Sister Complex (23)

つくしに道明寺からの迎えが来る前に家を出て、藤堂家に静を迎えに行くことにした。
もちろん静に早く会いたかったとか、そんな理由ではなくつくしが道明寺の車に乗るのを見たくなかったから。


「よろしいのですか?つくし様に一言も言わなくて・・・」

「いいよ。向こうで会えるからそう伝えておいて・・・つくし、泣いてないよね?」

「えぇ。泣いてはおられませんわ。沈んではいらっしゃいますけど」


おそらく母さんが今日もつくしを飾り立てるんだろう・・・司のためのドレスなんて見たくもなかった。
それを着るつくしの悲しそうな顔も、それを見る嬉しそうな母さんの顔も見たくない。

つくしの部屋に一度視線を向けただけで俺は家を出て行った。
物音一つしない・・・中にいるはずのつくしの様子が気になるけど・・・。



藤堂家に着いたら静はもう支度を済ませていてリビングで俺を待っていた。

「類・・・!待ってたのよ!・・・今日は宜しくね」

今日も静はまるで大輪のバラのように、眩しいほどの美しさを見せている。
ピンクベージュのドレス・・・大きく開けた胸元はセクシーで・・・こんなドレスだと男は目のやり場に困るのに。
そんな事も気にしない静はもう俺の腕にその手を絡ませている。

後ろには藤堂家の・・・静の両親がいるから何も言えなかった。

「類くん・・・今日はよろしく頼むよ。静も類君ならというから助かったよ」

「・・・いえ。とんでもありませんよ。早めに帰りますから・・・」

静の父親の顔も見ずに表面上の挨拶で終わらせ、花沢の車に静を乗せた。
静は車の中でも今までどおりに明るい笑顔で積極的に話しかけるけど俺の方はまるで上の空だった。


「類・・・どうかしたの?随分沈んだ顔をしているのね・・・何かあったの?」

「いや・・・何でもないよ。ただ、こんなパーティーが嫌いだからさ」

「ふふっ・・・相変わらずね!司は幼馴染みなのに・・・あなた達は昔から仲がいいんだか悪いんだかわからないわね」


司の家に着いたら、また静は俺の腕に手をかけて中に入っていく。
静が目立つからなんだろう総二郎とあきらがすぐに寄ってきた。

「よっ!静、久しぶりじゃん!今日はまた随分と綺麗だな!俺がエスコートしてやったのに!類じゃないと
いけなかったのか?俺には一言も言ってくれなかったんだな!」

「総二郎が一人だとは思わないわよ!あなたの方がいつも誰かを連れてるんじゃないの?あら・・・今日は?
珍しく一人なわけ?総二郎が女の子といないなんて見たことないわね!」

「総二郎よりも俺のが静には似合うだろ?花束持って迎えに行ってやったのに・・・どうせ類は手ぶらだろ?」

「いいのよ!私のパーティーじゃないんだから・・・あきらも一人なの?もうお遊びは卒業したの?」

3人が楽しそうに会話を始めたから俺は静の手をそっと外してつくしを探していた。
広い会場だけどつくしの姿はなさそうだ・・・もしかしたら別室で司といるんだろうか。
そう思うとまた胸が苦しくなる・・・そんな俺を総二郎は見逃さなかった。

「類・・・今日はつくしちゃんは司とだろ?・・・二人のことに兄貴がいちいち口を出すことじゃねぇぞ?
この前の司のようなことするなよ・・・俺はあんなの二度とごめんだからな!」

「するわけないだろ・・・今日はつくしと一度も会ってないだけだよ」


静は何のことかわかってないのか不思議そうに俺を見ている。
あきらはすぐに静にシャンパンを渡してこの変な空気を変えようとして、総二郎も表情を元に戻した。
そして話題を静のフランスでの暮らしに移して盛り上がっていた。

この2人がいたら何も俺が静の面倒を見なくてもいいだろう・・・3人から少し距離をおいてつくしが来るのを待っていた。



そして会場が一段と騒がしくなった時に道明寺HDの社長と司と・・・その重役達が揃って姿を現した。
まだ何の約束もしていないはずのつくしまでその一同の中に入っている。
そして会場の入り口付近では父さんと母さんが上機嫌でそのつくしを見ていた。


