Sister Complex (28)

小さな教室の隅で西門さんと道明寺が睨み合っていた。
お互いに鋭い目つきで・・・今にも殴り合いになりそうな雰囲気に怖くて足が震えた。

「ちょっと・・・道明寺!西門さんは関係ないでしょ?類がいそうな場所を私が聞いていただけなんだから!
それに道明寺が怒るような事じゃないでしょ?そっちこそ関係ないわよ!」

「類が行きそうな場所?・・・何でそんなものが知りたい?・・・兄貴が見えないだけでそんなに不安か?」

「そんなんじゃないけど・・・聞きたいことがあっただけよ!・・・もういいでしょ!」

道明寺は西門さんの方から私の方へ向きを変えて、ゆっくりと近づいてきた。
その鋭い目つきのまま私の眼を見つめて・・・真っ直ぐに歩いてくる。私はジリジリと後ろに下がっていった。

もう私の後ろは壁しかない状態で・・・でも道明寺は目の前まで迫ってきた。


「な・・・なによ!それ以上近寄らないで・・・!大声出すわよ!」
「司・・・その子にまだ手を出すんじゃねぇぞ!しかもここは大学内だ・・・無茶はすんな!」

私と西門さんの言葉なんて何も聞いてないかのように道明寺はいきなり私の手を掴んで高く上に上げた!

「痛いっ・・・っ!離してよっ・・・何をするの?」

片腕を上に上げられたまま、道明寺はその顔を私の目の前に持ってきてもう1つの手で顔を押さえられた。
西門さんは黙ってこの様子を見ていたけど・・・僅かに拳を握って道明寺の動きを警戒しているように見える。
もし・・・これ以上何かをしたら西門さんが道明寺に殴りかかるかもしれない・・・。

「正式に話を出したって言ったはずだ。今日からお目の相手は類じゃなくてこの俺だ・・・覚えておけ!
勘違いされるような行動は許さねぇからな!」

「・・・・・・!誰が言う事なんて聞くもんですか!」

私は道明寺に押さえつけられているから身動き1つ出来なかったけど・・・にらみ返して言葉で抵抗した。
でも、その言葉にも道明寺は薄笑いを受かべるだけで・・・優しさも温かさも伝わらない・・・!

こんな人になぜ私は毎回ドキドキするのか・・・自分でもわかんないけど!


「司・・・!いい加減にしろって・・・この子は今知ったばかりなんだ。いくら何でも強く出過ぎなんだよっ!」

「・・・ふん!まぁ、いい。今日から帰りは類じゃなくて俺が迎えに言ってやる。そうしないとお前は1人では
帰れないらしいな・・・おとなしく教室で待ってろ」

道明寺の手は私の腕と顔から離れた・・・。
でも・・・私はいつまでもその腕を降ろすことが出来ない・・・もう身体が硬直して動かなかった。
道明寺がこの部屋から出て行くのを確認してから、その場に座り込むように倒れた。


「大丈夫か・・・つくしちゃん。立てるか・・・?」

西門さんがすぐ側まで来てくれて、手を出してくれた・・・その手を掴もうとするけどそれすら震えて出来ない。
ふうっ・・・とため息を付いた西門さんはそのまま私を抱き上げた!

「うわっ・・・!い・・・いいですよ!西門さん、立てるから・・・!」

「立てなかっただろ?いいからそのままにしてな。医務室ぐらいなら運んでやれるよ、あんたくらい軽いもんだ。
恥ずかしいなら、俺の肩んとこに顔つけときな。そうしたら見えないから・・・行くぞ」


西門さんは私を抱き上げたまま高校の医務室まで行くという・・・。
言われたとおりにその肩に顔をくっつけて見られないようにしたけど、西門さん本人は気にもしてないようだった。

「あら・・・西門君、今日は高校生がお相手なの?ダメよ・・・子供相手なんて似合わないわよ?」
「ああ!これは違うの・・・そんなんじゃないから!また今度ね!」

「西門君・・・私とのランチを忘れてその子と遊んでんじゃないでしょうね!許さないわよ?」
「忘れてないよ!この子を医務室に連れて行った後でならいいぜ?それか、また今度な!」

