続・茶と華と (8)

昨日私たちの結婚披露パーティーをしたホテルのスウィートに眩しい朝が来た・・・。
白いレースのカーテンから漏れる朝日が清々しい・・・のは確かなんだけどね。


「あの・・・おはようございます」

ベッドで隣に寝ている総二郎さんにさりげなく声をかけてみたけど返事がない。

当たり前かもね・・・昨日は疲れ過ぎてワインまで飲んでいい気分になって・・・その後のことは覚えていない。
いや、正確に言うとあまりに緊張してなにを口走ったかを覚えていない。

でも、この日に何もなかったっていうのが私のせいだと言うことはわかってる・・・。
それが総二郎さんをどん底に突き落としたということも・・・


「あの・・・総二郎さん、まだ寝てるの?」

覗き込んでみたけど眼を開けない。
よく考えたら同じ部屋でこんな朝を迎えるのは初めて・・・と、いうことは熟睡している顔を見るのも初めてよね。

やっぱり何回見てもすごく素敵だわ・・・あら?意外と睫毛が長いのね・・・。
今までは恥ずかしくてこんな近くで見たことないんだけど・・・もしかしたら私よりも肌が綺麗なんじゃないの?
でも、昨日はお手入れなんてしてなかったと思うわよ?あ!そういえば私もしてないわ!
じゃあ、私は昨日の夜はアレもコレも・・・ナニもしていないということ?・・・女性としてどうかと思うわ・・・。

いろんなことを考えながら総二郎さんの横で肘をついたままその寝顔を見ていた・・・。
ちょっとだけ総二郎さんの顔に触れてみたくて、手を伸ばした・・・。


「くすぐってぇけど?そんなの、されたら・・・」

「えっ!起きてたの?ち・・・ちゃんと言ってよ!びっくりするじゃないのっ!」

「よく言うな、お前・・・昨日のことまるで覚えてねぇな?」

薄く眼を開けた総二郎さんが私の方を見てる・・・いや、睨んでるの間違いだわ。
それはかなり怒っているということなのね?
覚えているといえば覚えてるのよ・・・でも今となってはどうしたらいいかがわかんないのよ!

オロオロしてたら諦めたように総二郎さんがベッドから身体を起こした。


「今日はもう俺は仕事が入ってるからこの後は家に戻る。そのまま福岡入りだからすぐに支度をするからな。
お前はお袋とどこかへ挨拶回りに行くらしいから、帰ったらお袋のとこへすぐに行けよ。
じゃあ、俺はシャワーしてくるから、お前は先にルームサービス頼んどけ・・・」

総二郎さんは私の顔も見ずにシャワールームに行ってしまった。


やっぱりここはごめんなさいって・・・言う場面なんだろうな。
でも、本当にただ怖かったんだもの。
こんな私を総二郎さんが・・・って考えたら、嫌われそうで怖かったんだもの・・・。


そしてホテルからの帰りの車でも一言も口をきかなかった。
チラッと見るけど窓の方に顔を向けているから、今どんな表情をしてるかなんてわからなかった。


どうしよう・・・まさかの初夜○○未遂離婚・・・?


*******


西門に帰ったらお弟子さん達がずらっと並んで出迎えてくれた。
その廊下を左右にびっしりと・・・事務局の人からお手伝いさんまでがどこまでも続くかのように並んでいる!
その前を通る度にお祝いの言葉が飛び交って、どこを見ていいんだかわかんないっ!

「総二郎様、つくし様・・・お帰りなさいませ!」
「お疲れ様でございます!この度はおめでとうございます!」

「あぁ・・・」
「あっ、はい!どうも・・・これからもよろしくお願いいたします・・・」

お弟子さん達に頭を下げて・・・次に頭を上げたらもう総二郎さんはスタスタと廊下を歩いて奥に入っていった。
一度も私を見ることもなく・・・お弟子さん達も不思議な顔してるじゃないの!

