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plumeria

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「こ、こんにちは・・・」
「・・・いらっしゃい・・・・・・じゃなくてどうしたの?」

「お昼ご飯中にすみません、ここに鍵が落ちてなかったでしょうか?」


まさかもう1回来るとは思っていなかったから、つい口から出てしまった「いらっしゃい」・・・自分でもなんて間抜けな返事だろうとガクッとしたのに、牧野の方がそれを無視してド真剣な顔で「鍵」の話をした。


「変な鳥のキーホルダーがついた鍵なんですけど・・・」
「あぁ、ハシビロコウのでしょ?やっぱりあんたのだったんだ?」

「あっ!落ちてました?ごめんなさい、すぐに気が付かなくて!」
「でも今は無い」

「はい?」
「藤本が持って出ちゃった」

「出ちゃったって・・・何処に?」
「昼休みに諸用で社外に出掛けたんだけど、その帰りにBMに届けるって言ってた。多分1時くらいには行くと思うからそれまで待ってくれる?」


そう言ったら牧野の顔が真っ青・・・その後で眉が大きく歪んで、最後には下唇噛んで目が潤んできた!そこまでショックを受けなくても鍵は紛失ではなく発見されて手元に戻るのに?!
まるで俺が何か悪い事したみたいになって、慌ててハンカチ出して「泣くことなの?」って聞けば返って来た返事は「お弁当~~!」だった・・・。

牧野曰く、あの鍵がなければロッカーの弁当が取り出せないと。
藤本が1時に戻って来てもBMの昼休みは終わりで、食べずに午後の仕事に向かわないと行けないと・・・。

それを入り口で泣きながら訴えられたら・・・言うしかないよね?


「良かったら食べる?昼飯・・・見ての通り多いから」
「えっ?」

「入っていいよ、俺しか居ないし」
「・・・・・・そんなつもりじゃありません」

「いいって。食べないと動けないタイプなんでしょ?」
「はい!」


・・・そこ、素直なんだ?

そうして何故か専務執務室の2人掛けソファーにBMの女の子が座ってランチを凝視。俺は1人用に座って、ランチは牧野に向かって置かれていた。
いや、いいんだけどさ・・・俺はデスクワークだからほんの少し食べられたら。


「専務、お皿あります?」
「えっ?皿・・・ってなんの?」

「だって2人で食べるなら分けないといけないでしょ?あっ、給湯室がある!入ってもいいですか?」
「いいけど・・・」

牧野はスッと立って執務室の奥にある給湯室を見つけてそこに入った。そして出て来た時には手にソーサーを持ってて、それをテーブルに置いた。
成る程・・・自分の食べるものだけそれに入れるんだな?って思ったら、ソーサーに移されたものは俺の前に置かれた。

そこ、逆じゃないの?って言葉は丸呑み・・・目の前に居る牧野が凄く幸せそうに笑っていたから。


「専務のランチっていつもこんなにお洒落なんですか?でも変な組み合わせですねぇ・・・お寿司にオムレツにハンバーグ?」
「藤本チョイスだから」

「でも、今日のも美味しそう~!」
「・・・そうかな。こんなの出来たものを持って来てもらうだけだから何とも思わないけど」

「うわっ、贅沢ですよ?これを作った人は必死だったんですから」
「でも誰の為って訳じゃないだろ?要するに仕事だから作ったんだし」

「そうですけど・・・」
「あんたの・・・焼き卵の方が美味かったけど」

「卵焼きですね?」
「・・・・・・・・・うん」


寿司は同じ数だけ分けられたけど、根菜ハンバーグは牧野にあげて、俺はオムレツを半分と白身魚を3分の1。フルーツの盛り合わせは全部牧野にあげた。
俺の中にある女性像は嘘でも「こんなに食べられな~い」って言うんだけど、牧野の場合「美味しい~!」の言葉以外は何もない。どれを食べても美味く感じるのも才能だなって思った。

最後のフルーツの時、珈琲の準備をしたら「私がやりましょうか?」って言ったけど、何もする事がないから俺が淹れた。
特注のブレンドで香り高い俺のお気に入り・・・そうしたら「ミルクないですか?」って言われて吃驚した。いや、いいんだけどね・・・インスタント珈琲と同じ扱いでもさ。


ホント、変わった子・・・俺の女性に対する想像を全部塗り替えてる。



「あのキーホルダー、結構新しいものだったみたいだけど」
「えっ・・・?」

「あれ、昨日あんたと会った場所にある動物園の限定商品だよね?もしかして・・・入ってた?」


・・・・・・あれ、牧野が固まった。
何か可笑しな質問したっけ?
珈琲カップ片手にまん丸い目して、でも俺から視線外して何処見てるんだか?それに異様に多い瞬きってなに?


