続・茶と華と (22)

博多のド真ん中・・・西門の九州支部の会館の会議室・・・ここで今日は支部会が行われる。
少し離れていることもあってここ博多で仕事をすることは確かに少なかった。

とはいえ・・・なんで俺は仏頂面の九州支部長の前で睨まれてるんだ?
この俺が来ているのに・・・この扱いはなんだ?今までの地方回りでこんな事はなかったが?

「今日はご結婚されたばかりの奥様が初めてのお仕事としてこの九州支部の会合にご参加いただけると
聞いておりましたが・・・聞き間違いでしたかな。若宗匠お1人ですか・・・」

「妻は急用で遅れているだけですよ。もう少ししたらこちらに顔を出すと思います。先に私が1人で来たのですが・・・
期待されてたんですか?それは申し訳ないですね」

この男には多分お袋が連絡していたんだろう。
確か九州支部長は結婚式には都合が合わねぇとかで欠席してたよな・・・そっちの方が失礼だろう!
ちょっとつくしを一緒につれてこなかったぐらいでそこまで全面的に顔に出さなくても良くねぇか?

「いやね・・・関西支部の連中が奥様の事を随分と噂してましたので・・・お会いしたかったんですよ。
若宗匠が惚れられるのも無理ないくらいの凄い美人だと・・・それはもう、みんなが口を揃えて言うもんだから・・・」

「それで私の妻を見たかった・・・と、言うことですか?それだけ?」

「それだけですよ?他に理由はないでしょう!」


とんでもないジジイだっ!
確かにあの日のつくしは綺麗だったが、毎回花嫁衣装着て念入りな化粧はしてねぇよ!
いい年をしてみっともない・・・人の嫁を見たいだなんてよく言うな!
見せてもいいけど、もしつくしが作業着で飛び込んで着たら腰抜かすんだろうな・・・そんなはずはないが。

ずっと不機嫌な支部長を無視して九州支部会は始まった。
俺は特に発言することもないから一応席に座って色々な報告だけ聞く振りをする・・・
もの凄い眠気がこんな時にきた・・・でも、寝るわけにもいかない。
俺は頭の中に昨日のつくしを思い浮かべて・・・もう、誰の声も聞こえない状態だった。


そんなとき、会場の隅で視線を感じた。
向かいのテーブルの端・・・そこには黒いスーツの女性が俺の方を見ていた。

スゲー色っぽい女・・・わざとなのか?ブラウスのボタン・・・開けすぎじゃね?しかも広げてるだろ?
俺よりもあんたの横にいるオッサンの方が赤くなって覗いてるように見えるのは気のせいか?
しかもテーブルの下から見えるその組んでる足・・・太ももの方まで見えてるんだけど。
それは今度は俺の横に並んでるオッサン達が資料を見ずにそこを見てるけど・・・

九州支部・・・この会議は大丈夫なのか?・・・・・・家元に報告だな!


何にも頭に入らなかった会議が終わると、さっきの色っぽい女性が目の前に現われた。
やっぱりわざとか!腕組みして斜め立ちしてるけど、その角度は胸の谷間が丸見えってヤツだよな!
腕組みしてたら寄せて上げる効果がバッチリ!しかも黒いブラも見えてるんだけど・・・残念だったな。
自慢じゃないがそんなのは見慣れている。今更・・・だ!


「何か用でもありますか?先ほどから随分と見てこられていますね」

「あら・・・総二郎様はお気づきでしたの?人が悪いわ・・・気付いていたんならおわかりでしょう?
この後のお時間・・・予定などはありますの?確か明日お帰りだとか・・・お食事に行きません?2人で・・・」

「予定は特にはありませんが、ホテルでゆっくりしたいので・・・申し訳ありませんね」

すっげー勇気だな。新婚の俺・・・っていうより次期家元に対してこの態度・・・!よっぽど自身があるんだな!
プロポーションは抜群らしいが俺には何も感じねぇ・・・こうまでしてそそられないって気の毒だな。

「あら・・・福岡にはあまりおいでにならないんですもの・・・よろしいでしょう?奥様には内緒で・・・ね?」

そう言ってその女が俺の肩に馴れ馴れしく手を置いたときだった。



「何やってんの?総二郎さん・・・」

あれ?この声・・・振り向いたら今度はすげぇ怖い顔したつくしが手に着物を持った状態で仁王立ちしていた。

「え?・・・いや!これは・・・違げぇよっ!これはこの女が勝手に寄ってきたんだよっ!お前こそ後ろから見てないで
すぐに声をかけてくれたらいいじゃねぇかっ!」

「ものすっごく嬉しそうな顔してたでしょ!まさか私が福岡に来なかったら今みたいに遊んでたんじゃないでしょうね!」

「何言ってんだよ!お前は俺の後ろにいたんだろ?顔なんか見えねぇじゃねぇか!それに、遊ぶつもりなら
お前を連れて行くなんて言わねぇよっ!なんだ・・・その眼は!自分の旦那が信じられないのかっ!」

気がついたらあの女はもうどこかへ消えていた。
人の家庭に波だけ立てて逃げやがって!逃げる前に一言謝るか説明してくれないと俺が九州支部会と称して
裏で浮気してたみたいじゃねぇか!

