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「じゃあ、もう行こうか。午後からの授業に遅れるよ?教室まで送って行くから」

「あっ・・・はい!ありがとう、類」

あんまり長いことこいつらといたら何を言い出すかわかったもんじゃない。
まだ時間はあったけどつくしを少しでも早くラウンジから連れ出したかった。

「早くしなよ・・・初日から先生に目をつけられたくないだろ?」

「うん・・・でも、あの先生たち何も言いそうにないけどね」

先に席を立ってつくしを急かす俺を総二郎とあきらは笑いながら冷やかしていたが
司は何も言わずに眼だけを窓の外に向けていた。
でもつくしが立ち上がって俺の方に笑顔を向けた瞬間・・・司の視線はつくしに向かった。

やっぱり司はつくしに特別な感情を持っている・・・そんな気がした。
今まであんなに女に突っかかった事なんてなかったと思うから・・・その変化が気に入らなかった。

「類!兄貴がそんなに付きまとってるとつくしちゃんに彼氏が出来ないぞ?それじゃなくてもお前が兄貴ってだけで
他の男にはハードルが上がってんだから!」

「余計な事言わなくていいよ!総二郎・・・彼氏なんてまだいらないんだよ!」

「お前が決めつけるなよ?つくしちゃんだって青春したいだろ?どうせ花沢の娘ならそのうち決められるんだから。
今のうちだけだぜ?遊んでいられるのも」


あきらの言葉につくしが止まった。
振り向いてあきらの方を見ている・・・今までそんな事を考えたことがないからびっくりしたのかもしれない。

「煩いってば!まだそんな事考えなくていいよ・・・17なんだから」

「もう17だって!・・・まさか今まで一度も彼氏が出来たことないの?つくしちゃん・・・」

総二郎の言葉につくしはすぐに答えた。

「うん、一度もそんな人出来たことないよ。でもいらないわ。・・・類がいるもの」


瞬間・・・司の方に眼をやった。
今のつくしの答えをどう聞いたのか、今度は目線を下げたままつくしの方を見てはいなかった。
でも確実に聞いていただろう?俺は声に出さずに司の方を睨んでいた。

総二郎とあきらは呆れたように笑いながらつくしに言った。

「困ったもんだな!つくしちゃんは類しか見たことないからわかんないんだよ!それじゃあ楽しくないよ?
世の中には他にもいい男がいるんだから!なんなら俺がその相手を・・・」
「総二郎!いい加減しときなよ!」

やっぱり面白がって手を出そうとする・・・そんな総二郎に怒鳴ってしまった。
総二郎達は本気になったりはしないだろう・・・でも世間知らずのつくしはどう思うかわからない。

総二郎の言うとおりだ・・・つくしは俺以外の男をほとんど知らないから。
だから両親は急につくしの方向性を変えた・・・家のためになるように、男に近づけようとしたんだ。

「行くよ・・・つくし。本当に遅れるから急ごう・・・」


足早にラウンジを出る俺の後を走るようについてくるつくし・・・何故かつくしを待ってやれなかった。
俺を追いかけさせるようにわざと速く歩いてしまう。

そう・・・昔からつくしは俺の後を追いかけては掴まえてくれた。
今でもこの俺だけを追いかけさせたかったのかもしれない。


「類・・・!待って・・・待ってよ!」

早くおいで・・・俺のところに・・・
つくしの必死な言葉に自分の願望を重ねてしまう。それが報われないとわかっていても・・・。


*******


高等部の校舎に入ったら、もう俺も落ち着いた。
あれだけ急がせたくせに今度はゆっくりとつくしと並んで歩いた。

つくしは俺の方を見ずに前を見ながらさっきのことを聞いてきた。


「ねぇ・・・あの道明寺って怖いよね?なんであんな人と類が友だちなの?・・・ホントに仲がいいの?」

「まぁ、小さいときから家同士の付き合いで知ってるからね。いつもああなんだよ」

「4人の中では一番偉そうにしてるのね。どうしてなの?道明寺HDの力なの?子供の時でもそんなものなのかなぁ。
クラスの連中もね、道明寺の事はよく話してたわ。人気だけはあるみたいだけど、どこがいいんだかわかんないよ!
きっとみんなはあの性格を知らないのよね!だから、きゃあきゃあ言ってるんだわ!」

「そうだね・・・でもそれも昔からだから知られてると思うよ」

司の話ばかりするつくし・・・
自分では気がついていないんだろうか。この俺にそんな話をしているなんて。
この前まで俺のことしか話さなかったのに。


「また会うこともあるんだろうね。類の友だちなら・・・いや、会いたいわけじゃないわよ?」

誰もそんな事聞いてないのに慌てて誤魔化さなくてもいいよ。
その方がすごく気になるんだけど・・・余計に意識してるんだって、そう思えるから。


「司の事が気になるの?」

「えぇっ!そ・・・そんなわけないでしょう!何言ってるのよ!私は類をいつも見てるからあんな人みても
ドキドキなんてしないわよ!」

「俺はそんな事言ってないよ?・・・ほら、もう教室だよ。帰りもここに迎えに来るから1人でこの教室を出ないでよ?」

「・・・うん!ありがとう。類」


元気よく手を振ってるつくしに軽く片手をあげるだけで高等部を後にした。
つくしには笑顔を向けるけど、その姿が見えなくなると自分の顔が変わったのがわかる。

司に対する恐怖・・・あの強烈な男につくしの何かが惹かれはじめた。
まだつくし自身が気がついてないその感情に俺の方が焦っているんだ・・・。


********

<side司>
「なぁ・・・類のヤツ、あれマジでヤバいんじゃねぇか?俺には本気に見えるんだけど?」

「総二郎もか?・・・今までの類じゃないな。あんなに感情的にはならないヤツだったもんな」

この2人が言うことに間違いはねぇな・・・類は自分の妹に本気だ。
でも、なんでだ?どこかが違う気がする・・・妹相手の隠しておきたい恋愛感情?そうじゃない・・・。
1人の女に対するごく普通の愛情に見えるのは俺だけか?


「司はどう見えた?類の態度・・・異常だよな、やっぱり」

「ふん!・・・俺には関係ねぇよ。ただのムカつく女・・・それだけだ」


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