「皆様・・・本日はようこそお越し下さいました。この度設立いたしましたのはアメリカに本社がある・・・」

フロアの一角に設けられた場所で司の母親がこのパーティーの挨拶を始めたが俺の耳には何も聞こえてこなかった。
俺の神経は司の少し後ろで小さくなっているつくしの姿に向かっていた。


「つくし・・・」

小さな声でそう呟いたのを静は聞いていた。

楓社長の挨拶が終わって会場が再び賑やかになったとき、俺のすぐ横で静は真面目な顔で話しかけてきた。


「類・・・噂は本当なの?つくしちゃんのこと・・・まるで恋人を取られたかのような顔してるわよ?
あなた、自分の妹に本気なの?・・・どういう事かわかってるの?」

「関係ないだろ!静には・・・。悪いけど昔からの知り合いだからって俺の中に入ろうとするのはやめてくれる?
あんまり干渉してくるならもう静とは会わない!」

「まぁ・・・随分な言葉ね。・・・心配しなくてもあなた達のことまで口出しはしないわよ。心配しているだけ・・・
私にはフランスに彼がいるんですもの・・・親には内緒よ?」

静の言葉に少し驚いて顔を彼女に向けると・・・呆れるわけでもなく怒っているわけでもなく、ただ優しく微笑んでいた。
フランスに恋人がいる?そんな話は一度も聞いたことがなかったから。
しかも親に内緒って?・・・静にも人に言えない恋があるわけ?


「そうなの?・・・ごめん。言い過ぎたよ」

「かまわないわ。でも・・・類が本気なら悲しいと思ったの。どうしてあげることも出来ないでしょう?」

司の腕にこそ手を添えてないものの、ずっと司の後ろを付いて回っているつくしが可哀想で眼が離せなかった。
まるで飾り物のように似合わないドレスを着て・・・前にいる司の笑顔だけが余計に目立っていた。
そして・・・つくしは俺たちに気がついている。

時々俺の方に悲しそうな表情を向けていた。


「今日の司、やけに機嫌がいいな!あいつがパーティーなんかであんなに笑顔見せることなんてあったか?」
「見たこともないよ。近づくなってオーラは見たことあるけどな。・・・あの子のせいかな」

総二郎とあきらの会話をその横で黙って聞いていた。

「私のことなら気にしなくていいわ。総二郎達といるから・・・。気になるならつくしちゃんの所へ行きなさい。
兄妹なんですもの・・・誰も何も言わないわよ?」


やさしく笑ってそう言ってくれた静に・・・なぜか打ち明けてみようかと思った。
もしかしたら力になってくれるかもしれない。静が花沢に入りたいわけじゃないってわかったから・・・
加代以外に相談できる人間がいなかった俺は一人でも自分の気持ちを知ってくれる人が欲しかったのかもしれない。


「静・・・ちょっといいかな。聞いて欲しい話があるんだけど」


俺は静を連れて庭に出た。
今から話すことを彼女はどんなふうに理解してくれるだろう・・・。

それとも・・・否定されるんだろうか。

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花より男子

2 Comments

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2017/07/04 (Tue) 06:31 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: おはようございます

えみりん様、こんにちは🎵

私は静さん、好きじゃないんです。
だけど他にいなかったから出しちゃったって感じ?
この静さんは多分、害がないかな?
これ以上つくしちゃんをいじめてはいかんだろう!
って思いまして❗(笑)😁
類を助けてくれるんだか、迫ってるんだかよくわからないお姉さまですけどね!私が書く以上、くっつくことはございませんわ!あはは❗


赤いシリーズ…なんか知ってるような、知らないような?

台風、私の住んでるところにはあまり影響はありませんでした。去年は網戸が飛んでいったけど。

嫌な季節がきましたねぇ。台風…。
しっとりとした雨は結局降ってないなぁ。

月初で忙しいです。あぁ、帰りたい‼

2017/07/04 (Tue) 12:35 | EDIT | REPLY |   

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