続・茶と華と (17)
いろんなことがあってすっかり外が暗くなっている・・・よく考えたら晩ご飯も食べてない。
総二郎さんとの電話が終わって気が抜けたのか、もの凄い音でお腹が鳴った!
「うわっ!恥ずかしい・・・ごめんなさい!今日はお昼からほとんど食べてなくてっ!」
「あら?そうなの?・・・うん!私もお腹すいたわ。あそこで食事も出来なかったし・・・ルームサービスでも
頼みましょうか!待ってて!」
私はさっきの総二郎さんの声が耳に残っていて、気持ちは福岡に飛んでいるみたいだった。
窓の外を眺めていたらこの前の夜の事を思い出した。
わかりきっていたことなのに・・・いざとなったらちょっと怖かっただけ。
ホントはもっと甘えてしまえば良かったのに、照れてしまって素直になれなかっただけ・・・。
結婚式の時も披露宴の時もそうだったの・・・ホントは総二郎さんをずっと眼で追いかけていたんだよ?
何の経験もない私があの人に選んでもらえたなんて・・・今でも信じられないんだよね。
「つくしちゃーん!!ルームサービス来たよっ!ほらっ、食べようよっ!」
滋さんの声で急に我に返って・・・沈んだ顔を見せないようにと笑って振り向いたら・・・なにこれ?
目の前には10人分ぐらいの食事が並べられていた!
その量はとにかく半端なくて、ホテルの人がサイドテーブルを用意するほど・・・
「ねぇ・・・これ誰が食べるの?誰かくるの?」
「二人に決まってるでしょ?今更司を呼んでもつくしちゃん、いやでしょ?」
そういう問題なのっ?!嫌じゃないけど向こうが困るんじゃないの?
あっけらかんとしてその料理を前に嬉しそうな顔をする滋さん・・ホントにショック受けてるのかしら?
どこに消えていくのか料理は順調に減っていった。横に準備されているケーキが気になるけど・・・この上ケーキまで?
「滋さんは道明寺さんとのこと・・・どうするの?今日の事はあの怖そうなお母さんが許さなかったら・・・
婚約解消とかってなっちゃうの?」
「ん?ないとおもうよ。私たちのような家の人間の結婚ってそんなものよ。中止になんてならないわよ。
大河原家が道明寺に魅力的なうちはね。・・・つくしちゃんのところは違うの?やっぱり企業と文化系は違うのかな」
「私たちは親同士が仲が良くて小さいときからの家同士の約束みたいだったわ。だからそんなふうに決められるのが
嫌で初めは絶対に断ろうって思ったの。でも・・・見習いで西門に入って総二郎さんと少しだけ暮らしてるうちに
この人ならいいかもって・・・単純にそう思ったの。すごくいい人なのよ?噂とはちょっとちがうの」
「ふうん・・・。わたしはどうせ家が決めた人と結婚しなきゃいけないんなら、見た目がよくて少しでもドキドキするような
男だったらいいなって思ったわ。司は乱暴だし言葉は足りないしすぐ怒りそうだったけど、でもあの美形でしょう?
だから・・・我慢しようと思ったのよ」
そう言うと滋さんはケーキをつついていたフォークを置いた。
そして急に悲しそうな顔を見せた。
「多分・・・私、司に初めて会ったときに一目惚れしたんだと思うの。でも上手く気持ちを伝えられないからこうやって
ふざけちゃうんだよね。・・・やっぱりダメなのかなぁ・・・結婚は出来ても嫌われたままなのかしら・・・」
「ふふっ・・・意外と可愛いところがあるのね、滋さん。私は初恋が総二郎さんでそのまま結婚しちゃったから偉そう
なことは言えないけど、ドキドキしているうちは頑張ったらどうかしら?
私もそうだったよ?全然素直になれなくていつも喧嘩してて・・・でもずっとドキドキしてたもの。
今もね・・・早く会いたいから、帰ってくる日までドキドキしてると思うわ。・・・おかしいわね!」
「そう?・・・そうかな?私もまだ頑張ってもいいかな?」
「うん!頑張ったらいいのよ!二人の中をぶち壊すために来た私が言うのも変だけど応援するわ!」
なんだか変な説明だけどこの時は二人で立ち上がって握り拳をあげていた!
