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総二郎さんが福岡に行った次の日、私は西門のお弟子さん達に華道を教えていた。
本当はこのこじんまりした生け方は得意じゃないんだけど、これでも牧野流の師範免状持ってるんだもの・・・
その家の娘だから免状を持ってるだけだなんて思われたくないわ。

足が痺れて動けなくなるわけにもいかない。
もう必死で足を動かしながらお弟子さん達に教えていた。

「ここのバランスを考えるといいですよ。少しここを短くした方が全体的に綺麗です・・・ほらね?」

「まぁ、本当ですね。やっぱり本当だったんですね!華道の講師されてるって・・・意外だなぁ」
「そうですね。初めの印象が凄かったから・・・あ!すみません!」

「・・・いいえ,いいんですよ。確かにおっしゃるとおりですから。初めがね・・・」


しまったわ・・・お見合いの時に怒鳴り合ったのがお弟子さん達にも知られてるのね?
今からでも汚名返上出来るかしら・・・でも、ここでやった結婚式でも失敗したからもうムリかもね。
仕方がないわ!終わったことは今更何を言っても変えられないし!


それにこんな私でも、総二郎さんがいてくれるから・・・
昨日もらったイカリソウは一輪挿しに生けて部屋の隅に置いていた。私はその花につい目がいってしまった。


「つくし様、何を笑ってるんですか?」

「え!わ・・・笑ってました?そうですか?・・・ちょっと思い出していたものですから」

「総二郎様のことですか?新婚さんですものね!・・・いきなり離されたら寂しいでしょう?」


若いお弟子さん達にからかわれて・・・もう一度隅のイカリソウを見つめた。
「貴女を離さない」・・・笑顔の総二郎さんと共にその言葉まで思い出してしまう。
うん!大丈夫・・・私たちはちゃんと繋がっているわ!・・・今はココロだけだけどっ!



華道教室が終わると今度は西門の正面玄関に花を生けた。
ここは西門の顔・・・お客様が一番始めに目にするところだから少し大きめなアレンジをする。
着物ではやりにくいからこの時は着物を脱いで私なりの作業着・・・Tシャツとジーンズに着替えていた。
お弟子さん達はそんな私を見て笑いながら通り過ぎる・・・この西門にはなかった姿だって!

「本当につくし様はそのスタイルがお似合いですわ。でも・・・若奥様には見えませんわよ?業者の方みたい」

家元夫人の付き人さんが笑いながらそう言ってきた。

「そうですか?着物、苦手なんですよ。総二郎さんにも怒られますけどね・・・いけませんでした?
家元夫人に怒られるかしら?」

「いいえ・・・むしろ喜んでいらっしゃいますわ。面白いことが増えたって・・・総二郎様がお変わりになったから
そちらも嬉しいんでしょう。つくし様のおかげですわ。この西門も明るくなりましたよ」


面白いこと?・・・私は至って真面目にしてるんだけど?
まぁ、それもいいかって開き直って今度は客間の花を整えていたら後ろに人の気配がした。


「あの・・・若奥様、お客様ですけど・・・」

そう伝えてきたのは若いお弟子さんだった。随分怯えたように震えてるけど?

「はい・・・でも今は家元も家元夫人も、総二郎さんもいらっしゃらないわ。私ではわからないかもしれないから
お家元の秘書の方がいるわよね?そちらの方がいいんじゃないかしら」

「あ、いえ・・・若奥様にお会いしたいそうなんですけど」

はい?私に?・・・嫁いで2日目に私宛に来るお客様って・・・?
出てもいいんだけどジーンズで?それってどうなのかしら・・・でも着物に着替えるのもお待たせするし・・・。
首をかしげながらそのお弟子さんの後について正面玄関まで行った。

「あちらの方でございます・・・ここで待つと言われましたので・・・」

そこにいたのは・・・あのクリンクリン頭っ!道明寺司・・・あの非常識な男っ?!
スーツのポケットに手を突っ込んだまま気取ってんだか怒ってんのかわかんない顔で突っ立っていた。
無駄にデカい身体して・・・威圧感満載で立ってたらお弟子さんがビビって当然じゃないの!


