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「・・・・・・なにこれ、珈琲なの?」
「あはは!やっぱり缶コーヒーは嫌いなんでしょ?この前は飲むって言ったクセに」

「・・・・・・あ・・・」
「ふふふ!缶コーヒーなんてこんな味だよ。私のカフェオレは美味しかったよ~」


自分で買ってきた珈琲をひと口飲んで、それで「もう要らない」なんて顰めっ面。
あんな上質な淹れ立て珈琲飲む人だもん、そうだろうと思ったって大笑いして、さっさとお弁当を片付けた。
頑張って作ったおかずも完食・・・すっかり軽くなったバスケットを類が持ってくれて、またロッカーにしまって午後の準備をした。

スタッフの案内で再びハーネスを付けて、これからのコース説明のために広場に集合したのは1時。
その時にも係スタッフの話を聞かずに類を見てる女の子が数名・・・ちょっと私が視線を向けたら「きゃあ、睨んだ!」・・・誰も睨んでないのにそう言われて、その言葉にムカッとした💢!


「どうした?変な顔して」
「・・・何でもない。食べ過ぎただけ」

「ぷっ!それだと幸せそうな顔してるはずじゃないの?」
「いいから!類はちゃんと説明聞いとかなきゃ。こう言うのに慣れてないのはそっちでしょ?」

「あんたが身軽すぎるんだよ」
「・・・・・・(はっ!そうだった・・・占いだと張り切り過ぎちゃいけないんだった!か弱くしなくちゃ・・・)」

「今度はどうした?情けない顔して」
「午後からのコースは怖いなぁ~って思って」

「・・・・・・・・・(説得力無いんだけど)」



でもその時にポツン・・・と顔に雨粒が。
当然それはスタッフも気がついてて、少しの間待つように言われた。
そして事務員さん含めスタッフみんなで何かを話合い中・・・もしかしたら中止かな?って思ったけど、もう顔に当たるような雨粒は落ちてこない。
それにまだ雨は降らないとの天気予報らしく、続行が決まった。


「このままBコースに向かいますが、もしも危ないと判断したらすぐにアナウンスして中止します。それと寒くなるかもしれませんから上着を着て下さいね。
途中で樹上から降りる場所もありますが、絶対に立ち入り禁止のロープの向こうに行かないように。Bコースの外側には沢があって、足を滑らすと川に落ちるかもしれません。特にこんな天気の時は足元が泥濘む場所もあるので気をつけてください。
走ったり急かしたりしないように、周りの人達とも協力して安全第一でお願いします~!」

「「「「は~い」」」」


確かにただでさえ足元が滑りやすい・・・それを確かめてたら、類が「心配・・・」って私を見下ろす。
だから「平気だよ~!」って笑うと「だから心配」・・・本気で困った顔してるから、このコースはちゃんと類と一緒に回ろうって思った。



説明が終わるとコース入り口までみんなで移動。
その時、やっぱり前の方に緑色の服の男性が、今度はフードを被った格好で歩いていた。

誰とも話してない感じだからやっぱり1人なんだ・・・って、そんな事を考えていたらズルッと滑って類が腕で止めてくれた。


「あんた、何処見て歩いてんの?今は危ないから足元に注意しなよ」
「ごめんごめん!実はね、海ほたるで見掛けた人が居るんだけど、その人がね・・・あれ?見えなくなっちゃった・・・」

「知り合いじゃないんだろ?気にしなくていいんじゃない?」
「うん、気にはしてないけどね・・・1人で来てるみたいだから不思議だなぁって思っただけ。あっ、あそこがコース入り口みたい!」

「頼むから走らないでよ?もしも濡れたら泥だらけになるから」
「まだ降ってないよ?降るのは夕方からだって」

「天気予報が100%当たると思ったら大間違い。今度は俺が先に行く」
「は~~い!」




*********************




天気が悪くなって霧雨みたいなものが降ってるような、そうでもないような・・・でも空を見上げるとどす黒くて重たい雲が見えるから、この調子だとBコースで終了だな、と自分ではそう思っていた。
スタッフも何度も空を見ながら頻繁に連絡し合ってるし、いつアナウンスで中止が言われてもおかしくない状況だ。