ホントに面白い人!さっきまで落ち込んでいたのに今はまたケーキを片手に元気を取り戻してる。
「ありがとう!つくしちゃん!私、諦めずに司に体当たりしてみるわ!まぁ、この滋ちゃんの美貌とナイスボディが
あれば大抵の男は一発で落ちてきたもの!うん!・・・元気が出てきたわ!」
「じゃあ、滋さん・・・最後にお願いがあるんだけど。私を西門まで送ってくれない?」
滋さんはニコッと笑って頷いてくれた。
「任せて!うちで送ってあげるからね!すぐに準備させるわ・・・待っててね!」
そう言うと元気よく滋さんは部屋を飛び出していった。
あれ?どうする気なのかしら・・・私は西門に帰りたいんだけど。車さえあれば何とかなるんじゃないの?
一人ポツンと取り残されて不安になってたら、滋さんはすぐに戻ってきて私の腕を掴んだ!
「つくしちゃん!すぐに屋上へ行くわよ!10分ぐらいでくるから!うちのヘリを使えば福岡までは給油無しでも
直行できるらしいわ!・・・すぐに会えるわよ!4時間後にはダーリンが待ってるわっ!」
「はぁっ?!どっ・・・どういう事?このまま福岡に行くの?!」
「当たり前でしょう?!ニッシーはそこにいるんだから!帰るんなら旦那のところでしょう?ほら、早くっ!」
滋さんに引っ張られてこのホテルの屋上のそのまた上・・・非常用ヘリポートに行った。
立ち入り禁止の札を無視して滋さんの方が嬉しそうに私をそこへ連れて行く・・・もの凄い笑顔で!
おかしな人ね・・・!すごい家のお嬢様なのに。
しばらくしたら本当にどこかから大きな音と共にヘリコプターがホテルに向かって飛んできた。
後ろを見たらこのホテルの支配人さんが立っていて、その後ろには道明寺さんが立っていた。
少しふてくされたような顔して・・・滋さんはその横に向かって走って行った。
「それでは西門様・・・気をつけて行ってらっしゃいませ。ご主人様にもよろしく・・・またのお越しをお待ちしています」
「はぁ・・・お世話になりました。行ってきます・・・」
おかしくない?このやりとり・・・そう思って滋さん達を見たら二人が並んで私の方を見ている。
「おい!・・・悪かったな!総二郎にそう言っとけ!」
「そんな言い方ないでしょう?・・・もういいわよ。次に来るときには家の中に入れてあげるわ!」
「つくしちゃーん!いろいろありがとう!これからは友だちになってね!今から二人で飲みにでも行ってくるわ!
つくしちゃんも旦那と甘い夜を過ごしてねーっ!滋ちゃんも応援してるからーっ!」
そんな事を大声でっ!
隣の道明寺さんまでが赤くなってるじゃないの!
私はその後ヘリコプターに乗り込んで・・・そして暗い夜の空を福岡に向かって飛んでいく。
ホテルの屋上でいつまでも手を振る滋さんが見える・・・この後、いい時間を過ごしてね、滋さん!
「あの・・・これ、本当に福岡まで飛ぶんですか?」
「はい!大至急とのことでしたので大河原家所有のヘリコプターでは最大級のものをご用意しました!
ご心配なく!福岡のホテルにも連絡しておりますから・・・くつろいでてくださいね」
操縦席の人がそう言うから真っ暗な窓の外を見ながら、総二郎さんの事を考えていた。
・・・4時間?それって何時になるの?
もしかして真夜中じゃない?・・・そんな時間に空から人が来たら普通は驚くわよね。
そして・・・ココロの準備が出来てないんだけど・・・。今日のパンツってどんなのだっけ?上下お揃いだった?
何一つ荷物もないのになんで自分の下着の心配を空中でしてんのよーっ!
なんて事を考えてたら本当に福岡に着いてしまった。
時間はちょうど12時・・・総二郎さんの泊まっているホテルの屋上にヘリコプターは着いてそこで私は降ろされた。
「西門様ですね?ようこそお越し下さいました。お話しは大河原様から聞いております。お部屋はこちらでございます」
「お世話になります・・・こんな所からすみません・・・」
ここでも変な会話を支配人さんとしながら総二郎さんの部屋の前に案内された。
支配人さんは黙って頭を下げて帰って行く・・・あれ?どうして一人にされるの?
もしかして、総二郎さんは知らないのかしら・・・。
勇気を振りしぼってノックした。
「あれ?・・・誰も出てこない。困るんだけど・・・」
もう一度ノックしたらもの凄い勢いでドアが開いた!そして最大級に不機嫌な総二郎さんが目の前に現われた!
