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西門邸での宴会が終わったら、場所を都内のホテルに移して結婚披露パーティーが行われた。
俺たちもやっとその堅苦しい着物から解放されて自由に動けるようになるわけだが・・・ここでも油断は出来ない。

つくしの今日の装いはもちろん白のウエディングドレス・・・お袋の夢が詰め込まれた特注品だ。
はっきり言ってこの俺の支度なんか半日で済ませたくせに、つくしのドレス選びは3ヶ月かかった。
そのぐらい気合い入れて西門が用意したものだ。当然最終チェックはこの俺だけどな!

オフショルダーの白いドレスにはパールが縫い付けられていて、生地にもそれが織り込まれているから
動く度に微妙に光り輝いて・・・とにかく上品で美しかった。
髪はトップに結い上げてそこに真っ白な牡丹の花・・・そこから流れるようにつくしの黒髪が揺れている。
オリエンタルな装いでつくしにはよく似合っていた。
化粧もこのドレスに合うように直して、目の前に現われたつくしの姿に声も出ないほど・・・。

「総二郎さん・・・?どうしたの?・・・どこかおかしい?」

「いや・・・そうじゃねぇよ。見とれてただけだ。俺以外の誰も見なくて良いのに・・・隠しておきたいくらいだと思っただけ」

わざと俺自慢の斜め角度でつくしを見つめた。こいつが顔を赤く染めるのが見たくて・・・。


「いいけど・・・類さんとあきらさんだけ連れてきてもらえれば!」

俺はもう少しで椅子からズリ落ちそうになった!
何だ?この返事は!・・・やっぱり油断ならねぇ!絶対にあの二人に飛びつく気だな?
それと厳重警戒人物・・・司にも出来るだけ近づけないようにしないと・・・この天然女は何するか読めないからな!

俺の流し目が効かなかったことはもう忘れよう・・・取り敢えず今晩まで事件は絶対に起こさないからな!


「いいか?本邸でも話したけど、司が来たら一人では会うなよ?」
「はーい!わかってますって!」

その暢気な返事が心配だけど時間が来たら予定どおり結婚披露パーティーは始まった。
披露宴といっても、もう形式張ったものではなく立食のフランクなパーティーだ。
招待客こそ大層な顔ぶれだが、朝から儀式の連続だったから最後ぐらいは楽なものにしたかった。


このホテルの入り口にはつくしが今日の為に自分でアレンジした巨大な生け花が飾られている。
つくしはこんな大胆なアレンジが得意だった・・・俺が初めて見たものも生命力を感じさせる逞しいものだった。

今日は結婚披露宴だからつくしは白い花を集めて、それを流木に絡ませてアレンジをした。
沢山のシュガーバインとダスティーミラーを使って白い花たちはその中央を飾った。

昨日、俺はつくしがアレンジしているのを側で見ていたんだ。
いつもの作業着で脚立に登ってまで花を組み立てる・・・そのつくしの真剣な顔を見たかったから。


「どうかしら・・・おかしくない?披露宴っぽくないけど」

「なんで流木なんだ?こんな時は豪華に行くもんだろう?・・・俺は好きだけど」

「人生ですもの・・・綺麗なだけじゃないでしょう?こんな流木でもこうやって飾ってもらえるんだもの。
もし、なにか辛いことがあっても乗り越えて行きたいじゃない?だから、その象徴みたいなもんよ!」

そう言いながらその巨大アレンジメントを記念写真に収めて二人で帰ったんだよな。



会場内は昼間と違って比較的若いヤツらが多かった。
俺の周りには同世代の知り合いが集まり、つくしはこの世界に知り合いが少なかったからずっと俺の
横に立っていた。前よりは少し慣れたのか同業種の連中とも上手く会話をしている。

男達の視線がつくしに向かうのを感じながら、あくまでもポーカーフェイスを貫いていた。


そのうち入り口で類とあきらが入ってくるのが見えた。
さっきの言葉が気にはなるが、つくしはともかく類とあきらにその気はないだろう・・・。
飛びつかれても避けてくれるはず・・・親友の行動を信じて俺は仕方なくつくしに声をかけた。

「つくし・・・ほら!お目当ての王子様が来たぞ。入り口のところに」
「ホント?・・・あ!二人で揃って来てくれたのね!」

とっとと俺を置いて二人の所に駆け寄っていく。
あまり気にしないフリをして俺は他のヤツらと会話をしていた。耳だけはしっかりとつくしの方に向けてるけどな!


