Sister Complex  (34)

「で、類はここには来なかったのか?ずっと隅にいたけど・・・相変わらずこんな席が苦手なヤツだな!」

美作さんが急に類の話をした。彼は類や道明寺と同じ、企業の後継者だからこんな席では社交的だったけど、
反対に全然招待客とのコミュニケーションを取ろうとしない類のことを気にかけていたみたい。


「類ならずっと向こうで静と飲んでるぜ?べったりくっついて誰も近寄らせねぇみたいだな。
この様子だとあいつらにもすぐにいい話が来るんじゃないか?類の親は元々静がお気に入りだからな」

「そっ・・・そんな事はないわよ!類は関係ないって言ってたもの!」

私はそう話した道明寺の顔も見ずに、俯いたまま小さな声で反論した。
白いドレスのスカートを握り絞めて、類がいる方も見ることは出来なかった。
そんな私の態度が道明寺を怒らせたのかもしれない・・・急に私の腕を掴んできた。

「おい!・・・司、ここではやめとけって!お前達は今日の主役だろう!問題は起こすな!」

美作さんが間に入ろうとするのを振り払って私を睨んでいる。
何度かこんな事はあったけど、いつもより落ち着いているのに眼だけが怖かった・・・今までで一番怖かった。


「なに・・・?こんな場所でやめてよ!大きな声出したら困るのはあなたじゃないの?」

「出せるもんなら出せばいい・・・気に入らねぇな!」

道明寺はそう言うと私の腕を掴んだまま、引っ張って会場を出ようとした。
それを2人が止めようとするけど全然振り向きもせず出入り口の扉に向かって行く・・・!
慌てて類のいた場所に眼をやると、類もびっくりした顔で私を見ていた。

「ちょっと!・・・どこへ行くのよ!まだここからは帰られないんじゃ・・・」
「帰るわけじゃねぇよ!・・・お前に立場ってものを教えてやるだけだ!」

振りほどこうにも道明寺の力は強すぎてどうにも出来ない・・・私は会場から出されてすぐ側のエレベータに
投げ込まれるように入れられた。向かう先は・・・最上階の部屋?


「なに?・・・何処に行くのよ!」

道明寺は何も答えないまま静にエレベーターは上に向かった。


*******


「総二郎!司、どうしたのさ!・・・なんでつくしを連れて出て行ったの?」

つくしが腕を引っ張られて会場から連れ出されるのが見えて、急いで総二郎とあきらのいる席に向かった。
離れていたから事情がわからない・・・でも明らかに司は怒っていた。

「よくわかんないけど急に司のスイッチが入ったみたいでさ・・・無茶しなかったらいいんだけど」

「つくしが怒らせるようなことをまた言ったの?」

俺がそう言うと2人は顔を見合わせた。心配してついてきた静は俺の後ろにいて会話を聞いていた。
急に笑顔になったあきらが静に向かって声をかける・・・静には聞かせたくないって事か?

「静・・・ここは大丈夫だから心配しなくていいよ。司がつくしちゃんと2人になりたかっただけだから。
そういうことだから向こうで俺と飲まないか?良かったら俺の相談にも乗って欲しいな!ちょっと付き合ってる
女性で困った事が起きてさ!」

「まぁ・・・あきらはまだ火遊びがやめられないの?そんな相談は女性としては聞きたくないけど?」

「いいからいいから!じゃあ、飲むのを付き合ってくれるだけでいいさ。・・・行こうぜ」

眼でサインしたあきらが俺と総二郎だけを残して、静を連れて離れていった。



「何があったの?・・・静が絡んでるわけ?」

「と、言うよりこんな日でもつくしちゃんがお前の事を考えすぎてるのが司にも伝わったんだと思うけど?」

「つくしが何か司に言ったの?・・・ちゃんと言い聞かせたとは思うけど」

総二郎はつくしの気持ちも俺の気持ちを知っている。
だから余計に複雑なのかもしれない・・・苦笑いしながら俺を見ている。

「お前が静から離れないのを見て、つくしちゃんがジェラシー出しまくってるから今度は司が頭にきたんだよ。
わざとお前と静にいい話が来るんじゃないかって司が言ったらモロに顔に出すから・・・つくしちゃん。
まだ17だからなぁ・・・上手には出来ねぇよな。恋愛慣れもしてないわけだし!」

「・・・いつもどおり側にいたら良かったって事?・・・拷問だよね」

「面倒くさい兄妹だな・・・でも、どうすんだよ!このままだと知らねぇぞ?あの司がいきなり襲うなんて思わねぇけど。
なんで連れて出たかは俺たちにもわかんないぜ?行くとしても上の部屋だろうけど・・・」


まさかね・・・いくらなんでもあの司がそんな事をするとは思えない。
思えないけど・・・逆にあの司がここまで女にストレートにぶつかったことがない。


「総二郎・・・上の部屋に行ってくるよ。静の事頼むね・・・」

「やめとけよ・・・。もしそうだったらどうすんだ?事件が起きるのはごめんだけど?」

「さぁ・・・どうだろ。行ってみないとわかんないね」


司の後を追って会場を出た。同じようにすぐ側のエレベータに乗ると微かにつくしの香りがする。
やっぱりこのエレベーターを使って最上階に向かったわけだ・・・。

何故か俺は冷静だった・・・聞いた内容は最悪なのに。
もっと逆上して熱くなるかと思ったのに、むしろ頭が冴えてくる・・・これから起きる事に恐怖なんて感じなかった。
ただ・・・つくしを取り戻せたらそれでいい。

その後のことは何も考えない。

司につくしを奪われるぐらいなら・・・今までの総てを捨ててしまえばいい!


エレベーターが開いて最上階に着いた途端、眼の前に現われたのは道明寺のSP数人だった!
無言で両腕を押さえつけられて今降りたエレベーターに押し戻された!

「何をするっ!俺のことを知っててやってるのか!・・・離せ!」
「お静かに願います・・・花沢類様ですね。この階にはあなたをお通しするなと命じられておりますので・・・。
申し訳ありなせんが会場にお戻りいただきます。エレベーターの中だけ・・・拘束させていただきます。
暴れられるとかえってお嬢様がお困りになりますよ?・・・それが司様からの伝言です」

「何だって?・・・司がそう言ったのか!」

「・・・これ以上は申し上げられません。会場にお戻りを・・・」


いま上がってきた場所に戻されて、SPはその姿を晒さないまままたエレベーターで上がっていく・・・。
会場のあるフロアのホールで呆然と立ち尽くした。



「だから、やめとけって言っただろ?」

振り向いたら総二郎が立っていた・・・その後ろにはあきらも。

「司が本気出したらこんなもんだって・・・例えお前相手でも許さねぇと思うぞ?」



「つくしに何かあったら・・・俺の方こそ許さない!」

随分遠くから心配そうに俺を見る静・・・
3人に背中を向けてこの会場から出て行くしかなかった。

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花より男子

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