「あぁ・・・あれはですね、昨日友人が買ってくれたんですよ。それで渡したいから来てくれって・・・」
「え?一緒に動物園に入らずにそこの土産だけをカフェで?」

「そう・・・なんですよ!変わってるでしょ~~?!あはははっ!」




********************




ヤバい・・・!そうだった、あれはあの動物園限定商品・・・専務に言われて焦って誤魔化したけど、その誤魔化し方がなんて下手くそなの!
あの日に貰った事にしなくても良かったじゃん!

絶対可笑しいでしょ・・・。
動物園のお土産をそのすぐ外のカフェで貰うなんて!どんだけ淋しい人間だと思われるやら・・・。

早くこの話題から離れたいのに専務は不思議そうに私を見てる。
これはどうにかして私から話題を変えなくちゃって必死に考えて・・・・・・ピーンときた!


「花沢専務、そんな事より私、偶然再会しちゃったんですよ~!」
「誰に?」

「この前話したあきらさんです♡車に轢かれそうになった所を助けていただいたんですが、ホントに優しい人ですよね~!」
「車に轢かれそうになった?!」

「はい。でもその車の運転手さんはあきらさんのお友達でお茶屋さんでした」
「・・・お茶屋さん?」

「あれ、違ったっけ?」
「・・・茶道家じゃなくて?」

「あっ、それそれ!その人は怖かったです~」


あれ?どうしてそんな事知ってるんだろう?って思った時にはお昼休みが終了して、私は慌てて立ち上がった。
テーブルの上のものは全部片付けて、使ったソーサーも洗って、まだ何かを考え込んでる専務の横に立って一礼。「ご馳走様でした」って言ったのに、素っ気なくひと言「ん」って言われただけだった。

どうして急に不機嫌になったんだろう?
でもそれを聞いてる時間もないし、急いでドアまで行ったら、逆にノック音がして目の前で開けられた!


「あ、牧野さん」
「ふ、藤本さん!お邪魔してました!」

「いえ、ここは自宅じゃないのでお気にならさずに。専務がお招きしたのなら私がとやかく言う事ではありませんから」
「ははは・・・」


入って来たのは藤本さんで、私の顔をろくに見もせず自分のデスクに向かった。
自分の居ない時に女性が入っていたことが気に入らないのかもしれない・・・その表情が怒ってるように見えるのは気のせい?
恐る恐るドアノブに手を掛けてドアを開け、閉める前にもう1度頭を下げたら・・・


「あぁ、鍵はBMに届けています。探しに来られたのでしたら申し訳ありませんでしたね」
「いえ!こちらこそお手数お掛けしました、ありがとうございました!」

「・・・ハシビロコウ好きなんですか?」
「好きと言うか、面白い顔してるので・・・つい買ってしまって」


「・・・貰ったんじゃなくて?」


・・・はっ!
馬鹿!つくし・・・専務に聞かれたじゃないのっ!


「かっ、かっ・・・買って貰ったんですっ!では失礼します!」


ひゃああぁーーっ!バレなかったかしら?
どうか2人が喧嘩しませんようにーーっ!




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Comments 6

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2020/05/24 (Sun) 00:44 | EDIT | REPLY |   
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2020/05/24 (Sun) 01:09 | EDIT | REPLY |   
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2020/05/24 (Sun) 08:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

はは💦大変申し訳ありませんね💦
このお話はコメディですからまだそんなにイチャイチャしないと思いますよ?

恋人になるのは・・・いつですかね?(笑)

今のところ毎日更新ですからそんなに早くに進展したら話はすぐに終わります。
そうしたら次のネタすら考えられないので、私の場合、話の展開はスローです。
そこはご理解くださいね♡

ふふふ、ピンク色のテントの中でコロンとね♡
寝られなくて大変じゃないですか?(笑)

2020/05/24 (Sun) 15:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

ぶはははははは!判るっ、そんな感じですよね!
うんうん、歳は35歳だけどね(笑)
イメージはそれで良いですよ!

で、どんな祭りですかっ💢!!
瑠那と颯太を忘れとるやないですかっ!!
(反対なのか賛成なのか判らないヤツ💦)


で、この後・・・さらなる悲劇が類君を襲うのです(笑)
期待してくれとは言いませんが、私が再び類君ファンから叱られる事は間違いない!!

2020/05/24 (Sun) 15:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

ははは!午後からの類君💦そんな表現、多分ビオラ様だけですよ~(笑)
私より酷い事言っちゃだめじゃないですかっ(笑)

そうそう、もっとつくしちゃんの妄想は広がるのです♡
何も知らない男2人・・・なんだか花沢物産の今後が心配ですね💦

こんな類君で良いんだろうか・・・💦

2020/05/24 (Sun) 16:11 | EDIT | REPLY |   

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