ちょっと・・・いくら私が拒否ったからってそこまでしなくてもいいんじゃないの?
少しくらい私の気持ちもわかって欲しいんだけど?・・・初心者なんだからっ!


だんだん頭にきて総二郎さんの後を追いかけた。
そして、本邸の廊下だとはわかっていたけどつい大声を出してしまった・・・!

「ちょっとっ!そこまで無視することはないでしょう?私だって少しは悪かったって思ってんのよ?
そっちの方がプロなんだからもうちょっと上手くやりゃ良かったんじゃないの?!」

私の一言に総二郎さんがピタッと足を止めてやっと振り向いた。

「・・・なんだと?俺がプロってのはいいが、お前がド素人すぎんだよ!しかも俺はちゃんとリードしたぞ?
それに乗り損なったのはそっちだろう!ホントに悪かったと思ってんのか?だいたい、あのパジャマは
どこから現われたんだ?・・・その状態であそこまでもっていけるのはこの俺ぐらいだっ!」

「パジャマの方が慣れてるんだもの!仕方ないじゃないの・・・あなたみたいにバスローブ慣れしてないもん!
それに飲めないお酒を飲ませて酔っ払ったところをって言うのがプロのリードなわけ?」

「じゃあ、何か?お前・・・素面でおっぱじめても良かったのかよ!俺は全然構わねぇけど、お前の方が
緊張してたから気分ほぐしてやったんだろうがっ!」

「緊張なんてしてなかったわよっ!やる気満々だったわよっ!」


・・・って言ったところで我に返った。

え?・・・今、私たちなんの会話をしてたの?
ちょっと待って?・・・後ろに人がいない?何となく視線を感じるんだけど・・・。

振り向いたら・・・そこには家元夫人がいた。もちろん沢山のお弟子さんと共に・・・。


「あ・・・あら、お義母様・・・ただいま戻りました」

お義母様、引きつってない?総二郎さんに助けてもらおうと思って手を伸ばしたけど、もうそこにはいなかった!
うそっ!もう自分の部屋に向かってるの?なんて卑怯なのっ!


「つくしさん・・・お疲れのご様子ね。・・・そんなときに悪いんだけど本日の予定どおりに挨拶回りに出かけましょうか」
「はいっ!もちろん、大丈夫ですわ!すぐに支度をして参りますからっ!」

お義母様は振り向きながら小さな声で呟いていた・・・。


「お外では上手くやれないのね・・・総二郎さんは・・・」


違うんですっ!お義母さまっ・・・総二郎さんは多分問題なかったんですっ!
この私が素人だったために・・・初心者過ぎたために起きた事故みたいなもんなんですっ!


そして・・・「やる気満々」・・・どうかそこだけが記憶に残りませんようにっ~!


kadou13.jpg

花より男子

6 Comments

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2017/06/28 (Wed) 12:46 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/28 (Wed) 13:51 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/28 (Wed) 15:01 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: やる気満々!

えみりん様、こんにちは‼

確かに~❗誰と⁉

ヤル気になっても逃げてちゃね~。
どうなるやらですよ。この二人!ま、終わるまでには…

総二郎、違う意味でどん底に落としましたね❗(笑)😁
私はホントに総二郎書きの人間か?

まあ、ラストまでこんな感じで突っ走ります!
よろしくお願いいたします🎵

2017/06/28 (Wed) 16:37 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

あら、大丈夫ですよ?
心配ゼロなお話ですから!あの総二郎がこのままおわるわけないですから。

バカだなぁって笑ってくださいね。
意外な展開とは思いますが、コメディですからね?

よろしくお願いいたします🎵

2017/06/28 (Wed) 16:43 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

花様、こんにちは‼

そうよ。
ナニもかも経験出来たのに。しかも、最上級テクで。

惜しいわよね。
変わりたいでしょ?花さま。

総二郎はスル気満々ですものね。
ふふふ。

2017/06/28 (Wed) 16:47 | EDIT | REPLY |   

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