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司と別れた牧野が急に大学を休んで姿を見せなくなった。
類も総二郎も必死になって探したけど見つけることが出来なくて、あいつらは毎日牧野を心配してウロウロしていた。

「総二郎・・・団子屋のバイト先から情報取れなかったの?」
「あぁ・・・何も聞いてないし、突然やめられて女将さんが困ってたからその先のことまで聞けなかったよ」

「あきらは?おばさんとも仲良かったじゃない。・・・そっちにも連絡ないの?」

「・・・別にないけど。いいんじゃないのか?牧野はお前達の所有物じゃないんだから、あいつの意思を尊重してやれよ。
子供じゃないんだからちゃんと戻ってくるさ」

そういう俺に二人は文句を言いながらまた牧野を探す手立てを探している。


俺はそんなヤツらを置いてラウンジを後にする。
車に乗って走ること1時間・・・その足はある場所へと向かっていた。


それはお袋が協同管理者になっている植物の品種改良のための研究施設。
俺だけが知っている、今・・・牧野がいる場所だった。

ここの一番奥の新しい品種のバラを植えている大きな温室・・・そこに牧野はいるんだ。
ただ一人でその中にあるベンチに座って自分との戦いをしているんだ。

「牧野・・・今日はどうだ?少しは調子良いか?」

「・・・美作さん。お帰りなさい・・・うん、随分良いよ。でも、もう少しここにいたいんだけど。この新しいバラの花が
もうすぐ咲きそうだからそれを見たいの」

「あぁ、いいよ。好きにしたらいい・・・ここはお袋の仕事場のひとつみたいなもんだから。
気が済むまでいても良いけど、ちゃんと食べてちゃんと寝ること!そうしないと元に戻れないぞ?」

「ふふっ・・・本当にお兄ちゃまだね。美作さん」

「馬鹿なこと言うなよ!こんな大きな妹ならいらないよ!あの二人で十分だ」

笑いながらそのもうすぐ開きそうなバラの株の前に座って下から見上げるようにそのつぼみの先端を見ている。
そのバラが咲いたらどうするんだ?ここから出て行くのか?・・・そしてどこに帰るんだ?

それも牧野の意思なら何も言わない。
それまではこのベンチに座って牧野のことを見ていてやるよ。
でも・・・少しだけ俺の存在も見てくれないか?少しだけ・・・お前を見つめるこの眼に気がついてくれないか?

心の中で呟きながらその小さな背中を見ていた。


*****


「あきら・・・何か知ってるでしょ?牧野のこと」

ある日、大学のラウンジでいきなり類にそう言われた。
牧野の事をずっと想っている類はいなくなってからこれだけ探しているのに見つからないことに苛立っていた。
そして、ここまで見つからないのは誰かが匿っていると・・・そう考えたんだろう。
総二郎でさえ協力しているのにこの俺がただ見ているだけなのを不思議に思ったらしい。

基本・・・嘘はキライで苦手だ。


「牧野の希望だったんだよ。誰にも言わないでくれって・・・言わなかったのはそういう事だ。
でも、今は少しずつ良くなってきているから・・・もう少し待っていてくれないか?」

「どこにいるの?まさか・・・美作に?身体を壊してるの?」

「いや、うちにはいないよ。それに壊しているのは身体じゃなくて心の方だから・・・。牧野が話してもいいって言ったら
ちゃんと教えるよ。あいつの気持ちもわかってやれ。あれだけ燃え上がった恋が終わったんだ・・・時間もかかるよ」

納得のいかない類をその場に残して俺はまた牧野の所へ戻った。


もうどのくらいこんな日が続いてるんだろう。
今日、牧野は温室の中をゆっくりと歩いていた・・・その少し後ろを黙って付いて歩く。
時々温室の天井を見上げて小さく何かを呟きながら・・・牧野は一粒涙を流す。

「ほら・・・また泣いてる。誰も見てないから拭いとけ」
「・・・うん。ありがとう」

ハンカチを差しだして牧野に渡す・・・こんな事しか出来ないし、見守ることしか出来ないけど。
こうしていることでお前の心が安らいで・・・泣くことで過去と別れられるのなら俺はそれを見届けてやるよ。
そんな気持ちで牧野との時間を過ごしていた。


********


嫌というほど傷ついてボロボロな状態で道明寺と別れた私に待っていたのは、花沢類と西門さんからの
誘いの言葉と贈り物・・・気を遣われているのがわかってしまうから・・・それが重たかった。
何度断っても毎日のように二人は私の前でわざと明るく誘ってくる。

私は自分で立ち直りたかったのに。自分の力で歩きたかった・・・自分の手で新しい何かを探したかったのに。
嬉しくなかったわけじゃないの・・・ただ、自分で選びたかったんだよ?