なんなのかしら・・・?この会話は。
色んな出来事があって頭が混乱しているのに・・・西門さんのおちゃらけた会話に気が抜けて涙が出てきた。


「つくしちゃん・・・花沢の子供にしちゃ覚悟が出来ていなかったんだな・・・それとも本気で類しか見てこなかった
とかいうんじゃないだろうな・・・」

急に耳元で西門さんが小さな声で聞いてきた。

「類しか見てこなかったわよ!それのどこがいけないの・・・?わかってるわよ!類がお兄様だって事ぐらい・・・
みんなに言われなくても自分が一番わかってるわ・・・苦しいくらい、わかってるわよ!」

「・・・そっか。マジなんだ・・・余計に悪かったな」


意外にも西門さんはそれを否定しなかった・・・。

加代さんにだけ何となく言ったことはあるけど・・・それ以外の人にこの気持ちを話したことはなかったのに・・・!
だって絶対に否定されるか異常呼ばわりされるかだもの・・・。

悪かった・・・なんて言われるとは思わなかった。

西門さんの背中に回した手で思いっきりその服を掴んだ・・・そして西門さんの肩なのに大泣きしてしまった。
高等部の校舎に入ったら今度は女子生徒の黄色い声で耳が痛い。
今度はこの後の噂話が想像できてまた涙か止まらなくなった。

「わかったから・・・まぁ、好きなだけ泣いてもいいけど、類に俺が泣かしたとか言わないでくれよ?」

高校の医務室についても、そこで私が泣き止むまで側にいてくれた。
オロオロする医務室の先生を西門さんが追い出して・・・二人っきりの医務室で声を出して泣いていた。
そして泣き疲れて眠ってしまったのを見てから・・・西門さんは大学に戻ったらしい。


私はこの日、なにも授業を受けずに医務室で寝続けた。


*******


いつもの屋上のコンクリートの上で寝そべっていたら、総二郎がやってきた。

「類・・・やっぱりここか。つくしちゃんが凄い剣幕で探しに来たぞ?泣きながら・・・」

「泣いてたの?・・・その理由、知ってる?」

「全部聞いたんだよ・・・同級生達からの噂話をお前に確かめに来たら、今度は司に大学で会ったからな。
直接司が話したからショック受けて、さっき高校の医務室に送り届けたぞ」

司が直接つくしに話した?・・・それはいかにも想像できるけど。

「そう・・・ごめん。総二郎・・・世話をかけたね」


総二郎は俺の横に座って同じ方向を真っ直ぐに見ていた。
一度も俺の顔を見ようとせずに・・・独り言のように空に向かって言葉を投げた。

「つくしちゃんって・・・類しか見たことないんだとさ!すげえよな・・・兄妹でそんな感情は俺には理解出来ねぇや!
でも・・・ちゃんとわかってるらしいから・・・なんも言うつもりはないけどな。ただ・・・なんとなく羨ましい気もしてさ!
届かない思いでも・・・本気な相手がいるなんて・・・」

「総二郎・・・?」



「まぁ、色んな人間がいるって事だな!・・・もう俺は何もいわねぇよ。お前もそうなんだろ?」

「変なの・・・急に理解してくれるわけ?」

「馬鹿言え!理解出来ねぇって言ったろ?・・・でも辛くなったら言えよ?愚痴なら聞いてやるよ」


やっぱり最後まで俺の顔は見ずに総二郎は屋上から出ていった。
いつか・・・総二郎にも本当の事を教えてやるよ。


もうすぐつくしを迎えに行く時間・・・多分司が現われるだろうな。
それでも行くしかない。

つくしをここから連れて帰る役目は誰にも譲れないから。

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花より男子

2 Comments

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2017/07/09 (Sun) 07:21 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

Ringo様!こんにちは~!

まぁ。なんて嬉しいお言葉でしょう!ありがとうございます!
類がお好きな方には切ないお話しで申し訳ありません。
総二郎に惚れましたか?いや、それもいいですね!

私は類の時には出来るだけ総二郎を押さえたいんですけど
どうしても美味しいところを彼に当ててしまうんですよ!(*^▽^*)

今日の総二郎は私も大好きっ!
あら?・・・では、この前の「茶と華」の崩れまくった類はいけませんでしたね!

今日も調子にのって1話追加しちゃった!楽しんでくださいね!

いつもありがとうございます!応援コメント本当に嬉しいです!

2017/07/09 (Sun) 11:55 | EDIT | REPLY |   

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