「・・・もう!せっかく幸せな気分で走ってきたのに!すっかり気分が下がっちゃった・・・着物だって持ってきたのに!」

つくしは持ってきた着物一式を胸に抱えて表情を曇らせた。
そんな小さい子供みたいに拗ねなくてもいいんじゃねぇか?もう少しで泣きそうな顔して・・・。

「何だよ・・・着てこなかったのか?」

「だって・・・総二郎さんに着せてもらおうと思って持ってきたんだもん・・・」

俺に?・・・自分でも着ることが出来るくせに・・・わざわざ俺に?
やっぱり子供みたいなことを言うつくしに笑いが出て・・・会館の廊下なのにつくしを抱き締めてしまった!

「バカだな!お前・・・さっき店で言ったから俺に着せてもらいたったんだろ?マジで可愛いこと言うな!
いいぜ・・・控え室で着せてやるから・・・そこに行こうか!」

「ちょっと!ここ会館でしょ!これはヤバいんじゃ・・・」

つくしに抱きついたまま思わずキスしたくて顔を近づけたら、すぐ目の前のドアが開いて・・・


「おや?若宗匠・・・そちらの女性は・・・?」

あの九州支部長・・・俺の美人妻を見たがって睨んでたあの男が出てきた!
俺は着物のままつくしに抱きついてるし、つくしはいつもの作業着・・・つまりジーンズにほぼスッピン状態!
3人共が固まった・・・そして次の瞬間!

「きゃぁああっ!!ごめんなさいっ!見なかったことにして下さいっ!失礼しますっ!」

つくしは俺を突き飛ばして着物を放り投げてどこかへ走って逃げた!

「おいっ・・・!どこへ行くんだ?そっちは控え室じゃないぞ!」

聞いちゃいねぇ・・・もの凄い足音を立てて走り去った・・・。
隣には妙な笑顔の九州支部長が俺を哀れむように見ている。


「若宗匠・・・こちらにあんな子供みたいな女性を作っていらっしゃったとは・・・奥様が泣きますよ?」

「アレが妻なんですよ・・・実は。噂とはそんなものですよ・・・支部長」

美人妻つくしを見たかった支部長はポカンと口を開けてつくしの逃げた方向を見ていた。
いや・・・本当に着替えたら美人だけどな!でもそんなのはあんたが見なくてもいいんだよっ!
そんな事を思いながらつくしを探したら・・・会館の前の植え込みに座っていた。


「なんで逃げるんだよ!しかも着物まで投げ出しやがって・・・早く来い!着せてやるから・・・」
「だって・・・総二郎さんが廊下であんなことするから・・・もう少しで見られるとこだったじゃないの!」

「見せてやればいいだろ?俺は全然平気だから!・・・なんなら今ここでもキスできるけど?」
「嫌だっ!外じゃないの!・・・ホントに信じられないよ!」

俺はつくしの肩を抱いて・・・また会館の控え室に向かった。
ホントに西門の次期家元夫人がジーンズで支部会館に来るとは誰も思わなかっただろうけど!
こんなつくしが面白くて・・・つまらなかった地方回りがこんなに楽しいなんて初めてじゃねぇか?


控え室に着いたらつくしの持ってきた着物を机の上に置いた。
小物一式もその横に置いて・・・

「じゃあ、着替えようか。まぁ、誰もいないからお前は服を脱いで・・・」
「あーっ!!」

「なんだっ!今度はっ!」

いきなり大声を出すからびっくりして俺の方が腰を抜かしそうになった!
いや、服を脱げとは言ったけど・・・まだ、脱がせてないし!しかも脱がないと着物は着れねぇしっ!
つくしの叫び声が会館に響いたんじゃないか?・・・それってまた俺が変態扱いされるってこと?

いろんなことを考えてつくしの着物を握り締めていたら、その次のつくしの言葉にびっくりした。


「帯、忘れたよ!」


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花より男子

4 Comments

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2017/07/12 (Wed) 13:19 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

とうとうテレビ出演ですか!(笑)
特番が組めるかもですね!
あと2話になりました。随分楽しんでいただけたようで
嬉しく思います🎵( *´艸`)

雨は今は降ってないですが、蒸し暑いし、いつ降るかわからなくて困りますね。九州は大変そう。
自然災害は防ぎようがなくて辛いですよね。

寝苦しくなってきました!毎年なる熱中症に今年も気をつけなくちゃ!

いつもありがとうございます🎵

2017/07/12 (Wed) 15:57 | EDIT | REPLY |   

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2017/07/15 (Sat) 17:25 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

出た!サザエさん!爆笑!!
そうですよね、これはサザエさんですね!ウケるわ~!

む?着物で?・・・難しくないですか?
着物って意外とエロくないですか?私だけ?そう思うのは・・・。興味あります。
でも想像がしにくいぞ?

着物の袷に伸びるんでしょ?総二郎の手がね後ろから・・・。どっひゃーっ!想像してしまったっ!

興味あります。えぇ・・・これはなかなかいいですね。
参考にします。ふふふ・・・。

2017/07/15 (Sat) 20:49 | EDIT | REPLY |   

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