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16日が迫って来たとある日、今度は親父に言われて後援会幹部達に挨拶回り・・・と言うか、詫びを入れに行く事になった。

次期家元を変更については後援会の承認をもらうために親父の呼びかけで会合を開いてるが、今回は俺から直接詫びを入れろって訳だ。
そのついでに婚約者の紹介もしてこいと・・・。
つまり2人揃って後援会長、副会長、その他数名の幹部の屋敷を1日掛けて回る。つくしにそれを話すと再びソファーに倒れ込んだ。


「心配しなくてもお前は座ってればいいから。話は全部俺がするし、茶を点てる訳でもない。それに幹部だからって恐ろしい人間ばかりじゃないから」
「でもご年配の気難しい人が殆どでしょ?やだぁ!何言われても返事出来ない!」

「何度も言うけどお前は次期家元の相手じゃねぇから文句なんて言われねぇって」
「詩織さんの事は?もうみんな知ってるの?」

「先週本邸に幹部達を集めて詩織の紹介を済ませたってさ」
「・・・そうなんだ」


若宗匠であれば婚約者の紹介は宗家に役員を呼んで行われるが、そうでなければこっちから出向いて行くのは昔からの倣いだ。
だから俺としては問題ねぇけど、跡継ぎである若宗匠を降りたことで多少の嫌味は覚悟しなくちゃいけない。そこにつくしが居たとしても、誰もこいつの素性を知らないし、極普通の家の娘だから遠慮無く言われるんだろう。

こいつがそれを聞いて落ち込まなきゃいいけど・・・と、そっちの方が気になっていた。


「って事で、これがお前の訪問着な」
「えっ!また着物?」

「当たり前だ。今度は振袖じゃねぇから少しは動きやすいだろうけど、品良く歩かなきゃいけねぇからまた特訓だ」
「マジで~?!」

「大真面目だ!」


本当なら西門の紋入れて、じっくり選んで作ってやりたかった。
でもそんな時間もないし、そもそも振袖着て池の鯉を覗き込んだヤツだ・・・ソコソコの訪問着でまずは馴れさせた方がいいだろうと思った。

職人拘りの手描きで細部まで丁寧に表現された本格京友禅。
秋らしく暖かみのあるピンクベージュの地に菊や紅葉、桔梗などの秋の花が描かれている。帯は金地に華文が織り込まれた唐織の重厚なもの。
何処から見ても高級感溢れる組み合わせ・・・ただし、中身がつくしだけど。


「うわぁ・・・振袖と違って大人っぽいんだね」
「まぁな。まさか他の家に行ってまで池の鯉を捕まえようとすんなよ?」

「あの時も取ってません!金色の鯉が居たから売ったらいくらになるのかと思っただけよ」
「うちのは3500万にはならねぇけどな」

「あっ、そうなの?」
「・・・・・・・・・(売る気だったな?)あの池で泳いでるヤツは平均で1匹500万程度だ。
錦鯉は喧嘩しないから平和・幸運のシンボルと言われてるし、高額なヤツは人間でいう『容姿端麗』と同じだ。体形・色彩・模様は勿論のこと、色調やバランスの良いものなんかで値段が決まるんだ。一般的に高いヤツで2~3千万円かな?」

「やっぱり金色が高いの?」
「いや、今までの最高額では約2億円、体長約1メートルの白と赤のメスだ」

「えっ?!総二郎の指輪より錦鯉の方が高いの?2個分じゃんっ!」


・・・・・・婚約指輪が鯉に負けたみたいに言われて何気に傷ついた。
偽物渡されたヤツに言われたかねぇけどなっ💢!

いや、鯉の話じゃねぇってのっ!