「誰だっ!こんな時間に来るヤツはっ!・・・はっ?」
「こんばんは・・・つくしです」

総二郎さんとの電話が終わって気が抜けたのか、もの凄い音でお腹が鳴った!
「うわっ!恥ずかしい・・・ごめんなさい!今日はお昼からほとんど食べてなくてっ!」
「あら?そうなの?・・・うん!私もお腹すいたわ。あそこで食事も出来なかったし・・・ルームサービスでも
頼みましょうか!待ってて!」
私はさっきの総二郎さんの声が耳に残っていて、気持ちは福岡に飛んでいるみたいだった。
窓の外を眺めていたらこの前の夜の事を思い出した。
わかりきっていたことなのに・・・いざとなったらちょっと怖かっただけ。
ホントはもっと甘えてしまえば良かったのに、照れてしまって素直になれなかっただけ・・・。
結婚式の時も披露宴の時もそうだったの・・・ホントは総二郎さんをずっと眼で追いかけていたんだよ?
何の経験もない私があの人に選んでもらえたなんて・・・今でも信じられないんだよね。
「つくしちゃーん!!ルームサービス来たよっ!ほらっ、食べようよっ!」
滋さんの声で急に我に返って・・・沈んだ顔を見せないようにと笑って振り向いたら・・・なにこれ?
目の前には10人分ぐらいの食事が並べられていた!
その量はとにかく半端なくて、ホテルの人がサイドテーブルを用意するほど・・・
「ねぇ・・・これ誰が食べるの?誰かくるの?」
「二人に決まってるでしょ?今更司を呼んでもつくしちゃん、いやでしょ?」
そういう問題なのっ?!嫌じゃないけど向こうが困るんじゃないの?
あっけらかんとしてその料理を前に嬉しそうな顔をする滋さん・・ホントにショック受けてるのかしら?
どこに消えていくのか料理は順調に減っていった。横に準備されているケーキが気になるけど・・・この上ケーキまで?
「滋さんは道明寺さんとのこと・・・どうするの?今日の事はあの怖そうなお母さんが許さなかったら・・・
婚約解消とかってなっちゃうの?」
「ん?ないとおもうよ。私たちのような家の人間の結婚ってそんなものよ。中止になんてならないわよ。
大河原家が道明寺に魅力的なうちはね。・・・つくしちゃんのところは違うの?やっぱり企業と文化系は違うのかな」
「私たちは親同士が仲が良くて小さいときからの家同士の約束みたいだったわ。だからそんなふうに決められるのが
嫌で初めは絶対に断ろうって思ったの。でも・・・見習いで西門に入って総二郎さんと少しだけ暮らしてるうちに
この人ならいいかもって・・・単純にそう思ったの。すごくいい人なのよ?噂とはちょっとちがうの」
「ふうん・・・。わたしはどうせ家が決めた人と結婚しなきゃいけないんなら、見た目がよくて少しでもドキドキするような
男だったらいいなって思ったわ。司は乱暴だし言葉は足りないしすぐ怒りそうだったけど、でもあの美形でしょう?
だから・・・我慢しようと思ったのよ」
そう言うと滋さんはケーキをつついていたフォークを置いた。
そして急に悲しそうな顔を見せた。
「多分・・・私、司に初めて会ったときに一目惚れしたんだと思うの。でも上手く気持ちを伝えられないからこうやって
ふざけちゃうんだよね。・・・やっぱりダメなのかなぁ・・・結婚は出来ても嫌われたままなのかしら・・・」
「ふふっ・・・意外と可愛いところがあるのね、滋さん。私は初恋が総二郎さんでそのまま結婚しちゃったから偉そう
なことは言えないけど、ドキドキしているうちは頑張ったらどうかしら?
私もそうだったよ?全然素直になれなくていつも喧嘩してて・・・でもずっとドキドキしてたもの。
今もね・・・早く会いたいから、帰ってくる日までドキドキしてると思うわ。・・・おかしいわね!」
「そう?・・・そうかな?私もまだ頑張ってもいいかな?」
「うん!頑張ったらいいのよ!二人の中をぶち壊すために来た私が言うのも変だけど応援するわ!」
なんだか変な説明だけどこの時は二人で立ち上がって握り拳をあげていた!
