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つくしの言葉に驚いて身体が固まった。

宮本竜司・・・つくしにイミテーションの指輪を渡し、全財産奪い取った男。
そいつのせいでつくしはマンションの屋上から・・・

その時のつくしの儚げな顔が頭に蘇って来た。
フェンスに掛けた白い脚も、夜風に靡いた髪の毛も、悔しそうに泣いた顔も・・・その男がこの事件に絡んでるだと?!

目の前のつくしが両手で顔を覆い、その指の間から涙が溢れた。
それを見た瞬間、俺の中で何かが弾けた気がした!


「どうしてすぐに言わなかった!!」
「・・・・・・見間違いかもしれないって・・・だって、もう忘れたかったんだもん・・・」

「でも確信あったんだろう!俺が叩きのめしてやったのに・・・!!」
「もう私には関係無いって思ったの!
もう関わりたくなかった・・・でも総二郎にあんな大金払わせてるから見つかったら絶対許さないって・・・それなのに、いざそうかもしれないって思ったら身体が反対向いて逃げちゃったの・・・・・ごめん、総二郎」

「金の事なんてどうでもいい!俺が許せねぇのはお前を泣かせたことだ!
もしも選んだマンションがあそこじゃなくて、お前でも乗り越えられるフェンスだったら今頃ここに居ねぇんだぞ!そんな思いをさせた事の方が許せねぇんだよ!」

「・・・総・・・」


手を退けたらぐちゃぐちゃの顔・・・そんな顔は見たくなくて、つくしの腕を引っ張って両腕で抱き締めた。
そうしたら声を押し殺して泣いて、手の甲に筋が立つほど俺の服を握り締める・・・こいつにぶつける訳にもいかない怒りが込み上げて、つくしを抱く腕の力が強くなった。

そうしたら急に咳き込んで「苦しい!」って・・・泣きながら言われて慌ててを緩めた。


「・・・ゴホッゴホ・・・!はぁ、痛かった」
「悪い、つい・・・」

「ううん、大丈夫。ホントにごめん・・・総二郎」
「いや、俺ももう大丈夫だ。腹は立つが齋藤の件と一緒に片付けてやる。でもこの先、調べてる途中に宮本と接触するかもしれねぇけどつくしは絶対に出てくるな。判ったな?」

「・・・判った」

「思い出したくない気持ちも判るけど、そいつが絡んでるなら情報が欲しい。簡単でいいからもう1度宮本の話を聞かせてくれ」

「うん・・・」


つくしの話では宮本は会社を設立してから数年しか経っていない若手実業家。
俺よりも歳は2つ上って事は27歳・・・そんな歳の男が骨董品に長けているとは思えねぇし、つくしの務めていた会社はそんなものは無関係な化学製品の専門商社だ。
ただつくしは総務課で営業系じゃなかったから宮本がなんの取引の為に来ていたのか、詳しい契約状況は判らなかったし聞こうとも思わなかったらしい。

社内で出会ってる訳だから疑いもせず、つくしにも同じ業種だと言っていただけで宮本の会社の詳細も知らない。経営者だからってだけで信用してしまったと話した。
自宅だと言われたマンションには行ったことはあるが、神奈川にあると言う実家は知らず、両親にも会っていない。


「その実家は嘘臭いな」
「・・・うん、後でそう思った」

「もしかしたらつくしと出会った後に金を持ち逃げしようと思ったんじゃなく、初めから狙ってたのかもしれねぇな」
「どういう事?」

「つまり、ハナから会社としての取引なんて無くて、金を奪えそうな女を見つけるために色んな企業に入り込んだかもしれないってことだ」
「えっ!私、それに引っ掛かったの?」

「見た目が派手じゃないってことは金遣いが荒くない。でも大手企業に数年勤めてて、真面目で色恋沙汰に疎い女を探してたのかもな」

「・・・そんな」


そう考えれば納得出来る。
男が女を掴まえといて何もしないなんて、そいつに興味が無いか別の目的があるとしか信じられない。
しかも婚約って言葉を出してマンションまで購入しようとした・・・つくしを連帯保証人にして、その借金のために身動き取れなくしたのか?

そもそも「宮本竜司」って人間は実在すんのか?

闇取引しようとするヤツがマンションの金を払わずに逃亡・・・でも不動産を買うならそれなりの書類が必要だし、金融機関も絡んでるから偽名は無理だ。
俺が払ったから問題が起きてねぇだけで、もしもつくしが捜索願いを出したら逆にヤバいんじゃないのか?捜索対象者の恋人はその届け出が出来るからな・・・。


そして宮本の会社は倒産・・・それはつくしが調べて判った事だから、会社自体は存在したって訳か。

それなら調べてみるか。
この時間、ヨーロッパは早朝だがあいつなら起きてるだろうからイギリスに電話を掛けて、あきらに「宮本竜司」と言う名前の企業家についての調査を依頼した。


「美作さんに頼んだの?」
「西門でも調査は出来るが親父達の耳に入ったら面倒だ。それに美作の方が情報集めは数段早いからな」

「・・・確かにウラの顔があるもんね、美作さんの会社・・・」
「はっきり言ってやるな。それはそれで便利なんだから」



**



つくしも俺に話したことですっきりしたのか、一乗寺に戻る頃には元気になっていた。
昨日から降ってる雪が僅かだが積もって、街の所々が白くなってる。それを見てキャアキャアはしゃぎ、「雪だるま作りたいなぁ」なんて言いやがった。