「あら・・・道明寺さんでしたの?お客様って・・・なんなの?まだ言い足りなかったの?総二郎さんならいないわよ?
昨日から福岡に行ってるから。なんで私宛に来るのよ!」

「いきなりの挨拶がそれか!・・・やっぱり総二郎の躾が悪いんじゃねーか?」

「あなたの生まれてからの躾に比べたらマシなんじゃないの?・・・用件は何かしら?見てのとおり忙しいのよ!」

「ここの嫁がジーンズ姿で何が忙しいんだ!遊んでんじゃねーか!」


ダメだわ・・・やっぱりこの人とは喧嘩になってしまう。
落ち着かないとまたとんでもないことになったら総二郎さんに今度こそ許してもらえないかも・・・。


「で?・・・なんですか?総二郎さんに伝えることがあるんなら電話でもしたらいいのに」

「この前のパーティーで結局中にも入らずに追い返されたからな・・・アメリカに帰る前に顔を見て文句の1つも
言っとかないと治まらなかったんだよ!まぁ・・・そっちの出方次第では西門に攻撃するのもやめてやってもいいが?」

「よく言うわね・・・追い返したって言うけどあなたの態度も悪かったじゃないの!こっちのせいにばかりしないで下さる?
もういいでしょう?総二郎さんは明後日まで帰らないわ!攻撃したらやり返すわよ?」

よく見たら西門のお弟子さん達は私の後ろで震えてるし、道明寺家の付き人さんはこの人の後ろで驚いてる。
この広い玄関がなんだか戦場みたいに見えるわ・・・。


「本当にムカつく女だな・・・俺は女にここまで言われたことは今までないと思うが・・・!」

「そうなの?生憎私はこの年まで世間ってものから隔離されてきたから知ってる男性なんて本当に限られてるの。
道明寺って名前も知ってはいたけど、華道しかやってない私にはなんの興味もなかったわね。
だからあなたのことも昨日初めて知ったのよ!あなたがどのくらい有名で偉大な人かは知らないけど
私にとっては全然関係のないことだわ!」

道明寺さんは顔を引きつらせてる・・・もしかして地雷踏んだ?
でも、もう言ってしまったもの・・・このまま突っ走ってしまおう!

「そうやって怖い顔しても無駄よ!もうお帰りになったらいかが?」

「何だと?昨日に続いて今日もこの俺を追い返す気かッ!この家は・・・!」


しかし・・・よく見たら本当にこの人もすごいイケメンね・・・類さんやあきらさんで見慣れてしまったから
そこまではびっくりしないけど・・・でも、一番のイケメンはやっぱり総二郎さん・・・だわね。

この人には悪いけど総二郎さんのような男の色っぽさは感じないわ・・・。

「てめぇ・・・なにニヤケてんだよっ!・・・総二郎のことでも考えてたのか?」
「え?・・・そんな事ないわよ!ニヤけてた?そんな・・・ニヤけてなんかないわよ!」

いや。ニヤけたわ・・・確かに。
マズい・・・この人に見られてしまったのね?
どうしよう・・・この人ともうそんなに会話する気もないんだけど。
そう思ってたら、いきなり道明寺さんは私の片腕を掴んできた!

「・・・やっぱり気に入った!この俺相手にびくつかねぇ女なんて見たことねーなっ!お前、ちょっと付き合え!
おい!この女、借りてくぞ!・・・家元に道明寺が借りたって伝えておけ!」

「はあぁ?!何よ!なにすんのよ!・・・ちょっと!離してよっ!」

側にいたお弟子さん達に無茶な伝言をしている道明寺・・・。
掴まれた腕を振りほどこうにも力が違いすぎて、蹴り飛ばそうと思ったけどあっさりかわされた!

「若奥様っ!!」「つくし様っ!!」
「心配すんなっ!命までは取らねぇよ・・・上手くいったらすぐに帰す!」

私は何が何だかわかんないうちにこの男に腕を掴まれて裸足で外に出され車に投げ込まれた!
そして道明寺さんもすぐに乗り込んで今にもこの車は発進しようとしていた!

「きゃあぁっ!!ちょっと!これは誘拐じゃないのっ!」
「何言ってんだ?西門の家に借りてくぞって声かけただろうが!・・・早く出せ!」

「出せじゃないわよ!私を車から出しなさいよっ!」
「やかましいっ!!女のくせにデカい声を出すなっ!ホントはお前に用があったんだよっ!」

「・・・・・・は?」


・・・どうなってんの?この人!
確かに道明寺と名乗って西門に来て、借りてくぞって言われたけど?
上手くいったらすぐに帰す?なにが上手くいったらなのよっ!


車はドンドン西門から離れていく・・・もうあのドデカいお屋敷も見えなくなった。
私は今からどこに行くの?
これから何が始まるのっ?!


「貴女を離さない」・・・強制的に引き離された場合はどうなるの?総二郎さんっ、答えて~!!


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2017/07/03 (Mon) 13:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

元気がいいでしょう?このつくしちゃん。
ホントはこのぐらい元気な感じで書くと気持ちいいんだけど
これで長編はかけないので残念!

色気がなくてごめんなさいね!
もうちょっと待っててくださいね!ソフトなのはご用意してます!

あはは!

いつもありがとうございますっ!

2017/07/03 (Mon) 20:05 | EDIT | REPLY |   

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