「ほら!ブランケット腰に巻いてこい!今からそれで立ち居振る舞いの特訓だ!」
「着物があるのに?」

「ほぉ・・・俺の前で着替えたいのか?」
「ブランケット、持って来まーす!!」


チッ!しまった・・・素直につくしの言う事聞いて着替えさせりゃ良かった。
俺が腕組みしてブスくれてると、いつものようにブランケットを巻きながらつくしが走って来て、リビングに入るなり俺の目の前で思いっきり尻餅ついて転けた。
目覆いたくなるような悲惨な姿・・・これを幹部宅でやりそうな気がしてクラッとした。


「・・・ったく、ドジだな!やっぱり着物に着替えるか?」
「やだぁ!はやく特訓終わらせなきゃ午後からの茶道教室に間に合わないよ?」

「それもそうだが」


そう言ってブランケットを捲って立ち上がる時に見えてしまう白い脚・・・。
普段短パンの時には然程気にならないのに、こういう時にはドキドキするのはどうしてだ?




***********************




月見の茶事の前に出された宿題・・・「後援会役員宅を回ること」
とうとうその日になった。

振袖みたいに派手じゃないからメイクは自分でいいって言われ、先にそれをいつもの3倍時間を掛けてやった。
次には髪の毛だけど、意外にも総二郎が簡単なのは結えるって事で、私も手伝いながら下の方で可愛らしく纏めた。それが済んだら着付け・・・何度目かだけど全然慣れなくて、今日も真っ赤になりながら長襦袢姿で総二郎の前に立った。


「何度も言うだろ?姿勢良く立てって。長襦袢の狂いは着崩れの元だから」
「う、うん・・・」

「少し肩から胸にタオル置くぞ?この辺肉が少ないから」
「きゃあっ!何処触るのよ!」

「何処って・・・嫁の胸触って何処が悪いんだ?触らないヤツの方が病気だろ」
「えっ!触らなかったら病気なの?!マジ?じゃあもしかして竜司さんはびょ・・・・・・はっ!」

「・・・・・・・・・・・・」


不味い!総二郎の前で竜司さんの事を口に出してしまった!
竜司さんが私にはキス以外してないこと、今のでバレたかしら?!総二郎の言った「病気」なんて冗談だって判ってるのに、つい・・・。


総二郎が腰紐持ったまま固まった。
やだ・・・その腰紐で首絞められそう・・・いや、そうじゃなくて!

どうして切れ長の目のクセにまん丸くなってんの!
ポカンと口開けたまま私を見ないでよっ・・・って、私の方も声が出ない。「あはは・・・」って笑って誤魔化そうとしたら、総二郎の手が私の腕を掴んだ!


「・・・お前、今なんて言った?」
「えっ?!な、なにも?なーんも言ってないわよ?」

「正直に言え。じゃないと力一杯腰紐で胴を締めるぞ」
「なんて脅し方してるのよ!なんでもないったら!」

「まさか、お前・・・あの男と何も無かったのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

「締めるぞ」
「五月蠅いなぁ!キスぐらいしてるわよ!!」

「そこじゃねぇ。そんなの犬とでも出来る。その先だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

「締めるぞ」
「してないわよっ!だから何よっ!!」



片や長襦袢のまま、片や腰紐持ったまま、向かい合って何叫んでるんだか。
でも総二郎の口元が、何故か微妙に嬉しそうだった。





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2020/04/09 (Thu) 15:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。
コメントありがとうございます。

はい、バレちゃいました~~♡
こうなったら総ちゃんを止めることは出来ませんが・・・でも、待っててね💦
怒らずに待っててね!

こんな時期でしょ?
ただでさえ書くのが辛いのに(笑)気合いが入らないのよ~💦←言い訳でございます。



うんうん、凄い勢いですよね・・・。
てか、毎日そればっかりなのでマジで鬱になる💦
私は元々家で仕事なので出掛けないけど、娘は完全失業ですよ。
かと言って簡単に「バイトして!」とも言えないし。

まだ都会に比べれば平和なのかもしれないけど、色んなニュースを聞く度にどんよりします。
関西・関東在住の読者様、作家様も心配・・・そう言ってると福岡が大変になってきたし。

楽しいお話しが浮かばない精神状態ですよ。
でも、こんな時期だからこそなんとか連載だけでも!と思ってます。


パール様、危険地帯だから油断しちゃダメよ?!
お子様共々、穏やかに過ごせますようにと祈ってますからね~♡

2020/04/09 (Thu) 23:02 | EDIT | REPLY |   

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