「ははっ、そう言えばガキの頃にそれで婆様にド叱られした事があるわ」
「えっ?雪だるまで?」

「そう。東京に珍しく大雪が降った日があって、その時に祥一郎と2人で石庭に入り込んで雪だるま作ったんだ。普段なら入らねぇけど雪で真っ白だったから気が緩んでさ。
クソ真面目な祥一郎が作ろうなんて言うし、俺はまだ4歳か5歳ぐらいで悪さばっかりてたから」

「へぇ!総二郎が雪だるま・・・考えられない!」

「見つかった時は祥一郎と2人並んで、雪が降ってんのに縁側に正座1時間だ。婆様が鬼みたいな顔して様子見に来るし、マジで恐ろしかったな」

「・・・・・・5歳で正座1時間・・・拷問だね」



一乗寺は京都の街中よりも雪が積もってて、別邸は山に近かったから余計に白くなっていた。そして門前に車が着くと、そこにあったもの・・・それを見て俺とつくしはキョトンとした。

高さにして50㎝ぐらいだが雪だるまが2体。
そいつが門の脇にチョコンと置かれていた。


「・・・・・・雪だるまだ」
「マジで?誰だ、こんなの作ったの」

そう言うと運転手の武田さんが笑いながら言った。


「それは奥様が作られたのでしょう。お孫さん達の話をしながらそれは楽しそうに、割烹着みたいなんを羽織って手袋はめて、毎年初雪が降ったら作らはるんですわ。
毎年3体なんですが、今年は2体だからおそらくあれは総二郎様とお嬢様やないですか?」

「「・・・・・・・・・・・・」」



車を降りて門を潜ると、どこからか婆様が俺を呼ぶ声が聞こえた。
しかもどっからそんな声が出るんだってぐらいの大声で、前家元夫人がそんな事でいいのかよって言いたくなるぐらいだ。

「総二郎、帰ったの?!
久しぶりに来たんだから書庫の整理をして頂戴!あそこは西門の人間でないと手を出せないのですからね!」

ヒョイっと顔を出したのは裏庭に通じる露地で、ササッと隠したのは手袋だ。


「・・・はいはい、判りましたよ」
「くすっ・・・!」

「つくしさんも笑ってないで手伝うのですよ。西門の組織は広いのですから宗家の事だけ知ってればいいってもんじゃありません。来たついでに京都の事も少しは覚えてお帰りなさい。
勿論、あなたが西門の人間になろうと言う気があればですけどね」

「は、はいっ!あります、あります!頑張ります!」
「大きな声を出すなどみっともない。早くお入りなさい」

「・・・・・・ご自分だって怒鳴ったじゃん・・・」
「くくっ!」



京都2日目の夜は笑いが絶えなかった。
つくしは婆様の隣に座って学生時代の話を聞かせている。その後で先代と酒を酌み交わして大笑いし、とうとう最後の方は先代の背中をバシッと・・・その瞬間、やっぱりコイツには敵わないと思った。

先代が溢れそうな笑顔でつくしの話しを聞く。
婆様はさり気なくつくしの好きなものを膳に置いてやる・・・なんやかんや言って、気に入ったんだと感じた。


明日は前崎氏に会いに行き、夕刻東京に帰る。
馬鹿な話をしながらでも、俺の胸の奥で渦巻く小さな怒りの炎は消える事はなかった。




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2020/06/02 (Tue) 13:44 | EDIT | REPLY |   
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2020/06/02 (Tue) 14:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!驚かせました?申し訳ありません💦
この先は総ちゃんが中心になってくるのと、既に「元カノ」ではないのでずっと気になってたんです。
なので、ここらでタイトルチェンジしようかと思っていました。

すこーしややこしくなるので申し訳ないのと、コメディ路線から少しだけ外れます。
でもシリアスにするつもりはないので、基本は明るめに行こうと思うんですが・・・そうはならないかも💦

悪いヤツが結構出て来ますからね~。
まぁ、総二郎が格好良く書けたらいいんですけどね(笑)
それすら危ういかもしれません。

次話からもどうぞ宜しくお願い致します。


京都・・・引っ越しの時には時間がなくて京料理を食べられませんでした。
娘はもう1度ハモを食べたいそうで(笑)
もう5年も京都に住んでいますが、1回しか食べてないそうです。

うんうん、そのうち母と食べようね・・・なーんて、次はいつ行けるのか全然判りませんが(笑)

2020/06/02 (Tue) 23:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あははっ!ごめんねぇ~~!

そうそう、元カレ・元カノ・今カレ・・・って進めたかったのよ(笑)
無駄にカテゴリーが増えるから嫌なんだけど、読む方は別れていた方が読み返しやすいのかな?って思ったり。
私も読者の時、気になるお話しを読み返しに行って、どこだかさっぱり!って事がよくあったもん(笑)
(G様に1度カテゴリーが多すぎっ!って言ったことがある・笑)

「あの話、何処にあるの?!」
「探してみてよ」

「多すぎて探せない~~!」
「何処かにあるって」

「それを聞いてるのよ~~!」みたいな。


タイトルはね・・・ホント、悩みます。
花沢城も毎回相当考えて考えて、考えて・・・あれだからね(笑)

明日からも宜しくです♡

2020/06/02 (Tue) 23:22 | EDIT | REPLY |   

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