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「お前、俺を陥れようとしてるだろう?」

自分たちの部屋に戻ってからつくしは例のごとく花嫁衣装からその足を出してさすっていた。
一生に一度の姿で何やってんだ!こいつは!

「そんなわけないでしょう?!総二郎さんも一回なってみたらいいのよ!スッゴく痛いのよ?本当よ!」

「子供の時にそんなものは卒業したさ。お前はこれから毎日正座しとけ!毎回俺が変態扱いされるのは
迷惑なんだよっ!」

そんな俺の話をまったく聞きいてないつくしは、やっと治まった足を着物の中に戻した。
そして鏡の前で着崩した着物を整えようとしているから・・・仕方なく俺が直してやった。

「ありがと・・・いつもごめんね」
「え?・・・いや、いいよ。そんな頑丈な打ち掛け着てるのに自分では直せねぇだろ?」

突然、可愛らしく呟いて赤くなったりするから今までの事も何となくこれで許してしまう。
いや、待てよ?・・・もしかしたらこれがその場を逃げるこいつの作戦か?


「ねぇ、総二郎さん、ここでのお式はいつまで続くの?・・・もう疲れちゃったよ。朝っぱらからこの頭と着物でしょう?
どうにかなりそうだわ・・・足は痺れるし、お腹はすくけど食べられないし・・・」

「そうだよな・・・ちょっと待っとけ。何かつまめるものをもらってくるから・・・」


なんて優しい俺・・・さっきは危うく陥れられそうだったのに、今はもうこんなにいい旦那やってるなんて!
自画自賛しながら厨房へ行って簡単なものを作ってもらった。
おにぎりと漬け物と出汁巻きと・・・


俺たちの部屋でそれを2人で食ったけど・・・何かこういうのっていいと思う・・・。

「総二郎さん・・・このおにぎり美味しいね。・・・いい塩加減だわ」
「うちの料理人は一流だからな。素材にも味付けにもこだわってるから簡単な物でも美味いよ」

なんのご馳走があるわけでもないけど、向かい合って食べるなんて今まであんまりやったことないからな。
つくしが口元につけたご飯粒を指でとってやる・・・この一粒を俺が口に入れると思うだろ?
ところがつくしは俺の指から取ってその1粒でさえ自分で食べた!

俺のこの指がなんて可哀想なんだっ!・・・まったく、こんな時でも色気より食い気を実践すんなっ!


「で?・・・今日の予定ってこの後どうなってたっけ?」

「まだ、昼過ぎだろ?・・・今日は一日中こんな感じだ。この後もう少しだけここで宴会して、その後は都内の
ホテルで披露パーティーだろ?・・・っていうかこれは牧野の家にも伝えてあっただろう!聞いてないのか?
夜のパーティーにはお前の好きな類やあきらも来るし、今日は司も来るってさ」

「司?・・・って誰?まだ、会ったことないお友達?」

そういやまだ会わせてねぇか・・・まぁ、あいつはほぼ日本にはいないからな。
類やあきらには眼の色変えて飛びついてたけど・・・まさか司にまではしないよな。

「道明寺HDの副社長やってる幼馴染みだ。類やあきらと似たようなもんだがおかしな事やってると
ボコられるかもしれねぇから気をつけとけ。あいつに出会ったら黙っといた方が身のためだ。下手したら死ぬぞ?」


変な説明だが間違えてはいない。司にだけは近寄らない方が安全だ。
キョトンとした顔してるけど、超がつく箱入り娘のつくしにあいつはヤバいだろう・・・ホントに一発で殺されそうだ。

・・・案外司の方がやられたりして・・・それも想像できるのは何故だ?


「でも、類さんもあきらさんも久しぶりだわ・・・変わってないかしら。あの柔らかい感じがいいのよね~!
王子様って本当にいるんだって・・・そう思える人たちよね!早く夜になったらいいのになぁ・・・」

「お前・・・5時間前に旦那になった男の前でよくそんな話をするな!」

指を絡ませて天井を見上げるなっ!そこまで喜ばなくても良くないか?
お前の前にも眼の覚めるようないい男がいるだろうがっ!
つくしの中の類とあきらを追い出したくて、俺はつくしを抱き寄せた。

「この俺の前で他の男の事考えたらどうなるか・・・ここで教えてやろうか?」
「・・・えっ?ちょっと・・・それは」

俺は朝からずっとこうしたかった・・・こいつがあんまりにも綺麗だったから。
あんな席なんてどうでもいいから、早くこいつと二人になりたかったんだ・・・足の痺れは余計だけど。

ゆっくりとつくしに顔を寄せて、俺は花嫁にキスをした。
一度唇を離したけど・・・今度はつくしが欲しがるんだ・・・だからまた重ねてしまう。
こんな時はドレスだといいけど、鎧のような色打ち掛けは取っ払うことは出来ない・・・くそっ!