ホントに面白い人!さっきまで落ち込んでいたのに今はまたケーキを片手に元気を取り戻してる。
「ありがとう!つくしちゃん!私、諦めずに司に体当たりしてみるわ!まぁ、この滋ちゃんの美貌とナイスボディが
あれば大抵の男は一発で落ちてきたもの!うん!・・・元気が出てきたわ!」
「じゃあ、滋さん・・・最後にお願いがあるんだけど。私を西門まで送ってくれない?」
滋さんはニコッと笑って頷いてくれた。
「任せて!うちで送ってあげるからね!すぐに準備させるわ・・・待っててね!」
そう言うと元気よく滋さんは部屋を飛び出していった。
あれ?どうする気なのかしら・・・私は西門に帰りたいんだけど。車さえあれば何とかなるんじゃないの?
一人ポツンと取り残されて不安になってたら、滋さんはすぐに戻ってきて私の腕を掴んだ!
「つくしちゃん!すぐに屋上へ行くわよ!10分ぐらいでくるから!うちのヘリを使えば福岡までは給油無しでも
直行できるらしいわ!・・・すぐに会えるわよ!4時間後にはダーリンが待ってるわっ!」
「はぁっ?!どっ・・・どういう事?このまま福岡に行くの?!」
「当たり前でしょう?!ニッシーはそこにいるんだから!帰るんなら旦那のところでしょう?ほら、早くっ!」
滋さんに引っ張られてこのホテルの屋上のそのまた上・・・非常用ヘリポートに行った。
立ち入り禁止の札を無視して滋さんの方が嬉しそうに私をそこへ連れて行く・・・もの凄い笑顔で!
おかしな人ね・・・!すごい家のお嬢様なのに。
しばらくしたら本当にどこかから大きな音と共にヘリコプターがホテルに向かって飛んできた。
後ろを見たらこのホテルの支配人さんが立っていて、その後ろには道明寺さんが立っていた。
少しふてくされたような顔して・・・滋さんはその横に向かって走って行った。
「それでは西門様・・・気をつけて行ってらっしゃいませ。ご主人様にもよろしく・・・またのお越しをお待ちしています」
「はぁ・・・お世話になりました。行ってきます・・・」
おかしくない?このやりとり・・・そう思って滋さん達を見たら二人が並んで私の方を見ている。
「おい!・・・悪かったな!総二郎にそう言っとけ!」
「そんな言い方ないでしょう?・・・もういいわよ。次に来るときには家の中に入れてあげるわ!」
「つくしちゃーん!いろいろありがとう!これからは友だちになってね!今から二人で飲みにでも行ってくるわ!
つくしちゃんも旦那と甘い夜を過ごしてねーっ!滋ちゃんも応援してるからーっ!」
そんな事を大声でっ!
隣の道明寺さんまでが赤くなってるじゃないの!
私はその後ヘリコプターに乗り込んで・・・そして暗い夜の空を福岡に向かって飛んでいく。
ホテルの屋上でいつまでも手を振る滋さんが見える・・・この後、いい時間を過ごしてね、滋さん!
「あの・・・これ、本当に福岡まで飛ぶんですか?」
「はい!大至急とのことでしたので大河原家所有のヘリコプターでは最大級のものをご用意しました!
ご心配なく!福岡のホテルにも連絡しておりますから・・・くつろいでてくださいね」
操縦席の人がそう言うから真っ暗な窓の外を見ながら、総二郎さんの事を考えていた。
・・・4時間?それって何時になるの?
もしかして真夜中じゃない?・・・そんな時間に空から人が来たら普通は驚くわよね。
そして・・・ココロの準備が出来てないんだけど・・・。今日のパンツってどんなのだっけ?上下お揃いだった?
何一つ荷物もないのになんで自分の下着の心配を空中でしてんのよーっ!
なんて事を考えてたら本当に福岡に着いてしまった。
時間はちょうど12時・・・総二郎さんの泊まっているホテルの屋上にヘリコプターは着いてそこで私は降ろされた。
「西門様ですね?ようこそお越し下さいました。お話しは大河原様から聞いております。お部屋はこちらでございます」
「お世話になります・・・こんな所からすみません・・・」
ここでも変な会話を支配人さんとしながら総二郎さんの部屋の前に案内された。
支配人さんは黙って頭を下げて帰って行く・・・あれ?どうして一人にされるの?
もしかして、総二郎さんは知らないのかしら・・・。
勇気を振りしぼってノックした。
「あれ?・・・誰も出てこない。困るんだけど・・・」
もう一度ノックしたらもの凄い勢いでドアが開いた!そして最大級に不機嫌な総二郎さんが目の前に現われた!
「誰だっ!こんな時間に来るヤツはっ!・・・はっ?」
「こんばんは・・・つくしです」