だから私の前に並べられるいろんな物や手から逃げたかった。


ある日、あの二人よりも早く帰りたくて急ぎ足で大学を出ようとしていたら後ろから声をかけられた。

「牧野・・・どうした?」

「・・・美作さん、何でもないよ。ちょっと急いでいるだけだから・・・」

「送っていこうか。・・・心配しなくても何も聞かないよ。牧野が聞いて欲しいこと以外は聞かない」


特に近寄るわけでもない・・・手を伸ばしてくるわけでもなかった。
もちろん抱き締めようともしない・・・とても自然なその距離に思わず安心して涙が出た。


「良い場所に連れて行ってやろうか?多分牧野は好きになると思うぞ?気分も変わるかもしれない。
でも・・・それを決めるのは牧野だ」

決めるのは私?・・・私が決めても良いのね?

美作さんの言葉は何故か私の中にすぅ・・・っと入ってきた。その少しだけ低めの・・・でもとても優しい声。
私は美作さんの声を今までちゃんと聞いたことがなかったのかしら・・・。

「連れて行ってくれる?・・・その場所に」


美作さんが初めて私に手を伸ばしてきた・・・。

そして連れてきてもらったのはどこかの大きな施設・・・緑と花が多くてまるで植物園のような場所だった。
車を降りたらすごく甘い香りがする。

「少し待ってて・・・話をしてくるから」

私を入り口近くの駐車場で待たせて、美作さんは一人で建物の中に入っていった。

なんでそんなに自然なの?
私を特別扱いせずに・・・こんなにもふんわりと私の心に入ってきた彼の後ろ姿を見つめていた。


しばらくして出てきたのは美作さんと夢子おば様。
美作さんとよく似たとても綺麗で・・・とても可愛らしい私の大好きなおば様が手を振りながら現れた。

「つくしちゃん・・・私も何も聞かないわ。ここにしばらくいてもいいわよ。この奥に私の宿泊用に小さな家を建ててるの。
そこを使うと良いわ。今ね、新しいバラの研究をしているの。もうすぐ咲くのよ?それを見てご覧なさい。
世界で初めての花よ?その瞬間をつくしちゃんに見てもらいたいわ」

この世に初めて生まれる花・・・

誰も知らない新しい花・・・生まれ変わるために必要な力をもらえるだろうか。

「その花が咲くまで・・・ここにいても良いですか?」


優しく笑う美作さんとおば様・・・久しぶりに自分が笑っているのがわかった。
どんな花が咲くんだろう。
彼のようにその花は私を包んでくれるのかしら。


わたしはしばらくここで暮らすことにした。
そして今日も美作さんはここに来る。いつもの時間どおりに・・・。


「牧野・・・今日はどうだ?少しは調子良いか?」


この言葉で私の心が少し開いていく・・・あのつぼみのように・・・。

bara3.jpg
初めてのあきつく・・・実は結構リクエストいただいておりました。
しかし、どうしても上手くいかずいくつかボツになりました。

今回はSSではなくちゃんとしたお話しをご希望とのこと・・・
とはいえ、この私にマジでのあきつくが書けるのかどうか・・・!
迷いに迷って・・・すみませんがまずはSSから練習させていただきます!

超難しいんだけど!!
書けたら更新は明日・・・無理な時はその次?
その前にあきらっぽい?あぁ・・・心配だわ。
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Comments 6

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2017/06/23 (Fri) 12:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは‼

いや、難しいですわ。
主があきらってのはどうしていいんだか、わかんなかったんですよ!どーしても優しい切ない感じ?にしたくても、
それが「ラブ❤」にならずに終わりそうで。

じゃあね、美作さん!ってセリフがでそう!( *´艸`)

一応ロマンチックなラストを予定しております。

( ̄▽ ̄;)ぁ、心配だわ。

まぁ、頑張ります‼

2017/06/23 (Fri) 16:36 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/24 (Sat) 01:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

kyoro様、おはようございます🎵

いや、そう言っていただけると嬉しいのですが凄く難しくて悩むんですよ。
あきらって素敵だし、好きなんですけど私の中では悲恋の人なのでラブラブするイメージがないから…

ちょっとSSで感じを掴んでみようかな?って。

少しでもあきらっぽく締め括りたいとは思います🎵
書いてて恥ずかしいのは何でかな⁉(*⌒∇⌒*)

長い話だと私の心臓がもたないかもしれない。
( *´艸`)だって、類と総二郎がいないんだもん。

でも、頑張ります‼あきらにもいい思いをさせてあげなくては!今まで泣かせてきたから!

短いお話ですが、どうぞよろしくお願いいたします🎵
いつも、ありがとうございます🎵

2017/06/24 (Sat) 07:25 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/29 (Thu) 15:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!(2)

いや、もうないかもですよ。
マジでこの一週間死にましたから!毎晩、どんだけ悩んだか!
あきらって・・・あきらって・・・こんな時はこの人、どうすんの?
って毎日焦ってましたよ!

で、最後は爆死・・・。

私には無謀な挑戦でした。あはは~!

2017/06/29 (Thu) 21:48 | EDIT | REPLY |   

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