それに5月の初めの山だから気温も低い・・・ほぼ全員が長袖で上着を羽織ってる。
その中で赤い牧野のパーカーは正解だった。

他にも何人か赤い服の人は居るけど、この薄暗い山の中だとかなり目立つ・・・それにちゃんと発信器も付けてるし、迷子になっても見失うことはない。


「それでは気をつけて進んで下さ~い!木が濡れるほどの雨が確認出来次第中止しますからね~」
「「「「「はーいっ」」」」」

「はーい!頑張りまーす!」
「いや、頑張るんじゃなくて注意だってば」

「あっ、そうか!」


ここでもまずは樹の上に登って、そこから吊り橋で渡って行くヤツから。
それを俺が先に進み、何度も振り返って牧野を確認した。

全く恐怖心がないのかここでもリスみたいに身軽に、しかもニタニタ笑いながら渡ってくる。それを見ながらだから俺の方が何度か体勢を崩してヤバかった。
しかも痛めた腰が微妙に疼く・・・って思う事自体、歳だなって感じて淋しくなった。


「類~、大丈夫?」
「え?どうして?」

「さっき腰に手を当ててたから。もしかして痛いの~?」
「いや、痛くないよ。全然平気!(・・・無意識に腰をさすってたのか?)」


この吊り橋が板状の物から丸い物まで色んなパターンがあって、それを全部クリアしたら今度は丸太で組まれた坂を全身で登って行くヤツに変わるから1度樹から降りた。
ここはハーネスを繋がずに行くって事で、子供達もワイワイ言いながら登っていた。

でもAコースの時みたいに坂だから見上げれば人のお尻・・・ここはボルタリングの時と同じように牧野を先に行かせて、俺は下からガードする事にした。


「類~、また落ちたらごめんねぇ~!」
「嫌だ。絶対に落ちないで!」

「でも意外と難しいのよ?丸太の間隔が微妙に違ってて・・・あれ?届かない」
「そっちじゃなくて左側に小さな丸太があるじゃん、それに登って」

「あぁ、こっち?ホントだ、行ける~!」
「1回失敗してるんだからね?自分の手足の長さと相談して登れよ」

「は~~い!あっ、えっ・・・うわぁっ!!
「・・・(判ってないだろ💢!)危ないっ!」

油断して丸太から足を滑らせた牧野を片手で止めて、その時に自分の身体を別の丸太にぶつけたけど何とか2人揃っての落下は免れた・・・ってか、今度は息が止まるかと思うほど胸をぶつけた・・・!

「大丈夫?類」
「・・・コホッ、大丈夫。もうっ・・・だから言ったのに!」

「えへへ~!」


そうやって笑ったら何でも許してもらえると思ってるな?


何とかここも登り切って、今度は滑降。
またか!って思った時に自分のハーネスの金具異常に気付いた。

さっきの衝撃で歪んだのかもしれないけど、このままだとロープに繋ぐことが出来ない。だから牧野にここで待つように話して、俺は少し離れた所に居るスタッフのところに行くことにした。


「いい?絶対先に進まないで。俺が戻るまでここに居ること!」
「判ってるってば。それよりも下り坂、気をつけてよ?滑り落ちたらまた腰を痛めるから」

「・・・このぐらいの坂、大丈夫だよ。それに腰腰って、人を年寄みたいに言うの、止めてくれる?!」


この腰はあんたを無事に送り届けるために頑張った故の怪我なんだからね?!
それを言ったら男らしくないから言わないだけなんだから!





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Comments 6

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2020/06/30 (Tue) 07:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

コメントありがとうございます。

そうなんですねぇ(笑)
類君のためじゃなくてつくしちゃんが楽しんでますねぇ💦
でも類君もハラハラしながら楽しんでると思います・・・違う意味で(笑)

ははは!もうバレバレの展開💦
「立ち入り禁止」なんて「そこに入って下さい」みたいなもんですよね(笑)

ワクワクするかどうかは判りませんが・・・えぇ、何かが起きますね♡

2020/06/30 (Tue) 10:09 | EDIT | REPLY |   
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2020/06/30 (Tue) 13:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あら♡お笑いのつもりだったのに格好良かった?(笑)
ずっこけたつくしちゃんを助けたから?でもお尻隠すために後から登っただけだよ?(笑)

惚れた弱みなんですかねぇ?
でも自覚してないですけどね・・・それでいいのか?(笑)

腰をさする類君もレアでよくない?(笑)
意外と腰を痛めた類君にツボっております♡(自分が腰痛持ちだから♡)


そうね・・・そろそろヤツが出て来ますね。
って事で、一気にこっちもシリアスに突入~~~~~!!



2020/06/30 (Tue) 16:10 | EDIT | REPLY |   
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2020/06/30 (Tue) 22:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、おはようございます。

またそんな事を言う・・・(笑)
ホントにバチが当たりますよ?(笑)

いや~~、でもまさかつくしちゃんがいなくなる場面が重なるとは思って無かったのよ💦
だから「あらら!」とは思ったけど。

ホントね・・・今日のお話は3つともシリアスだわ~~💦

2020/07/01 (Wed) 08:10 | EDIT | REPLY |   

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