続・茶と華と (20)

次の日の朝・・・眼が覚めたらつくしの姿がなかった。
ベッドはまだ少し暖かいからさっきまでここにいたはずなんだけど・・・。

「つくし?・・・どこだ?」

声をかけたけど返事がない・・・下に落ちていたバスローブを拾って羽織った。
そしてベッドルームから出たら、窓際のソファーでバスローブのまま眠っているつくしを見つけた。


「何やってんだ・・・そんなところで寝てたら風邪ひくぞ?・・・まだ、眠たいんならベッドに入れ」

「・・・うん・・・あ、あれ?総二郎さん・・・?・・・あっ!」

急に俺の顔を見て真っ赤になった・・・昨日の・・・っていうか今朝方の事でも思い出したんだろう。
両手で顔を隠してんだけど・・・そんな子供みたいなことをして!おかしくなってまたからかってしまった。

「なに恥ずかしがってんだよ!夫婦なんだから当然だって!ほら・・・朝のキスはつくしからじゃねぇの?
それとも俺からがいい?」

そう言うと両手で隠した手の隙間から眼だけを覗かせている。
その手首を掴んで・・・ゆっくりと顔から外した。照れてるのか朝っぱらからその眼が赤くなっている。

ゆっくりと顔を近づけて・・・あと5㎝ってところで一言囁いた。

「おはよう・・・つくし。さっきは楽しかったな・・・」

そしてキスしたら両方の手首を塞がれているつくしは素直に答えてくれた。
でも・・・ここからがこいつの面白いところ・・・
唇を離して俺が思いっきり見つめているのにとんでもない事を言いやがった!


「あのね・・・実は困ってるの・・・誰に言っていいかわかんないんだけど・・・」

「なんだ?何でも言えばいいじゃん・・・お前が困ってるなら助けてやるよ」

自分で言うのもなんだけど、結構男の色気を出しまくったつもり・・・朝からサービス精神旺盛だったんだが。
困ってるなんて聞いたらそりゃどんな男でも・・・惚れた女の頼みなら犯罪でもかわまねぇって感じじゃね?

なんて考えてつくしの言葉を待っていた。



「下着の新しいのがないから・・・実は今、はいてないのよ・・・」

「・・・は?」


俺はもう笑いが止まらなかった!今までも女とこんなシーンは迎えてきたがさすがにこれはなかった・・・!
そりゃそうかもしれないけど、あんな事のあった次の日に新しいパンツを要求されるとはっ!
あの時に脱がせたヤツはもうはきたくないわけね?俺もよくは覚えてねぇけど・・・早々に取り去ったはず。
もしかしてあのとんでもなく乱れたベッドで見つけられなかっとか?

でも・・・はいてない宣言は絶対こいつしか出来ない!この俺が初めて聞いたセリフだ!
さすが、天然の箱入り娘!もう大爆笑するしかなかった!!


「だから言ったじゃないっ!誰に言えばいいのかわかんないって・・・!そこまで笑わなくてもいいでしょうっ!
西門から連れ出されてまだ一度も家に帰ってないのよ?しかも荷物は何もないし・・・お金も、携帯もなかったの!
新しい下着もなくて当然じゃない?・・・いい加減、笑うのやめなさいよ!」

「ごめんって・・・マジでそんな事言われるとは思わなかったんだって・・・!すぐに用意させるよ。
ちょっと待ってろ・・・くくっ・・・寒いかもしれねぇからベッドにでも入っとくか?」

「・・・もう、人が恥ずかしいのに話したのに!総二郎さんのバカ!」

つくしはバスローブの前を握り絞めてベッドルームに入っていった。
そっか・・・経験ないから、2日目のパンツなんてあり得ねぇのかな?お嬢様だからな、あれで!
要するにその状態だからどうしていいかわかんなくてソファーにいた訳ね・・・。


すぐにホテルのフロントに頼んで福岡の店を探してもらった。この先何があるかわからないからフルコーディネート、
下着から服、靴まで何点か揃えて持ってこさせた。
つくしはその中から適当に選んで、ちゃんとパンツもはいたら落ち着いたようだ。