「・・・塩の味がする・・・」

「は?・・・さっきのメシの?・・・お前、こんな時になんて感想出すんだよっ!」

誰が塩味のキスの感想聞いたんだっ!たとえそうでも普通は甘いって言うんだよっ!


*******


足の痺れが取れた所でつくしは打ち掛けから大振袖に衣装替えして会場に戻った。
さすがに旧家に育っただけのことはある。表面上は上品に淑やかに笑顔を浮かべて家元夫人について
来客の席をまわっていた。


「総二郎君・・・随分長い退席でしたね・・・何かご用でもありましたか?」

そう聞いてくるのは竜崎清司郎・・・。
何が言いたいのかわからなくもないが、ニヤリと笑って俺の横に座った。

「別に・・・つくしが少し食事をしたのと、着替えをしただけだけど・・・そんなに長かったですか?」

「ほんの少し・・・赤いものが。なかなか取れないんですよね、特に和装の化粧品はね・・・」

あれ・・・マジで?
念入りに拭いたつもりだったけど・・・って自分の口に手を当てたら清司郎が笑い出した。


「・・・もしかして騙しました?・・・なかなか面白いことをしますね。清司郎さん・・・」

「お家元が総二郎君の変わりようが面白いと言われたので試してみたんですよ。確かに変わりましたね。
昔の総二郎君は刃物を向けられたような・・・冷めた所の方が目立ちましたから・・・」

この俺を試すとは・・・いや、俺にそんな隙が出来てるって事かもな。
確かにつくしといたら尖ることもせずにすむし、自然と顔が緩んでしまうからな。
清司郎に言われて自分が少し変わってきたと改めて感じてしまう。


そのあとも清司郎と話しているのに、俺の視線は会場を回るつくしに向かっている。

さっきから酔っ払っている山本の爺さんがまたつくしに近寄った!

「つくしさん!総二郎君がどこかに飛んでいかんように、貴女がしっかりと繋ぎ止めておきなさいよ!」

この爺さんの言葉に周りの人間は苦笑いをしたが当の本人はド真面目だ。
大振り袖の腕をまくって握り拳を作ってまでつくしは真剣に山本さんを見ながら答えた!

「お任せ下さい!私、繋ぎ止めておく自信はありますからっ!」


お袋始めみんなは瞬間固まったが、すぐにそれを笑いに変えた。
・・・つくし、お前は力ずくで繋ぎ止めるって意味に取っただろう?

そういう意味じゃないんだよっ!その貧相なカラダで何を自信満々で答えてんだっ!!
しかも繋ぎ止めておけるかどうかのテストすらしてねぇじゃねーかっ!・・・赤点だったらどーすんだ?


清司郎は笑いを堪えて、半分は俺に憐れみの笑顔を向けている。その肩を振るわせながら・・・。

「やっぱり、楽しくなりそうですね・・・総二郎君」
「えぇ・・・楽しいですよ。これから色々と教えていきますから・・・」


なんでだろう。
スタートラインに立ったのに後ろに走ってる気がするのは俺だけか?



sadou11.jpg


明日は場所替え~!引っ張りまくりっ!
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Comments 4

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2017/06/23 (Fri) 12:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

色気はないですねぇ!
出してるけど、報われない感じかな?

元気なつくしちゃん、いいでしょ?

数ある総二郎君のお話に1つくらいアホな話があっても
許していただけるかしら?
あ、若宗匠もかなりヤバイじゃないですか?

こりゃ、純粋な総二郎ファンからはクレーム対象ですね!

怒られるの覚悟で明日もこんな感じでございます!
今日もありがとうございました🎵

2017/06/23 (Fri) 16:47 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/29 (Thu) 15:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんわ~!(1) 


あら?良かったでしょう?バック走の総二郎!
なぜかスラスラとそこは書いてしまった・・・。

サザエさん?それはなかなかいい想像力ですね!
わたしもちょっと納得!さすがです!さとぴょん様!

で、赤点って判断はどのラインでしょうかね。総二郎の満足度?でしょうか・・・。
さとぴょん様、本日は盛大にありがとうございます!
大変だったでしょう?(*^▽^*)

2017/06/29 (Thu) 21:43 | EDIT | REPLY |   

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