そして急に俺の前に現われたのはまたもや竜崎清司郎!・・・暇なのかっ!こいつは!
それとも・・・いきなり人妻狙いか?清司郎はジッとつくしの方を見ていた。

「総二郎君・・・君はよく出来た人だね。あんな男たちの所に行かせるなんて・・・」

「そうですか?いいんですよ・・・あいつらは俺の幼馴染みですからね。つくしも面識があるし・・・。
付き合いももう20年以上ですから、まさか裏切ることもしないでしょうしね」

「そうかな・・・普通ですか?あれ・・・」

清司郎が妙な言い方をするから振り向いてみたら・・・あきらがつくしを抱きかかえてるのが眼に飛び込んできた!
いわゆる世間で言うお姫様抱っこ?・・・俺でさえあんなコトしかことがないような気がするが?!
その後にはやっぱり類に飛びついて行きやがった!
なんであいつはそれを受け止めるんだっ!いつもは面倒くさがって落とすくせに!
そして事もあろうか類のクソ馬鹿はつくしの頬にキスをした!

俺は回し蹴りして倒したいくらい頭に来ていたが、ここは俺の今までのこともある・・・少々のことは眼をつぶらないと・・・

「・・・いや、あのくらいはいいでしょう。一年中ヨーロッパで生活しているヤツらですから・・・
日本の常識が通用しないんですよ。困ったヤツらですよね・・・はは!」

「総二郎君、眼が笑ってないよ?早く迎えに行ったら?」


清司郎が煩いから仕方なくつくしの所へ・・・類とあきらの所へ行った。
正直いえば頭にきていた!・・・人の嫁になんてことしやがるんだ、しかもここは披露宴会場なのに!


「あ!総二郎・・・今日はおめでと!」
「類・・・!お前は相変わらずフランス被れだな!誰が人の嫁にキスしてんだよっ!殴られたいのか?」

「総二郎、おめでとう!まさかお前が一番乗りとは思わなかったよ」
「あきら・・・お前は妹より重たいものは持たないと思っていたが、なんでつくしを抱きかかえてんだよっ!」

「総二郎さん、向こうのお客様のお相手してきたらいいのに」
「つくし・・・なんでお前が自分の旦那をどっかにやろうとするんだ?お前が一番おかしいだろう!」


どうして俺が自分の結婚披露宴で一番疲れなきゃいけないんだ?
こんな俺をほったらかして、この3人は楽しそうに話しを続けた。

「それにしてもつくしちゃん、今日は本当に綺麗だね。このドレスは総二郎が見立てたの?」
「うん・・・よく似合ってるよ。ヘッドドレスもセンスいいな。着物もよく似合いそうだし・・・見たかったな!」

「そうですか?ふふっ・・・嬉しいです!お二人ともお元気そうで・・・しばらくは日本ですか?」

「うん・・・しばらくはいるよ。ねぇ・・・つくしって呼んでもいい?その方が呼びやすい・・・ダメ?」

「全然いいですよ!呼び捨てにしちゃって下さい!」


いや!良くないだろう!
呼び捨ては旦那の特権だろう!類は何をとぼけたことを言ってんだ?

「お前たち・・・いい加減にしとけよ?類!呼び捨ては許さねぇからなっ!それが出来るのは俺だけだっ!」
「総二郎って昔からケチだよね・・・」

・・・ケチ?
今のことがケチで片付けられるのか?!

俺の事をまるで無視している3人はこの後も楽しそうに会話を続けた。
あと1人・・・そう言えばあいつがまだ現われていない!


俺の頭痛はまだ続くって事か?嘘だろ・・・

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2017/06/29 (Thu) 15:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!(3)

ホントにね~!私ぐらいでしょ?ここまで総二郎をコケにして遊んでるのは!
でも、これが一番楽しいんです~!

この中の類は結構好きなんです。抜けてる感がね?この先にもちょっと出るんですけど。
のほほんとしてて好き♥

読者様には申し訳ないけど、私が一番楽しんでいるかもしれません!
色っぽい総二郎が好きな方(さとぴょん様も)にはごめんなさいねっ!

この連載にはRはない・・・はず。いや、ちょいあるかな?

2017/06/29 (Thu) 21:55 | EDIT | REPLY |   

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