・3500万円返したらこの部屋から出て行くのかしら。
出て行くってことは総二郎との契約は解除。でも私は自由になるけど総二郎はどう思うんだろう・・・?

ここを出ていったら、私・・・また1人で暮らすんだよね。


♪~~♪~「うわっ!!」


変な事を考えてたらスマホが鳴った!
そこに届いたのは総二郎からのメッセージ・・・心の中を覗かれたのかと思ってドキドキした。

『小石川の茶道教室が内装工事の準備で短縮になったから18時に来い』

「来てくれないかって言うお願いではないのよね?既に命令だし!」


指輪を仕舞ってから夕食の支度を始め、17時20分になったら出掛ける支度をした。
今日の晩ご飯は総二郎の好きな胡麻豆腐に、少し早いけど栗ご飯。お吸い物も作って、鰺のフライと茄子の味噌田楽。
戻ったらすぐに食べられるようにしてからマンションを出た。


茶道教室に到着したら、珍しくおばさん達に囲まれた総二郎を発見。
少し遅かったのかしら?って思ったけど18時5分前で、遅れてはいない。よく見たら既に内装工事の業者さんが入って来てたから尚更早く出されたってところかしら。
急いで真横に車を停めると、ニコニコした総二郎がおばさん達に挨拶をしていた。


「それでは迎えが参りましたので私はこれで失礼致します。また来週、今度はちゃんとお稽古いたしましょう」

「総二郎様、もう少しお話しが聞きたかったですわ~!せっかく早く終わりましたのに~!」
「こちらがいつもお話しになってるお嬢様ですの?まぁ~、お若いんですのね?お幾つ下なんですの?」
「あら、総二郎様のお顔が優しくなったのはこの方のせい?」


毎度毎度ご苦労な事で。
私を使って自分の好感度上げるの止めてよね?って思うけど、ここで愛想良くしないと総二郎の麗しい顔が引き攣る。だから運転席から降りて、キチンとご挨拶・・・少しはこれにも慣れてしまった。


「初めまして、牧野と申します。皆様、お稽古お疲れ様でした」
「こちらは婚約者の牧野です。以後、お見知りおきくださいね」

「「「まぁ~~~っ!婚約者ですって!」」」
「羨ましいわぁ、お嬢様!こもしかして、これからデートですの?」
「やだわぁ~!デートの最後は・・・総二郎様、無茶はいけませんわよ?」

「ははっ・・・いえ、そんな・・・」
「奥様方、そのように苛めないでください。彼女は照れ屋なものですから・・・さ、帰ろうか」

そのむず痒くなる笑顔、止めてっ!!

とは言えずに、総二郎に肩を抱かれて車に戻る・・・そして2人共が200%の笑顔のまま車を発進・・・おば様達の姿が完全に見えなくなると、素の総二郎が現れる。
着物の襟元を派手に広げてパタパタして、それまで乱していなかった髪も掻いちゃって、姿勢は思いっきり崩してシートにナナメになってる。
西門総二郎のだらしない姿・・・チラッと目を向ければ襟元から少しだけ胸筋が見えて、脇汗かいた・・・。


「マジ、疲れたーーっ!いっその事中止にすりゃ良かった!で、今日の飯、なに?」
「あぁ、栗ご飯炊いたわよ。それと胡麻豆腐に鰺フライだよ」

「んじゃ酒は日本酒だな。つくしも少し飲めよ」
「うん、少しね」

「あっ、いけね・・・言い忘れてた」


急に真正面向いたまま真面目な顔して、次には運転席の私をガン見。
すごく嫌な予感がする・・・ちょうど赤信号だったから車を停めて総二郎を見ると、出された言葉はやっぱり嫌なことだった!


「えっ!月見の茶事?!」
「あぁ、さっきお袋から電話があった。9月16日に月見の茶事をするからお前も来いってさ」

「私が行って何するの?」
「俺は亭主じゃないから呼ばれただけじゃね?所謂客側になるから気にしなくていいと思うけど、作法だけは知らなきゃ困るから明日から本格的に稽古するからな」

「・・・・・・マジで~?」
「茶道家の婚約者がそんな言い方すんな!」


・・・倦怠期の夫婦でも仲良し兄妹でも無かったのね?婚約者と言われて少し耳が熱い・・・それを気取られないようにハンドルを握った。




********************




月見の茶事は西門では恒例行事だった。
客を呼んで行うものと、身内だけで行うもの・・・その時の亭主は家元か次期家元だった。
因みに俺は去年、嫌々親父達に茶を点てて「実に美味くない!」と叱られた茶事・・・嫌な思い出が詰まったヤツだ。


旧暦では7月から9月までが秋。
そのド真ん中の8月15日を中秋、則ち秋の真ん中だ。その日は満月であることが多いために収穫物を供えて月を愛でるようになったんだが、その収穫物が里芋であることが多くて「芋名月」とも言う。
前日を待宵まつよい、翌日を十六夜いざよいと呼ぶが、茶杓や菓子などの銘によく使われるから、そんな話を茶席で客としたもんだ。

月見の茶事では掛物も道具も月に因んだものを選び、客に趣向を読み取らせる。
茶花には秋明菊や吾亦紅がよく使われ、香合や蓋置、薄茶器の蓋裏にも桔梗など秋草の描かれた道具を用意する。


「それって私からも質問するの?」
「いや、主客がするから普通はいいんだけどな・・・でも、身内だけだと突然話を振られるかもしれない」

「えっ!例えば?」
「そうだな・・・掛物の意味とか、花の名前とか。茶懐石まであれば、そこでも月を思わせるものがあるから聞かれたりな」

「月なんて食べないし」
「アホか!例えば八寸の赤芋を月に見立てたり、煮物椀に萩の花に見立てた真蒸とかな」

「・・・全然判んないんだけど」
「だろうな」


身内以外の客が1人でも居れば意地悪なこともしないだろうけど、そうじゃないならおそらく攻撃はつくしに来る。
だから本腰入れて茶の稽古に入った。

帛紗捌きは相変わらず折り紙みたいだし、正座は長くて15分しか出来ないし、それでも数日間で客側のマナーを覚えなくちゃいけない。
点てる側じゃないからまだ楽だったけど、毎日難しい顔して茶碗を持つつくしは面白かった。


月見の茶事まであと10日・・・何とか形になりゃいいけどな。


「総二郎、足が痺れた・・・」
「摩ってやろうか?出してみ?」

「あっ、直った!じゃあまた今度~~!」


・・・こっちも何とかならないかな・・・。





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2020/04/09 (Thu) 01:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

倦怠期の夫婦(笑)総ちゃんに倦怠期があるんかいな?って思うけど💦
類君なら年柄年中倦怠期って言われたら「成る程ね~」ってなるんだけど。

乱れた着物から胸筋って憧れなのよ~♡
勿論、これはイケメンにしか適用されないけどさ!
そんなの助手席でやられたら完全に事故るわ(笑)


月見の茶事・・・茶事よりもそろそろ○○が欲しい所でしょうか・・・。
もう少し待っててね♡

2020/04/09 (Thu) 19:26 | EDIT | REPLY |   

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