「着替えが済んだら朝飯食いに行こうぜ?その前にお袋に電話入れとけよ?・・・心配してねぇだろうけど」

「・・・そう言えばまだ電話してなかったわ。解放されたことは言っとかないとね!」

つくしは朝飯の前に俺のスマホでお袋に電話をいれていたが、やはり何も心配されていなかった・・・。
でも、まさか福岡にいるとは思わなかったらしく、ついでに俺と一緒に九州支部に挨拶してこいと言われたらしい。

「怒られるかと思ったわ!でも、挨拶回りって・・・こんな格好でいいのかしら?」

「俺が着物なんだから当然お前もだろ?・・・時間があるし見に行くか?俺は既製品は嫌いだけど仕方ないし。
だからってこの西門がレンタルなんて絶対にしないからな!このくらいデカいホテルならこの中にもあるかもしれないし」

規模が大きなホテルになると当然結婚式のための衣装屋が入っている。
このホテルにもその貸し衣装屋があってそこの店主からホテルのすぐ横に老舗の呉服屋があることを聞いて
つくしと出かけた。聞いたとおり小さいけれど上品な店にはこれまた品のいい店主がいてすぐにいくつかの
上等な着物を出してくれた。

「西門様の奥様にこの店の着物など・・・恐れ多いですが、これなどいかがでしょうかな?お若い方でもよろしいかと・・・
今日の西門様のお着物にもよくお似合いだと思いますが・・・」

そう言って出された着物はつくしによく似合っていたからすぐにその着物と・・・その他一式を揃えてもらった。
普通のパンツすらなかったんだ・・・そりゃ、尚更着物に関するものは何もなかったから。
ここでも思い出し笑いをした俺の腰をつくしが軽く叩いたもんだから、呉服屋の店主はニヤニヤ笑っていた。

「お若いというのはよろしいですな・・・いいことでもおありでしたか?」

つくしは真っ赤な顔して頷いてるが・・・まぁ、いいこともあったかもしれねぇな!
やっと俺たちはデキたんだから!・・・いや、福岡で・・・なんて全然思っていなかったけどな!


「どう致しましょうか?奥様のお支度はここでなさいますか?」

店の女将さんが聞いてくれたが、すぐにそれを断った。

「いえ・・・妻の支度は私の方で致しますから・・・ご心配はいりません。ありがとうございます」

つくしと頭を下げてこの店を後にした。
つくしは赤い顔のまま大事そうに着物を抱えてホテルの部屋まで戻った。


*******


そしてホテルのフロントの前を通過しようとしたとき、つくしに声がかかった。

「あ・・・あのっ!お客様・・・申し訳ございません!もしかして・・・東京の華道家の牧野先生ではありませんか?」

「はい?えっと・・・ごめんなさい。どちら様ですか?」

声をかけてきたのはこのホテルのコンシェルジュのようだ。
なんだか切羽詰まったような雰囲気で・・・つくしの前に駆け寄ってきた。

ものすげー嫌な予感・・・また、なにか問題でも?


「助けていただけませんか?あの・・・私は東京から転勤でここに来たばかりで、以前は牧野先生のところで
お花を習っていたんです!でもっ・・・私ではどうにも出来なくて・・・!」

「助けるって・・・何を?」


出た!助けを求められて助けねぇヤツじゃない・・・。
買ったばかりの着物はポンっと俺に投げ渡された。今まで大事に抱えていたくせに!


横目で見たらもう必死な目つきのつくし・・・やれやれだっ!
もしかして今日の仕事も俺1人・・・決定だろうな。

kadou8.jpg

花より男子

2 Comments

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2017/07/10 (Mon) 12:55 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: こんにちは

えみりん様、こんにちは‼

パンツね!こんなアホな話をどうしても書きたかったんですよ。はいてない宣言❗誰がします?男にですよ?
朝から襲われますよね!

…コンビニってパンツ売ってますかね?探したことがないけど、あるのかな?

あ!もうね、終わりに近いんですよ。今週には終わります。こんなアホな話は長くはムリですね!

でも、次のお話の後に番外編用意してます。
SummerFestivalってタイトルで。

もしや、私が一番気に入ってるのかも?

今日もありがとうございました❗

2017/07/10 (Mon) 19:36 | EDIT | REPLY |   

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